溢れる激情と才能をもてあます、若きデザイナーたちの葛藤と恋──菅野彰待望のセンシティブLOVE! !

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表題作かわいくないひと

瀬尾友也,空間プランニング会社の建築デザイナー,26歳
雨宮佳,空間プランニング会社の建築デザイナー,29歳

その他の収録作品

  • かわいいひと
  • かわいいひとの思うこと
  • あとがき

あらすじ

口が悪くて暴君なのに、どうしてデザインは美しいんだろう──。

建築デザイナーの友也が密かに想いを寄せるのは、3歳年上の先輩・雨宮。天才肌の才能と繊細な美貌を併せ持つ、友也の仕事上のパートナーだ。
けれど雨宮は自分の才能に無関心で、信頼している同期の意見にしか耳を傾けない。
雨宮の作品にも惚れている友也は、嫉妬と悔しさで毎日辞めてやると思いつつ、傍を離れられなくて!?

作品情報

作品名
かわいくないひと
著者
菅野彰 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199007606
3.1

(30)

(2)

萌々

(13)

(7)

中立

(4)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
6
得点
87
評価数
30
平均
3.1 / 5
神率
6.7%

レビュー投稿数6

ままならない関係

「かわいくないひと」が実はかわいかったというのは、何度読んでも良いものだなあと思います。

今作の受けである雨宮は、個人的にはどちらかというと、かわいくないひとというよりもクセが強くて生き辛そうな人といった印象が強かったです。
天才肌の空間デザイナーの彼のキャラクターがハマるかハマらないかで評価が分かれる作品かもしれません。
私はというと、うーん…攻めの瀬尾視点で雨宮を追っていくと、彼の分かりづらい変化がかわいらしく感じるところもあったのですが、すごく刺さったか?萌えたか?というと微妙なところかなと、2.5寄りのこちらの評価になりました。

というのも、三角関係の描き方は面白く読めたものの、雨宮が終始情緒不安定に見えてしまい、そちらが気になって密に描かれているお仕事描写に関してはあまりリアルには感じられなかったのです。
才能があるのに精神面で自立が出来ていない受けの描き方としてはありだと思います。
でも、せっかくの空間・建築関係の職業設定が、雨宮のキャラクターも相まって三角関係を描けば描くほどなんだかちょっぴり浮世離れしているように見えてしまって。
お仕事BL要素も期待して読んでいたものですから、この辺りは彼らが起こしたデザインも含めて想像がしにくかったのが少々残念でした。

雨宮を間に置いて形の違う愛し方を見せる男2人の図と、共依存のような不器用で歪な深海と雨宮の関係は追っていて面白かったです。
ただ、2人ともなぜそこまで雨宮が良いのかが最後まで分からなかったなあ。
後半でやっとかわいらしさの片鱗が見えてきて、そこでやっと雨宮がどんな人なのかが掴めた気がします。
めげない年下攻めは良かったかな。

0

みんな可愛い人

学生時代からの友人に完璧に支えられ、閉じた世界で生きてきた受に惚れた攻が、受を鳥籠から引っ張り出し、未熟な人間同士で恋して生きていこうとする物語です。

受は才能溢れる美貌の建築デザイナー。コミュニケーション能力は皆無ですが、学生時代から仲の良い深海に全面的に守られて才能を開花させています。
攻はそんな受に片想いしている後輩。なんとか深海以外の人間、自分に興味を持って欲しい、もっも外の世界に触れて欲しいと一生懸命だけど、その想いは、深海さえいれば良いと思っていそうな受に届くのか?
というのが第一話。

第2話はくっついた後の話。
なんとかくっついた二人だけど、年下の攻はまだ未熟。なんでもさらっとさばいて、上手いこと受を導いてきた深海のようにスマートにはなれません。
受は受で、深海の庇護から離れた外の世界で生き、深海以外の人間と関わる事が今までなかったので、よちよち歩き状態。
そんな未熟な二人の元に深海が再び現れて…という。

深海が完全無欠のスパダリキャラで、セリフも行動もいちいちイケメンなんですよね。
そんな深見のイケメンぶりは読んでいて楽しい。惚れ惚れします。
それでも、受が深海じゃなく攻を選んだ事が不自然じゃないのがすごい。
攻と受のたどたどしく初々しい恋模様と一緒に成長していこうとする姿が焦ったくもいじらしくて魅力的なんですよね。

未熟なりに一生懸命けなげな攻も可愛いし、美貌なのに可愛くない態度だった受が、はじめての外界と攻との恋に戸惑いながら頑張る姿も、離れてもスパダリな深海も、みんなみんな愛しくなる話でした。

0

三者三様の愛情と切なさ

攻め視点でストーリー展開します。

受けは感情が読み取りづらい人で中々進みません(汗)
そして、攻めと受けの間に立つ人物がキーマンとなり。。。
表紙にもう一人加えほしかったな、と思うぐらいきっちり書き込まれた三角関係でした。

3Pではないけれど、受けを大切に思う 攻め が2人いましたねぇ。
片方は当て馬と言うのが正しいけれど、個人的には当て馬として扱いたくないかな。
どちらが「攻め」に昇格してもおかしくない描き方だったと感じました。
(便宜上、レビューでは当て馬と書きます;)

