イラスト入り
木原さんの作品はまだ数を読んでませんが、読んだ中でも断トツにこの作品が好きです。数ページ読んだだけで物語に惹き込まれ、秋沢が出てきてからは更に心持ってかれました。
この作品は、COLDシリーズのスピンオフですが、ドラマCDから入って原作小説未読。前作で脇役の楠田は、人当たりの良いヘテロのイメージしかなく、まさか主人公になるとは!!驚きでした。
実を言うと、特典ペーパー欲しさに予約はしたものの、今は小説を読む習慣が無いので、買ってもタンスの肥やしになるなと思っていた矢先にコミカライズ版COLD LIGHTの書き下ろしを読んで一転。早く読みたい!!と強く意識。
やっぱりまだ小説を読む脳になって無くて、手元に届いて読み始めるまでに時間は掛かりましたが、読み始めたら小説をあまり読まない私でも容易く物語に入り込め楽しめました。二日で読み終わったのは久しぶりです(笑) 楠田と秋沢以外の人物たちも、動きや感情がよく表現されていて容易く想像できました。
秋沢は、演技とルックスだけが取り柄で、自分本位でクレイジーな言動行動に初めは唖然としましたが、なぜか憎めない。懐いた人への態度の違いも愛らしい。気性が荒く暴れている場面でさえ、だんだん可愛くなってきました。物語の半ばを過ぎても、楠田と秋沢の間にはビジネス以外の関係が無いようにみえて、そのくせ秋沢の演技には惚れ込んでる楠田は何かと秋沢の世話を焼いてて、CRUXの中の人たちの内でも秋沢からの楠田の位置付はさほど良いとは思えなかったのに、突然ペッティングまでの仲になった時は驚きました。こんなにも恋愛の過程を無視した物語があっただろうかと。気性の荒い秋沢の罵声を落ち着かせるために仕掛けた罠が、まさかこんなに上手く行くとは(笑) キス=好きと解釈するウブな一面とエロには人一倍積極的な面を見せる秋沢のギャップもまた良い。一方の楠田は哀れとしか言いようがありません。兄のスランプ脱出に必要な秋沢をどうにか繋げ止めておくためとはいえ、今までの言動行動に嫌気をさしてる相手(秋沢)に振り回されっぱなしで、仕事も忙しいのに休息も秋沢に奪い取られる始末…。本作では終盤の、秋沢の楠田への愛情表現を読む度に切なくなりました。まだ心が伴わない楠田の偽装の恋が、どんな風に動かされるのか次作がとても楽しみです。
先にinNEWYORKのレビューを書いてしまったんですが、好きなのでこちらも書かせて頂きます( ˘ω˘ )
嵐の前の静けさ?飴と鞭?煮え湯を飲まされる?兎に角、木原作品で甘いまま終わることはないんです(そんなことないけど)
続編が出るとわかっていたので、このまま甘い幸せハピエンなんて有り得ないよな。って思ってました。そしてそれが楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。
でも、inTOKYOだけ読めば幸せエンドなんです。
ちゃんとこれだけで読み切れるようになってますしね。普通に一冊の小説です。ノンケ同士が惹かれあって、抵抗しながらも愛し合うちょっと切ないBL小説。
なので、痛いのが苦手な方はここまで読んで自分の中で完結になさるのが宜しいかと思います。
痛いの苦手だし、痛いのも知ってるけど、続き気になるな…程度の覚悟で先へ進むと痛い目にあいますよ…痛いの見たくて行ったのに痛い目見ましたからw
よくよく考えればCOLDシリーズって時点で、甘さは地獄への布石でしかないのですよね。失念しておりました。
わたしは痛くて苦しくて楽しかったので文句なしの神評価ですヽ(。・ω・。)ノ
※木原の大ファンの書評とふまえてお読みください。
めっちゃ面白かったーー。
前作のCOLD三部作は切なかったけど、今回は嘲笑しながら読みました。
共通点は攻めの性格ががらりと変わるところでしょうか。
そう、今回はせつなくないんです!全く!!!
