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表題作蜜色エトワール

如月清親,受の母親のバレエ団所属のダンサー,21歳
ナオキ・タカチカ,仏帰りのバレエダンサー,21歳

その他の収録作品

  • パリ、蜜色の休日
  • ロミオとジュリエットみたいに
  • あとがき

あらすじ

粗削りだが魅力的なバレエダンサー・キヨチカと出会ったナオキ。バレエが全てなナオキの言葉は彼を苛立たせるばかりで……!?

作品情報

作品名
蜜色エトワール
著者
市村奈央 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344835146
4.1

(46)

(22)

萌々

(15)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
191
評価数
46
平均
4.1 / 5
神率
47.8%

レビュー投稿数5

魅惑のバレエBL!

ガルニエ宮(パリ・オペラ座)のバレエ団をやめ、日本へやって来たナオキ(受け・21歳)。
そこで、母のバレエ団に所属するダンサー・清親(攻め・21歳)と出会い…。

ストーリーは、挫折経験のある天才同士が互いに高め合うことで弱点を克服し、愛も深めていくというもの。
真面目にストイックにバレエに取り組む二人を応援したくなる、シンプルながら大変引き込まれる展開です。

幼い頃からバレエ一筋に生きてきたナオキ。
パリの恩師に表現力の欠如を指摘され、自分探しに日本へやって来ますが、フランス育ちの彼にとって日本は外国そのもの。
初めて触れる日本文化(ハツモウデやコタツ)に目を輝かせ、悪気なくズバズバ人の踊りを批評する彼のメンタリティは、完全に欧米人のそれですw
でも毒舌に悪意はなく、単に天然で口下手なだけ。
そんな性格の悩みや、表現面での課題、母親との確執などを、清親と励まし合うことで克服していきます。

清親は、フィギュアスケート選手からバレエダンサーに転向した、ナオキとは真逆の日本男児。
女性のエスコートが苦手だったり、フィギュアの採点のトラウマでバレエコンクールに出たがらなかったりと、こちらも色んな悩みを乗り越えつつ、ダンサーとして大きく成長していきます。

こんな二人のやり取りは、とにかくコミカルで可愛らしい。
ナオキに「猿」だの「相撲取り」だの言われムッとしつつも、アドバイス通りに動きを直していく清親に萌えましたv
恋人になってからはグッと雰囲気が甘くなり、日本人離れしたイチャイチャが楽しめるのもオススメポイントの一つです。
それにしてもナオキ、部屋では常にTバックだなんて流石ダンサー!?目のやり場に困る清親の気持ちがよく分かりますw

二人がレッスンで踊るシーンも大変読み応えがあり、特に「ロミオとジュリエット」のバルコニーのシーンの色っぽさは格別。
優雅で洗練されたナオキも、野性的で雄々しい清親も、どちらも素晴らしいダンサーなんだろうなと目に浮かぶようでした。
ロミジュリの他にも、定番のバレエ演目が多々登場し、それぞれの曲やシーンがストーリーに効果的に使われています。

読後はバレエを(特に男性ダンサーを)見たくなること請け合い!の大変素敵な作品でした。

17

Krovopizza

あやちゅけさま

こんにちは!お久しぶりです~~(*^^*)
私も市村さんの本は初読みだったんですが、バレエやフランスの描写がとても素敵で、すごく楽しく読めました。よかったら読んでみてください☆

こちらこそコメありがとうございます(*ゝ`ω・)

あやちゅけ

Krovopizzaさま

こんにちは。お久しぶりです(´∀`*)
こちらの1冊は私も気になっていて、レビューを興味深く
拝見させていただきました。
実は知らない作家さんだったので、買おうか買うまいか
踏ん切りがつかなかったのです。
素敵なレビュー、ありがとうございましたo(^-^)o

