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表題作パラダイス・ビュー 上

菊地秀緒,30歳,会社員,智沙の恋人
赤星智沙,26歳,小児科医,秀緒の恋人

その他の収録作品

  • なんで赤星先生て久住先生に手厳しいのかな(描き下ろし)
  • なりたいな(描き下ろし)
  • 目標(描き下ろし)
  • 久住くんのお話(描き下ろし)
  • 赤星くんのお話(描き下ろし
  • 菊地くんのお話(描き下ろし)

あらすじ

会社員の秀緒には9年の付き合いの恋人がいる。
小児科医として忙しく働きながらも、一途に秀緒を思い続ける年下の智沙。
心から愛し愛されている二人だが、30歳を前に過酷な現実に直面して―!?
体は抱き合っているのに、不安に支配された心が離れてゆく―。

大好きだから傷つけてしまう、臆病な大人の恋物語、描きおろし付き新装版。

作品情報

作品名
パラダイス・ビュー 上
著者
小嶋ララ子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスDX
シリーズ
君とパレード/ パラダイス・ビュー
発売日
ISBN
9784799724910
3.6

(75)

(24)

萌々

(25)

(14)

中立

(2)

趣味じゃない

(10)

レビュー数
7
得点
264
評価数
75
平均
3.6 / 5
神率
32%

レビュー投稿数7

あまりにも見事な心理描写

前作・君とパレードに続いてのレビューです。
ああもう、心がかき乱されるようでした。
読みながら何度ため息をついたのか。

前作で遠距離恋愛を見事に乗り越えた2人。
付き合ってから9年になる長い2人。
会社員と医者と、それぞれ忙しい日々を送る中で共に暮らす穏やかな日々。
恋人同士としてずっと一緒に暮らす2人の、日常のちょっとした幸せがあたたかくてとても愛おしい。
そんなお互いの事が好きでたまらない2人にじわじわとのし掛かって来る、セクシャルマイノリティへの世間からの目や家族という存在。
展開的には「出来上がったカップルの続編」と来れば…と王道ではあるものの、これがまた本当に切なく苦しい。

このすれ違いの辺りからの、積み重なる不安と焦燥感の描き方がリアル。
ララ子先生のキャラクターの心理描写が素晴らしくて、胸がいっぱいになって苦しくて仕方がなくなる。
平和主義で真面目な秀緒は元々ゲイではなくて…
だからこその苦悩だというのが分かるのです。
頭ではわかっていたつもりでも、祝福されない関係だという現実を目の当たりにし、気付かないふりをしていた自分の根底にあるもやもやとしたものを家族から指摘され揺らいでしまう。
この気持ちは同情なのか?それとも愛情なのか?
考えれば考えるほど自信がなくなっていく。
元々家族の縁が薄い智沙は17歳の頃からとっくに覚悟が出来ているものの、ゲイではない秀緒の苦悩も理解出来てしまうのが辛くて、信じているけれど不安で。

「お願い、誓って」
「絶対先生をしあわせにするから、オレから逃げたりしないで」

智沙は前作のこの言葉をずっと秀緒に伝えているのに。
願うのはお互いの幸せだというのに、掛け違えたボタンのようなすれ違いがもどかしい。

どうか、どうか幸せになってほしいと願わずにはいられない上巻でした。
このまま下巻へ進みたいと思います。

2

切ない

ララ子さん漫画は絵だけぱらぱら見ると穏やかで優しげで可愛いらしい雰囲気なのに、めちゃくちゃ切ない…

赤星くんと秀緒はちゃんと好き同士なのに、お互いが優しすぎるあまりゆっくりゆっくり、ボタンの欠け違いのようなものができていってしまって、読み進める度にどこかに別れの空気がひっそりいる感じがして辛くなりました。
男同志ゆえの恋愛の辛さを描いているものはたくさんあれど、ここまで感情移入されられたのは初めてです。ゆっくりゆっくり進んでいくのでとっても辛い…

普段はあまり感情をださないクールな赤星くんが好きな人の前でだけ見せる柔らかい笑顔…
早くふたりを幸せにしてやって…と思いながら読みました。

0

切ない!

実は、前作を読んでいないのに上下巻買ってしまいました。
しかし、過去の描写も入っていたので分かりやすく、違和感なく読むことができました。上巻は二人の甘い同棲生活から始まったので平和な印象を受けましたが...それだけではなかったです。3回読んで3回号泣しました(笑)
同性同士だからこその葛藤などが好きな方におすすめです!

2

好きだからだけではダメなのか?

『君とパレード』の続編です。
正直、今作を読み始めてしばらくしてから「読まなければよかったかな…」と思いました。
むしろ、前作の幸せな2人のまま終わりにして欲しかったとさえ思いました…
そのくらい、今作は切なさにあふれています…

同性同士にはそれ特有の悩みや苦悩がつきものですが、今作はまさにそのオンパレード…
ただ好きだから一緒にいたい…ではダメなのかな?
何も生み出さない2人はずっと一緒にはいられないのかな…そう思うと辛くてしかたありません。
でも、2人を最後まで見守る!そう決めて下巻を読みます。

1

秀緒に智沙を渡さなかった久住、かっこいい

 付き合ってもうすぐ10年の2人。可愛らしい見た目はそのままに、言動は達観していてよく周りを見ている智沙と、自覚はありながらも自分の気持ちを整理することで精一杯の秀緒。確かに育った家庭環境を比較すると、片やほとんど顧みてもらえないまま両親が離婚してしまった智沙と、片や強気な女性陣に圧されながらも大家族に囲まれわいわい暮らしてきた秀緒では、智沙の方が気の毒な家庭だと言えるのかもしれません。

 けれど、その分智沙は幼い頃から孤独や不条理に対して免疫があり、それらと向き合う術もよく心得ている。逆に、社会人になって改めて家族に受け入れてもらわなければならなくなった秀緒は、家族に反対されると弱るし、彼らの言葉に容易に貫かれて智沙への気持ちにすら自信がなくなってしまう。どちらが優れている、劣っているということではなく、2人ともこんな家庭で育ったなら今のすれ違いも納得だなと思えるんです。だから、とてももどかしい。それでも尚2人の相手を思いやる気持ちはすごく強いし、智沙が強い意志で秀緒を絶対離さないと決めているところに安心を感じています。下巻でどんな決断を見せてくれるのか、楽しみです。

1

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