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表題作禁じられた恋人

工藤義人,35歳,次期社長で元恋人(姉の夫)
河原崎秀明,28歳,製薬会社社長の息子で俳優

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

河原崎秀明の元に製薬会社の社長であった父の訃報が突然届いた。役者になり勘当された身だったが弔問客に紛れ参列すると、最も会いたくなかった姉の夫、工藤義人に見つかる。かつて恋人だった秀明を利用し、次期社長の座についた男は平然と秀明に接してくる。憎くて堪らないのに会えば心が揺らいでしまい、距離を置こうとしていたある日、秀明は姉の不倫を知る。原因はすべて義人にあると思い秀明は彼を責めるが――。

作品情報

作品名
禁じられた恋人
著者
いとう由貴 
イラスト
石田惠美 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778115661
3.1

(14)

(0)

萌々

(5)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
41
評価数
14
平均
3.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

BL昼ドラ愛憎劇

最近、昼ドラ見てないないんですが以前流行ったのとはタイプが変わってきているのかな?
その少し前の(ぞうりコロッケとかみたいなw)コテコテドロドロ愛憎の昼ドラをBL版展開した作品?
とでもいいましょうか、久々に昼ドラBL読んで、たまにはこういうのいいな~と、楽しんじゃいました☆
ただ、多分人によっては地雷な部分あるかもしれない。
最初に言及しておくと、片方は結婚していて子供も二人いて、仮面夫婦といえど夫婦。
そして妻の性格にウラオモテがあって不倫している(男側も妻がいて男と関係を持つ時点で不倫とも言えるんだけど)しかもビッチで、子供はよその男の子供だとか。
男の部分より、この話の重要なキーマン(キーウーマン?)である女について嫌悪感や拒否感をもって地雷になる方がありうるかもしれないというということを書いておこう。

かくいう自分はこういう要素は全く平気なのだが、
むしろこの女性、崎谷作品にもとんでもない女性があまた登場するが、そちらには激しい嫌悪を抱くタイプが多いものの、こちらに登場する主人公の姉となる女は、むしろ助演女優賞をあげたいくらい突き抜けてバカなので、やる事は酷いけど思わず許せてしまう(笑)

そして作品のほうとしては
父親が主人公・秀明の家庭教師として父が連れてきた男・義人に、秀明は恋をします。
たった一度の軽いキス(ファーストキス)をしただけですが。
しかし、義人は秀明の姉・月子と結婚してしまい、秀明は元からなりたかった俳優になる道を進むために、それをきっかけにして家を出てしまうのです。
そしてぼちぼち俳優として一本立ちしてきた頃、父親の突然の死によって
秀明と義人、月子は再会を果たすのです。
そんな始まりから、関わりたくないと思っていた人達と再び交流が始まり、姉の不倫現場を目撃しまった事から、義人に無理矢理抱かれ脅されて関係を持つようになる秀明の、苦悩と葛藤を描きながら真実が明かされていきます。

無理矢理秀明を抱く義人のベタなエロセリフのことよ♪
憎らしいと思いながらも、身体があらがえない秀明。
憎い、恋しい、憎い、恋しい~
自分を捨てて姉を選んだはずなのに、どうして姉は他の男と?
そこの真実に至る過程と隠された真実は、想定内のものではありますが、
そこへ色を添えるのが、とんでも姉ちゃんの月子さんです♪
最後、キれて二人の元へ乗り込むシーン、ほんとうはシリアスなのにすみません、笑いがこみあげてきました。
こういうヒールで浅はかな女性、いいわー。
ま、無事めでたしを迎えるのですが、その後の月子さんにも納得のニヤリ☆

すみません、BLなのに女性に注目してしまって。。。そのくらいいい意味でインパクトある人でした。
肝心の主人公達ですが、最初は酷いヤツとは思いましたが、基本は義人さん悪くはない人ですよ。
彼のひととなりが主人公と同様にわからないように描かれて行動させているところがなかなかに心にくい演出であり、昼メロとしている部分かもしれません。

