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表題作これでも、脅迫されてます

押神青志,同系列のヤクザの会長子息で後継ぎ,30才
青井章良,元同級生で関西弁のヤクザ,30才

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

十数年ぶりに再会した同級生が、ヤクザの組長の後継ぎに!?
組長の妾の子ゆえにヤクザにさせられた青志と、なりゆきでヤクザになった章良。
かつての優等生は、今やライバル組織の稼ぎ頭。一方、平ヤクザの章良の取り柄は顔だけ。
しかも、なぜか青志が引き抜きを持ちかけてきた!
なかなか頷かない章良に、返事を待つかわりにセックスの相手をしろと迫られて、
組織には秘密の逢瀬が始まるが!?

作品情報

作品名
これでも、脅迫されてます
著者
いおかいつき 
イラスト
兼守美行 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199007507
3.5

(11)

(1)

萌々

(6)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
38
評価数
11
平均
3.5 / 5
神率
9.1%

レビュー投稿数3

サバサバするにも程がある!

 いおかさんの描く受けには、時にとんでもない肝の据わり方をしたキャラがいる。中でも本作の章良(下っ端ヤクザ・30歳)は相当突き抜けている。フツー悩むだろ、たじろぐだろ、という局面で、微塵も揺るがない。常に即断即決。あまりに潔すぎるのだ。きっと彼の辞書には「逡巡」とか「躊躇」という言葉自体がないに違いない。
 その特性が最も遺憾なく発揮されたのは、攻めの青志(30歳)に脅されて「抱かせろ」と迫られた時。さしたる抵抗もなくすんなりOKしてるけど、まさにその前日まで、彼は攻めだった。それもゲイだと自覚した高校生のころから10年以上、そのポジションが揺らぐなどと想像したこともなかったのだ。なのになぜ、そうもあっさり投げ出してしまえる? それも平然と。少しは動揺とかしないわけ??

 章良と青志は高校の同級生。でも親しかったわけでもない、実のところまともに話をしたことすらなかった。3年間を通じて断トツの成績1位で東大に行った青志と、バイトに明け暮れていた章良では接点がなく、卒業後も音信不通だった。それが12年ぶりに偶然再会してみれば、青志は章良の組の敵対組織の次期トップ候補になっていて、なぜか章良をスカウトしてくる。いまの組の待遇にも人間関係にも満足している章良がここも速攻で断ると、章良が男とデートしている現場を押さえて脅迫してくる。「組にばらされたくなければうちにこい」それでもうんといわない章良に、「返事を待ってやる代わりに抱かせろ」と、さらによくわけのわからない要求をしてくる青志。そもそも脅迫として成り立ってるのかも怪しい上、ヤバいといえばゲイばれするより敵方の幹部と身体の関係を持つことの方が格段にヤバいんじゃないかと思われるのだけど、章良は「身体ですむなら安いもの」とばかりにあっさり要求をのんでしまう。

 そして初エッチになだれこむわけですが、ここでのやりとりもなんだか珍妙。挿入を果たした青志が「お前の中、すごくいいぞ」と感想を漏らすのはまあ、攻めとして普通かと思われるのですが、それに対する章良の答えはなんと「笑かすなや」・・・(言い忘れてましたが、章良は中学まで大阪育ちで、東京暮らしの方が長くなったいまも関西弁がぬけてません)そこはフツー恥じ入るとか、恥ずかしいのをごまかそうとして逆にツンツンするとかじゃないの? それが「笑かすなや」ですからねえ。人生初の受けで、身体の方はいっぱいいっぱいだったはずなのに、その余裕はどっからくるわけ?
なんだか漫才でもやってるかのようなノリ。当然、気まじめで学究肌の青志がボケでしょう。

 きっかけこそ「脅迫」だったものの、その後2人の関係は急速に深まってしまうのでそんな口実はもはや何の意味もなさなくなります。それでも、下手にベタついた愛の言葉なんか囁き合わないのがいおか作品のいいところ。青志の組の跡目争いも絡んできて、バイオレンスな展開もあり、身体を張って大切な人を守ろうとする章良は、まさに男前受けの鑑でした。

