どうしたい オレとキスしてみる?

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表題作初恋は群青に溶ける

熊田ケンゴ,男子高校2年生,野球部
吉岡亨,教室に来たことのないクラスメイト(留年)

その他の収録作品

  • 初恋の行く末(描き下ろし)
  • カバー下:あとがき

あらすじ

野球の練習中に肩を壊し、落ち込むケンゴは、放課後の音楽室で無愛想な生徒と出会う。翌日、彼が同じクラスで、一度も教室に来たことがない生徒・吉岡だと気づいたケンゴは、再び音楽室を訪れる。掴みどころがないが、居心地のいい吉岡のもとに足繁く通うようになるが、彼がかつてひどいいじめにあい、留年していたことを知り――。
傷ついた少年たちの再生を描く青春ラブストーリー。

作品情報

作品名
初恋は群青に溶ける
著者
ゆき林檎 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA(エンターブレイン)
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
ISBN
9784047299641
3.9

(187)

(68)

萌々

(69)

(24)

中立

(18)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
23
得点
706
評価数
187
平均
3.9 / 5
神率
36.4%

レビュー投稿数23

痛みを乗り越えて

高校生と言う多感な時期に受けた心と体の傷。
違う形ではあっても、高校球児の肩の故障という試練。
本来は出会うことのなかった二人が、お互いの痛みを分かち合い
惹かれ合いながら、時間をかけて未来へ歩んでいく・・・
そんな、初恋のお話。

1冊がひとつのストーリーなので、時間がゆっくり流れ
ひとつひとつ、熊田目線(熊田の気持ち)と吉岡目線(吉岡の気持ち)
がとても丁寧にわかりやすく、男子校独特の高校生活を垣間見たり
クラスや部活それぞれの仲間との距離やかかわりが理解しやすかった。
時間の流れと共に、二人の微妙な距離感や
お互いの表には出さない想いが、もどかしく切ない。
特に熊田は吉岡の心の痛みを人一倍理解しようとし
時間をかけて自分を受け入れてもらおうという気持ちが
読み手にひしひしと伝わり、体ばかり大きくても
心はガラスのように繊細で人一倍不器用な姿にジンとくるものがありました。
愛する人が、自分と出会う前に受けた傷は、
どう頑張ってもどうしようもないことは理解しながらも
「1年早く生まれてくればよかった・・・」と思わず言ってしまった気持ち
とてもわかります。

吉岡を傷つけずたずたにした相手の行為は、決して許されることではないけど
当人もやはりどこかしら傷つき何かに悩み、そのはけ口とされていたことに
少し触れ、過去を過去としてだけ流すのではなく
そこまで踏み込んだ描き方は、消化不良にならず良かったです。

お互いの愛情を確認し、ひとつになれた二人が
あえて違う大学に進学し、離れ離れになった卒業式でしたが
その後の描き下ろしが、多くは語らずともとても安心できるものでした。
教育学部に進学した熊田は母校の教師になり
在校生二人が放課後の踊り場で一目を忍んでするキスに
かつての自分たちを重ねる熊田。
そんな時、携帯にかかってきた電話の相手の名前は「吉岡亨」と表示。
「もう少しで帰るよ」ということは、一緒に住んでいるのかな?
熊田が吉岡の待つ家に帰宅後「普通」という言葉がぴったりな会話に
平穏なそして幸せな日々を送っているであろうことを確認できた。
二人がそんな空気のような存在になっていることを再認識した
どこにでもある風景のラストがすごく素敵でした。


13

愛されることで、生き返る。

部活の野球中に肩を壊したケンゴ。
落ち込んでいる時、音楽室でピアノを弾く愛想がない吉岡亨に出会う。
彼は過去にひどい扱いを受け留年し、今はケンゴと同じクラスだった。

傷ついた者同士が癒し癒され支えて、そして生き返る。

子どもはないが大人になりきれていないが故の幼さ
コンプレックスを持て余して暴走してしまう、そんな年頃。
愛されることで思いやりを知る、愛することで思いやれるようになる。
ケンゴと亨、2人のお話で1冊ですが
亨に酷いことをした生徒の心の闇も垣間見えます。
この生徒の事も考えると、この物語がただの恋愛というくくりにならず
人間の心の底を覗けます。

