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表題作この世のふたり

きさらぎ 小説家 年齢明記無し
むつみ きさらぎの妻と心中した資産家の愛人

その他の収録作品

  • 先生へ(番外編)

あらすじ

妻が不倫相手と心中してしまった作家、きさらぎ。
その不倫相手の愛人であった、むつみ。
面白半分に騒ぎ立てる世間に辟易として、けれども、一人で居るのは嫌だったふたりは、共に暮らし始めた。
食事をし笑みを交わして一緒に寝る、少し自堕落ながらも平凡な生活。
いつしかそんな生活に耽溺していたことに気づき、きさらぎは不安に陥り始めて……。

作品情報

作品名
この世のふたり
著者
夏目くも(くも) 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
ISBN
9784829685594
3.9

(28)

(5)

萌々

(18)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
110
評価数
28
平均
3.9 / 5
神率
17.9%

レビュー投稿数5

淡々と

心中で妻を喪った小説家と、妻の心中相手の愛人だった青年つむみ。
橋から飛び降りたあの世のふたり。残されたこの世のふたりはその同じ橋で出会う。対比が面白い。

絵柄もセリフ回しも、どこにも力が入っていないみたいに淡々としている。
それが主役ふたりの雰囲気や時代の空気にマッチしていてとてもよい。スルスルと読み進めることができた。

淡々としているのはストーリーもで、なにか劇的なことが起こるわけではなく、残されたふたりが恋人の距離感でただ一緒に居るっていう。表面的にはそれだけ。

それでも内面では葛藤と、支え合いと、少しの変化が。
本編のラストで見えるこの変化が、愛おしいなと思った。

0

微笑ましい

ドロドロの昼ドラのようなふたりの出会いから、思いもよらないほどほのぼのとした日常が伝わってきます。

パートナーを心中という形で失った、という共通点のあるふたりはそれぞれのパートナーへの認識が異なります。その事件がふたりを出会わせ、ふたりで過ごしていく中で、ふたりにとっての「幸せ」とは何か、幸せの定義を模索しています。


また、先生が小説家なだけあり、ひとつひとつの言葉がとても美しい…。
物語全体にかかっているレトロな時代背景も素敵です。

そんな世界観で自分たちだけの幸せな世界をつくりあげるふたりはとても微笑ましく、見守りたくなります。

1

片割れ同士、寄り添いたい。

小説家、きさらぎは妻を亡くした。それも不倫相手と心中。
橋の上で出会った男むつみ。資産家の愛人だったが、きさらぎの妻と心中。
恨む?憎い? 同じ境遇のようで全く心の中が違う2人。
2人はいつしか離れがたい存在に。

むつみとしては、きさらぎの妻がいなければ彼は心中しなかった。
愛人という立場ながらも彼と居れたのに、という気持ちでしょう。
一方、きさらぎは妻に対する気持ちが薄くあまりダメージがない?
なんという複雑な関係でしょう。
2人からしたら他の人たちは雑音でしかなく、もうこの世にはふたり
しかいないと感じているのかもしれません。

2

けだるい空気がたまらないです。

発売前からうきうき待っていて、やっと買えました。
雑誌で最後の二話だけ読んでいたので、後から最初の方を読むという形になってしまいました。
一応、ネタバレにしましたが、正直、あらすじで全部です。
妻と資産家の心中以外に大きな事は何もありません。
ほぼ先生とむつみくんのけだるい会話で一冊丸ごと。
死んだ奥さんと資産家については、死んだ事のみが重要でどういう人だったか全く出てきませんし、お互い聞きません。
だからって退屈とかそういうものでもなく、物足りないといえば物足りない気もしますが、これはこれで満足してしまったような不思議な読後感でした。
漫画を読んだというよりも、単館系の映画を一本観た気分です。
明治から昭和初期あたりまでの純文学が好きな方ならば、ハマるかもしれません。絵は正直荒いのですが、あの空気が流れているのですよ。たまらないです。
読み終わった後に、脳内で実写の配役を考えてにやにやしてしまいました。

4

お待ち申し上げておりました

早売りが手に入りましたのでちょいと露払いを。

この作者さん、椹野道流さんとのタッグ以来
お久し振りと言う感じでございますね。
緻密な中に漂う何処かとぼけた味わいは健在です。

さてネタバレ防止と申し上げましてもこの作品、
粗筋自体で既にネタバレの様なものでございます。
強いて言えば作品のトーンが多分違うと言う事で
ございましょうか。
粗筋のまま進みますとレビュー内選択肢では
ダークと言う辺りになるのでしょうが、
評者の見立ては違います。
自由選択出来るなら『たそがれている』です。
そう言うほの暗いトーンの中で線香花火が燃えている、
そう言う様を想って戴ければ多分それが
当たりであるかと。

4

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