恋ひぞ暮らしし雨の降る日を

koizo kurashishi ame no furu hi wo

恋ひぞ暮らしし雨の降る日を
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神1
  • 萌×24
  • 萌7
  • 中立3
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
2
得点
45
評価数
18件
平均
2.8 / 5
神率
5.6%
著者
 
媒体
コミック
出版社
東京漫画社
シリーズ
MARBLE COMICS(コミック・東京漫画社)
発売日
価格
¥648(税抜)  ¥700(税込)
ISBN
9784864421621

あらすじ

恋に臆病な八潮に急接近してきた山吹。チャラ男だと思っていたけれど、それだけではないようで……? 表題作ほか、名手・すももの描く傑作連作集!!

表題作恋ひぞ暮らしし雨の降る日を

山吹,アパートの階下に住む同級生,チャラ男
福士八潮,ゲイで恋に臆病な大学生

同時収録作品ひるひなかに咲く

柳川,映研に所属する大学2年生
駒井,大学2年生,花屋の息子

同時収録作品ユートピア

轟比左夫,現場作業員(本業は鉱石売り),31歳
坂野義実,毎晩公園にいるスーツのおじさん

同時収録作品夏が過ぎても

江間渚,恩師の息子でカメラマン
市木豊,自然史博物館の学芸員

その他の収録作品

  • 雨晴れの日にたぐひて(描き下ろし)
  • あとがき(描き下ろし)

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レビュー投稿数2

言葉のセンス、きらり。

「夜半に誰か来て、その日は雨が降った。」
というモノローグで始まる表題作。
コマの流れでは「雨の日の夜半、誰か来た」なんだけど、敢えてのひとひねり。
マンガ・小説を問わず言葉で遊んだ作品は好きなので、入り口でたやすく惹き込まれました。

主人公は、同性愛者だということを自覚し、一生独りと覚悟している八潮(結婚式場でバイトする大学生 表紙絵左)。
雨の日になると八潮の部屋に押しかけてくる下の階の住人・山吹(八潮と同じ大学の学生 表紙絵右)のことが気になり始める八潮ですが、山吹が雨の日を一人で過ごしたくない理由が異性との失恋にあることを知っている八潮は、初めから恋をあきらめていて――

粗削りでユニークな作品が多くて、宝探し感覚がお楽しみ――というのが、私の抱く東京漫画社のコミックスのイメージ。
すももさんは東京漫画社でのみ執筆されているせいか、東京漫画社色を濃厚に感じます。
王道どこ吹く風のフリーハンド路線っていうのかな。
絵やマンガとしての魅力は発展途上な感じなのですが、伝えようとしている雰囲気は個人的に好きなテイスト。
特に、セリフやモノローグの端々にさりげな続きくのぞく言葉のセンスに惹かれます。
『万葉集』から引用したタイトルも雰囲気があって素敵。

「ほら、雨って檻みたいじゃん」
雨の日の、雨音に閉ざされる孤独と、人が誰しも抱える心の孤独とを重ね合わせた物語。
結婚式場で配膳のアルバイトをする八潮にとって、祝福を浴びるカップルたちの晴れ姿は日常の風景。
でも、ハレの日の2人に向けらえた喝采の渦も、独りで生きることを決めたゲイの八潮にとっては無縁のもの。むしろ彼の孤独を包む雨音と同じ檻のようなもの?
賑やかな場所で感じる孤独こそ、何故かしんと心に深く染み透る・・・
淡々と描かれるバイト風景から滲み出る八潮の孤独が、この作品で一番心に刺さりました。

BLとしては、心に孤独を抱えた男が二人肩を寄せ合ううちに恋が始まるという顛末なんですが、かなり哲学的に始まった気がする割に、最後は山吹の勢いに流されてしまった感も・・・
均衡を崩すのは山吹の側、というのは納得。でも、山吹ってそもそも孤独?
いい奴でなつこくて・・・彼の中に、孤独が見えない。
八潮は自分(山吹)を好きじゃないから(嫌われる心配がなくて)安心する、と言っていたスタート地点からの心の変化が追えない。
八潮の孤独はすごくクリアに描かれている気がしたんですが、山吹は、気が付けば八潮の孤独を受け止めるポジションになっていた気がします。
「孤独と孤独は相容れず、結局僕らは孤独です」
という前編ラストのモノローグにはすごく引力を感じただけに、山吹の孤独の核心も覗き見たかったな。短編なので、尺が足りなかったのかもしれませんが。

言葉選びが上手い作家さんなので、言葉の重みを積み重ねていくようなストーリーのものを読んでみたい気がします。
次回作に期待。

同時収録作品3作も、孤独で臆病な男たちが心の扉を開くまでを描いた作品です。

6

Krovopizza

yoshiakiさん、こんにちは!

