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私がこの本を借りたのは2015年の事。
BLを読み始めて半年くらいたったころなのでまだ沼には入ってなく、まだまだBLってエロ必須だぜ!と思っていた頃。
なので、なぜこんな渋い作品を買ったのか思い出せないのですが、今、2018年の私はガッツポーズ!
あの時の自分に
「YOU、なかなか良い趣味してんじゃん」
と言ってあげたい。
こういう地味目の作品ってランキングやレビューが集まりにくいですもんね。
私も電子書籍を整理して見つけ久々に読み返したんです。思い出してよかったぁー。
ここ一、二年の過激エロに辟易してたので本当に本作にうれしかった。
ただ、宝井くんの思いがやっと通じた後のエロなのでたった3ページだろうが修正バッチリだろうが本当にエロチック。
ま、その前にキツネさんの存在そのものがエロチックなんですけど。
どのコマ、どの表情、どのセリフどれをとっても可愛くて、キュートで色っぽい。そして時々べらんめぇ。作品中では宝井くんと常連さんの2人だけでしたがそこかしこでノンケ殺ししてるんでしょう。
キツネさんのVの字の口のデフォルメかわいいなぁと思ってたら何人かのレビュアーさんが
「雲田はるこ先生」に似てるとご指摘されて、そこがイイという方や、真似しんぼじゃない?という方もあったのですが、私は、
「あ、それもそうだなぁ。でも真似しんぼでもなんでも本作のキツネさんが好き過ぎて、どっちでもいいや」
と深く考えるのを放棄してしまいました。
もう、私というノンケ?まで殺しにかかってるな、キツネさん!です。
最近のマイブームがバーとカクテルなのですが(お酒飲めない体質なので憧れてるだけ)、ちるちるさんを何気なく昼休みに見ていたら、何やら気になるご本が!
昭和20年の銀座のバーですって!
これは買わねば!と、嵐近づく中、会社帰りに買ってきました。
資産家の息子が、道楽で始めたアルバイト先の先輩とのお話。
先輩バーテンダーは妻子持ちのオーナーが好き。
先輩が苦手だった主人公は最初は他人事で見ていたのですが、次第に先輩に惹かれていき……というお話。
王道で、読後感はいいです。
レトロ好きにはお勧め!……なんですが、惜しいかな、あまりレトロっぽい雰囲気はなかったかも。人物の服装かしら?現代ですと云われても、「そうかー」と思えてしまう雰囲気でした。
惜しい!
独特のストーリーは面白いけど絵が好みじゃないなぁ~と思っていた作家さんでしたが、今回は見事に絵柄がハマっていて素敵でした。やんちゃだけど一本筋が通った昭和男子の魅力を最大限に堪能。神寄りの萌え×2です!
戦後の東京・銀座のバーが舞台。バイトの御曹司と先輩バーテンダーのお話です。しっとりお洒落な雰囲気を想像していましたが、予想外に感情を揺さぶられました。
年の差あり、身分違いな2人の小粋な会話が楽しく、せつなく、もどかしく。
カクテルに絡めたストーリーが心にしみます。
「道楽」でボーイのアルバイトを始めた御曹司の宝井、22才。先輩のキツネさんは、妻子持ちの親友に長年片想いしている31才。
年下攻めの何が好きかというと、生意気で世間知らずな攻めが年上の男に惚れこんで、追いつきたい一心で頑張る姿が好きです。私が理想と掲げる年上受けは男として尊敬できる存在であり、難攻不落っぽい構えが見える人、余裕ぶった年下攻めに簡単に喘がされない人、なのですが。
その点、キツネさんはまさに理想の年上受けでした! つれないかと思えばひょいと隙を見せ、思わせぶりな事をしたかと思えば感情を閉ざし。燃えます、頑張りたくなっちゃいます。
宝井は最後まで頑張れるのか。バイトも恋も、道楽で終わってしまうのか? あたたかく幸せな時はいつまでも続きませんが、自分の道は自分で切り拓ける。恋愛事だけではなく、男・宝井の成長ぶりも眩しい物語。描き下ろし後日談も素敵でした!
◆『溺れるわからずや』
こちらの短編も萌×2でした。幼馴染みの高校生カップル、カメとタマ。幼馴染みならではの、遠慮がいらない部分と踏み込めない部分のほろ苦甘さバランスが絶妙っ。
勝負→告白の流れも男らしくて良かったです!
