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春先に「川果町よろづ奇縁譚」のレビューをしたので、今度は夏っぽいこちらの作品を。
タイトルに「怪談」とありますが、オカルト度合いは「川果町よろづ奇縁譚」とそんなに変わらないと思います。
四宮さんらしいフワフワと浮遊感のある心地よさで綴られる不思議でやさしい怪異譚です。
川で溺れてから“ゆうれい”が見えるようになった〔日下(ニッカ)〕と〔平片(ピース)〕が、ゆうれいたちとの出会いを通して大事なことを少しずつ紐解くように教わっていくお話。
2人の視点で交互にお話は進んでいくけど、主人公はピース君のほうかな。
四宮さんの作品は、何のお話なのかよく分からなくても気にせずとりあえずさらっと一回最後まで読み進めてみるのがベター。
最後まで読むと、きっと誰の身にも覚えがあるであろうあるふたつの感情にまつわるお話だったことに気付き、そしてじわっとさせられます。
自分の大切な人が事故などで死にかけた時に人ならざるものが現れて「才能と引き換えに君の願いを一つ叶えてあげるよ」と囁いたら、あなたはどうしますか?
きっと多くの人は、この物語に出てくる子たちのように自己を犠牲にすることを厭わず「大切な人が助かるなら」と取引しちゃうと思う。
───だけど、あなたのその無償の愛情は本当に“見返り”は求めていませんか?
───あなたのその行為は“相手から見て”、本当にしてほしかったことだと思いますか?
そんなことを問いかけてくるお話です。
お話の雰囲気はとてもやさしいのに、胸に鋭く刺さる言葉がたくさんありました。
最終話が思わず泣けてきちゃうようなとてもとても素敵な展開なんです。
引き換えに渡した才能を“取り返しに”いくの。
そこで取引を持ちかけていたゆうれいと向き合うんだけど、すごくハッとするようなことをゆうれいが言うんです。
そして最後はぜんぶが在るべきところへ戻っていく。
そんな素敵な終わり方にじーんときました。
このお話で描かれているものって、もしかしたらより女性的な感覚なのかもしれないなぁと思いました。
最初は本当に無償で尽くしていたはずなのに、いつからか少しずつ見返りを期待するようになっていたり、相手の立場に立って考えてみることを忘れて無償の愛をあげている自分に自己満足していたり。
そして最後のゆうれいの話は、ちゃんと自分だけのギフトを持っているのに、隣の芝生は青くてもっとギフトが欲しくて妄執で雁字搦めになった時に優しく目を覚まさせてくれるようなお話。
心の熱をすーっと下げてくれます。
四宮作品は、BLを求めて読んじゃうと肩透かしを食らうけど、ただ純粋に何か心に刺さるものが読みたいって思った時に手を伸ばしたくなるようなお話が多いですね。
大切な人を助けるために、自分の大切なものを差し出した。
差し出す対価は…才能。
ピアノが上手なら、ピアノを弾くことが出来る才能を。
もうピアノは弾けなくなった。
自分が死にそうになった時、助けた大切な人は
大切なものを差し出して僕を助けてくれるだろうか。
僕がしたみたいに…。
不思議な話の詰め合わせでした。
主人公は統一で、ニッカ(日下)とピース(平片)。
話が変わるごとに苦しんでるお化けたちが
かわるがわる彼らの元にやってきて、自分のわだかまりを消していく物語です。
自分がしたように、大切な相手は助けてくれるでしょうか。
怪談は苦手なのですが優しそうな表紙に惹かれて購入。初めは少し怖かったですが、途中からはほのぼの展開。優しいラストにはきゅんと暖かい気持ちにさせられました。エロはないですが色んな愛が詰まっていて読みごたえのある人間ドラマでした!
川で溺れたのをきっかけに幽霊が見えるようになった日下(ニッカ)と、不思議な力と秘密を持っている親友の平片(ピース)。
困っている人を放っておけないニッカと、そんなニッカを放っておけないピースが遭遇する不思議な人と人でないもの達との物語です。
誰が幽霊なのか分からない心もとなさ、正体不明の黒い物体、浮かび上がる手―。3話目ぐらいまでは謎だらけという不安も手伝って恐る恐るでしたが、一つ目のエピソードが優しく解決されてからは穏やかな気持ちで楽しく読めました。
好きな人のために何かしたい。見返りを求めずに、どこまでできるのか。それは相手のため? 自分のため?
様々な事情を抱えた人達との触れ合いを通して愛について考え、ゆっくりと関係を育てていく2人。ポジティブ思考のニッカと慎重派のピースのやりとりが面白く優しく、見ているだけで癒されました。
何度も読み返したい、神に近い萌え×2です~。
これからの季節にぴったし。
優しいけどやるせないお話もありました~。
怪談なので、幽霊が出てくるという事は死んでるということで・・・。
主人公2人は、友情以上恋人未満。
手をつなぐっていうシチュエーション、萌ます( *´艸`)
ちゅっ、て感じの軽いキスもありましたが。
色々な幽霊が彼らに関わってきてお話が進みます。
最初の方の灰色のお話が好きというか涙しました。
虐待とかは辛いです。
でも、灰色の存在があって本当に良かった。
優しく懐かしい空気感漂うお話でした。
題名に怪談とあるけど、怖いというよりホノボノファンタジーです。最初は、キャラの把握に時間がかかりましたが、途中からは面白くてスルスル読めます。
お話の大きな要は、好きな人のために自分の大切なものをどれだけ犠牲にできるか、それは見返りを求めないのか…と問われる内容でした。
悩みを抱えた幽霊たちと関わる内に、主人公2人の関係が変化していって、本当の愛情を育てていく…。その過程が、優しくてキュンとなります。
味わい深くて、読み返すたびにじんわりと心にしみるようなお話です。