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表題作水曜日の嘘つき

椎名吉見,大学三年生
橘真尋,大学院生,22歳

その他の収録作品

  • 日曜日生まれの子供
  • あとがき

あらすじ

恋愛相手に不自由したことのない大学生・椎名。百戦錬磨の手強い美形と噂の院生・橘に声をかけるが!?

恋愛に関しては、来る者拒まず去る者は追わずが信条の大学生・椎名吉見。酔って先輩と賭けをし、高嶺の花といわれる院生の橘真尋を落とすと宣言してしまう。橘はかつて天才子役と謳われた元芸能人。華やかな経歴から引退後の今も百戦錬磨の手練と噂される美人だった。持ち前の軽さで屈託なくデートに誘う椎名に、以外にも橘は素直に応じて?

作品情報

作品名
水曜日の嘘つき
著者
かわい有美子 
イラスト
街子マドカ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344824850
3.3

(48)

(7)

萌々

(15)

(18)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
6
得点
154
評価数
48
平均
3.3 / 5
神率
14.6%

レビュー投稿数6

もうちょい攻めザマァください。

攻めザマァの流れかな、と思われるこちら。
でも、攻めザマァ成分が足りないんですよね、私的には。

受け様は、芸能一家の御曹司で、幼少期より天才子役の名を馳せていた真尋。
今は引退しているけど、百戦錬磨との噂を持ち大学内では高嶺の花的存在。
なんだけど、実は誰ともお付き合いしたことのないまっさらさん。

攻め様は、三大ポイ捨て男の中の入っちゃううくらい適当なお付き合いをしてきている椎名。
モデルをしてるだけあって、甘いソフトな顔立ちとスマートなエスコート。
うん、これはモテるわ。

サークルの飲み会で、酔っ払った椎名は、真尋を落とす、と賭けをする。
まずはストレートに真尋に付き合ってください、と告げる椎名だけど、意外にもすんなりOKをもらう。
始まりから、なんだか今までと違う相手で新鮮、楽しくなりそうだと面白がってるノリ。

一方の真尋は、初めてのお付き合いにドキドキしてるのにさ〜。
百戦錬磨との噂を信じてる様子の椎名のため、イメージを壊さないようしてるいじらしさ。

今まで、求められる役を演じてきて、自分というものが空っぽな空虚感があった真尋は、付き合っていく中で、自分の感情や世界が広がっていくようで、どんどん椎名に惹かれていく。
椎名も、優しくて純粋な真尋を本当にいとおしく大事に思うようになる。


純粋な真尋を悲しませたくなくて、このまま賭けのことがバレなければいいのに、なんて思う気持ちにもなったり。

でも、もちろんバレて、きっぱり別れを告げられる。
傷心のままイギリスへ渡る真尋を、空港で捕まえた椎名が抱き締める。
ここは、挿し絵もあって、とても好きなシーンです。

心を入れ換えて真面目に将来を考えるようになり、イギリスにも会いに行く椎名の必死さ。
会っている時は、細心の優しさと誠実さで接する。
でも、年下攻め様の甘えのかわいさも出してきてるんだよな〜(*^-^*)


とまぁ、攻めザマァな展開ではあるのですが、賭けがバレた時の椎名視点がないのが残念。
その時の後悔や焦り、といった必死な感情を読みたかったな。
せっかく受け攻め両視点で進むお話だったので。


イラストは街子マドカ先生。
甘くかわいいイラストが、イメージぴったりでした。




1

話のバランスが残念

 椎名吉見は、アルバイト程度でモデルの仕事をしているモテ男。
 学内三大クズと言われるくらいに来るもの拒まず、ただし、決定的なことは言わず……で暮らしていた。

 そんな時、サークルの飲み会で同大学に通う元天才子役・橘真尋を落とすと約束してしまったのだ。

 どうせ、落とせはしないだろう……とダメ元で声をかけてみると、意外なことに返事は「OK」。
 驚きながらもデートに誘ってみると楽しくて……

 という話でした。
 モテ男が、元天才子役に骨抜きにされてしまう話。
 くっつくまでは秒(まあ、くっつくところから始まってしまいますからね)。
 ことに及ぶまでで半分ちょっと。
 多分、ここでハッピーエンドが一番、まとまりがいいんだと思うんですけど、そこからが大事。
 うっかり撮った写真が他の人の目に触れてしまい、弁護士まで絡んだ肖像権の問題になってしまう……
 その間、一切、椎名側の視点は一切なし。
 個人的にはそれがもったいないなあ……って思いました。
 どうせやるなら、徹底的にもうちょっと一回壊れた二人の仲直りを書いてほしかった……
 そういう意味では、後半が失速気味。
 一冊に納めないといけないと思うので、仕方がないと思いますが、残念。
 本当はくっついて、一旦別れてからの流れの方が大事なのになあ……と思ってしまいました。
 という訳で、話の配分をもうちょっと考えてくれるとよかったかなと思います。

