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□表題作
きぬちゃんがきれいでかわいい。
豪太が名前通りの肝の太さでそうなるかと。
どういう展開になるのかと思ったら、そういうオチか~と笑いました。
□5月の奇跡
こちらがいちばん好きでした。
美形宇宙人の演技がいい。
メリハリがあってコメディを心得ているのが笑ってしまう。
パワー不足になると若返るのがおいしい設定ですね。
頭のアレが充電中に点滅するのもツボでした。
画力と漫画力があってこそのギャグだなと堪能させて頂きました。
他、おじさんと苔の精霊少年とか長髪美形とブサイクとか、先生が楽しまれて描かれているんだろうなとわかって楽しかったです。
漫画達者な国枝先生の短編集です。
特に私はこれがお気に入りでして、スタンダードなテンプレBLではあり得ない、ブサイクBLなどかなりキワモノが収録されているのが素晴らしいです。
リブレにあるあるですが、ブサイクBL(アンソロ)からの収録もありますので重複を気にされる方はよく調べてからご購入下さい。
以前は、こういったアンソロはブサイクに萌えをお持ちの先生方が寄稿されたのかと思って、やっぱり作家さんの萌えを集めた作品はクオリティが素晴らしいよね、商業にのるかどうかわからんのに出版社ご英断!とか思っていたのですが、あとがきを読ませて頂くと、このテーマで描くのにかなり苦労されておられたようで、イメージが変わりました。。
標題作の吸血鬼の話や、ロボット擬人化など、独特なファンタジーBLで面白いです。漫画としてそれぞれちゃんと読み応えあるのが素晴らしい。
全体に明るくギャグよりです。
表紙は、「箱庭」の鬼=吸血鬼さんの絵。
箱とは、吸血鬼が眠る棺桶のこと。この作品はは鬼なりのハッピーエンドでした。
面白い短編がいくつかあって、特に「君よ知るや南の国」が、物凄く気持ち悪くて面白かったー!
この南の島では、美醜の評価価値が逆転している。一般で言う美人が不細工。
綺麗な絵で、こんなコメディを書かれたら、?きっと誰だって笑っちゃうでしょう?
丸秘マークで隠すのも奇妙、毛むくじゃらの不細工ちゃんが面白い。
アハハの大爆笑。
この表紙!
「番人」系?怖い耽美?怨念?因習?
…といういかにもな絵柄なのですが、読んでみると国枝先生の高い画力や構成力に裏打ちされた技巧を凝らした作品が詰まっています。
必ずしも万人受けするかはわかりませんが。
「箱庭」
表紙の、美しく妖しくて儚げな「何か」。
「彼」は人の血によって生きる「人ならざるもの」。
前の優しい主人は亡くなり眠りについていたのに、嵐の夜に空き家だと思って家に入ってきた青年の血の匂いで目を覚ましてしまう…
…と耽美的な始まり。
ですが、この青年が屈託なくて、「彼」が吸血鬼と知っても友達のように接してくるので物語のトーンがやけに明るい。
結局…青年も吸血鬼になり、2人で「食糧ハント」に勤しむ話へ…
耽美イコール哀しみ、を打破するのは良い。
でもさ、耽美の良さは良さでいーんじゃないのぉ〜?
「Doll」
ネタバレになるけど、こちらも裏切り系。
国枝式妖艶セックスドール…かと思いきや⁉︎です。美形が可哀想なお話。
「5月の奇跡」
これはまた…思いっきり斜め上というか。こういう切り口があったか…という感嘆。
冴えない大学生・セイジ。彼が子供の頃自分で創作したロボット「アルキンZ」が今押入れから現れる!というお話。
ロボットと言っても金属製のカクカクではなくて、筋肉モリモリの美丈夫が出てきます。しかもエネルギー切れになってくると、どんどん儚げ美形に変形するという…
まあBLですから?
そんな儚げアルキンZを辛抱堪らん!と抱くセイジ。するとまたムキムキに戻るアルキンZ。
しかし、このアルキンZ。夢じゃなくてしっかり現実です。というオチ。面白いです。
「秘められた花」
山中で遭難した壮年のおじさん。目覚めると自分が誰だかわからず、隣に裸の少年の死体がある。
だが、雨が降った翌日、死体ではなく生きた少年がいた…
これは少々分かりづらいながら、多分擬人化的な物語なのだと思う。
このおじさんは苔の研究者。苔を愛してやまない。だから遭難して死の危険に晒された時、その苔が助けてくれたのかも。
「君よ知るや南の国」
キタ〜!
「番人」内収録の「めぐり逢い…COSMO」の流れを汲むブサイク満載のギャグ系作品。
好き嫌いは分かれます。ここまでやらなくても…という気はするけど、ここまでやるからいいんだよね…私は好きですよこういうの。BLの根本をおちょくってる感もあって非常に面白い。
全体に。
面白いんだけど、面白いがゆえに私個人としては国枝先生の初読み作品としては薦めない。ヘンな話描く人なんて思われたくないもーん。
◆箱庭(表題作)
ホラー風の導入に反して、物語の流れはそこまで悲愴感や闇が漂うわけでもなく、割と爽やかな読後感でした。攻めの豪太のあっけらかんとして快活な性格の影響も大きいかな。表紙を飾る人間ではない美しい生き物・きぬは、生きている限り人の血を吸わなければならない性。誰かと一緒に生きたいけれど、血を吸い尽くして死なせてしまうことを恐れています。一度は自棄になって死も受け入れた人間は精神も相当強いでしょうから、豪太のような人に出会えたことはきぬにとって天からの恵みだったのではないでしょうか。切な過ぎず、後味の良い作品でした。
◆秘められた花
途中までは表題作より好きかもと思っていたんですが、夢オチのような展開に少し残念なような気がしてしまいました。綺麗な容姿なのに人並みの知能がない受けが神秘的で、彼が幻の中の存在だったからこそ儚くて尊くも感じられるのだとは思いますが。もっと読んでみたかったですね。
◆君よ知るや南の国
これはなかなか衝撃的でした。受けのアドニスを徹底して不細工に描ききった思い切りには拍手したいです(笑)。たまにはこういうBLもありですね。こんな受けでも萌えを得られた自分は、やはり男性同士の絡みが心から好きなんだなぁと改めて思いました。