中村明日美子コレクションI コペルニクスの呼吸(1)

中村明日美子コレクションI コペルニクスの呼吸(1)
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神4
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
21
評価数
5件
平均
4.4 / 5
神率
80%
著者
 
媒体
コミック
出版社
太田出版
シリーズ
発売日
価格
¥780(税抜)  ¥842(税込)
ISBN
9784778322564

あらすじ

中村明日美子の初期8作品が、新装版で登場!!
第1弾&第2弾『コペルニクスの呼吸1』『コペルニクスの呼吸2』は2015年8月6日発売。

仮面の下に美貌を隠したピエロ・トリノス。孤高のジャグラー・レオ。
少年を買う外交官・オオナギ。トリノスに惹かれてゆく青年・ミシェル。
70年代パリのサーカスを舞台に描かれる、美しき男たちの物語。

◆描き下ろし『la sieste』収録。
(出版社より)

表題作中村明日美子コレクションI コペルニクスの呼吸(1)

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レビュー投稿数3

レオが……

レオかっこいいです……(///ω///)♪

0

もうひとりの自分と別れるまで。

※以下、上下巻あわせた感想でネタバレあります。BLとしてではなく、作品としての評価が強いです。

それは弟なのか?自分なのか?
現実と非現実の境目をあやういバランスで行き来するタケオですが、物語はトリノス(=タケオ)と弟の関係を本流に、それ以外にもひろがっていきます。
重なる自分と貴方。合わせ鏡はいくつも見られます。
弟はトリノスを愛し、トリノスはミナをうちのめす。
タケオは自分自身に罰を欲し、
その罰を与えてくれるココ。
そのココは弟のミシェルを愛し、
オオナギと同じく、白い肌にはえる傷に欲情する自分を知るミシェル。
ミシェルはココを哀れみ、溺れるタケオの手をつかむ…

自分が誰かにした仕打ちは、またほかの誰かから自分に戻る。

「つないだクサリのように めぐる まわる くり返しループする…」
その人間関係の輪にいないのが、ジャグラーのレオ。
ピエロではなく、クラウンと自分を呼んでくれるレオ。
タケオが想いを寄せる”自分を解き放ってくれるかもしれなかった“レオは、ひとりで旅立っていってしまします。
(そう、JUNE世界は王子様が連れ出してくれて救わ続きれるなんてふうに甘くないのですよ…)
意外にもその鎖を断ち切るのが、物語のはじまりである団長というは皮肉なものですね。

サーカス(弟)から逃げ、逃げたさきのとりかご(オオナギ)から逃げ、
現実(ミシェル)から逃げ、ついにサーカス(本当の自分)にたどり着くタケオ。
人間てだめだなぁ、びっくりするくらい同じ事をくり返すんですよね。
何回も同じ事をくり返し、ようやく夢から覚める、輪(ピスト)から外れることができる。自己愛からの解放の物語なのかもしれません。

そして、書き下ろしですが、上巻はピカデリーでのささやかな恋のヒトコマ。下巻書き下ろしも、ささやかです。
ただ、その後のタケオやミシェルの世界に吹く風や日のひかりを感じられ、きっとこのお話が苦手たっだ方には救いになると思いますよ。

5

評価で悩みましたが

中村明日美子先生がデビュー15周年ということで新装版として発売された今作品。明日美子さんならではの繊細で美しい色遣いの表紙に、思わず目を奪われました。

実は中村先生の古い作品は読んだことがなく、旧版も持っていなかったのでフェアに乗っかりこれ幸いと購入してみました。
ちなみにアニメイトさんで「太田出版×アニメイト」のフェアが開催されていたので、アニメイトさんで購入してみました。8冊…。買えるかな。イヤ、たぶん買うと思うけど。

内容は旧版の方で書いてくださっていますが、一応ざっくりと。



とあるサーカスにピエロとして在籍しているトリノス。
サーカスでありながら陰で団員に客を取らせている団長ですが、その団長に飼われる形でトリノスはひっそりと生きています。
そんな怠惰な空気感の漂うサーカス団に、一人のジャグラー・レオが入団してきます。レオのジャグラーとしてのプライドや、真摯に訓練を繰り返す姿に、かつてサーカス団の一員として心血を注いでいた自分を振り返るようになっていきます。
が、日本人外交官・オオナギに見初められ、愛人として引き取られることに。そこから彼の生続き活が一変し…。

というお話でした。

中村作品で人気の高い作品と言えば「同級生」シリーズが挙げられると思いますが、同作品のように優しい空気感がお好きな方にはお勧めできない、ダークで、狂気に満ちた作品です。
また明日美子さんの絵柄は好みがはっきり分かれる作家さんだと思いますが、この作品はデビュー作ということもあり(2002年発行)、絵柄も今のものとは異なりさらに癖のある絵柄で苦手な方も多いのでは、と思います。

ですが人間の「黒さ」を浮き彫りにした、緻密でどっしりとしたストーリー展開には圧倒されました。こういうダークな話の方が中村さんの本質なのかもしれません。
女性との絡みもありますし、痛い表現もある。読み手を選ぶ作品でしょう。非BLに分類されているようですが、それも納得です。
「萌え」があるかと言われれば個人的な答えは否なので評価に悩むのですが、一つの物語として読むと、流石と言わざるを得ない素晴らしい作品でした。

団員を食い物にし、私腹を肥やす団長。
「プリマ」とは名ばかりの、実際は体を売り親の借金を返しているミナ。
過去の経験から、逃げ、隠れるように生きているトリノス。
自分の性癖を隠すために偽装結婚したオオナギ。
自分に非があるわけでもないのに婚約破棄され、オオナギにも良いように利用され、壊れてしまったココ。

楽な方へ流され、きっかけがあればどこまでも堕ちていってしまう、人間の本質やブラックさを正面からとらえた作品でした。

書き下ろしは『la sieste』。
トリノスとレオの日常が描かれています。特に言葉はなく、二人の間に流れるお互いを思いやる(BL的な意味ではない)優しい空気に、本編の殺伐とした気持ちが少しほっこりしました。
絵柄は今の絵柄で、非常に美しかったです。そしてセリフがなくともここまで表現できる明日美子さんにも脱帽です。

評価は悩みましたが、一つの作品としての評価で、☆5つを。

8

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