藤原征爾君追悼特集に寄せて

fujiwara seijikun tsuitou tokushu ni yosete

藤原征爾君追悼特集に寄せて
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神20
  • 萌×28
  • 萌3
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
8
得点
143
評価数
34件
平均
4.3 / 5
神率
58.8%
著者
 
媒体
コミック
出版社
竹書房
シリーズ
バンブーコミックス 麗人セレクション(コミック・竹書房)
発売日
ISBN
9784801952409

あらすじ

入社3年目の書籍編集者・宮本(みやもと)は仕事に対する情熱を失いかけていた時、 担当作家・藤原(ふじわら)宅で薔田(そうだ)と遭遇する。 わずか3冊の本を出版した後、消えてしまった幻のカリスマ作家・薔田は 宮本が編集を志したきっかけとなる憧れの作家だった。 薔田の新作を世に出すという目標ができた宮本は、熱心に執筆依頼を始めるがーー。 担当の人気作家と憧れの元カリスマ作家の恋を静かに見守る若手編集者、 3人それぞれの想いを丁寧に描いた一筋縄ではいかない感動ラブストーリー連作

表題作藤原征爾君追悼特集に寄せて

薔田剛志,アパート経営と土地管理,元カリスマ作家
藤原,若手人気作家

同時収録作品藤原征爾君追悼特集に寄せて

薔田剛志,アパート経営と土地管理,元カリスマ作家
宮本,入社3年目の書籍編集者

その他の収録作品

  • 魂の本
  • いつか。
  • とびら
  • あとがき
  • 描き下ろし

評価・レビューする

レビュー投稿数8

喪失が絵になる男

 最初にレビューした『犬日記』との傾倒が違いすぎて戸惑います。色んな作品が描ける先生なのですね。

 人気若手作家の藤原と執筆をやめた(書けない)元カリスマ作家の薔田。藤原の担当編集の宮本は薔田に憧れを抱いている。作家二人の過去も丁寧に描かれているし、宮本が子供の頃から薔田に強く憧れている描写もあり、そのどちらでも薔田は魅力的で、父が亡くなって書けなくなり、藤原を失って再び書きはじめる。なんだかそういう喪失がとても絵になってしまうタイプで惹かれます。もっさりした感じとか、いかにも変わり者の作家という風情も好みです。だからどうしても薔田に感情移入して読んでしまいました。

 藤原も薔田がまた書くことを望んでいたはずなのに、藤原と一緒にいることを決めた薔田は、作家という仕事に決着をつけてしまいます。そんな薔田に『藤原征爾君追悼特集に寄せて』を書かせた衝動は、やはり藤原の死だったのですよね。この二人の間には宮本の入り込む余地はないように感じます。というか、誰にも入って来て欲しくないような気がします。それでも薔田が宮本を受け入れたことを自然に思えたのは、多分宮本がいなかったら『藤原征爾続き君追悼特集に寄せて』は執筆されず誰にも読まれることがなかったのだろうと思えたからです。
 才能のある人間が書きたい、描きたい、という衝動が起ったら誰にも止められないと思う。だから薔田が再び戻って来てから執筆を始めたのは必然で、たとえ宮本がいなくてもきっとその後の作品は世に出たのだろうと思うけど、『藤原征爾君追悼特集に寄せて』だけは宮本抜きには執筆されなかった作品なのだと思います。
 薔田と宮本のその後の関係については、読むたびに違う印象を持ってしまいます。あくまで作家と編集であって欲しかったと思うこともあれば、これでよかったと思うこともあり複雑です。それでも朝の食卓を囲む二人に、やっぱり誰かが一緒っていいよな~としみじみ感じました。
 

