僕は誰かと、抱き合ったこともなかった。

Thank you my God

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Thank you my God
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神17
  • 萌×220
  • 萌5
  • 中立1
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
11
得点
181
評価数
46件
平均
4 / 5
神率
37%
著者
 
媒体
コミック
出版社
茜新社
シリーズ
EDGE COMIX(エッジコミックス・茜新社)
発売日
価格
¥680(税抜)  ¥734(税込)
ISBN
9784863494312

あらすじ

故郷も家族も捨て、何も持たずに家を飛び出したニコ。
あてもなくさまよった末に南の異国へと流れつき、丘の上から神様が見下ろすその場所で生きていくことになる。
その土地で出会った青年エリ、ニコを追ってきた弟ウィル、そして母からの手紙。
ニコをめぐる人々方生まれる運命の物語。7年の歳月をかけて執筆された、河井英槻の傑作、ここに登場!

表題作Thank you my God

エリ・ララサーバル,食べ物屋のマスター
ニコラス・ヘルツフェルト,故郷と家族を捨てた男の子

その他の収録作品

  • その後の日々。
  • postscript

評価・レビューする

レビュー投稿数11

誰かに頼らなければ生きていられない

再読でも感動。
ニコが不憫すぎて攻めのエリに出会えて本当に良かった(´;ω;`) ニコのお母さんからの手紙では二人はお互いの事たくさん傷つけ合ってたって書いてあったけど、私から見ればお母さんが一方的にニコを傷つけているとしか見えないが…母親としてどうして息子にあんなひどい仕打ちができるのかなってずっと考えてた。それでも最後にお母さんのこと大好きって言えるニコが愛おしい…!

エリがニコに生きる理由と居場所を与えたおかげで、ニコがやっと幸せになれる…報われて良かった!

0

誰かのおかげで生きようと思える

相変わらず、河井英槻さんの漫画は秀逸です。
BL漫画を読んでいるというより、ティーン海外文学を読んでいるような気分になりました。

舞台・年代・環境もはっきりしていなくて、ただどことなく近代的でない土壁の建物・陽だまり・青空から絵本のような印象も受けます。

最初は兄弟モノ??と思って読み進めたのですがそんなこともなく…主人公の相手として登場する人物はしっかりしたキャラ設定があるにも関わらず、どことなく第三者風。カップリングとして萌えるかどうかは人によるんじゃないかなあと思います。微笑ましい2人だったけど、カップリングとしてはすごく好き!って感じでは自分はなかったです。
どっちかっていうと保護者や恩人といった感じですね。

自分を拾って、新しい人生を与えてくれた人。この人のおかげで今生きようと思えるということは恋愛以上の感情を相手に持っているんじゃないでしょうか。

ただ、主人公のニコの境遇がほんとに可哀想で、可哀想な子供の設定に弱いので釣られて何度も泣きそうになりました。辛い思いをしてきたニコがこうしてまた人生を歩き出している様を丁寧に描いていて、この先自分の足で続き歩いて大事な人もできて幸せになれそうな結末を見られたので安心ですが、もう少し弟とのわたかまりを丁寧にほどいていってもいいんじゃないかなあとも思ったり…。

恋愛というより半分は家庭内愛の話でしたね。ただ弟があんなにニコが好きだといってる感情がちょっと伝わってこなかったです。母親から疎まれてると知っていたのに、激しい愛情をニコに持ってるのにどうして何もしてこなかっただろ。今迎えに来てもちょっと遅かったんじゃないかなあと思うし「大丈夫だから家に帰ろう」というのも無責任な気がしました。

それにしても、河井さんの描くキャラクターの涙はほんとに綺麗で可愛いですね!

