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それから、君を考える

sorekara kimi wo kangaeru

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表題作それから、君を考える

ヤス,高校3年生,親友
タカシ,東京の大学受験を希望する高校3年生

同時収録作品最後の命令

同時収録作品Young oh! oh!

荒井辰郎,ヤンキー高校生
佐古啓二,三次元女子がこわい八方美人の高校生

同時収録作品夜明け前が一番暗い

大輔,高校生,親友
要,親の離婚に落ち込む真面目な高校生

その他の収録作品

  • カバー下:漫画

あらすじ

高3の夏。
幼馴染みの同級生。
口にできない想い。


「心の底から、大好きでした」


娯楽も何もない退屈な田舎町。
そんな町で幼い頃から共に過ごしてきたタカシとヤスは、
高校生になった今でも一番の親友同士。
しかし、ヤスはタカシに
友達以上の感情を抱いていた。
想いを口にできないまま
季節は受験シーズンへ突入し、
そこでタカシから東京の大学に受験することを
打ち明けられる……。

思春期の揺れる気持ちを繊細に描いた、
小松・渾身のデビュー作!

作品情報

作品名
それから、君を考える
著者
小松 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
ISBN
9784829685693
3.9

(434)

(210)

萌々

(91)

(58)

中立

(43)

趣味じゃない

(32)

レビュー数
64
得点
1631
評価数
434
平均
3.9 / 5
神率
48.4%

レビュー投稿数64

心打つ短編集

短編集でここまで心打たれる本は初めてかもしれません。

4作品が収録されています。

切ない余韻が残るハッピーエンドじゃない話も、
ちょっとバカっぽくて可笑しい、でもキュンとくる明るい話も、
シリアスで現実的な題材の、夜明けの光があたたかで感動的な話も、
どれもこれもそれぞれにとてもよかったです…

キレイ過ぎないアナログなタッチも、
話に説得力と現実味を出していて、雰囲気があって、好きだなぁ。

■表題作「それから、君を考える」
生まれ育った田舎を出てどうしても東京の大学に行きたい…
そう願い、煮詰まりながらも懸命にひたすら受験勉強に励む受け。
笑顔で応援し、支えてあげつつ、
そんな受けに片想いをしている幼馴染みの親友(攻め)。
受けが受験に合格すれば、ふたりは離ればなれ。
それでも、
過疎化する何もない田舎町に残り、家業を継ぐという攻めが、
その理由を穏やかに語るシーンは、強く胸を打ちます。
それをあのタイミングで知った受けはどんな気持ちだったろう…
タイトルの意味を考えながら、想いを巡らすと余計に胸が苦しいです。

■「最後の命令」
同窓会に集まって、そこに姿を見せない、
高校時代のある同級生との過去に想いを馳せる短い話。
挑発的に命令をしてくる同級生、
その命令はやがて色欲が絡むようになり、そして最後には……
今も忘れられない彼への強い想い……余韻が切なくも美しく残ります。

■「Young oh! oh!」
中学時代、初めてできた彼女に趣味のフィギュアを見られて罵倒され、
それがトラウマになって、女子が苦手な八方美人イケメンになった受け。
女子からのしつこい告白を断るために、
「実はホモで彼が好きなんだ!」と通りがかりの同級生を巻きこんだら、
それが凄いヤンキーで、本気にされて付き合うことになって!?という、
めちゃコミカルなお話。
ヤンキーの方から別れたいと言うように画策する受けと、
そんな受けに本気になっちゃった、実はいじらしいヤンキー攻め、
ふたりのやりとりが可笑しいんだけど、すごくピュアで、ときめく…!

