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表題作朧小路の恋の花

吉澤克也,28歳,高級料亭の板前
宮川光希,27歳,芸妓の弟でバーテンダー

その他の収録作品

  • 今宵逢う人
  • あとがき

あらすじ

告白されることには慣れている。
告白する「ふり」にも慣れている。
本気の恋なんてわからない。

光希は子どもの頃から顔見知りだった吉澤にばったり出くわす。
久しぶりに再会した吉澤は高級料亭の板前なっていたが、相変わらず無愛想で素っ気ない。
そのうえ光希に「そばに寄るな」とすげない態度だ。
男が姉の美代春を好きだという噂があったことを思い出した光希は、意趣返しに、姉に似ている自分の容姿を利用して、朴念仁の吉澤をからかってやろうと思いつく。
だが朴念仁はけっこう真摯に優しくて……。

作品情報

作品名
朧小路の恋の花
著者
かわい有美子 
イラスト
宮城とおこ 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
発売日
ISBN
9784883864294
3.6

(70)

(20)

萌々

(19)

(22)

中立

(7)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
17
得点
249
評価数
70
平均
3.6 / 5
神率
28.6%

レビュー投稿数17

上品な京都弁萌えどすえ~

かわい先生の作品は『銀の雫の降る都』や『東方美人』等を拝読させていただきましたが、今回の『朧小路の~』はまさに私のツボにハマりました。

京男の色気と方言は萌えの宝庫とも言うべきものだなと…。特に光希の甘えた口調がものすごく可愛くて個人的にとても好きでした。
また、挿絵も多く、宮城先生の細い描線が儚げで、作品の雰囲気に更に花をそえられていました!

ストーリーも読みやすく、感情移入のしやすい作品でした。方言物は初読みだったのですが、違和感を感じることもなく、むしろ段々とクセになり、これを機会にかわい先生の京都弁作品である『いとし、いとしと~』も読んでみようかと思います。

5

ツッコミどころはあれど好物が満載すぎて…

どこかで再版されないかなぁ~の願いを込めての評価です。
京都を舞台にした作品が大好きなので、”いとし、いとしという心”、”君と僕と夜の猫”、他の先生の作品も読みましたが、、これが一番好きかも、一番京都の雰囲気感じるなぁ~と思いました。

有名な芸妓を母と姉に持つ美貌の受(光希)と幼なじみ?というより元・ご近所の無口なイケメン・吉澤が、ふとしたきっかけで再会し徐々に距離を縮めていく…という話です。受視点なので、正直吉澤の気持ちがわかりづらいというか、出会いの場面が唐突(あの女性は一体…?)とか、吉澤まわりの状況が若干消化不良かなぁと思ったのですが、”今宵逢う人”によってやや補完されます。吉澤みたいな、表情筋をあまり使わないけど、さりげなく受けに尽くす、行動で示すタイプの渋い攻が好きなので、性癖ど真ん中でした。いや、板前服ってこんなに妄想膨らむ制服だったっけ?っていうくらい、なんだかエロス…。お料理上手(っていうかプロ)って、なんだかエロス!って思ってしまいました。光希の京都弁もエロスでした。

美味しそうな料理、京都の名物がたくさん登場するんですよね。それがもう本格的に描写されているのでワクワクしました。特に、手作り市でデートする2人が印象的でした。”朧小路”は架空ということですが、薄暗い路地裏のカフェバーや手作り市、蛍を見に行く花脊etc、現実の場所とリンクして情景を容易に思い浮かべてしまいます。(だから妄想捗る)

吉澤と出会ってから、光希が徐々に初々しい雰囲気になっていくのが面白かったです。刹那的な日々(と快楽)に身を委ねていた受が、ストイックで堅実な攻の影響で、地に足のついた人生を意識し、2人の将来を考えているという希望に満ちたラストがとても心地良い読了感をもたらしてくれました。

3

今年のかわい作品の中で一番好きでした

京都弁で繰り広げられる作品。
かわいさんの京都弁作品は『いとし、いとしという心』がありますが、こちらの新刊も良かったです。
『いとし〜』よりは軽めですが、読みやすいですね。
書き下ろしとなります。
三人称で、本編は受け視点、SSは攻め視点です。


