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表題作午後の音楽室

クラス副委員長・日夏
心に傷をもつ高校生・望生

その他の収録作品

  • 欠けているもの

あらすじ

高校二年の望生の、人には言えない過去。
それは年若い義父に犯されたこと。
そんな望生は、古びた音楽室でクラス副委員長の日夏に出会う。
過去が落とす翳と繊細な美貌で敬遠されがちな望生に、日夏は屈託なく話しかけてきた。
それ以来、二人は放課後を音楽室で過ごすようになる。
日夏の傍らで、望生は少しずつ癒されていく―。
ところがある日、義父が再び現われて。

作品情報

作品名
午後の音楽室
著者
榊花月 
イラスト
依田沙江美 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199001840
3.8

(5)

(1)

萌々

(2)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
19
評価数
5
平均
3.8 / 5
神率
20%

レビュー投稿数3

高校生の恋。

榊先生は二冊目なんですけど、このお話で結構好きかもと思いました。

15年前ですか…。でも読んでいてそんなに古く感じなかった。伝統ある私立男子高校の古い校舎で過ごす時間や、その音楽室で聴くアナログレコードなどは、今となってはノスタルジックでなんだか素敵な雰囲気。あまり流行りものや固有名詞が出てこないので時代を感じないのかもしれません。

高校生同士の未熟な思いを描いた物語。切ない&痛い系に持っていかれがちなので個人的には好きなタイプのお話でした。望生視点の表題作の他、日夏視点の「欠けているもの」が収録されています。

複雑な家庭環境に育った望生は、学校生活では常に「普通」であることを意識させられ、「普通」であることを押し付けてくる教師たちに反発する問題児。ある日、使われていない旧校舎の音楽室に辿り着いた望生は、そこでクラスメイトの日夏が一人、タバコを吸っているのを見つける。以降、その場所は二人だけの秘密の場所になった。

眩しいくらいに清く明朗闊達な相手に、汚れた自分はふさわしくないと卑下する望生。テッパンながら同級生に救われるっていうのは、読む度に美しひぃ…と思ってしまう。まぁ、美化できるのは勿論、フィクションだからですけどね。

さらさらと読めますが、後半にグッとくるのは日夏の気付き。人を好きになって、たとえ相手が同性で身体を繋げることができたとしても、家族よりもその人を第一に考えられるくらいの覚悟は自分にあるのか?直向きに葛藤する高校生の日夏が、一皮剥けて大人になっていく姿が描かれています。

挿絵が依田先生なので選んだんですけど、電子で読んだので挿絵がなかった(涙)。登録画像がボケてて残念ですが、表紙からは想像できない中身の重さを和らげてくれています。

評価は萌え×2なんですけど、このレビュアー、大概こういうの好きだよねー的な目安にしていただければなと。

追記 : 後から書影の画像が鮮明になっていることに気づきました。変更してくださった方、ありがとうございましたm(__)m

2

青春だなァ…心がひりひりしました

高校生カップルのお話。
主役はクールビューティ系の美人受けで、学校では誰とも仲良くせず、浮いた存在です。

家庭
最初は強姦からはじまった、義父との関係。
母親にバレないよう、必死で耐えている。
高校になってやっと家を出た。

学校
放課後の誰もいない旧音楽室で、たまたま仲良くなった友人と二人きりの時間を過ごす。
ただ他愛もない会話を交わすすだけの、ささやかな、甘酸っぱい関係。

この、家庭と学校の対比が見事でした。
家庭での関係がドロドロであればあるほど、学校での友人との時間がより美しくはえ、心に染みる。
二人の会話がまた、高校生なんだよねー。
「『普通』ってなんだろう?」みたいな。
こういうことを真面目に考えて悩めるのは、思春期(あるいはアダルトチルドレンw)の特権だ。
こういう会話って、微笑ましくも、キューンと切なくなります。

ひりひり切ない、とってもいいお話でした。
不満点は、義父と決着つけてほしかったことかな。
このアホアホ義父には制裁が必要だよ。

3

幻想の普通

昔、たしか「幻想の普通少女」っていうマンガがあったなあ、、、

普通って、何?

家庭環境が「普通じゃない」為、普通に人と接触できない望生。
教室の喧噪から逃れて、向かった先の旧校舎の音楽室で、日夏と出会います。
1年の時から気になる男で、今は同じクラスなので、出会ったというのはちょっと違うか。
初めて、言葉を交わします。
音楽室での僅かな時間の交流の中、二人の間にはいつしか…

前半、「午後の音楽室」は望生視点、「欠けているもの」が日夏視点。
普通とは?
自分とは?
真摯に考え、悩み、そして得た、日夏の結論。
こんなに考える高校生は、お話の中だけ?

とりあえず、いろいろまだ問題はあるけれど、これからも、二人は一緒に生きていく。
そんな、前向きな終わり。

依田さんのイラストと、雰囲気バッチリ。
依田さんのマンガ作品として記憶に残りそうなくらいです。

2

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