すずろ古書譚

suzuro koshotan

すずろ古書譚
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神10
  • 萌×29
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
7
得点
95
評価数
22件
平均
4.3 / 5
神率
45.5%
著者
 
媒体
コミック
出版社
海王社
シリーズ
GUSH COMICS ~ガッシュコミックス~(コミック・海王社)
発売日
価格
¥620(税抜)  ¥670(税込)
ISBN
9784796407281

あらすじ

その視線には気づいていた。本棚の陰から様子を窺って、盗み見る視線――。
すずろ古書店で働く砂子には気がかりな客がいる。高校生のトモだ。彼は101冊の全集を1冊ずつ買い求めにくる常連だった。本を1冊買う度に、トモへ1つ質問をする秘密の愉しみ。少しずつ全集は数を減らし、2人の距離は近づいていく。そんなある日、古書店のオーナーが倒れてしまう。いずれは閉店もやむを得ないと砂子が口走ると、トモの顔が近づき唇が触れて――。

表題作すずろ古書譚

同時収録作品ピロー・トーキング

その他の収録作品

  • 描きおろし

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レビュー投稿数7

「彼にだって物語がある」

すずろ古書店で繰り広げられる、本を介した人々の繋がりを描いたストーリー。オーナーのセレクトが評判で、書店員の砂子(いさご)はこのお店とオーナーとの出会いにより、人生のある局面で救われた人物。オーナーの遊び心で書店に迎え入れた、なかなか売れない101冊に渡る全集の一冊目を手に取ったおばあさんが、砂子と彼女の孫、智果(ともか)を引き合わせてくれます。

智果が体育会系から文学青年に転向しちゃうのがなんともセクシー。砂子さんもその豹変ぶりを目の当たりにして、意識するようになったハズ(憶測)。智果の方も101冊の本とともに砂子に興味を持ち始め、すずろ古書店で一冊ずつ揃えていきます。他方、砂子は智果が一冊買いに来るごとに一つの質問をして、彼の事を少しずつ知っていこうと決める。なんて奥ゆかしい恋の進め方なのっ。

この単行本にはもう一つのお話「ピロー・トーキング」が収録されています。お互い恋愛感情はないけど、同衾すると(身体の関係は無い)何故かよく眠れるので同居している中年ゲイ同士、サエない断食系・犬養と美貌の肉食系・沖の物語。このお話の結末が実に泣けるのですよ。描き下ろしと併せ、思わず続きエンディングで涙してしまう顛末をここで申し上げたいのですが、ネタバレみたいになってしまうので、気になる方は他の方のレビューをご覧になってくださいね。

この作品を読んで、改めて本を読むことについて考えさせられました。誰かが伝えたいことを物語にする。それを手に取る。読む。何かを受け止める。誰かに伝えたくなる。その本を別の人に託す。会ったこともない知らない者同士が一つの物語を共有することで心のどこかが繋がる。なんだかちるちるさんのサイトみたいですね。

この先生の時間の流れを大事に描くところが大好きで、今回は時間をかけて行う読書という行為に、人物たちの心の変化や成長していく姿が重ねられていました。セリフもモノローグも、全部心に刻みたくなるほど、さりげないのにとても深い。世界観があって、かつ作家さんの思想の片鱗のようなのものを垣間見せてくれる、随所に様々な愛の形が散りばめられた素敵な物語です。繊細系がお好きで、ストーリー重視の方にはご満足いただけるのではないかと思います。

2

bonny

詩雪さん♡

いつもあたたかいメッセージをありがとうございます。
「ピロー・トーキング」はとても素敵なラストでしたよね^ ^
伊東先生の作品は優しさに満ちていて、読むたびに癒されています。そして、詩雪さんの明るく前向きなコメントや書き込みにも…!
個人的には、ちるちるさんがこの先もずっと素敵な交流の場であって欲しいなぁと願っています。

詩雪

bonnyさん♡

bonnyさんがきっといつかレビューしてくださるのではないかと楽しみにしておりました。「ピロー・トーキング」のラスト、すっごく2いいですよね!!この描きおろしを思い返すと、私もそこまでゆっくりと読み進めていたのですが、最後のシーンで心は穏やかなのに興奮が隠せないようなドラマになっておりぎゅうっとこころを掴まれたこと、覚えています。bonnyさんのレビューで読後の気持ちがよみがえりました。

『なんだかちるちるさんのサイトみたいですね。』...ステキです。私もそう思います。シアワセのおすそわけ、ありがとうございました。

穏やかな作品です。

本が好き、本屋さんが好きな人にはなんとなく萌えな話だと思います。
古書店員さんと常連の学生さんが本を通して惹かれ合い、支えあっていくのですが、そのまわりでアドバイスをしてくれるオーナーの老人や常連さん、大学の教授などが穏やかでいい味を出しています。