3

土下座まではよかった

  本作のメインテーマは「ヤリチンの男が土下座」だそうです。まあ、かわいさんにはめずらしく、なんておげれつであからさまなんでしょう!! 生まれてこのかた色恋方面では負け知らず、ノリが軽くてシモのゆるい、取り得は顔だけ男が、はじめての本気の恋になすすべもなく立ち尽くす・・・って個人的にすごく好きなパターンなんです。この場合お相手は、トーゼン難攻不落の高嶺の花が望ましいですよね。

 期待度MAXで読み始めたのですが、受けも攻めも微妙に予想とはズレてました。まず攻めの椎名。水泳で鍛えた体と甘く華のある顔だちで大学生ながらバイトでモデルも務めている。学内では「三大ポイ捨て男」の一人と目されているというけれど、実際の彼はそこまで思いあがった嫌な奴ってわけでもなかった。もちろん、見た目やモデルの肩書につられて群がり寄る女子たちにはひややかなまなざしを送りつつ、気が向けば適当につまんだりもするんだけど、その醒めた目はつねに自分自身に対しても向けられていて、恋愛というステージにおける自分の立ち位置、芸能人としての商品価値や将来性まで、正確に見切っている。これじゃあどんなに傍目には華やかで、リア充すぎる大学生に見えても、彼自身はさして楽しんではいなかったように思われる。

 一方受けの真尋。今でこそ椎名と同じ大学の院生だが、かつて天才の名前をほしいままにした伝説の子役で、芸能一家の御曹司。引退後も華やかなスキャンダルで芸能誌をにぎわせていて、大学の「三大ポイ捨て男」なんぞとはそもそも次元の違う存在。高嶺の花感は十分すぎるほど、いやむしろそれゆえに、椎名たちの緩いサークルの飲み会で、罰ゲームのような賭けのネタにされてしまったわけなのだが・・・。

 泥酔して記憶もないまま、先輩連中に「真尋を落とす」と宣言してしまった椎名は持ち前の軽いノリで初対面からいきなり「俺と付き合ってもらえませんか」と真っ向勝負に出る。当惑しつつも、なんと真尋の答えはOK。昔の役柄のイメージや、派手な浮名から百戦錬磨と思われている真尋だが、実は誰かに正面切って交際を申し込まれたのはこれが初めて、だったのだ。

 当人同士も思ってもみない形で、順調に交際は深まる。バイクの二人乗りとか、顔バレしないようにパンクロッカーのコスプレで乗り込む某ネズミーランドデートとか、なにもかも初体験の真尋にはとっても新鮮。椎名はさすが経験豊富なだけあって楽しませ方のツボを心得てる上に、これまでのどうでもいい相手にはおそらく発動されなかったであろうこまやかさで申し分なく真尋をエスコートする。そして満を持して初のお泊りデートは、ムードたっぷりの「ランプの宿」。ホントは未経験でドキドキなのに、百戦錬磨と思われているからにはその役柄を演じきらねば・・・と、妙なところで昔のプロ根性が頭をもたげ、その道の達人である芸能界の大御所オネエさまにひそかに教えを請う真尋がけなげ。でもいざとなると、本気の熱と快楽の前には理論も早々にアタマから飛んじゃって、さすがの演技派も形なしってとこがまたよかった。

 そう、ここまでは本当に、期待を裏切らぬ展開だったんです。賭けのことなど忘れたように真尋にのめり込む椎名と、いろんな初めての度に心躍らせ、椎名の存在がどんどん大きくなる真尋。両者の心の動きが交互に織り込まれているので、読み手もともに盛り上がりつつ、それでも賭けの件がある以上いつか来る破綻の予感にも怯えて。それなのになぜだろう、肝心の土下座シーン以降が、いまひとつわたしにはのりきれなかった。その土下座が、何とも下らない理由で、いかにも軽いノリのまま、周囲の目とか、自分に甘い真尋の対応とかも十分計算ずくの、あくまでパフォーマンスとして行われただけだったからかも。てっきり私は賭けの件がバレて、傷ついた真尋に対し、椎名が文字通り捨て身で赦しを請うものだと思い込んでいたので。

 ラストまでその違和感がくすぶったままだったせいか、真実を知った時の真尋の衝撃の大きさ、その後の傷心の深さも思いのほか心に染みてはきませんでした。贖罪のための椎名の転身も、人生の針路を百八十度とまではいかずとも相当大きく変える重い決断だったはずですが、それまでの軽さとのギャップがありすぎてなんだか消化不良・・・わたしにとってかわい作品はつねに安定のクオリティで、その分読む前の期待も膨らみ過ぎるきらいがあるのかもしれません。久々に少々残念な読後感でした。

