秘密(文庫)

himitsu

秘密(文庫)
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神8
  • 萌×23
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
55
評価数
12件
平均
4.6 / 5
神率
66.7%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
講談社
シリーズ
講談社文庫(小説・講談社)
発売日
価格
¥690(税抜)  ¥745(税込)
ISBN
9784062777100

あらすじ

愛を信じればこそ、分かち合える秘密とは
男の冷凍庫に死体を隠し街を彷徨う。
『箱の中』『美しいこと』を超える衝撃で迫る、恋愛小説の極北。

その夜も啓太は街を徘徊していた。死体が入った冷凍庫のあるアパートに戻り悪夢を見たくないのだ。ゲイバーで出会った男、充は部屋を拝借するにはちょうどいい相手だった。愚鈍だが心優しい充に啓太は徐々に惹かれていく。そして啓太は過去を断ち切るため、充を伴い死体を隠した冷凍庫を海に捨てに行くが……。

※本書は、2007年4月蒼竜社よりノベルス版で刊行された『秘密』に改稿を加えたものです。

表題作秘密(文庫)

失読症 杉浦充
大学生 内海啓太

その他の収録作品

  • あとがき

評価・レビューする

レビュー投稿数2

人間とは何かを考えさせられます

だいぶ前に購入していたのですが、ハードそうな内容だったので手を付けてられていませんでした。
しょっぱなからゾゾゾな展開で、最初は攻めも気味が悪くて、どーなってしまうのか、ハラハラさせられました。
ところが、オチは、え?と肩透かしをくらうほどアッサリしたもので、その後、特に語られることもなく、もう少し深掘りしてほしかったです。
攻めに関しては、理解の薄い周囲からの冷たい対応がただただ可哀想で、でもこんなこともなければ受けとも出会わずにいたのかと思うと、出会えて良かったなーと思います。
純粋で真っ直ぐな攻めに受けも救われたと思います。
萌えはほとんどなかったですが、木原先生らしい異色だけど、心打たれる作品でした。

2

スーパー攻め様志向への挑戦

◆あらすじ◆

劇団員の恋人を殺し、死体を冷凍庫に隠している大学生・啓太(受け)。死体のある部屋に帰りたくなくて、啓太はゲイバーで声をかけてきた充(攻め)のアパートに転がり込みます。
ところが、充もまた秘密を抱えた男。
読み書きができない充は、そのせいで弁護士の父親に全人格を否定されて家出、アルバイトで生計を立てているものの、心の傷は癒えないまま。
そんな、お互いに精神の極限状態にある二人が、傷を舐め合ううちに、お互いが最上のパートナーであることに気づき、愛すること、愛されることに自らの存在意義を見出していきます。
導入部は啓太メインのサスペンス作品に見えますが、物語の軸になっているのは啓太よりむしろ充。
充という重いハンディキャップを負った男をめぐる恋愛や家族関係を通じて、人間の価値・幸せの意味を問いかけた作品です。(あくまで個人的解釈ですが^_^;)

◆レビュー◆

いろんな見方がある作品だと思いますが、BL的な見どころは、攻めの充が、スーパー攻め様志向の王道BLに対するアンチテーゼになっている部分かなと、個人的には思います。
そういう面が、とても木原作品続きらしいですよね。
ディスレクシアという文字が認識できない学習障害であることを家族に理解されず、優秀な一家の中で唯一出来の悪い人間・家の恥として人格を全面否定され、家族と絶縁状態にある充。
セックスと料理は上手く、ルックスもゲイバーで複数人に声をかけられるレベルなのですが、人に愛される自信がないせいか、キョドりがち。ちょっと鬱陶しい面もあります。
そんな彼と長続きする男は誰もおらず…
死体のある部屋に帰りたくないという事情があった啓太は充から逃げる機を逸しますが、それによって彼だけが、充の魅力に気付くことになります。
一方、生きる理由として誰かを愛することを欲していた充は、啓太を得て、彼のために生きることを決意し…
互いにかけがえのないパートナーを得たことが、二人を大きく変えていきます。

萌え要素は少ない作品ですが、充と啓太が、お互い精神的に追い詰められた状況で、相手に縋るように行為に没頭するセックスは、個人的には萌えました。
ちなみに啓太の殺人に関しては意外な結末が待っています。まあ、これは二人を精神的に逼迫した状態に追い込むための設定ということで、どう顛末を付けるかという部分は、この作品にとって重要ではなかったのかなと。

メインカプ二人のほか、充の従兄弟でゲイバーの雇われマスターの榎本や、充の弟で弁護士の樹も登場。
普通に考えれば彼らのほうが、BLのメインキャラとしてふさわしいスペックの人間ですが、皮肉なことに、彼らは愛情とは無縁です。
計算高い彼らには、充のように捨て身で人を愛することはできないし、そもそも愛に価値を感じていないようにも見えます。
でも、本当にそうなのか?
かつて成り行きで充と寝たこともある榎本が、今は啓太との確かな幸せを掴んだ充と飲みながら、ふと衝動的に充にキスする場面(Ⅱ章ラスト)が好き。
充は怒りますが、「油断しているほうが悪いんだよ」と充の頬をなでる榎本。
以前は自分を好きだと言う充が鬱陶しかったのに、幸せそうな充を見て、ほんの少し彼が惜しくなってしまったのかも?
一瞬のキスにこめられた榎本の微妙な心理が、心地よい余韻として心に残りました。

◆この本の解説について◆

一般書籍扱いで発行されているため、通常BL本にはない解説が付いています。
さて解説者は一般小説としてこの作品のどこを評価するのか?そこも楽しみの一つだったのですが…結局のところ、「あるはずもない展開」「不可能を可能にする」説得力がある、の繰り返し。
あとは「BLという枠組みで発表されてしまったがために、彼女の作品への評価が低く見積もられているとしたら、とても残念」としつつも、ハピエン必須などBLとしての特異性を書いただけ。BLの枠にはめた解説にすぎないようにしか読めませんでした。
もっと読者層を広げられそうなBLはたしかにありますし、この作品もその一つだと思いますが、一般書籍になるとこういう奥歯に物がはさまったような解説が付いてしまうのであれば、あまり喜ばしいことでもないような。
少なくとも自分のような腐という属性の人間は、BLとして発売されている某出版社の新書版を読んだ方が、無駄にモヤモヤせずに済む気がしました。

13

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