キスまでしかありませんし、萌えるような決め台詞もありませんが、優しい時間が感じられる癒される作品でした。

0

好きなのですが……。

同人時代から大好きな作家さんで、ずっと上手いなあ!と尊敬しております。
でも何故だか、前作は萌えなかったのです。
しかし今回は、古書店主人と高校生(大学生)の年下攻め!
好みのツボ満載だ!わーい!
と飛びついたのですが、矢張りなんだか萌えませんでした。何だろう。
BLになくてはならない想いの強さが何となく感じられないからかもしれません。よくも悪くも、ふんわり優しいのです。
こういう話だったら、攻めがもっと「好き」が駄々漏れくらいがちょうどいい気がします。
もう一作も何となく響かず。
私はこの作家さんに普通のお話を求めているのかもしれないですね。
エロなし、キスなしの純愛BLでも萌えまくる事もあるので、そういう意味合いではないのだろうなあ。
自分でもよく分からないので、不思議です。

0

日常がひとつの物語


伊東七つ生さんのお話のなかでもこちらはとくに印象深い作品でした。

「すずろ古書店」で働く砂子(いさご)と、亡き祖母から貰った一冊の本を頼りにすずろへやってきた高校生のトモ。
101冊の全集を一冊、また一冊と買い求めにやって来るトモの姿に砂子は昔の自分を重ねます。季節は巡り、緩やかな時間のなかでしだいに親しくなる二人。しかしそんな最中オーナーが病に倒れてしまいます。
店の今後をどうするのか、砂子は岐路に立たされます。

人であれ場所であれ、どんなものもいつかは失われる。
失ったあと懐かしむための思い出にできるように。
すずろ古書店での毎日は砂子にとって大切な場所であると同時に、「いつかは失くなるもの」というどこか諦めの入り混じったものがありました。
そしてそれはトモとの関係も。失う辛さやどうしようもない孤独を知っている砂子はすずろでの居場所や人との絆を手放そうとします。
しかし、トモの拙くもひたむきな言葉が諦めかけた砂子の背をそっと押します。

物語の舞台である古書店ですが、とても丁寧に描かれています。
古書特有の古びた匂いやどこか懐かしい雰囲気が読んでい続きてふわりと伝わってきて引きこまれます。

前半は砂子視点。
後半はトモの視点で物語が続いていきます。

すずろで働く砂子を傍で見守ると決めたトモ。大学生活よりも砂子との時間を優先していたトモは砂子に諭され、いまの自分がやるべき事を探しはじめます。しかし日常からすずろと砂子がいなくなると驚くほど空っぽな自分。独語教授に誘われとあるサークルに入ったトモはそこで本というものが「読む」だけものではないということ。何気ない日常すら見方を変えるだけで幾つもの発見や物語があると感じ、それが自身を見直すきっかけになります。

本で繋がり、広がり、新しい自分や世界を知っていく二人。
本にもこういった接し方があるのかと思うとワクワクします。
伊東七つ生さんによる丁寧に編まれた『物語』。
こころに溶けるような言葉や緻密な世界観に浸れました。


【ピロー・トーキング】

イケメン仕事人間の沖と素朴で料理が趣味の犬養。
趣味も好みのタイプも全く違うのに眠りの相性だけはばっちりの二人。
恋人ではなく眠りの相棒として一緒に暮らしはじめ、ダブルベットとともにあちらこちらへ連れ立っていつの間にやら二十五年。
皺と白髪が増えても二人の関係は相変わらずのまま。
郊外の一軒家に腰を落ち着けた二人だが、むかしのように眠れないことに気づいてしまう。

おじさん好きのわたしは正直こころがキュっとしました。

こういうの読みたかった。
長い年月をかけて少しずつ交わっていく絆。
熟年男夫婦のゆったりとした穏やかな雰囲気がたまらなくてたいへん素敵でした。

描きおろしは物語の数年後なのですが、最後の最後までこの本のテーマが描きとおされていて素晴らしいと思いました。
これからも様々な本に触れながらこの物語をふと思い返すような気がします。

とても素敵な一冊です。

2

誰もがストーリーを持ってる

作者の作品を初めて読みます。
こちらのレビューを拝見したのがこの本を手に取ったきっかけでした。

帯には「GUSHレーベル屈指のストーリーテラーが贈る最新コミックス!!」とあります。
これはじっくりゆっくり、時間をかけて読みたい一冊かと。
実際いつもの倍近く、読むのに時間をかけました。作者は「言葉」をとっても大切にされている方なのでしょうね。どのページを開いてもそれが伝わってくる。作中、ある本における、例えば一文の表現ひとつについてを何名かで考えてみよう、というシーンがあって。これが面白いんです。私はこの後の読書にますます時間がかかってしまったけど。

