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もう、これを私が「神」評価しないわけがない!
しなくてどうする!ってくらい。
そもそも、えすとえむさんの絵がとっても好き!っていうのもありますが、
この、誰もが知っているようなおとぎ話の数々を、現代に舞台を移してBLコミックにするにあたり、こんな風に毒の効いているエロティックな短編にすっきりまとめ上げるなんて!
シンデレラも、赤ずきんも、人魚姫も、
美女と野獣も、かぐや姫も、カルメンも、
元のお話から、こんな設定やストーリーに移して、しかも、その設定にキャラクターや背景がぴったり。
大絶賛の「神」です。
シンデレラ、赤ずきん、人魚姫、美女と野獣、かぐや姫、カルメンといった話に、えすとえむさんらしいブラックユーモアとエロスを加えて仕立て直したBL流童話パロディです。
シンデレラのガラスの靴は、SMプレイの思い出の品として生まれ変わり…。(クイーンが王子様に授けた名前「プリンスアルバート」は、あそこの先端にするボディピアスのことだったのね。調べてわかった。)
赤ずきんはオオカミさんのあそこをしゃぶりながら「あなたのここはどうしてこんなに…」と…。
美女と野獣は、せっかく華麗に変身したのに相手がまさかのデブ専好きだったため変身前に戻らされてしまったり…。
印象に強く残ったのはカルメン。初コミックの「ショーが跳ねたら逢いましょう」でも、独り舞台でカルメンとホセを演じるダンサーを描いていましたが、えすとえむさんはお好きなのかな。
こういう作品はえすとえむさんしか描けないと思うので、文句なしの神です。
あ、そういう話!お伽噺なんですね。
シンデレラはうまいことオチがついたな~。赤ずきんはとんだビッチだし、人魚姫も魔女が出てこない分、代償が現実的。
美女と野獣においては、ベルってあの獣姿の王子だから好きになったんじゃないの?と常々思っていたので、ですよねーと共感した。ってこんなこと絶対ディズニーファンの方々の前では言えません。
かぐや姫の変換の仕方もすごくよかったし、カルメンは初期のえすとえむさんを思い出して、懐かしい気持ちに。
「シンデレラ」「赤ずきん」「人魚姫」「美女と野獣」「かぐや姫」「カルメン」といった6つの有名なお話を、えすとえむ流の毒気やブラックユーモア、エロスを詰め込んでパロった作品集。
BLなので、カップリングはもちろん漏れなく男×男です。
桐生操さんの「本当は恐ろしいグリム童話」や倉橋由美子さんの「大人のための残酷童話」なんかを面白く読んでいた人なら好きなんじゃないかな。
そもそもえすとえむさん自身がその辺のブラックな解釈を読んだ上でこの作品を描いていると思う。
収録順もなかなか秀逸で、最初に下衆さを全開にした分かりやすいパロディで引き込んだ上で、徐々にえすとえむ節を効かせていき、最後のカルメンでとびきりのえすとえむワールドを見せてくれます。
『シンデレラ』
靴=女性器、足=男性器、靴にピッタリと合う足=セックスの相性が良い相手、なんていう下衆いオトナ達の下衆い解釈に更にもうひと捻り、えすとえむ流のハイセンスな下衆さをプラスして、変態プリンスと変態クイーンのなんとも素敵な倒錯的エロス満開のストーリーに!
SM好き、ピアス好きとしては、初っ端からまんまと心掴まれました。
性的アイテムとしてのボディピが好きなら是非読んでくださいな( ´艸`)
『赤ずきん』
こちらはもうここに書くまでもなく下衆い解釈が様々になされている童話ですが、えすとえむさんが採用したのは「頭脳戦」説。
赤ずきんの頭の切れっぷりに脱帽です。
莫大な遺産だけでなく、狼までをもおばあさんから奪い取った赤ずきんちゃんは、ラストのコマで、ずきんがファー付きのお高そうな代物にランクアップして、差し入れ用の葡萄酒がロマネコンティ(だよね?このラベル)になるという分かりやすさ(笑)
こんな赤ずきんやだよ~
『人魚姫』『美女と野獣』『かぐや姫』は実際に読んで、ピュアとユーモアとシュールさの入り混じる独特のえすとえむ節に酔い痴れていただくとして
最後の『カルメン』
これは童話ではないですし、掲載誌も違いますし、他の5編のパロディ作品とはそもそも異なる意味合いで描かれた作品だと思いますが、「愚か者は赤を嫌う」にも通ずるような情熱的でエロティックなえすとえむワールドを堪能できる、コミックの締め括りに相応しい1編です。
登場人物は、軍人ホセ、闘牛士リュカス、タバコ工場で働くジプシー女カルメン。
これだけは3人の性別が原作ママで、カルメンは女性です。
カルメンの美しさがホセの心を惑わすのも原作と同じ。
違うのはカルメンの位置付け。
何が違うかは……ぜひ読んでみてくださいな!
パロディモノと侮ることなかれ、えすとえむさんの魅力がふんだん且つ分かりやすく詰まった1冊だと思います。
どれも面白いけど、頭一つ抜けてるのはやはりカルメンかな。
全編ハッピーエンドの御伽噺新釈集です。
但し誰の為のハッピーエンドかは明言されていません。
帯に躍る一文にちょっと待てと一読後に
突っかかる方も確かにお出ででしょう。
でも多分その一分の行間にはもう一言潜ませてあって
それを読み取った上で吟味してくださいと言う
悪戯を道化師が仕組んだのでしょう。
この一冊の内包するものは小洒落た運命、
もしくは必然ではありません。
唇の端で笑い飛ばさないと崩れてしまう様な、
泥臭い色恋でしょう。
その泥の香りをかぐわしいと言う方も
お出でだと言う話であるかと。