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すっごい良かった。
すっごいすっごい良かった。
あと×5000回くらい言いたいけど自粛します。
表題作のお話と、もう一つの別のお話で丁度半分半分位のページ数だったんですが、どちらのお話もリアルな男の子同士の恋愛といった流れでストーリーが現実味があって非常に良かったです。
まず表題作は主人公二人の中三から大人までの二人の間を描いていて、尖った思春期から徐々に自分の感情を抑えることや相手の気持ちを考えることを共に学んで最後は大人になった二人が柔らかい表情で微笑んでる姿が描かれていて、人が人を大人にするんだという情景が細かく描かれていて真実味がありました。
案外あっさり付き合ったかのように見えて、お互い抱えていた不安だったり、本当に相手の事を好きだという気持ちが、ぐるぐるとまわって何とも言えない切なさ。付き合ってるけど、相手は本当はどう思ってるの?それが打ち解けた時にお互いの愛情が爆発する瞬間が本当にうまく描かれていてキュンキュンしました。あのセックスシーンはまさに見どころです。そんなにグチャグチャにエロってわけでは全然ないんですけど、本当に気持ちがパンとはじけた感じですごく良いシーンでした。あと大学受験終わる前に亮がミナミに「おっこっちまえお前なんか」と顔を赤くして悪態つく所と、最後大人になった彼らが昔のぶっちゃけトークをゴロゴロしながら割とシリアスに語るシーンで、亮がミナミの額の傷をなめたりキスしたりするところが愛情の深さが伝わって良かったです。
もう一つのお話、ヤングアンドラブリー。
これも実際ありそうな話で、ノンケ×ゲイカップルが同棲始めましたって所からなんですが、地元の割と田舎な町に暮らしている為、一人にばれると皆に知られることをよく理解しているゲイの大樹は、付き合ってることは絶対知られてはいけないと神経質に気を配りばれないように必死。その話の流れもなんか説得力あるんですよね。人にもよるんでしょうけど日本はまだ同性愛に寛大と呼べる国ではないので、昔から自分がゲイであることを隠して生きてきた人が多いと思うんですが、ゲイの大樹もその一人で学生時代からホモネタは極力反応しないようにばれないように過ごしてきたんですね。それが根付いて必要以上に過敏に周囲に関係がばれるのを恐れてきたのです。ノンケの勇は割とフランクというか、大樹が過剰に隠そうとすることに対して攻めたりもしないし、でも別にばれたらばれたでという姿勢がノンケっぽいなと。逆にノンケがそこまで思えるのは愛情が深い証だなと思いましたね。ゲイと社会という現実的な問題のお話で、最後は幸せな終わり方で本当に良かった。
ちなみにこのお話はちょっと方言が入ってたのかな?どこの地方かはちょっとわかりませんが。あとリバがありますので苦手な方は注意。
でもこのリバもすっごく良かったです。
たなとさんの描くセックスシーンは本当に萌えます。恥美な感じとか、エロエロとかじゃなく、気持ちがうまく乗せられててすごく良いです。リアルな感じが良い!全体的にエロちょっと多めだったのも良かった。めっちゃ満足です。
スニーキーレッドがとにかく好きだったので買ってみたんですが、結構ファーストコミックは良かったけど、セカンドコミックスはあんまりってパターンありますが、これを読んで確信しました。私たなとさんのファンです。
たなとさんの前作「スニーキーレッド」にどハマりしていたのですが、表紙を一見して実は「う〜ん…タイプじゃないかも?」と思い、購入を躊躇ったのですがこれは大正解!!!!!
とにかく南くんの優しくて立ち回りのうまい人柄と桜田くんへの愛情…。それにだんだん落ちていく桜田くん…。
最後の最後にはあの桜田くんが「さみしかったよ!」なんて…(号泣)
普段は社会人×社会人とか大学生×大学生みたいなそこそこな年のBLばかりだったけどたまにはこんな盛りのついたサルみたいな若々しくてフレッシュな感じもいいかも…と思わされる作品でした!
同時収録されているノンケ×ゲイのやつもかなりよくて語らせていただくととにかくロンゲイ(ロンゲのゲイ)の周りに気づかれたくない!気づかれてノンケ君に迷惑をかけたくない!と思う気持ちがかわいい…。でもいちゃいちゃしたいノンケ君の気持ちもかわいい…。かわいい気持ちがぶつかり合うのを目の当たりにされるしあわせをかみしめています!ありがとう(?)
絵柄でなんとなーく敬遠される方が少なくないと思いますしもし迷っててこのレビューを読んでくれてる人がいたなら買うべき!絵柄こそ結構独特だけど表情を生々しく捉えていて読めば読むほど引き込まれますし基本的に描いとってもお上手な先生です!
本当に素敵な作品!