キャラの絵柄や古書店の佇まいからか、本の中はどこか日本じゃないみたいに感じて、かえって一気に惹き込まれました。細部まで丁寧でステキな絵、微笑むご老人が印象的です。二つ目の作品『ピロー・トーキング』は読んでいる最中独立していると思っていたので(実際独立しています)、描きおろしでの予想外の深いつながりに胸を打たれるラストでした。どちらももうなんか...しみじみよいです。胸をチクッとやられた部分も含め、私はある意味すべてが愛にあ続きふれる物語だったと思っています。


さて、ここからは余談です。
余談ではありますが、自分にとっては最初から最後まで気になっていたことなので、断片メモのようですが、書いておきたいと思います。読まれた方なら、どこかわかっていただける部分があるかもしれません。

表紙をめくっての美しいカラー口絵。
これがすごいインパクトで、しばらく眺めていて進めなかった。

花のことです。
すずらんの花が、まるで両手のひらのように、あるいはこの作品を読んだ後でたとえるなら、プレゼントにする包装紙のように古書を包んでいる。これは店舗のドアにもあったので店名ロゴなのですね。この口絵にはさらに、主人公たちを囲うようにネコヤナギが(たぶんネコヤナギだと思うのですが違っていたらごめんなさい)。なぜネコヤナギなのだろう、と思っていたのです。春を待つ、とか?いろいろ頭に置きながら読み進めていたのですが、気になったままラストページに到達。

調べてみると...
ネコヤナギの花言葉は「自由」「思いのまま」などとありました。

すずらんの花言葉は「再び幸せが訪れる」「幸せが戻ってくる」。
英語のほうがしっくりきます "Return of Happiness" 。

そして「すずろ」=ぼんやり、なんとなく、というような意味だと今までは思っていたのですが、すずろには、「おもいがけないこと」という意味もあるようです。

101冊の "101" という数字も、
意味を持たせているのかもしれないなぁ。

上記のことから感じたことはあえて書きませんが、花言葉を知ってからの読後の味わいは、また違ったものになり深く沁みました。
自分の中ではここで、萌2から神に。

ここまですべて、私の実に勝手な解釈というか感じたものです。
長々と、大変失礼いたしました。

間違いなく忘れられない作品たち。
ステキな本に出逢えて心からよかったと思います。

3

冬草

詩雪さんへ
詩雪さんの花言葉の解釈がとても素敵で
思わずコメントさせていただいています。

すずらんの花言葉はちょっと有名ですが、
ネコヤナギの方は存じ上げませんでした。
こちらの物語にぴったりの花言葉たちで、
わたしもこのことを念頭に
もういちど読んでみたいと思いました♡
あと、店名のロゴも、
Exlibris(蔵書票)風になっていて素敵ですよね。

わたしもおすすめいただいたのですが、
伊東さんのひとつ前の作品『花とスーツ』も
とっても素敵な作品なんです。
もし機会があれば、是非ご一読ください。
(そして詩雪さんのレビューが読んでみたいです♪)

長々と失礼いたしました。
冬草より

繋いで、紡ぐ

古書店が好きです。
少し埃っぽくて、黴臭さが漂っているところも
そこに通う人たちが大切そうに本に触れるところも
それを、気にも留めないような、でも
実は見守られているような感覚さえ覚えるような
店主さんのまなざしも。

伊東さんの新作は、そんなイメージが浮かぶ古書店を舞台に
長い年月をかけて丁寧に繋いで、紡がれた
本と人との優しい物語です。

とある作家さんの奇書本をきっかけに繋がった
古書店店員の砂子さんと、高校生のトモくん。
年月を積み重ね、本を通して触れ合いを深めていく描写は
ロマンティックでほのぼのしているけれど
『できること』『やりたいこと』について、
ふたりがそれぞれの成長段階で思い悩んでいる姿は
しっかりとした読み応えがあり、そこから一段ステージアップする際
お互い(+本への愛情)が支えになっているところがとても素敵でした。

このお話は、おそらく、BLがメインではありません。
季節や歳月と共に、誰かが人や本と巡り会い繋がって、
小さな物語が点々と紡がれていく。
そんな中で、たまたま男性が男性に恋に落ち、大切に温めていく、
続き長い年月をかけて―
そういう物語なのだと思います。

もうひとつの収録作『ピロー・トーキング』も、
長い年月を重ねて(30年!)紡がれた一組のCPの物語です。
年を重ねることで、好みが変わることもあるように
元々の知己が、時を経て、居場所(眠る場所)としてだけではなく
ようやくたどり着いた最愛の相手として、これからはじまる人生の話。
じんわり、良いなあと思えました。