自分の愉しみ方堪能の仕方は邪道かもしれませんが、切なく苦しい物語という印象というより「ザ・ドラマ」として愉しんでしまいました。

12

歯痒い二人

製薬会社の後継者になる為、秀明を利用したとされる元家庭教師であって元交際相手の義人。秀明の姉の夫でもある。
そんな義人を見返してやろうと役者になる為に家を飛び出た秀明。
義人に恋する気持ちまでをも利用された秀明は義人を憎んでいたが、父親の葬儀で十年振りに再会してしまう。
憎んでいた筈なのに、会えば心が波立ってどうしようもなくなる。
もう会いたくないのに、義人と姉 月子の幸せそうな家庭など見たくないと思っても何かと理由を取り付けられ義人宅へと呼ばれては、二人の仲睦まじい姿を見せつけられる。
その度に秀明の心は様々な感情が交差して軋む。
義人に嫌われようとするも、恋人だった頃のように秀明に優しく接する義人。
一層、罵倒され蔑んで欲しいのに…。
義人のことを考えるだけで心が高鳴り、体まで熱くなる。
会う度に義人を想い、体が反応して義人の幻影に何度も抱かれ、姉の居場所がもし自分だったら…と、苦しむ秀明。
そんな秀明はある日、姉 月子の不倫と思わしき現場を目撃してしまう。
月子が不倫するのも全て義人のせいだと糾弾するも義人に無理矢理に抱かれ、脅す材料にと抱かれた直後の写真を撮られてしまう。
それから何度も義人に抱かれ、月子に申し訳ないと思いながら義人を憎んでも体は悦びを増して満たされる。
月子を改心させ、不貞を止めさせようと接触してみれば、今まで清純可憐だと思っていた月子が秀明の前で豹変する。
また、義人も月子の不貞を知っているようで。
何をもって義人は自分を何度も抱くのか…義人、月子、それぞれの意図が見えないまま秀明の中で義人の存在は大きくなっていく。
十年前に義人と秀明が別れる原因を作ったのはどうやら月子にあるらしく秀明はますます混乱の渦へと呑み込まれてしまう。


先が見えてしまう展開なのですが、やはり姉の夫であって義理の兄弟という禁断設定には心惹かれるものがありますね。
秀明の姉 月子は利己的で本当に性格がねじまがった女性で、苛立ちを覚えずにはいられませんでした。
表面上は、理想的な妻であって母親という仮面を取り繕っているのですが、実際は家庭を顧みずに子供すらそっちのけで遊び放題。
秀明の前では秀明に見せつける為に殊更、仲睦まじい夫婦を演じるのです。
秀明を傷つけない為に十年前に別れたという義人でしたが、再会してから秀明にしている行為は十二分に秀明を傷つけていると思うんですけどね^^;
いくら怒りに身を任せたとは言っても、行為後の写真を撮って週刊誌に垂れ込むぞ~と脅すのは如何なものかと。
月子が不貞を重ねても、全てを受け入れている義人が哀れに思えて秀明は自分が慰めたいと思うようになってしまうんです。
そこには十年前に捨てきれなかった義人への想いの深さが滲み出ていたように思えます。
秀明は役者さんですが、その設定は脅されの材料と家を飛び出る材料にしか使われていない気がして、文中あまり生かされてないのがちょっと残念。
だけど、回ってきたドラマの役を演じている秀明の姿を想像するのは楽しかったです。
オタクがかった捜査員役とか、犯人役とか♪
役者なのに嘘をつくのが下手という設定も何だか可愛らしかったです。

それにしても二人ともやたらと遠回りし過ぎな気がしました。
ここでお互いの気持ちを言ってしまっても問題ないだろうよ!…と、何とも歯痒い思い全開でページを捲り続けましたよ。
それでも誤解が解けて、二人の気持ちがようやく重なった後のラブラブ感にはキュンとさせられます。
幸せそうな二人を見ていると、こちらまで微笑ましい気持ちになりました。
カラー口絵から漂う色気もエロエロで素敵でした。






9

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