2

“いいお話”止まりでハマれず…

タイトルにインパクトありすぎて目に止まった作品。

虚無感を感じて立ち止まってしまった時、どうやってそれを蹴散らしまた歩いていくのか。
そんな再起の物語。
仕事への情熱を失いかけていた編集者の宮本は、子供の頃に魂を震わせてくれた憧れの作家(薔田)に仕事で偶然出逢えたことで、また彼が長いスランプから抜け出せるよう自分が奔走することで蹴散らし、
父親の死をきっかけに書けなくなった元カリスマ作家の薔田は、伸び盛りの我が子を見る親のような気持ちで新人作家(藤原)が人気作家へ育っていくのを目にすることで、また彼の心の支えになっていることを実感することで蹴散らした
…はずだったけど、
前者は目標が達成されれば再び情熱は鎮火していくし、後者は愛や情熱を注ぐ対象を失えば心にはまたポッカリと穴があく。
自分の存在意義を誰かに見いだす生き方を選べば当然起こり得ること。
次の目標や対象をまた求めるのか、別の生き方に舵を切るのか。
人生をどう生きるかは人それぞれだから、この二人の選んだ生き方は間違いではないわけだけど、自分にはストンと落ちなかったな、っていうただそれだけのことで、価値観のズ続きレだからこればっかりはしょうがないですね…

読み終わってから気付きましたが、この作家さんってエロい忍者の話(彼と任務とセックスと。)の方でしたか。
そちらも高評価レビューばかりなのにいまいちだったなぁって思いながら読み終えたのを思い出しました。
合わないのかな~

3

みみみ。

詩雪さん

こんなレビューなのにコメントいただいてしまって嬉しいやら申し訳ないやら(^^; ありがとうございます。

間違いなくいい話なのにストンとこなくて悔しいから、ここの皆さんの絶賛レビュー読んでは再読して…を繰り返してみたんですけど未昇華のままです。。また何年か経って読み返してみれば変わるかな。

エロ忍者は、忍者が好きで(主に衣装が)、探してヒットしたんだと思います(笑)

『夏の終わりのサリー』のあらすじとレビュー今読んできました!
これいけるかも。読んでみます(^o^)/

詩雪

みみみ。さん

みみみ。さんの感想、読めてうれしいです。
やっぱり合う合わないもありますよね。
私は、このふたりの中には藤原の気持ちが残っていくんだなと思ったら、ジーンとしたまま自分の中で続いてます。

あ、エロ忍者(笑)読まれたんですね。マスコ作品の絵柄やHシーン描写がOKでしたら、同じ麗人の『夏の終わりのサリー』いかがでしょうか。これももちろんお好きかはわからないけど…いくつかお話入ってますが、同時収録もなかなかいいんです。切ないけど笑える一冊かと、よろしければレビュー読んでみてくださいね。

とても悲しい。

今年は神評価つけられるBLに出会えるかなあと、ストライクゾーンが猫の額の昨日の私は思っていましたが、いきなり出会えました!
人生分からないものですね。

変わったタイトルと作家と編集ものっぽいという適当な印象だけで読み始めたので、読み始めてすぐ誰の追悼か忘れてました(笑)
作家同士のカプ、受けさんが好みなのでほくほくしていたら、突然の死亡!

あ、この人、藤原先生だった!!!!(号泣)

編集さんもいい子ですし、思いも分かるんです。
でも個人的には薔田先生には一生藤原先生を引きずって欲しかったなあと思ったりしました。
それだと救いがないですけれどね。

もう一回読み返すと、自分が長くないのを分かっていて編集さんに薔田先生を受け渡したかったんだなあという藤原先生が更に悲しいです。
ちょっと藤原先生と宮本くんのキャラが被るのが惜しいかも。

作品が似ているという事は全くないのですが、この作品が好きな方は神楽坂はん子さんの作品お好きかもしれないので、こっそりおすすめ。
読後感がとても似ております。

6

読み返す度に、じわ~っと泣ける。

私の中での吉池さんのイメージは
どちらかというとコメディ系の作家さんでしたが
こういうしっとりとしたストーリーも上手いんですね。

最初は藤原という人が亡くなったお話なんだ
と、思いつつ読み進めていってましたが
その人物がまさかこの表紙の人とは思ってもみなかった。

最初の出会いから十年ほど、やっと2人が甘い感じになってきて
これからをずっと一緒に過ごしていくんだと思った矢先にまさかの?!
こういう結末で2人の別れが待っていたのが凄く寂しかったです。
お互いの支えとなってたはずなのに…。