受けの宮川光希は、姉が持つ祇園のカフェバーを任される27歳。
美人芸妓だった母に似た、美貌の持ち主。

攻めの吉澤克也は28歳で、子供の時から光希とは顔見知り。
一流料亭の板前で、寡黙な朴念仁。


光希はあとがきで書かれていますが、ビッチキャラです。
自分の魅力も、相手がどうしたら思い通りに動くかも、花街で育ってきてよくわかっています。
ですので、その自分の思い通りにならない吉澤に最初反発を覚えます。

吉澤の方はなかなか男前で実直です。
それこそ女子が結婚したいー!と思うタイプではないかと。
光希とは何もかもが正反対で、かえってそれが引きつけあったのかな。

光希の方は最初にあしらわれたこともあって、ムキになるように吉澤を落とそうとしていて、体を繋げるのはけっこう早めです。
ただ、その後、吉澤の気持ちがわからず悶々とする光希はなかなかいい気味ですな(笑
吉澤自体は、もう初期から(というか、子供の頃から印象深かったのでしょう)惹かれていたんだろうなあと思わされますが、やっぱり言葉が欲しいですし、光希の気持ちもわからなくはないです。
ただ、「ええ子にして、おとなしぃしてろ」って、きゃー、悶絶う!でございました。
ラスト近くなると完全に吉澤が、光希が可愛くて可愛くて仕方ないさまが表されていて、もうこちらまで照れるーといった展開です。
京言葉も合間って、ひじょうに萌えました。
やっぱりかわいさんの京都弁作品は良いですー。
今年になって、かわいさんの再録本以外のものが発売されたのは三冊目?かなと思うのですが、その中で一番好きでした。

イラストは宮城とおこさんで有名な方ですが、個人的にはカラーは美しいですが挿絵の構図があまり…
わたしも昔は好きな作家さんだったんですが…

9

手堅い萌え

京都が舞台。
朧小路というのは架空の小路だそうだが、
「おぼろ」という言葉がピッタリの、独特の空気に覆われた物語。

芸妓を母として父の顔を知らず、花街に育った美貌の光希と
子どもの頃を知っている、一流料亭の板場で働く寡黙な職人吉澤。

光希は、いつも柔らかな口調と笑顔で人を遇いながら
その実一線を引いて、本音を見せずに生きている。
再会した吉澤に苛つきながらも興味を惹かれ、
身体の関係を結ぶが……

互いの気持ちはどうなっているのか、はっきり見えないまま物語は進み、
ある事件をきっかけにして、せき止められていた熱が溢れる……
そして、本音を見せる光希が、可愛くてたまらない吉澤。


京都弁、祇園の灯り、古都の佇まい、食べ物や飲み物……
光希の姉の売れっ子芸妓の造形もいいし、
大人だけれどどこか少年の気配を残す二人の不器用な恋は、
手堅く面白く、萌える。

が、同じ京都の古い世界を舞台にした「いとし、いとしという心」のような
登場人物の強い個性はなく、心引き絞られるような忘れがたさはない。


後半の『今宵会う人』は、吉澤目線。
何を考えているのか今ひとつ掴めなかった吉澤の気持ちがわかり、
本編を補足しており、思わず本編をもう一度めくって読んでしまった。

ココナッツ様もお書きだが、宮城先生の絵はカラーの表紙と口絵の色合いは美しいが
中のモノクロの挿絵は、バランスが悪くてピンとこなかったのが些か残念。

6

はんなりな裏に見せる強かさと弱さ

いいですね、久しぶりに京都弁の作品を堪能致しましたね。
活字にすると方言は伝わりにくいこともありますが、運よくと言っていいのか
京都は母方の実家でもありますので作品に出てくる場所に思いを馳せながら
懐かしいような気持ちで読ませて頂きました。

今までに付き合ったことがなかったタイプの親しくもなかった小学生の頃から知ってる
ご近所さん的な攻めになる板前の吉澤にちょっとした好奇心から意図して秋波を送り
自分が手ごまにことを進めるつもりがいつしか光希本人が吉澤にハマっているけど
素直になれないままにすれ違いながらも共に歩けるパートナーになる話でしたね。

京言葉の穏やかなのに裏に別の意味合いがある物言いがかなりいい味だしていて、
個人的にはとても面白かったですね。
劇的なラブストーリーと言う感じではないのですが、いつの間にか育っていた思いが
誤解や嫉妬、意地をはりながらも相手にいなされる感じはどこか甘やかで素敵。
寡黙な板前と愛に幻想しか感じていなかった光希との関係がほんのりした甘さで
最後まで楽しませて頂きました。

3

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