言葉のセンスが素敵な作家さんですよね。
レビューでは、一番意表を突かれた「人、世間の愛欲の~」のことしか書きませんでしたが、私もyoshiakiさんと同じく、初めのモノローグやタイトル良いな~~と思いました♪

これからも東京漫画社で純粋培養されて、独自の世界観にますます磨きがかかると良いですね(他社で描いたらどんな感じになるのかな~とかも気になりますがw)

そうそう、yoshiakiさんは「ひるひなかに咲く」でタイトルが出てきた「愛の悪魔」という映画はご存じですか?
私はこの作品をきっかけにレンタルしてみたのですが、フランシス・ベイコンの生涯を描いた映画だけあって色々と濃いゲイ映画でしたよ☆

虚しさの中で

「人、世間の愛欲の中に在りて、独り生れ、独り死す」
(浄土真宗の経典『仏説無量寿経』の一節)

表題作の冒頭に出てくるこの言葉が、本書全体のテーマのように思います。

人は世間の情の中で生きていくが、結局は一人で生まれ、一人で死んでいく。

セクマイの孤独、大学生のモラトリアム、家族の離散…。
世間と付き合いながら誰もがふと感じるような、ほんの少しの人生への不安、寂しさ。
ほのぼのした展開の中に、そうした切なさをチラリと見せる作風が気に入りました。
恋愛要素は薄めで、寂しい人たちの心の交流中心。
その延長上に恋が芽生えていくような展開です。


【表題作】
主人公は、男しか好きになれず、
一生独りで生きていく覚悟をしている大学生。
ある日、酔っ払った同じ大学の同級生(同じアパートの住人)を
なりゆきで部屋に泊め…。

ゲイの主人公と、ノンケ(失恋でアル中気味)の同級生。
自然と一緒にいることが多くなり、キスするようになるけど、主人公はノンケの彼とずっと付き合えるとは思っていない。

バイト先に結婚式場を選んでいるところなど、どこか自虐的なと続きころが切ないです。

同級生は、一見チャラいけど意外と一途で
男と付き合っていることも周囲に隠さないフラットな人。

でもすごく男前ってわけでもなく
男に抱かれるなんて気持ち悪いと言って主人公を傷つけてしまったり、
ノンケ故の無神経さや戸惑いも見えるところがリアルでよかったです。

初エッチで受けに回ることを決めた主人公が、全然物怖じしないのも良かった。
元々抱かれる側に興味があったことや、童貞であることをサラリと打ち明けられるほど相手に心を許していて、相手もそれを笑顔で受け止める。
そんな関係を築けた二人にじんわり感動しました。

ただ、肝心の絡みシーン自体は華麗にカットされ
ちょっと盛り上がりに欠けるのが残念でした。


【そのほかの収録作】
映画サークル、自然史博物館など、舞台設定が魅力的。
特に、鉱石売りの男と、離婚した中年リーマンの
心の交流を描いた【ユートピア】が気に入りました。
もっと続きを読みたかったです。


全体的に、すごく萌えたり感動したりということはないものの
舞台設定やさりげなく挟まれる蘊蓄が洒落てて
良い雰囲気の作品集でした。長編も読んでみたい。

8

yoshiaki

Krovopizzaさま

コメントありがとうございます(^^)

>「ひるひなかに咲く」でタイトルが出てきた「愛の悪魔」という映画はご存じですか?
私はこの作品をきっかけにレンタルしてみたのですが、フランシス・ベイコンの生涯を描いた映画だけあって色々と濃いゲイ映画でしたよ☆

そうだったんですね!!それはぜひ観ないと! 良い情報をありがとうございました。

>バイト先に結婚式場を選んでいるところなど、どこか自虐的なところが切ないです。

ここにすごく頷いてしまいました(^_^.)
たしかにゲイだってことをネガティブに捉えてる八潮にとって、結婚式場のバイトは自虐的ですよね。
バイト先で女の子に告白されて逆ギレしたのにもビックリ!!
めげない女の子みたいでほっとしました(笑)

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