だけどその寂しさを埋める人物が…というのはよくありがちですが
今回もその人物(宮本)は側にいて…。
うん、薔田先生にそういう人が現れるのはいいことなんだよ。
いいことなんだけど藤原先生が凄く薔田先生に似合ってたと感じてた分
そんなにすぐに宮本とそうなってしまったのが何とも…。
(良い人なのは解ってるんですが私の感情の問題)

だけどこの本を読み返してみると
最初は気にならなかったのに藤原先生は最初の方から薬を飲んでて
自分がいなくなるのがわかってたのかな?続きとか
藤原先生が書いた「鈍感な恋人」のを読んで
薔田先生は何を思ったんだろう?とか
読み返すたびにそれぞれのキャラの思いを勝手に想像して泣いてしまった。


なんだか久しぶりに心に残る作品でした。

8

こんな本が、あといくつ読めるだろう

たぶん読み終えた今すぐでも、少し時間を置いたとしても、この気持ちを文章にできない気がしているので...作品愛からひとことでも、の気持ちで(結果ただ長くなってしまったのですが)あげさせていただきます。

誰かの思いを感じとって、そっとそこに存在させる。自分は主張なしに、相手のことを考え受け止める。自分の問題はその奥で考える。そんなやさしすぎる3人の男たちの、愛情の連鎖だったと感じています。

藤原(作家)がいたから薔田(作家)に逢えた宮本(編集)
藤原(作家)といたから宮本(編集)に逢えた薔田(作家)
その瞬間まで巻き戻し、私はまた涙なわけですが。

愛してたんだなぁ、すごく、愛されてたんだなぁ。
こんなに想われる薔田(そうだ)の人間性を思う。

おそらく藤原は伝えたい気持ちが大きくて、ありすぎて溜まりすぎて、伝わっているとしても、今、言いたい...それがあふれた言葉があの中での「いつも先生のことばかり考えています」。このときの気持ちを思ってあとからもう泣いた。

そう、作中、多くは語られていないところ、これが実によかったです。読者はむしろ読み終えてからが長くな続きる。だから、藤原と宮本の短いシーンを、脳内で伸ばして、回数も重ねて、あれこれ想像してみました。どんな会話が繰り広げられたんだろう。それでも意外と仕事以外のことは少なかったのかもしれない。ふたりとも「感ずる人」だったというだけで。

あの表情でただいまといえる彼と、そう言ってもらうことのできた彼。
ふたりとも、すごくよかったなあ。

欲しているものに素直になれた彼らはここからまた進めるのだと思うと、
なんだかもう...胸がいっぱいです。

これはとても大切にしたい一冊。
ほかのどの作品とも、比べることはできません。

せつないお話でも楽しいお話でも、激しいのも、ぷぷぷなおバカなやつも、どれを読んでも、マスコ作品は愛であふれているから結局私は元気になるのだなと思いました。

ものづくりに情熱をもった人たちが、本作の主人公でよかった。
はぁ、ありがとうございます。合掌。

10

萌えとは違う素晴らしさがある本。

わずか3冊の本を出しただけで姿を消した元カリスマ作家、
今は親の遺産で生活をしている44歳の攻め(表紙左)と、
彼の本に大きな影響を受け、彼自身をも愛した男2人、
片や若手人気作家で攻めの恋人(受け・表紙右)、
そして、その担当になった入社3年目の編集者、その3名のお話です。

最初は編集者の視点で話が始まり、
その編集者が新たに担当になった作家(受け)の家で、
憧れだった元カリスマ作家の攻めと出会います。

どうにかもう一度本を書いてくれるようにと、
編集者の彼は熱心に繰り返し頼むものの、攻めは頑なに拒むのです。
この時点では、横柄でやる気のない自堕落なオヤジに見える攻め。

この本のとても好きなところは、
そのあまりよくない攻めの最初の印象が、
読み進めるにつれて変化していって、その魅力に引き込まれるところ。
決して聖人君子のような人ではないけれど、
弱さを抱えながら、大らかさと優しさを持ったあたたかな人。