描き下ろしの、上記ふたつの物語の絶妙なリンクも素晴らしかった。
やはり繋げてくれるのは本、そして、紡がれていく物語。

この本は、BL色全開のストーリーがお好きな方には
あまり向かないのかも知れません。それでも、
この丁寧でやさしい物語を多くの人に是非手に取って頂き、
ちいさな、そしてあたたかな感動を共有したいと思うのは
わたしが本を通して誰かと繋がりたい所以なのでしょう。

万人の方におすすめ!とはいきませんが
静かに評価したいです。
この作品はわたしにとって『神作品』であることを。

3

詩雪

冬草さ~ん

こんにちは!
なんともうれしくなってしまうコメ、ありがとうございます。

そうか~、すずらんの花言葉は有名なんですね。
やはりBL愛す者、花言葉はもうちょっと知っておいたほうがよいかしら。私全然詳しくないんですが、花ってけっこうな確率で表紙や口絵に登場するので、こういう気になるタイプゆえ毎度調べることになるんですよね...勉強になってよいのですが(笑)。でも、ちょっぴり冬草さんのお役に立てて、よかったです。

そう、あの看板というか店名ロゴが細部までステキですよね。
あの包み込むようなすずらんのアイディアには作り手の情熱を感じずにはいられません!こういうの大好き。

おすすめしていただいた『花とスーツ』もぜひ読んでみたいです。
冬草さんのお気に入り作家さんだと知っていたので、実はこのレビューを読むの、とっても楽しみにしておりました。まずはネタバレを避けて最初と最後の方だけ読ませていただいたのですが、最後の一行を読んで数分以内にはポチッとしてましたよ!ありがとう♡

そして物語はつくられる

読み終えて、まさに今の自分の好みを体現している作品だと
萌えだけでは表せない満足感を抱かせる一冊でした。

表題の作品のほかに一編『ピロー・トーキング』という作品が入っているのだが、これがまた秀逸!!
更にこの2作品がコラボして表題の主人公たちのその後を知ることもできるという素敵な描きおろしがついてとても充実したものとなっている。

店主の品ぞろえが支持されている古書店で働く砂子と
その店に101冊ある全集を1冊ずつ買い求めていく客の高校生・トモとのお話。
一冊ずつ買っていくたびに一つ質問をする砂子。
そうして互いを少しずつ知り、季節は巡り
その101冊の全集が店主語るところの、読むためでなく、物語が生まれていく為の本という役割を果たして二人の結びつきとなっている。
それがこの古書店という舞台であるところの意味をもなしていて、その雰囲気が好きだ。
そこで訪れる転機。
店主が倒れたことで、二人が付き合うきっかけになるのではあるが、それは二人の進む道とあり方を見直させるきっかけにもなる。
これが、この二人の物語の一番の本題となるべき、自分がとても好ましいと思った続き展開です。
片や社会人、片や学生でありますから、その差も当然あらわれて
特に、トモがただ砂子さんといられれば砂子さんがいれば、と、砂子さん基準でしかなかった自分を突き放された時に得られた時間により、一体自分は何が好きなのか、何がしたいのか、手探りながらそれは流され的ではあるが、物事をよく見るということを学んだことで、改めていろんなものと向き合える一つ大人になってきちんと気持ちを認識できる展開というのが漫画のコマやページ数という制約の中にうまくギュっと濃縮されて表現されてきっていると感じれられう点がとても自分の心に響くものがあるのです。
もう、書ききれないくらい、登場人物たちの会話や言葉、かみしめてしまうくらい。
熱い熱はないけれど、キス止まりのとてもプラトニックな展開だけど、
その心が訴えるものが舞台とマッチしている点が雰囲気含め素晴らしいと感じるのです。

同時収録の『ピロ-トーキング』
不眠のイケメン沖ちゃんが偶然拾った男にフラれた犬養と一緒に寝たら(ホントに眠っただけ)久々に6時間眠れたと、眠りの相性がよいからと同居して25年。
趣味もなにも全然違うし、タイプも違うのに、そこまでいた理由は「眠り」
そんな彼らが25年目にして気が付く互いの、自分の・・・という
熟年カップルのお話は、これまたいいんだ!!
もうっ!!思いっきり遠回りだけど、本当の絆ってこうやって作られていっているのかもしれない、と思わせる真の男夫夫物語。
このさいどっちが受け攻め関係ないの。
とってもとっても心があったかくなる。

そして描きおろし・・・

1読目・・・神をつけようかと思ったくらい
心に残る作品です。

6

この作品が収納されている本棚

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