 イラストは兼森美行さん。茶髪でロン毛、ややたれ目気味の章良のビジュアルが、往年のキムタクみたいな感じで、イメージをつかみやすかった。2枚ある口絵がまた良い出来なんです。1枚はそれぞれ別の電話に出ながら指先だけからめあっているふたり。もう1枚は高校時代のふたりで、友人たちとはしゃぐ章良を遠くからひとり見つめる青志のまなざしがせつないの。どちらも本文中の具体的な一場面を切り取ったというよりは絵師さんのイメージで描かれたものらしいのですが、ふたりの今と昔の関係をよくあらわしてました。

 
 

0

軽く読めるヤクザモノ

元高校の同級生再会もの&共にヤクザと言う設定のお話です。
二人の関係はドロドロした雰囲気が一切なくて、ベタに攻め受けの女性的な甘さも
あまり感じられなくて、最後まであっさり読める内容だと思います。

裏設定があるならば、主役二人の背景は結構シリアスだと思うのですが、
そこに焦点を当て過ぎていないのでどんよりした作品にはなりえない気がしました。
タイトルでも解るように、脅迫されて関係を持つ展開ではあるのですが、
その脅迫も抱き合う為の言い訳な感じだから痛い感じも皆無です。

偶然再会したときに、受けになる章良は既にヤクザになっているが、青志もヤクザとは
全然気がついていなかったが、章良の保護者的な組員である佐倉井に青志が
同系列だがあまり仲の良くない組の会長の愛人の子供で次期組長候補だと教えられる。

章良はあまり物事にこだわるタイプではなくて、自身の気持ちにかなり正直者で
それは学生時代から全然変わっていなくてどこか飄々としてるのですよ。
何事も気負うことなく自然体のヤクザですが、反面特に目標も無く日々生きている。

対する青志は、母子家庭で育ちながらも学生時代から常に成績優秀でいい大学にも
就職にも恵まれたにも係わらず、母親の葬儀で初めて自分がヤクザの息子だと知り、
無理やり組に入れられてヤクザになります。
でも簡単に言いなりになった訳でなく、ある目的の為に言いなりになっている。

でもやはり味方は欲しいと思っていたときに、章良と再会しさらにヤクザと知り、
自分の味方にしたくて引き抜きを打診するがあっさり断られるが諦めきれず
章良がゲイだと知り、そのネタで引き抜こうとするがこれも失敗。
でもゲイバレするのも面倒だと、引き抜きの話を考える時間を与えるから抱かせろと
言われ、あっさりOKしてしまう章良は男前と言うより嫌いじゃないからいいかな程度で
関係が出来てもあっさりしているが別の意味で面白いです。

最後まで引抜には応じないけれど、やはり身体の関係が続くと心にも情が沸くわけで
青志のある目的の協力をするようになります。
青志の組のお家騒動と二人の恋の行方、でもいい大人だから好きだなんだとベタな
甘い関係にならないけれど、言葉にしなくても分かり合える関係が良かったです。

4

チャラ男受けが苦手

普段はいおかさんの小説は大好きだし、読んでいく中でキャラクターの心情をすんなり受け止める事が出来るのだが、今回の話は受けの章良がまんまチャラ男で軽すぎるのが趣味じゃないので…

元優等生の攻め・青志は堅実な将来もあったはずなのに、父親が無理矢理ヤクザの世界に引っ張ってきたっていう境遇。
対する受け・章良のほうも結構苦労してきた生い立ちではあるものの、それを感じないアッサリさってのを通り越して、ヤクザという生き方に対してのあまりの執着の無さにいいふうに入り込めなかった。

このカップル、<ノンケ×元攻めだったゲイ>っていうおいしいはずの設定なのに、そんな二人が偶然に出逢い、なし崩し的に体の関係になる辺りにも正直色気を感じなかった。

青志からすれば、置かれている状況からして脅迫という名で迫るしかないのは分かるが、真っ当な?方法で章良を手に入れようと模索する様子がなんだかまどろっこしく感じてしまった。
他のよくあるBL展開で、一目見初めた好みの受けをかっさらって…てトンデモなノリが妙に恋しくなった程。

この二人、今は先輩ヤクザのお目こぼしのおかげで助かっている感が強いし。
本当はまだ青志側の組内のいざこざは現在進行中でこれからどーなる!!って状態なんだが、執着心の無い章良が果たして力になれるんだろうか?ってのが心配。

1

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