読む前は泣く準備をしていたんですよ。でも、前作の攻め透と今回の攻めの秋沢が大暴れしてるとこからテンションが変な風にあがちゃって爆笑しました。
透と藤島のその後がちょっとでも見れて嬉しすぎます。
秋沢くんは木原のキャラに良く出てくる人格がガチで子供の奴。
そして、受けの楠田の性格がいつもはメインキャラでホモにはならないが、ホモな主人公達を見つめる第三者でした。ここが新しい。
スピンオフだから当たり前なんですけどねw
だから境遇がいつもの受けじゃなくて、苦労もなしに秋沢と相思相愛になるんですよ。
だからでしょうか、いつもと比べて文章が力んでなかったです。
木原の本を読むと感じるエゴイスト感って言えば良いんでしょうか……いつもの真綿で首を絞められているような緊縛した雰囲気が無かったです。
今回の話は何をやっても上手くいく話しですしね。
だから、秋沢の無垢な愛がストンと心に落ちてきて、最後の蛍のシーンは読んでいて心が軽くなりました。
エロシーンがこれ良いです。木原さんは新装版の秘密という小説からエロシーンがどんどん上手くなってまして、木原の本の中で一番好きなエロです。
私自身エロシーンは下品で内容も無いものだと思えて苦手でして。BLにはエロシーンなんて無い方がいいと思ってましたが、これは行けます。
私の予想では秋沢の顔が父親と全く似てないのがキーになっていきそうな気がします。
in TOKYOはこれからの不幸の前座か、それともこのまま幸せになるか、
コノハラーとして木原の小説に油断なんかするわけないいですけどwwww
COLDシリーズ(SLEEP、LIGHT、FEVER)の透の友人・楠田のスピンオフです。
SLEEP~FEVERを読んでいなくても楽しめそうですが、透は出番が多く、藤島、同窓会カップルの黒川も出てくるので、三作品を読んでからの方がより楽しめると思います。
楠田は兄とともに立ち上げたアクセサリーブランドの専属モデルに、かつて天才子役と言われながら今は落ちぶれた俳優・秋沢海斗を採用します。カメラマンの透が引き出した秋沢の新たな魅力とアクセサリーの斬新なデザインが相まって、次第に秋沢はメディアの注目を集めるようになりますが、秋沢の子どものような自己中心さと激しい思い込みのせいで、楠田はフォローに追われます。ある時、楠田は大声で暴れる秋沢を黙らせるためにキスしてしまいます。楠田が自分を好きだと誤解した秋沢の楠田への好意はエスカレート。楠田は秋沢のトラブルによる自社のイメージダウンを避けるため、その誤解を利用し続けますが、やがて飲み込まれるように体も心も秋沢におぼれていき…。
何か突出した才能の持ち主と言うのは、秋沢のようにアンバランスなのかもしれません。その極端さや危うさが放つ光のようなものが、周りを惹きつけてしまうのでしょう。
楠田が秋沢の天才的な演技力にはまり、やがては肉体関係にもはまっていく描写がとても怖くて。相手の何か一つに強く魅せられることは、さらなる深みに向かっていく前兆なのかもしれません。
楠田が秋沢の強引な愛撫の感触を脳内で遮断しようとして、自社のアクセサリーの名前を順番に思い出す描写に笑ってしまいました。数式を思い浮かべて自分の欲望をなだめる男子のようで。
才能あるものを羨む楠田の気持ちは、私も常々感じていたことなので共感してしまいました。目指す何かを与えられていることが羨ましい。きらりと光るそれが羨ましい。
透の恋人・藤島の「透は才能か、君かと言われたら、君を選ぶと思うんだ」という言葉で、楠田は自分が透に大事にされていることに気付きます。誰かを大事にすることは、才能のあるなしよりずっと大事なこと。温かく心に沁みました。藤島の変わらない優しさにホッとします。きっと恋人の透もそうなのでしょう。
果たして秋沢が透のように楠田を大事にする日がくるのか…。人として秋沢が成長できるかが、このカップルの行く末を左右する気がします。
自分の気持ちばかり押し付けてくる秋沢ですが、最後のホタルのエピソードはキュンときました。秋沢なりに楠田を喜ばせたいと考えてはいるのですね。ただ、いつも片方だけがもう片方を支える関係は長続きしないし、何か困難が起きれば破綻するのではないでしょうか。アンバランスな秋沢を楠田が支えるアンバランスな関係。秋沢の楠田への愛情が、自己愛の延長だけではないことを祈ります。
麻生ミツ晃さんのクールなイラストが、芸能界、アクセサリー業界、物語の不穏な雰囲気にぴったりだと思いました。
暫く木原作品と距離をおいてましたがcoldシリーズ番外編となると久々に心踊りました。暫く距離おいて良かったと改めて実感しました。水のナイフやloopが好きな方にはたまらない一冊だと思います。海賀卓子「スタンダードレヴュー」にも通じる年下(攻)の一方的な歪んだ一途さに嫌がりながらも深みに嵌まる(受)の変化を存分に味わいました。楠田が秋沢を見付けた時から全てかそうなる様に動いてたとしか思えません!秋沢と同等かそれ以上に惹かれてるのに認める事が出来ない楠田がどういう形で溺れるのかが楽しみです。coldシリーズだしそう甘くないとは思います。痛いけど心地良い、腑に落ちる感じだったら良いなぁと期待しつつ次巻をまつのが楽しみです。チラっと黒川も登場してましたがああいう激甘カプの様でも面白いかな?と(笑)