梅松町江さんのどこか古風で味わいのある絵が好きです。
この作品は雰囲気と画風がぴったりはまっていて本当に素敵でした。
雲田はるこさんが好きな方は気に入っていただけるんじゃないかなと思います。
表題作+短編が収録されています。
表題作は昭和28年の銀座のカクテルバーが舞台になっています。
大きな会社を経営する家柄の大学生・宝井とバーテンダー・キツネさんの話。
キツネさんが妖艶です。身のこなし、目つき、腰のラインが艶っぽくて、怒ると江戸っ子ばりばりの口調になるのも「姐さん!」という感じでいなせ。「昭和元禄落語心中」の八雲師匠を感じさせる佇まいの美しさがあります。
おぼっちゃまの宝井は最初こそいい加減な気持ちで「社会見学」のようなスタンスでボーイの仕事をしていますが、キツネさんが店にかける思いを知って成長していくうちにキツネさんへの思いも変化して…という感じです。
キツネさんとオーナーのつながりと想い、それにキツネさんの過去、宝井の家の事情など時代ならではのエピソードも興味深いですが、やはりキツネさんのキップの良さが一番の魅力。潔く思い切ったら貫く姿勢もカッコいい。
描き下ろしはキツネさんの可愛い面も覗けます。カバー裏のお互いへのメモも素敵。
キツネさんの魅力がベースになって成り立っている作品なので、キツネさんにハマったら絶対に楽しめると思います。
短編は小さい頃は自分についてくるだけだった幼馴染が、高校生になってどんどん自分を追い越していく状況に、どんなに頑張っても追いつけなくて置いていかれる歯痒さを感じる高校生の話でした。
主人公が虚勢と強がりでツンツンしすぎているので、この子を可愛いと思えるかどうかがポイントになりそうです。
ツンツン嫌いのわたしはちょっと…でした。
時代は戦後、そして銀座にあるバーを舞台にしたお話です。
狐塚という名前から「キツネ」と呼ばれるバーテンと、大きな会社の後継でありながら道楽のためにボーイ見習いなんかを始めたぼんぼんの宝井。
男であるキツネ相手に熱心に口説く客の存在を知り、男色趣味なんて気味悪い…と思いつつもどこか艶っぽいキツネから目が離せない宝井。
最初は取り澄ましたやつだと思っていたけど店のオーナーにひっそりと恋をしているキツネの健気なところを知って、宝井はその気持ちを自分に向けさせたくなります。
自分のことは戦友としか思っておらず妻子を愛するオーナー相手に思いを遂げようなんて気はないけれど、オーナーに対する気持ちが溢れてしまうキツネ。
人様の男に恋慕を抱く自分が浅ましいと恥じ入る彼が宝井の胸を借りて「ちくしょうが…愛してましたよ。」と吐露するシーンが好きです。
「どうぞおあがんなさい。」「ごめん被りますよ。」のような言い回しを、艶っぽいキツネが言うと独特のしなを感じていいなと思いました。
そして激昂するとべらんめぇ口調になるところも普段との落差があって良かった。
バーで働く二人なので、お酒・カクテル言葉で気持ちをやり取りするシーンが幾つかあります。
特に、一杯奢りますよといってキツネがシェリー酒を宝井にスッと差し出すシーンが粋だなと思いました。
シェリー酒の意味は「今夜は全てを捧げる」で、はにかむキツネの表情が何とも良かったです。
ただなんというか戦後の昭和の香りというか、セピア色っぽさが少し足りなかったので作品に酔いしれるまでに至らないところが残念だと思いました。
どうやったらレトロ感に満ちるのかはわからないけれど、時代を感じさせる背景とか小道具とかをもっと作中に散りばめて欲しかったかも…。
そして時折キツネがするニンマリ顔が、雲田さんが描く顔(V→こういう口の)と思いっきり重なりまして、梅松さん作品から雲田さんを感じたことは一度もなかったのだけど一度気になってしまうと、雲田さんがちらつきました。ああいうV口の梅松さん作品、他では一度も見かけたことがない気がするんだけどなぁ…
描き下ろしはとても良かったです。
一緒に住むことになりながらも、卒論に追われる宝井と夜働くキツネはなかなか顔を会わせることができず、宝井がキツネ宛に手紙を送ります。
この手紙を大事そうにするキツネの顔、そしてようやく迎えた休日の過ごし方。キツネかわいい……!!
カバー下にも二人の何気ないけれど、お互い大切に思っていることが伝わっている手紙のやり取りが収録されていて、胸がほわっとなります。
同時収録作の【溺れるわからずや】は幼馴染ものです、
昔はチビでノロマだったカメが、自分よりも体格も成績もなにから何まで上回るようになった事が面白くなくて何かと張り合うたま。
このたまがめんどくさいとしか言いようがないキャラ。
水泳部のエースであるカメに、勝ったら俺の言うことを聞け、その代わりカメが勝ったらお前の言うこと聞いてやるからと条件つきで勝負を申し込みます。
当然、あっさり負けてしまうたま。
そして勝者となったカメのお願いはなんだろう、カメもたまのことが好きなので、たまちゃんにキスしたいとか、付き合いたいとかそういうやつかなぁ〜と予想しつつページをめくると…
「たまちゃんの言うことなんでも聞きたい。」
「俺ができる事なんでもする 言って。」
きゃーーー!!
カメ、男らしくてかっこよくて優しいやつだなぁとこのセリフにキュンキュンきたーー!!
だけど、タマのどこがいいのか最後までわからなかった…