バレエにはBLがよく似合う

麻々原さんの挿絵とバレリーノが主人公という設定に惹かれて
手に取った初読の作家さん。

蜜色といういかにもな甘いタイトルとはちょっと違って
適度に硬めでクールな文章に好感が持てる。
キャラクターの設定やその行動とセリフ、
バレエの描写も読み応えがあって自然で、
個人的にはかなり気に入って読んだ一冊だった。

            ☆

フランスで生まれ、10歳からオペラ・ガルニエのバレエ学校で学び
フランス語ネイティブとして育った21歳のナオキ。
とある挫折を胸に、自分のルーツとしての日本を訪れた彼は
そこで母親のバレエ団でソリストを務める、同じ歳のキヨチカに会う。

拙い日本語ゆえに最初は誤解を招きギクシャクしていた二人だが、
バレエを通して徐々に互いを理解しあい、求めあっていく……。

バレエしかない環境で純粋培養のように育ったナオキと
一方もともとフィギュアスケート出身のキヨチカ。
バレエのタイプも対照的な二人が、最初反発しながらも
共に真摯にバレエに向かい合っていく。

日本的な物を体験して新鮮な反応を示すナオキと、
逆にキスや女性へのエスコートなどがギクシャクしてしまうキヨチカ。
そんな二人のちょっと微笑ましいやり取りのさまや、
頑なな思いを抱いていた母親とナオキが和解する様子、などが
淡々とした透明感のある雰囲気の中、
バレエの演目やエピソードがうまく使われながら紡がれていく。

あとがきのさらにその後のSSでは
その後数年経ってそれぞれヨーロッパで活躍する二人が、
パリで結婚式を挙げるシーンも描かれ、幸せな気持ちで本を閉じた。

            ☆

そして、Tバック!
作者自身があとがきで「裏テーマ」と仰せのTバック、
タイツから下着の線が出ないようにとのTバックを
普段から着用のナオキ。
エロティックなのだが、上品で天然なナオキのキャラ故
キワモノになっていないところがかえって萌える。

当て馬というか、ともにバレエ学校で学んだかつての恋人で
幼い時からナオキを支え続けてきてくれた
金髪碧眼のスター・アルベリク。
(彼の幸せな物語も読みたい!スピンオフ希望!
寄宿舎時代の10代のアルとナオトも読みたいのだけれど、
これはかつての恋人同士なので、需要がないかな……?)
彼を含めて登場人物が皆、ドロドロとしたねじれた悪意を持たない
人間として芯の美しい人々。
それが物足りないというよりは、バレエというテーマと相まって
素敵な一編になっていた。



*ガルニエ宮 Palais Garnier*

19世紀にシャルル・ガルニエの建築によって建った、パリのオペラハウス。
ターコイズブルーのドームの上にアポロンの金の竪琴が輝く、
豪華絢爛たるネオ・バロック様式の建物。
天井にはシャガールの「夢の花束」が描かれ、
ミュージカル『オペラ座の怪人』の舞台となっていることでも有名。

1989年にバスチーユに新オペラ座が落成してからは、
こちらは主にバレエの公演で使われている。

15

ふゆき

snowblack様

オペラ座!に反応して即行でオーダー致しました(^^ゞ
レミゼとトップを争うほど好きなのです。
バレエダンサーも萌えますよね♪
楽しみです。

ふゆき

運命的な出会い

とても美しい小説でした!
読み終えてじんわりと幸せ気分。

バレエの美しい面だけでなく、悩み葛藤し、また家族との確執がありつつ、その中でふたりが穏やかにそして運命的に惹かれ合う。

本来は日本人でありながら受はほとんどフランス人として暮らしてきたので、習慣や感覚の違いがあって、攻が戸惑ったりするのがほほえましいです。

あとがきの後の「おまけ」は、やや出来すぎ!なお話ですが、ふたりの周りの人達と同じく祝福致しました♪

読後、読み手も幸せになれるお話。
いろいろな感想はあるのですが、映画を観ているような、目の前で展開されたような錯覚さえあって、あまり言葉で上手く表すことが出来ませんでした^_^;