■「夜明け前が一番暗い」
このお話が一番長くて、本の2/5ほどを占めています。これだけHあり。
両親の離婚にひどく落ち込み傷ついている真面目な受けと、
その元に駆けつけて、側にずっといて傷を癒そうとする親友(攻め)。
高校生にとっての、
家族がバラバラになる辛さ、影響力の大きさ、
それで自暴自棄になって自分が抑えられない様が、すごくリアル。
受けは、攻めの手を振り切って女の元へ行ってしまうけれど…
(女性とのHの描写は無し)

どうしようもないことと、未熟さを抱えても、ふたりなら…
事後の攻めのあたたかな言葉と笑顔、
そして、明るい未来を予感させるような、
ふたりを包む夜明けの光が、とても印象的です。

高校生だから、きっと、こんなにも眩しいんでしょう…

言葉では伝えきれない真剣さと熱と、
不完全でキレイなだけじゃない想いが、詰まっていると1冊だと思います。
シリアスなものが苦手じゃなければ、ぜひ読んでほしいです。

19

等身大の高校生!

この作家さんの初商業コミックス、発売をとーっても楽しみにしていました!

私は表題作の「それから、君を考える」が1番好きです。
結末的に苦手な方もいるかもしれませんが田舎の高校生2人を等身大に描いていて、ストーリーもキャラクターもすごく素敵です。
受けが閉塞感を感じている小さな町。
そこの夏の風景、冬の風景、2人が過ごす季節ごとの美しさを読者は読み進めていく内に意識しなくても見ているので、終盤の攻めの告白が心に染みていきます。

他の3本の作品もそれぞれテンポやテーマは違ってきますが共通しているのは全てで高校生が描かれていることですね。
子どもだけど子どもじゃない。だけど大人でもない彼等のその時にしか見れない表情、心情、関係性を魅力的に表現してくれている短編集だと思います。

読後は素晴らしい高校生たちをありがとう!!と叫びたくなりました笑
これからが楽しみな作家さんです。

12

すごい新人さんです‼

表題作のそれから君を考えるは泣きそうになった

後3ヶ月で好きな大好きな愛しいタカシは東京に行ってしまう

あの教室でのシーン
くじけそうになった時「大丈夫」と言ってくれたヤスの言葉を思い出すシーン

ヤスがタカシに告白するシーン

そしてラスト!!
短編集でここまで心打たれる作家さんは知らないです(私は)

三次元女子超こわいって話は笑いました(笑)

切ない話は切なくてコミカルな話はコミカルでって両方しっかり描けるってすごいなーって思いました!
なかなか居ないですよ。こうゆう作家さん

ファンになりました‼これは神作品です‼

8

良かった……

成就しない恋ってのもいいですね。
こちらの作品、よっつのお話のうちふたつがそんな感じでした。

『それから、きみを考える』
アテクシ的切なさ度100
これは初っ端からヤられました、エロなしでこんなに心打たれたのあんまりないです。もー切ないのなんのって!
ド田舎に住むDKのお話。
町を出たいタカシと残って豆腐屋を継ぐヤス。
このヤスがどれだけタカシのことを好きなのか痛いぐらい伝わってきてですね、泣けちゃいます。
両親すら反対するタカシの東京の大学受験。そんな中応援してくれるのはヤスだけだとタカシは言うけれど、ホントは一番行って欲しくないのはヤスなんですよね。
でも好きだから、ヤスはタカシの味方でいたいんです。
眠るタカシの髪にそっとキスを落とし、タカシがいなくなる半年後を想像して掌で顔を覆ってるシーンはグッときた。
タカシが受験に合格し、東京出発の前日にキスして抱きしめて告白するシーンはもう言葉にならない、ただ切ない。
豆腐屋継ぐのもタカシがヤスんとこの豆腐が好きだから。
この町が嫌いだというタカシに、タカシが居たから俺はこの町が好きだったと伝えるヤス。