作家の受けとの、出会いから恋人になっていくまでのエピソードは、
優しい愛情で満ちていてとても素敵でした。

でもふたりが恋人にな続きって十年ほど経って、
同棲を始めようかという矢先、
受けの作家は突然この世を去ってしまうのです…

タイトルにある、藤原征爾とは、受けの名前。
それまでいくら頼まれても頑として筆を取ろうとしなかった攻めが、
恋人の追悼特集に寄せて、短いながら文章を綴ります。

受けの死後、一見淡々としているように見えて、
深い悲しみと絶望と虚しさに襲われていたであろう攻めが、
少しずつまた物を書くこと、
そして、また人(編集者の彼)を愛するようになることで、
まがりなりにも前を向きはじめ、生きていく。

その姿が、とても切な苦しくもあり、逞しくもあり、
胸をあたたかさで満たすものでもありました。

時期は被ってはいませんが、
攻めが作家と編集者、2人の男とセックスをし、
2人共に愛情を注ぐ様子が描かれます。
よかった…と思う反面、誰の心中を思っても切なさで少し胸が痛みました。

でも、人生ってこういうものかもしれないですね…。

人の生きる様がよく表れた、
萌えとはまた違う、魅力が詰まった1冊だと感じました。
思い出してしまう過去があって、死ネタはすごく苦手なのですが、
読めてよかった…と心から思えた本でした。

10

吉池作品の一押し

吉池マスコさんのシリアスもの、1冊まるごとですごくうれしかったです。
は~、堪能しました!

あらすじにある「3人それぞれの想いを丁寧に」という言葉がぴったりで、とても丁寧に描かれていて涙を誘われます。
これも一つの三角関係なんでしょうが、この三角関係はみんな優しくて自分を含めて誰かを傷つけようとする人が一人もいない。自分の気持ちもちゃんと大切にしながら、他の人も傷つけないようにと選んでゆくそれぞれの道が時に苦しい隘路になりながらも、帰結していく。そこに感動を覚えました。
お互いに少しずつ寄りかかって、道が交わるところまでじっと人生を歩んでいく姿勢が大人で、人間らしくて、たまらなく惹かれました。

珍しく全編通して静かで大人な吉池マスコでした。吉池さん初読みにもってこいの作品。私はこれまでの吉池作品の中で一番のお気に入りです。

8

cryst

詩雪様

はじめまして。拙いレビューにコメントありがとうございます。
とても素晴らしい作品なので、私なんぞのレビューで感動が薄れませんように!と言葉足らずなレビューになってしまい、お恥ずかしい限りです。

この作品はすべてのマスコ作品に共通する深い愛情が洗練されてストレートに表現されているので、初読みにはもってこいだと思います。
作品によってはややトリッキーな表現と感じる部分もありますが、ぜひこれと共通する部分を味わって楽しんでいただきたいですね!

詩雪

crystさん

こんにちは、はじめまして!

こんなにステキなレビューを読ませていただきありがとうございます。
本当はcrystさんが書かれたレビューを読んだ時点で胸がいっぱいになったのですが、自分もマスコ愛からレビューを書きたい、なにか書きたいなと言う思いでUPしたところ、なんだか自分にしか理解できないようなものになってしまいました。

ぜひ多くの方がこちらのレビューを読まれて、この作品を手に取られますように☆と思っています。

ところで。この作品で吉池マスコ初読みの方が、他を読んでどう感じるのか、非常に興味深いところですよね!ふふ。

詩雪

泣いたわ~泣いたわよ~

素晴らしい話だったわ~マスコセンセー~~~。
もう涙。涙で。
愛があふれてた。
ものすごく愛。
愛を感じる作品だったわ。
40過ぎのおっさんの色気ムンムンの話。でもあるし。
同性愛に対する冷たい対応な家族の世知辛さも。
皮肉る場面はマスコ節が炸裂してたわ。
そこには大きな愛があるのに。愛し合うふたりなのに。
死があり。生があり。新たなる出逢いがあり。
生きること。
猫の親子も良かったです。


あとがきで
都電→早稲田→さだまさし
爆笑しました。

7

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