3

snowblack

ふゆきさま、こんばんは。
「とても美しい小説」「読み手も幸せになれる話」「映画を観ているような」……という言葉に、うなずきながらレビュー拝見しました。
あまり注目されない作品かもですが、素敵な作品。
特にバレエをはじめ舞台が好きな方には是非読んでいただきたい作品だと思いました。

バレエと恋

バレエ男子BL。
もうそれだけで美しくしなやかな男たちの愛?と期待十分。
主人公は、パリの名門バレエ団を辞めてきてしまったナオキ。
母親が日本でバレエ団を主催しており、幼少期からパリのバレエ学校へ放り込まれて…
だからナオキは日本語は少々、読み書きは出来ず、お箸もダメ…メンタルもすっかりフランス人。
一方母親のバレエ団のホープが如月清親。元々フィギュアスケートの選手だがバレエダンサーに転向した21才。
2人は出会うけれど、何も初めからラブが芽生えて甘エロで、というお話ではありません。
逆にどちらかと言うと硬質。
ナオキはあまり周囲に興味は無く、それどころかバレエにも意外と低温。
母親との確執、根無草の自分、何かが欠けているという感覚。
それが特別コレという事件があるわけでもなく清親と近づいて、気づけば心に浮かぶ清親の姿…
清親の方も一応ノンケなのに、ナオキがゲイらしいと知ってからやけに意識し始め…
みたいなBL展開。
2人とも美形ですからなんとなく読んじゃいますけど、正直書き込みは浅い気がする。
説得性があまり無かったです。
そして、私にバレエの知識があまり無いのもマイナスだったと思う。
この作品を読み終わってから動画で「パリの炎」や「ロミオとジュリエット」を観ました。初めから知っていたらどこがどう劇的で素敵でロマンティックなのかがわかったかも。
特にラストの「ロミオとジュリエットみたいに」は、コンクールに優勝してフランスに留学してきた清親が、フランス人と日本人の違いを知ろうとナオキに頼んで2人で踊るエピソード。
これは非常にロマンティックで読んでてドキドキ。でも元々演目を知っていたら多分タイトルを読んだだけでロマンティック気分が味わえたはず。
元々バレエファンの方にはおすすめ。そうでない方には少々ハードルが高いのかもしれない。
テーマがはっきりしているとこういう難しさもありますね。

2

うら若きバレエダンサー二人の成長物語

バレエの魅力と愛が詰まった一冊。
私はバレエについて詳しくないが、この手の話を読むと何か観たくなってくるから不思議だね(笑)。

日本に来ても異国にいるような慣れなさを感じるナオキと、ナオキの母親が主宰するバレエ団の主役級ダンサー・キヨチカの出逢い。
最初は言葉選びが苦手で、角が立ちやすかったナオキのアドバイスも、キヨチカが状況を理解するのが早かったおかげで一気に打ち解けていく。
バレエ以外の世界を知らないナオキにとって、恋の自覚もおぼろ気のままキヨチカに惹かれていくのも無理はない。

ナオキは育った環境もあってか、実親との交流が無いに等しいものの、フランスでの生活は保護者のような人達に恵まれていたようだ。
元彼のアルベリクさえも保護者の枠に収まってしまう。
どうしても親子の情が湧かなかった母親や、長年見守ってきた彼らの愛情に気付いて受け止めた時に、ずっと抱えてきたわだかまりを溶かして素直に成長していく様子が伺える。

私の場合、うら若き二人のバレエダンサーの成長物語って部分に惹かれたが、彼らの恋愛が発展していく経過も充分に味わえる。
キヨチカがやたらと『結婚』って形式に拘っていただけあって、巻末ではその結果を見届ける事ができるSSも読める。
本来は、自分を変える何かを求めて日本へやってきたはずのナオキが、まさか伴侶を見つけてくるまでの道も探してきたとは、本人も周りの保護者達も想定外だっただろうな。

二人の周りの人間関係もあっさりしていて、往年の少女漫画みたいなドロドロした負の感情がなく、さっぱりとしていた。

1

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