傷つけたいわけじゃない。 ……ほんとは、おまえと話したい。

きみはいつか、ぼくの声をきく

kimi wa itsuka boku no koe wo kiku

きみはいつか、ぼくの声をきく
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神1
  • 萌×23
  • 萌2
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
2
得点
25
評価数
9件
平均
3.1 / 5
神率
11.1%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
ブライト出版
シリーズ
ローズキー文庫(小説・ブライト出版)
発売日
価格
¥581(税抜)  ¥627(税込)
ISBN
9784861235795

あらすじ

真幸は精神的な理由で声が出せない。
幼馴染みの純太に助けられてきたけれど、ある日、「好きで面倒を見ているわけじゃない」という彼の本音を耳にしてしまう。
喪失感の中、真幸の世界へ入りこんできたのは、不良と噂される転校生の芝山実波。
「声を聞かせろ」と迫る彼は強引なくせに、時々さみしげな顔をする。
戸惑いながらも距離を縮めていく二人だが、なぜか、辛辣な言葉を吐いたはずの純太は、真幸に近づく実波を許そうとはしなくて――。
青少年の心が織りなすセンチメンタル・グラフィティ。

表題作きみはいつか、ぼくの声をきく

芝山実波,他校からの転入生
春日真幸,精神的な理由で声が出せない高校生

その他の収録作品

  • あとがき

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レビュー投稿数2

トラウマだらけの青春

精神的な理由で声が出せない真幸。
幼い頃から幼馴染みの純太に助けられてきたが、純太に彼女ができてからは少し疎遠に。
そこへ転入生の実波が強引に接触してきて…というシリアスな高校生モノ。


真幸が声を出せなくなった理由は
なかなか衝撃的で
終盤の種明かしにはゾッとしました。

その辛い体験は、幼馴染みの純太にとってもトラウマとなり、真幸を守らなければならないという義務感と歪んだ執着心を彼に植えつけてしまった。

幼馴染み二人の離れられない関係。
ややサスペンスタッチな展開を経ての
成長、訣別の流れはよかったと思います。


しかし、肝心の実波×真幸には
残念ながら説得力を感じませんでした。
いくら家庭環境が悪かったとは言え
実波のやったことはいじめ以外の何物でもないのに、そんな相手にコロッと惚れる真幸の思考が理解不能。

再会後も、力ずくで声を出させようとしたり
無理やり体に触ったりと
手口が完全にいじめっ子のそれで、
コイツはほんとに反省してるのか?
「好き」を免罪符に何でも許してもらおうとしていないか?
と、実波の恋をあまり好意的続きに見ることができませんでした;

真幸がトラウマの影響で被虐的な趣味を持っていたりしたならまだ納得できましたが、そんなこともなく。
普通にいい話風に終わるので何とも座りが悪いというか。


また、真幸のトラウマが多すぎてややお腹一杯感が。
事件に、家族に、いじめに…とてんこ盛りすぎて
声が出なくなった原因(大オチ)が霞んでいるように思えます。

更に、それぞれの出来事が起こった理由付けがおざなりなため、ただセンセーショナルなだけ、という印象になってしまうのも惜しい。
家庭環境が悪かったから、むしゃくしゃしたから…など安易な一言で済ますのではなく、もう少し周囲の人物の気持ちを掘り下げて欲しかったです。

色々と納得できない点があり
評価は低めとなりましたが(すみません)
普通のBLとひと味違う作風や読みやすい文章には
期待が持て、次回作が楽しみな作家さんです。

4

カタチの違う優しさ

目を引く意味深長なタイトルとあらすじに惹かて。
本作の原型となるストーリーを著者様の小説サイトで読むことが可能でしたので、雰囲気だけでも知りたくてお邪魔することにしました。
冒頭を読んだだけで更に引き込まれてしまいました。
声を出せなくなってしまった主人公・真幸がどのようにして登場人物達と関わり合いながら心を開いていくのか、その過程がとても気になったんです。

真幸は精神的な理由で声が出せません。
幼馴染の純太と母親には、読話でコミュニケーションを図ることができますが、他の人とは殆ど意思疎通をとることができないんです。
純太以外に友人もいなければクラスでは幽霊のような存在。
それでも何かと必要以上に真幸を気遣い、庇ってくれる純太がいるから真幸も普段通りに学校生活を送れるようで。
しかし純太に彼女がいることを知り、寂しさを覚えます。
純太の彼女の美由紀に「純太を解放してあげてほしい」と言われ、思い悩むところに「仕方がなく、好きであんな奴」と美由紀と純太が言い争っているのを聞いてしまいます。
深い寂しさと喪失感に打ちひしがれる真幸の前に、クラスメイトからも距離を置かれ続きていてあまり良い噂の聞かない実波が接触してきて…。
真幸は実波のことを苦手だと思っていて、それには実波の強引すぎた行為に原因があるようです。
強引で酷いことをしてくる実波を苦手だと認識していても、優しくキスをされたり、時折悲しい表情を覗かせたり、戸惑いながらも実波と接していく中で、真幸の心の中でも実波の存在が次第に変化してくるのです。
距離を縮めて行く実波と真幸を善しとない純太。
真幸は、純太が吐いた言葉に傷つくも友達として純太に依存していたことに気付きます。
純太を自分から解放してあげたくて、もう大丈夫と伝えるけれど純太はわかってくれなくて…。
純太の歪に歪んだ友情に巻き込まれていく真幸。

真幸が声を出せなくなってしまった理由、それはとある惨い事件…それに追い打ちをかけるように様々なことが複合的に絡みつき真幸を苦しめ続けていたんです。
純太が歪んでしまったのも真幸の事件に関係していて、それを知っているからこそ真幸もまた苦しむわけなんですよ。
そんな真幸のことを考えると胸が痛みます。すごく切ないというか、苦しいです。
重たいテーマなのですが、読後はとても温かいです。
実波が酷いことをするのも純太が真幸を理解しようとしないのも実は、いい意味でも悪い意味でも真幸を思う気持ちがあってこそなんです。
例えば、実波が未来を象徴するならば、純太は過去を象徴するものとでも言うんでしょうか。
過去に留まって前に進めないでいる真幸を更に過去へと隔離して自分が守り続けたい…そんな歪さを純太からは感じられる気がしました。
一方の実波は純太とは真逆で、過去に何があったが知らないが関係ないとばかりに無理にでも声を出させようとする荒い衝動。
対照的な二人ではあるけれど、根底にあるのは真幸に対する償いのような気持ちも大きかったのではないかと思いました。
出なかったはずの声を絞り出して何かを伝えようとする真幸の姿には心を打たれるものがありましたね。
恋する気持ちが真幸の心を溶かして、過去の柵からも解放してくれたようです。
全てが一つに繋がり、過去に囚われない真幸の旅立ち。幸せな未来を予感させてくれるようなラストには目頭が熱くなるものがございました。

真幸視点で語られる本作なので、真幸に対しての心理描写は巧みに描かれており、真幸の抱える苦しさや心の痛みがズシリと心に響いてきます。
何よりもこちらの著者様の繊細な文章から生まれる、ほんの些細な歪さや仕草から伝わってくる表現が印象に残ります。
登場人物達の気持ちがすんなり入り込んで来ない箇所もありましたが、心に響くストーリーになっていたと思います。
全くの私見で申し訳ありませんが、木村ヒデサトさんのイラストはもちろん素敵なのですが…
こちらの物語のイメージとはちょっと違う違和感を感じたところが残念でした。

萌えとは違った印象ですが、著者様の初めての本ということで今後を楽しみに萌評価にさせていただきました☆

6

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