5

深い

表紙が綺麗で気になっていたこの作品。ようやく読むことができました。

幸せになりたいだけなのに、なかなか上手くいかない。生きてる意味がわからないと自分を追い込む主人公とうまくいっているようで実は意外と悩んでいる弟。主人公からしてみてば母親からも好かれて自分の持っていないものをたくさん持っている弟は羨ましい反面憎い存在。

家族から逃れるために遠いところへ逃げたのに、追っかけてきた弟。弟ら兄のことが好き。でも主人公にはすでに惹かれている相手がいる。その相手とは両方想いあっているはずなのに恋人関係にまではいっていない、そんなもどかしい関係。弟がきたことにより、変わっていく関係。いい意味にも悪い意味にも。

結局最後まで主人公が家族と和解することもなく、モヤモヤとした感じで終わりますが、色々と人間というものを考えさせられるお話です。ただみんな幸せになりたいだけなのに、どうして上手くいかないんでしょうね。

でももうちょっと詳しく最終話を描いてほしかったかな?なんかてんてんてんと最後まで進んでいき、びっくり。もう少しゆっくりと展開して上下巻にしても良かったのかも。
せめて主人続き公が好きな人と結ばれるシーンを細かく描いてほしかったかな…

ですが、世界観が独特で惹きこまれます。奥が深いお話読みたい時におすすめです。

1

期待していた話とは違っていました。

期待していた話とは違っていました。
いや、勝手に思い込んでいただけなのですが。
いや、まあこればっかりは仕方ないのですが。


ずっと、弟×兄だと思って読んでいました。
でもよく見たら表紙から違いますね(汗)
うっかり、うっかり。

これで突き返された弟はどうなってしまうのでしょうか。
私は弟も家を出て、この地で暮らしていく話かと思っていました。
結局、ニコは許されないのですね。更に真実を知った上に大好きな兄を別の男に奪われたウィルが、不憫でなりません。
エリは生活能力高いし、普通に女の子と結婚して生きていく人種にしか思えないので、この先の二人が私には見えませんでした。
雰囲気は静かな映画を観ているようでしたが、主軸がぼけているのでどうも行間を読むというよりも、投げて渡されて「あとは自分で解釈宜しく!」と云われてしまった感じです。

まあ、好きな作家さんで作品も好きな傾向ですが、単に話が好みと外れていたという事で。脇のキャラはとても素敵で、漫画はとても上手い方だなあといつも思います。特にロシータ、いいですね。

全然関係ないですが、読み終わった後に池田続き聡の「Desperate」が聞きたくなりました。

2

愛を乞う

なかなか本が出ない河井さんの新刊。
7年かけてまとまったそうだが、一貫した絵と作風に改めて
独特の魅力を持った作家さんだと思わずにはいられない。

仄暗くて繊細な魂の痛みを描かせたら、絶品の河井作品。
中二病とも言える世界観だが、一人一人のキャラに透明感があって、
脆そうに見えるけれど細くて折れない芯がある感じがいい。

舞台は、南米のどこか。
巨大なキリスト像がある街に北の国からたどり着いた、ニコ。
母親に愛されない痛みを抱えて、生きていることに迷いながら日々を過ごすニコ。
エリに拾われ、神様の見える街で月日が流れ、
暖かな周囲の人と触れあいながら、心の傷にようやくかさぶたが出来た頃、
遠い故郷から母に溺愛されてされている弟のウィルがやってくる……

回想場面が多く舌足らずな感じや、まとまり切らない感じもあるが、
その切なさに惹き付けられ読まされる。
結局最後まで母親との関係はなにも変わらない。
痛みは痛みとしてそこにあり続ける、
ニコにとっても、ウィルにとっても。

でも、ニコが大らかだけれど真摯に生きるエリに出会い、
包まれ愛されて、ウ続きィルを見送った後にようやく自分の悲しみに慟哭するさまに
私も泣かずにはいられなかった。

河井さんの描く、命を燃やすようなH場面が好き。
本当に可愛くてエロティックで、ジワッとしながらキュンキュンとする。


   最初、訪ねてきた弟とカップルなのか……?近親相姦もの……?
   と思ったことを、ここに白状致します。ざんげ。
   弟もお兄ちゃんを愛しているんだけれどね……w



*毎度おなじみの蘊蓄タイム

舞台となった巨大キリスト像のある街について、
作者はリオではなくて南米の架空の街と言っている。
この巨大キリスト像、ブラジルリオデジャネイロの物が世界的に有名だが、
実は他にも何カ所かにある。