正直、神評価が1個もないのがとても惜しいと思ったので神評価にしました。
表題作は中学生の頃に出会った二人の男子がある事件をキッカケに高校生から付き合うようになり、紆余曲折を経て一方が大学生,もう一方が社会人となるまでの関係を描いています。
これは恋愛のリアリティのお話しであると同時に二人がしるしてきた足跡とそれに至るまでの「自分」(I)のお話です。
もう一編の「ヤングアンドラブリー」についてもそう。「自分」を問うお話。こちらはゲイとノンケのカップルの同居を縦軸にゲイカップルのクローゼット化やそれに伴う自分や自分たちを肯定できない隠したいという葛藤から脱却するまでのIと愛がしるされています。この2編を1冊にした単行本だからこそ表題作と書名に「しるされしアイ」を持ってきた来たのかな~って。
確かにBLは萌えであってリアリティは必要ないかもしれないし、作者の絵は好みが分かれるものかもしれない。
しかし、この作品を読んだ人は(実際には作者がそこまで考えて示唆しているのかどうかは別として)果たしてこれをしるされた「物語」としてどこまで読み取ろうという明確な意志を持って読んでいるのか疑問に思いました。
表題作の最後のセリフにあるように、人には歴史があるものでみんなそれぞれの物語をしるしているはずです。
勿論個人の趣味嗜好はそれぞれだしそれに干渉しようなんて思わないけど、表題作終盤の二人のやり取りにあるように、貴方は自分や愛する人に納得したり誇れたりするものをこれまでしるしてきましたか?
しるしていると思えるなら素晴らしいし、そう思えなくても今後しるせるようになりたいな
私はそういう話だと思うし、一読した人には改めて自分と自分がしるしてきたものを見つめなおしてほしいなと思いました。
しるされた愛の本当の意味についてすばらしい考えだと思い、納得しました。
もう一度読み返したくなりました。
【しるされしアイ】
ひとつのカップルの中学三年生で出会ったころから、社会人になるまでを描いた作品です。
社会人となった彼らを見てると、おぉ~おぉ~こんなに立派になって…と目頭を押さえたくなるような衝動にかられます。
というのも出会った頃の彼ら、特に受けはチーマーというか半グレの集団に片足突っ込みかけているような状況でボコられた顔で登校してくるような危うい日々。
受けに一目惚れした攻めがなんとか友達になりたくて受けや仲間と積極的に関わって…受けのことを守ろうとした末に襲われて左眉の横を負傷して傷が残ってしまう。でもそれによって受けや友達も危ない日々から足を洗うこと決意したから、攻めは傷のことなんか気にしてなくて良かった良かった…と思うような熱い男。
その左眉横にできた傷は勲章、まさに愛の印みたいなもので、攻めはちっとも後悔なんかしていないから髪で隠そうとせず堂々としているんです。
最後、大学生と社会人になった二人のシーンで攻めが俺のどういうところが好き?どうしてあの時、自分と付き合う気持ちになったのか?という疑問をぶつけた時、「うざいくらい世話焼きで 自分の価値観ひとに押し付けるわ 思い込みで強引に突っ走るわ…」と言いながら左眉横のその傷にキスをして「お前がそういうやつで良かった」と言うところ、めちゃくちゃいいシーンです。ちょっと心が震えた!
そして最後、笑いあってるところも大好き。屈託なく笑えるようになった受けを見て本当にいいカップルになったなぁとまた目頭を押さえたくなる。
あと、攻めが合鍵を渡した際に受けがじっと鍵を見て え?と言って「ありがとう」と言ったシーン。ロクでもない家族(だからグレかけた)ロクでもない実家で育った受けにとって、帰りたい場所ができたことが本当に本当に嬉しかったんだと思う。
途中の受けのツンデレ具合も良かったー。ツンデレヤンキーいいわー。
もう一つの収録作【ヤングアンドラブリー】は田舎の狭いコミュニティの中で、仲間には同居・ルームシェアと言いながら、本当は同棲し始めたお付き合いカプを描いた作品です。
同棲開始ということで甘々系かと思いきや全然違いました。
ノンケ×クローゼットゲイという組み合わせで、周りにバレることを無性に恐る受け。
自分がゲイばれして後ろ指さされる恐怖もそうだけど、恋人を自分と同じような日陰者みたい思いをさせたくないみたいな葛藤やら色々あってそれがゴチャゴチャになった思いを、「俺がずーーっと一緒にいて!誰に知られても悪いこと言われないようにしてやる!!」という攻め。
「しるされしアイ」の攻めと似たような懐の深さを感じて、どちらも読後感がとっても良かったです。
そして、リバしててお得感いっぱいでした。
実はたなとさんの絵柄がどうにも…って思ってたんだけど、モーションエモーションで絵にも慣れて面白かったのでこの作品も読んでみようと手に取ったのだけど、絵柄で食わず嫌いするにはもったいない作品でした。ほんと読めるようになって良かった。
色々なBLを読んできた中で、今まで読んでいたものはたぶん、相手を占めたいという「恋」の描写が多く、しかしこの作品はそこにさらにお互いを大事に思うが由縁の「愛」もしっかりと描かれているということに気付かされました。
マイノリティであるうしろめたさもしっかりと描写されていて、そのうえで合法的に一緒にいられる関係を構築していく打算的な「恋」と「愛」が、たとえばの話、かけおちするよりさらに本能的で確実でとても愛しいです。
2編収録されていますが、普通だと片方はあまり記憶に残らないような作品が多いですが、どっちもメインになれると思うくらい、どちらもお話がしっかりと練られていて読み応えのある作品です。2冊読んだような感覚になったのでとてもお得な気分でした笑
たなと先生、素晴らしい作品をありがとうございます!!