「大好きだった……心の底から」

ヤスのこの言葉が全てを物語ってます。

両想いかもわからない、全くハッピーエンドではないけど、このお話はこの終わり方がイイ。
最後のタカシの涙は何を思ってのものなのか、読者の想像次第です。

『最後の命令』
これは!このページ数でこの満足感すごい。
高校の同窓会での佐野の回想です。
高校時代の周防と佐野。
命令する者と従う者。
周りからはイジメやパシリに見える関係も、佐野にとっては自らが望んだものだった。
周防から言い出したキスの命令、ふたりの関係の終幕も周防からの命令。佐野は全てを周防の望み通りにするだけだった。
だけど、どれだけたっても周防のことは忘れられない…は〜切ない。
周防がどんな男なのか何もわからないのに、こんだけ存在感があって、佐野がどんだけ周防に惹かれているか、そして周防にとっても佐野が特別の存在だったというのが伝わってくる、このふたりの倒錯的な関係性がたまんない。

この作者さまの、全てをハッキリさせない展開の持ってき方と終わり方が好きです。
普段のわたしのエロ脳だったら、ナッスィンエロの場合どっちが攻めか受けか即妄想突入ですが、この2作はそんなレベルではない。
実らない恋、通じあわない気持ち。ああ、これもBLだよな、と思わせてもらえた切ない2作でした。

『Young oh!oh!』
こちらはコメディときどき切ない系のお話。
隠れオタのイケメンが、女の子からの告白を断るために、自分はホモだからと言い訳に使った通りすがりのヤンキーとラブになる、という結構ありそうな展開ですが、ヤンキーが可愛くて最初から最後まで楽しめました。
そしてこれは…わたしの中ではヤンキー受希望なんですが!!

『夜明け前が一番暗い』
最後は切なシリアス。エロあり。
幼馴染の大輔(攻)と要(受)。
両親の不仲とグレる妹という家庭問題の中、優等生で居続けた要と、それを側で見守ってきた大輔。
この大輔がたぶん結構遊んでるチャラ男っぽい感じなのですが、要にだけは特別で、『要ちゃん』って呼んでたり、要の親の離婚が決まったらすっ飛んでったり、というちょっとしたギャップがいいですね。要のことがめちゃくちゃ好きなんだっていうのがよくわかる。
親の離婚というツライ問題でつまづいた要と、今までもこれからも支えになるという大輔。
大輔も、自分の気持ちに応えてくれた要によって救われます。
ナイーブな問題に直面したDKの物語ですが、最後はハッピーエンドでした!

あとがきはシンプルなもので、表題作の二人が田舎の海辺で戯れている1ページ。
そしてそれをめくると、同じ場所に、おそらく成長したヤスがひとり佇んでいる絵…このたった1枚が、セリフもなにもないのに、これでもかという切なさを寄越してくるのです…

一冊を通して、表紙から素晴らしく、内容はもちろん言うことナシで、全体の構成も良かった。
読み終わったあと、萌えを叫ぶとかより、ひとりでじんわりと染み込んでくる読了感に浸る感じでした…

拙い表現ですが、スゴイ作家さまですねぇ。
セリフとかで表さなくても、キャラの気持ちとかがじわじわ伝わってくる。そんな表現ができる希少な作家さまだと思います。次回作もたのしみ!

8

青春て良いですなぁ…

初レビューします。
こちらのランキング上位で、表紙も良さげだなと思ったので買いました、内容は下調べしてませんでした、なので表題作を読み終えて、いやぁ続きが気になってくるなぁハッピーエンドになって欲しいなぁと思って読み進めたらあれ続き無いのね?!ってなっちゃいました汗
全体を通してすごく良い作品ばっかだと思います、表紙は爽やかさがあって青春だなぁって感じさせながらもどこか儚い空気を漂わせていて、これだけでも買いだと思いました。今思うと表題作はあれはあれで良い終わり方したのでは無いかと思います、とらのあなさんでの特典ではハッピーエンドらしいですけど…。二つ目はかなり短いながらも、けっこう現実的な話でした。3つ目は唯一コメディ色のある話で、不良ながらかなり優しいシャイなキャラが魅力的で良いなと思いました。最後のは、未成年の飲酒やら描写してて良いのかなぁと思いながらも終わるにつれて泣きじゃくってしまう様なでもしっかり良い終わり方してる作品でした。
とらのあなさんの特典が気になるから買い直したいなぁと思う程です。

5

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