受けを大切に思う2人の男、それぞれの愛し方が絡むお仕事BL。
面白かったです(﹡´◡`﹡ )


受けにとって当て馬は、
内に篭って分厚い殻を破って外に連れ出して才能を見つけてくれた唯一の人。
彼がいないと、彼に嫌われたら、彼の判断は全て正しい。
そんな風に全てを委ね依存して生きてます。

また、当て馬もそんな受けを可愛く思い大切にしてます。
受けの才能を自分が世に広める、受けが出来ないことは全てフォローする。
スマートな大人の男で、カッコよくて、仕事が出来て、魅力的な人物です。

そんな2人を蚊帳の外から見て、もどかしく感じているのが攻めです。
受けのデザインに惚れ、当て馬の後釜となり仕事のサポートをしてます。
序盤は度々受けと当て馬の強固な関係に爪弾きされてるようで切ない…(;ω;)

デザインの仕事を通して、当て馬と攻めの考えの違いが徐々に顕著となりー。

当て馬は受けの才能に変化を加えたくなかった。
寂しい気持ちを抱えたまま創るデザインを守りたかった。
だから、愛してるけど、抱かないと…。

器用に仕事も人間関係もこなす当て馬が、恋愛だけは不器用なのでは…?
当て馬の愛情はめいっぱい感じるのに、受けには上手に伝わっておらず。
意識して"愛してるから触れない"を徹底してる人なんですよ!
切ない気持ちでいっぱいになる…(;ω;)

対する攻めは真逆。
受けにはもっと幸せになってほしい、幸せいっぱいのデザインを創ってほしい。
自分が受けを幸せにしたいけれど、それが無理なら当て馬が幸せを与えてほしい。

受けへの愛情表現がストレートで相手を思う気持ちに切なキュン。
年下ゆえの若い情熱や守りに入らない姿勢が良かった。
何を考えてるのかわからない受けに何度も跳ね返されながらもめげない心がカッコいい!

個人的には、受けの性格はハマりませんでした。
考えてることも分かりづらいし、口に出す言葉も理解しにくい。
別世界生きてるような透明さが掴みきれず。。。
ただ、この透明感が葛西リカコさんのイラストにマッチしてて、とてもキレイでした!
口絵カラーや挿絵がとても素敵なんです(∩´///`∩)

評価が難しいのですが、
三角関係のストーリーは面白かったのですが、
受けの性格だけが合わないので、うーん、萌え×2寄りの萌えかな。

三者三様の愛情と切なさはとても良かったです。

3

めっさかわいかったひと

この手の受けは、個人的にすごく駄目かとても好みかの両極なのですが、雨宮は好みでした。
すぐ手が出る、足が出るというのはどうかなあと思いつつ、それ以外はとても愛おしいです。
ああ、そうか。
この手のキャラは我が儘の質に寄って好みが左右されるのかもしれないと、今気付きました。
某BL漫画で我が儘な受けの機嫌を皆で取ってる話が苦手だったのですが、雨宮タイプは違って、そういう我が儘というよりも皆とルールが違うだけな気がします。まあ、これも我が儘なのでしょうが(笑)
ただ自分が一番、自分が可愛いというものではないので、雨宮はとても愛おしいです。

読み終わってふと思ったんですが、もしかして雨宮が最初の方で瀬尾を蹴ったり振り回したりしているのは、あれでも無意識に気を許していた現れなのでしょうか。

この作家さん、商業は実は初読みですが、二次同人の頃追っかけておりました。懐かしい。お元気で何よりです。

2

大人テイストの恋物語

この作品、好みが分かれると思いますが私は好きです。
ドラマティックでもないし激しくも派手さもない。そうですね、透明感に溢れた無声映画を見ているような気分になる作品でした。あるいは、日常生活の一コマを切り取って、そこから雑多な色を抜いて透明度を上げたような話とも言えるかも・・・。大人テイストの恋物語で、優しい熱さに包まれた「ときめき」を感じられますが甘さは控え目です。でも、この優しい熱さが心地よく、とても素敵なお話だと思いました

 受の雨宮は最初のうちはタイトル通りの「かわいくない人」でした。綺麗タイプで才能もあるけれど、人として問題がありまくりの壊れキャラで、その言動には唖然とさせられました。そんな雨宮も、深海(当て馬)にだけは従順で、笑顔さえ見せています。雨宮の世界には彼しか存在していないのです。閉じた世界にいる雨宮。
 しかし友也(攻)は、そんな雨宮のことを想っていて、無視されても乱暴な態度をとられても、いつでも真っ直ぐ雨宮に向き合おうとします。閉じた世界にいる雨宮を何としてでも外へ連れ出してあげたい友也。
 友也の献身的な愛は、雨宮を少しずつ変えていきます。人として少しまともになり、友也に対しても可愛くなります。そして最後に雨宮は、深海ではなく友也を選ぶのです。
 度量の広い友也は「年下攻の鏡」とも言えるイイ男でした。けれど、ライバルの深海もまた大人な魅力たっぷりのイイ男で、当て馬には勿体ないと思いました。魅力的な攻2人に愛される雨宮が少し羨ましかったです。
 雨宮の可愛らしさは「穂紫蘇の花」の扱いに表れていますのでご注目下さい。

3

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