3

チャラ男の本気

嘘つき、なんてタイトルからして切なそうです。
嘘をつかなければならないのは自己保身の為なのか
それとも相手を想うあまりなのかでだいぶ違ってきますが…。

大学の“ポイ捨て三大男”という、
男にとってはなかなかの羨ましさで
女にとっては最低なヤツの中の一人が、椎名吉見。
シーナとしてモデルのバイトをしている程見目が良く
関係した女の子の名前も忘れてしまうヒドイ奴。
サークルの先輩達と飲んで最後意識をとばすくらいの酔いの中、
院生で、過去に子役で芸能活動をしていた橘真尋を「必ずおとします」と
署名付きで宣言してしまったことから椎名のアプローチが始まります。

近づく度に、真尋はあれこれ世間から噂されることとは全く逆で
戸惑いながら内面にも惹かれていくのですが
この誘い文句とか会話の返しとかさすがタラシ、よどみない…。
イケメンにさらっと褒められたら女性は嬉しいでしょうよ。
軽いと思ったのに、ちゃんと真尋に合わせて
ディスティニーワールド(w)へ予想外の変装して連れて行ってくれたりとか
意外性があって私もドキドキしましたw

両視点で書かれていたので、真尋の揺れ具合もしっかり伝わりますし
椎名の持つ自分のイメージを壊したくなくて
ベッドの百戦錬磨的なアドバイスを昔からの知り合いに聞いたりとか健気!!
でも、本当に好きな相手なら、
ありのままの自分を(おっとw)見せた方が良いのですが。

二人ともいい感じに心を許していて
あまりにも綺麗な寝顔を椎名がこっそり撮ったことで亀裂が入ります。
(いや、好きな人の寝顔撮っておきたい気持ちもわかるし
その後の事は椎名が悪いとも言えないんですが)
賭けの事もバレて、ここからは本当に真尋が冷たい!!
それも無理ありませんよね、
初めて好きになって自分の中の色んな感情を教えてくれた椎名に裏切られて。
ここは真尋に感情移入しそうなものですが、
椎名が心から真尋を好きになってしまったのも知ってるから
椎名頑張れ!!ってつい応援しちゃいましたよw
冒頭なんかホント嫌な感じだったのになーw

それからの挽回が非常にかっこいい。
チャラ男はどこいった!?くらいの!!
自分の為に将来の事もしっかり考えてくれるなんて
愛が無ければ出来ないですもん。
傷つけられても、治してもらえて本当に良かった。
一度失った信頼を取り戻すのは生半可な気持ちじゃ到底無理ですから、
椎名の本気、真尋に届いてホッとしました!!

チャラ男は好かんのですが、真尋に対しての態度が
誠意あるものにかなり変わったので萌です!!

宿泊したランプの宿とか想像するだけで幻想的で
そこに美しい男二人の艶やかな姿……おおお、たまらないぞww
甘さの中に苦みがきいていて、読後感は悪くないです。
真尋の演技力、観てみたいな!!!
くだんの魔性の少年役はとっても気になります…ふふふふふ。

あと、自分が何曜日生まれなのか調べてみようと思いましたw

9

面白くないわけじゃないのですが…

今年発売したかわいさんの他作品となんとなーく似てました。
攻めがちょっとチャラくて、受けがあっさり告白を受け入れるあたり。
二年くらい前の作品ということですから、仕方ないのかなあとも思いますが。
別の年に出版されていたらあまり気にならなかったであろうことも、こういうタイミングだとね。

********************
攻めの椎名は、ポイ捨て三大男と称される大学三年生。
バイトでモデルをしていて、それなりに自分に自信を持っています。

受けの真尋は本人も元子役の芸能一家で、大学でも有名な院生。
外見や噂に世間は惑わされていますが、22歳になった今でも交際経験皆無。
********************

椎名が、ベロベロに酔った際にした先輩との約束で真尋を落とすこととなったわけですが、本人の性格も手伝って賭けのような内容に気乗りはしないものの、サラッと告白しつきあうことに。

椎名と真尋の視点が章ごとに変わります。
かわいさんはこの書き方がひじょうに多い作家さんで、わたしはその辺りも大好きです。
大好きですが、この作品はイマイチ乗り切れません。
やっぱり攻めや受けのスタンスが似てるよなあと、頭の隅で冷静になってしまうんですよね。
反面、真尋は外見や噂とは本当に正反対の人物で、顔には出さず椎名の求めている『遊び慣れた人間』を演じながらも、内心心臓が飛び出すほど驚いたり、初めてのデートに心踊らされています。
そんな真尋の賢明さと、普通のことを何も経験できないまま大人になったことがとても切ないです。

好きだったのは、真尋の幼馴染みで従兄弟の時任ですねー。
彼はどうやら真尋の姉が好きなようでスピンオフとかは期待できないのですが、わたしはこういう出来る系の辛辣な男が懐に入れている人間には甘いというのは萌えます。
こうやって書くとスーパー攻で良くいそうな感じですが、それとはまた違うんですよねー。
ラスト近くで真尋のトラブルに早急に対処したあたりも、惚れます!

イラストは街子マドカさん。
うーん、個人的にはあまり好きなタイプの作家さんでなく、作品内容も手伝って印象に残りませんでした。

3

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