まずは、南米ボリビアで3番目の都市コチャバンバ(Cochabamba)。
こちらの像は本体の高さが34m、台座を含めて40mと、
リオのコルコバードの丘のキリスト像(本体30m/台座含む38m)よりも大きい。
ポルトガルのリスボンにも、コルコバードに触発されて作られたという像がある。
これはキリスト像自体は28mだが、門の形の高い台座の上に立つ。
更には2010年高さ36mのキリスト像が、
ポーランドのシフィエボジン(Swiebodzin)に登場した。

9

求めることの難しさ

ニコにとっての神様は…。

亡くなった父に似ている弟:ウィルのみに過剰な愛情を注ぐ母に愛情と同じくらいの憎しみを抱くニコは故郷を離れ遠い異国の地に辿り着きます。
3年の月日が流れ、ニコは安寧な日々を過ごしますが、ある日、ウィルが突然訪れたことから心がどうしようもなく波立ちます。

ウィルを見ることにより母に愛されなかった哀しくやるせない苦い日々を思い出し揺れるニコの気持ちを場面を過去エピに移しつつ描かれています。
この過去エピに胸をえぐられるようです(泣)
母親の無関心な辛辣さが淡々と重ねられているのですが、ツラい根源はそれよりも別のところにあります。
幼いニコは母親に愛され可愛がられた時期があるんです。
最初から愛情を知らなければ与えられない切なさも知ることはなかったかもしれない。
愛情を感じとれなければ、愛情について何の感情も動かずにすんだかもしれない。

かつて死に場所を求めてあてどなく歩いたはずのニコですが、結局生きるために強盗をし、それが原因でエリと出逢います。
褐色の肌をもつエリが素晴らしく男前です!
ニコ&ウィルと違い大家族で愛し愛され、とても続き健やかに育った彼は面倒見が良いです。
エリは自分を襲った強盗のニコに『助けろ』と言われ彼の信じる神の教えと彼自身の信念に従いニコを介抱し共に暮らし始めます。
ツンデレで素直じゃないニコをうまくコントロールするエリの人としての大きさが印象深くて、それでいてアマアマでない距離感がすごく良いんです!
すぐベタベタにならない。
時に敬語を使うニコをいなすエリのつかずはなれずな態度がいい~。
でも、額を撫でる手の表情に愛しさが溢れているんです。
ニコの母親も幼いニコの額を撫でる場面があって、そんなちょっとしたシンクロにも喉がキュッとしまるような切なさがあります。

エリの押しつけがましくない優しさに見守られ周囲に助けられ自立への喜ばしい変化を見せるニコ。
郵便屋さんやマダムの温かい傍役っぷりに癒されます!!
過去から解放されはじめたところに現れたウィル…冒頭へと時系列は戻ります。

ウィルがまた良い子なんですよ。
幼い頃からニコが大好きなんだけど、そのことが母親のニコへの頑なな態度を助長させてるとは知りません。
でも、兄に届けられた母の手紙を目にしてしまい全てを悟るウィルの絶望感がね、泣けてしまいました。
知らなかったとはいえ誰よりも愛している兄を自分の存在こそが苦しめていた。
そんな自分を愛してくれるはずがないと知ったウィルは、それでもニコの本心と向き合うために話をします。
そして素直になれないニコのために彼とエリの仲をとりもつんです。
でも、エリの良さを認めたくなくて(このへんのモノローグとセリフがリアルで最高!!)たまらず泣きながら走り去るところで私も一緒に泣いた…。
ウィルにも幸せになって欲しい!!

ダメだとわかっていても諦めきれずに少しだけ期待して、やっぱり報われなくて…切ない兄弟だったなぁ。
最後のページでウィルの姿が見えなくなってからニコが母親への思いを叫ぶ場面にまた泣くという…私の水分はだいぶ減りました。

でも今はニコの隣にはエリがいます。
ニコにとっての神様は両腕を広げて待ってくれている街のシンボルでなく抱き締めてくれるエリです。
エリの腕の中ではニコも幸せそうに笑えるし、泣いてもいい場所なんです。

エッチは多くないけれど恥じらい赤面するニコに満足です。
舌の絡みかたが柔らかそうで好きだな~。
エリの外見が、黒バスの青峰に見えて困ってしまいました(嬉しいけれど)

カバーをとった本体のザラリとした手触りが好き。
汗っかきだから、ヨレヨレになって毛羽だってしまうけど(笑)
ギャン泣きじゃないんですが、少しずつ少しずつ泣いて何気に水分が出すぎました。


7

Krovopizza

こんばんは!