6

「こんな気持ち 空に溶けて消えてしまえ」

同級生に性的暴行を受けて留年した吉岡と、その事実を知りながら惹かれていくケンゴ。
いけないと分かっていながら気持ちが押さえられないはがゆさと葛藤が画面全体の爽やかさと相まって胸に響きました。
安藤の酷さはケンゴじゃなくても許せなくてやるせない。それでもいかにも好青年な球児のケンゴが吉岡に恋をして初々しく一生懸命に気持ちを伝えて上書きしようと歩み寄る姿にきゅんとさせられました。
同居する社会人になった二人にほっこり。これからもケンゴを尻に敷きながら吉岡はたっぷり甘やかされたらいいと思います。

3

胸がキュゥンとしてしまう

どうしようもないこの空気感が好き*ノД`*)・゚・。
影をしょってて、他を寄せ付けない雰囲気が印象的な受。
クラスには一度も顔を出さない。
そんな受にであった攻との日常。
少しずつ近づいて、少しずつ雰囲気が和らいで。
そして少しずつ暴かれる過去。
抵抗しないのをいいことに集団で性的暴行・・・
攻の視点から見る受が好き。ちょっとずつ交わす言葉が増えて
照れたり微笑んだり。そら吸い寄せられるようにキスもしたくなるわ
と思う79ページ

巻末の5年後。
独特の世界観というか、空気感をかもしていた受が
普通の子になっているのがなんだか微笑ましかったです。
幸せなんだな~と思ってしまう。

ついでにヒールな安藤が最後までゲスだったのは
心の中で拍手をしてしまいました。
だってほら、最後まで心がモヤモヤするじゃないw

2

過去のトラウマ

ゆき林檎さんの作品は「玉響」を読ませていただいていたので、大正などの古い時代モノイメージがついていて現代高校生どうかな~と思っていたのですが、そんな心配は不要でした\(^o^)/

表紙の水彩がとても綺麗ですね~背景が青い空と草木なのが初恋な爽やかな感じがします。
話の内容があまりビーズルビーさんぽくないせつない、悲しい話?です。

野球部のケンゴは練習中に肩を故障してしまい放課後にふと立ち寄った(熊田先生を探しに)音楽室にいた吉岡が同じクラスの同級生と知り、そこから気になって恋に発展していく話です。
野球部のシーン多いと思ってたんですが、あまり無かったですね

音楽室で出会った吉岡は同じクラスでいつも休んでいる人だったと知り、クラスに連れ出そうとします
吉岡の最初の印象は儚い繊細な髪の毛がほわほわしてそうな可愛い子だと思っていたのですが、実は毒舌でギャップが素敵です(*‘ω‘ *)

ケンゴが吉岡に頭悪そうと言った時に、「留年してるひとに言われたくない」と返し、その吉岡の反応が悲しそうで辛そうで・・・そこでケンゴは惚れたんじゃないかと勝手に思ってます笑

そして吉岡がクラスに行かなくなった原因が性的暴行というアチャーな設定
そら毎日フェラ強要されていてその現場を一番見てほしくない人に見られたら傷つきますよ。
その強姦している描写が痛々しくてすごく可哀想です・・・

ケンゴが吉岡への恋心に気づいた時も過去のトラウマを味あわせてしまうと思いなかなか進展しませんが優しい愛ですよね
相手が好きだから、大事にしたいからこそ近づけない・・・

自分の思いを伝えたときにハグから始まるってのがいいですね~!
キスからじゃなくてハグからだと本当に初めてという感じが伝わってきます
髪の毛へのキスもいいですね♡

吉岡のことを自分の勝手で襲って強姦したあの黒髪くん許しませんね おこ

自分のせいでいつまでもケンゴとの仲が進展しないからって怖いのに身を差し出す吉岡と嫌われたら怖いと思いながら触るケンゴ。
プラトニックな関係のまでも良かったのですが、最後までするような関係に
なってくれて満足です!!
ウン年後~な書きおろしで卒業後、遠距離恋愛を経てもなおあの仲の良さなら一生仲良くやっていけそうです(●´ω`●)


6

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