ニコにとっての神様・・・
クリボウさんのレビューで本編の色んなシーンが甦り
思わず泣かされました~!!!。・゜゜(ノД`)

敬語を使うニコ(外国語だからかな?)と
いなしつつ甘やかすエリの関係すごくいいですよね~~

私的には、ニコが意外とどんくさいってとこもツボでした。
顔を近づけられても、キスされるまで赤くならないところとか、反応鈍くてカワイイな~と♪

あ、青峰…は私もちょっと思いましたw

希望

 求めよ、さらば与えられん。信じる者は救われる。神さまはきっといるから。
これまで素通りしていた言葉に、振り返ってみようかなという気にさせられました。
諦めたつもりになったり、自暴自棄になったりすることもありますが、もう少し生き生きと生きてみようとしてもいいのかもしれない。
7年かけて1冊にまとまったというこの本に、衝撃を受けて感動するというより静かに火を点けられたような思いです。

 母親から愛されず、子どもが与えられるべきものを与えられなかったニコ。
報われない想いを抱えてニコを追ってきた弟のウィル。
あったかい包容力と適度な距離感でニコを見守るエリ。

 絶望しても死にきれなかったニコはやっぱり愛を求めていて。
ウィルはニコを愛したくて。
エリの優しさの裏には、辛い過去の1つや2つがあるのかもしれません。

 神さまはみんなの中に。
愛されたいと思う気持ち、愛したいと思う気持ち。

 テーマはシリアスですが3人のやりとりは見ていて楽しく、重苦しさを感じませんでした。生きていれば辛いことがあるのは当然で、いつまでも悲しみ続ける必要はないという希望。
続き
冷めた表情でエリにすがりつくニコの腕からは、切ないだけではない暖かい気持ちが伝わってきました。
寂しいと思える感情が幸せ。

 あとがきで作者さんが続きを書きたいとおっしゃっているので、今後の彼らがどうなっていくのか想像しながら、気長に続きを待ちたいと思います。 

5

祈りにも似た愛

巨大な神の像がトレードマークの、とある外国の町の物語。
「求めよ、さらば与えられん」
という聖書の言葉が引用されていますが
描かれるのは、報われないと知りながらも愛さずにはいられない、切実な人びとの姿です。


故郷を捨て、異国の地で語学で生計を立て生きるニコ。
彼の、傷ついても傷ついても母親の愛を諦めきれない姿がとても切ない。
子供の頃から、勉強して成績を上げても、働いて母の日にプレゼントを贈っても、母の愛を得ることはできなかった。
故郷から訪ねてきた弟・ウィルには
もう母には見放されていると達観してみせるけど、
母から手紙(ウィルを返せと責める内容)が届く度
本当はどうしようもなく傷ついている。
忘れてしまえば楽になれるのに、
生きている限り愛を求めずにはいられない。
ラストの叫びには母親を憎み愛し続けたニコの想いが込められていて、胸が一杯になりました。

ニコがそんな風に感情を吐露することができたのは、エリという男との出会いが大きかったんだと思います。
ニコがこの国で独り立ちできるようさりげなく手を貸し、
辛いときは手料理や抱擁で慰めてくれる続き
母性と父性の両方を備えた、でも決して押し付けがましくない接し方に、大きく温かな愛を感じました。

過去―現在の時間軸の移動や、弟の視点を通して
二人の関係が明らかになっていく展開がとても良かったです。

家族以外の他人とそんな温かな関係を築けたことで、ニコは母親への愛をやっと口にできたんだと思います。
かつて世界の全てだった母親のことはこれからも忘れられないだろうけど、人は前に進まなければならない。

それは、弟のウィルも同じです。
大きくなったら、兄をお嫁さんにする。
そんな一言が引き金となり、母は兄に冷たくなってしまう。
自分のせいで癒えない孤独を抱えてしまった大好きな兄は
今では別の男と幸せに生きていて、
惨めな自分は、その憎い男に優しくされて
不覚にも心が動いてしまう。
そんなウィルの切ない失恋物語としても
読むことのできる作品でした。


人と新たな関係を築くことの怖さと楽しさ。
人生のタフさと、それでも愛さずにはいられない人間の姿。
物悲しく美しい物語に、いつまでも余韻が残ります。

コミカルな会話や、外国の町らしい洒落た雰囲気も良いけど
何より一途な愛がとても心に響く作品でした。

◆余談◆
連載ペースがゆっくりな河井さんの作品が、7年の時を経てちゃんと完結したことにも感動w
この調子で『青春花心中』や『王子と乞食』もお願いします!

9

う〜ん....

表紙が綺麗だったのでジャケ買いしましたが、話がそもそもつまらない?
というかテンポが悪い?
主人公の境遇には同情しますが心理描写の語りが多過ぎて逆に不幸自慢をつらつらしてるように思える。
萌えるポイントがない。
登場人物に感情移入できない。
ちょっとこれは買って失敗したかも。

3

ここで終わり????

この作者は、孤独感を描くことにかけては天才的です。

主人公のニコの圧倒的な孤独を、異国の青年エリが時に乱暴に、時に極端に、時にそれとさとられぬように優しくゆっくりと包み込んでいきます。この辺りの、エリがとるニコに対する態度や心理描写は秀逸。

七年間という超不安定な連載であっても作品のテーマが一本筋通っているのは、孤独感を描かせたら右に出る者はない作者の真骨頂でしょう。

しかし……ここで終わり?というところでこの七年間連載がブツ切れるのは、ちょっと……あともう一話二話追加してきちんとしたオチをつけてほしかったです。ラストのあの絶叫も、「ないものねだりは報われない」という身も蓋もない印象を受けてしまいました。

最近バッドエンド傾向のある作家様だけにビクビクしながら読んでいましたが、とりあえず救いようはあるので★三つ。でも、特典ペーパーが2種類って、どっかのアイドルのCDですか……最近のBLでは当たり前なのかな。わからないですけど。

6

愛を求めたその先は…

母親から愛されることをひたすら望むも、
弟ばかりを溺愛する母からは酷い言葉しかもらえず、心に深く傷を負ったニコ。

彼が家族も故郷も捨て、死に場所を求めて彷徨ったあげく辿り着いたのは、
窓から大きなキリストの像が見える街、
そして、怪我をしたニコを助けてくれた、食べ物屋を営むエリという男。


この物語、時間が前後して進んでいくのがとてもいい。

話は、ニコが家を出てから3年後、
ニコが住んでいる街に、ニコに会いに弟がやって来ているところから始まります。


弟を返して…唆しているいるのは分かっています…と、
心ない手紙を何通も何通も執拗にニコに送ってくる母親。

その手紙にニコが深く傷ついていることなど知らず、実の兄であるニコに執着し、
どうしてようもなく好きだ…と言い、家へと連れ戻そうとする弟。

その弟の前でおチャラけた態度を見せ、
抵抗できないように縛ってニコとセックスをしたと話す、エリ。

肝心のニコの気持ちがどこに向いているのか、
それがよく分からない状態で物語は過去へ戻り、
それぞれの気持ちが少しずつ紐解かれ、明らかになっ続きていきます……


軽い態度を取りつつ、既婚の熟女にメロメロになりつつ、時々冷めた目をしつつ、
ニコの世話を焼くエリがとても素敵でした。
甘やかして囲うのではなく、1人でも生きられる環境と整え自信を持たせてあげること、
自分だけでなく、他の人からもニコが愛されるようにしてあげること、
楽しい時間を共有し、そしてニコが望む愛を示してあげること……
そういう愛情を3年という時間をかけてゆっくりと示しているエリに、
わたしの心は掴まれました。

抱きしめられる温かさを知らず、
愛情を受けることに慣れていないニコが、
そんなエリに思いっきりツンな態度を示してしまうのも、とても可愛い。

兄への想いが報われない弟は少々可哀想だけれど、
ニコがそうだったように、弟もまた違う形で報われる日が来るんだろう…


人は愛を求める生き物、
求めるからこそ傷つき、絶望に襲われることもあるけれど、
それを癒すのもまた愛情……だからこそ人生には希望があり、きっと美しいんだ。

わたしにはそれが、7年をかけて描かいてもブレない真理のように思えました。

10

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