瞑き流れ ~アドリアン・イングリッシュ 5~

kuraki nagare

瞑き流れ ~アドリアン・イングリッシュ 5~
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神24
  • 萌×23
  • 萌0
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
5
得点
133
評価数
29件
平均
4.7 / 5
神率
82.8%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
新書館
シリーズ
モノクローム・ロマンス文庫(小説・新書館)
発売日
価格
¥1,000(税抜)  ¥1,080(税込)
ISBN
9784403560231

あらすじ

撃たれた左肩と心臓の手術を終えて「クローク&ダガー」に戻ってきたアドリアンはジェイクとの関係をどうしたらいいか迷っていた。
次第に体調も回復してきたある日、改築していた店の同じ建物から古い死体が発見される。
それは50年前に失踪したジャズミュージシャンの変わり果てた姿だった。
アドリアンはジェイクと調査を開始。カミングアウトし、市警を辞職したジェイクは、探偵の仕事を始めていたのだ。
電話一本でジェイクが駆けつけてくれる事に、予期せぬ感情が揺さぶられるアドリアン。
かけがえのないお互いの存在を確信しながら、ふたりは半世紀前の謎に挑む——。

M/Mミステリの金字塔、ついに完結。

表題作瞑き流れ ~アドリアン・イングリッシュ 5~

ジェイク・リオーダン,元LA市警の主任警部補,43
アドリアン・イングリッシュ,作家で書店経営者,35

その他の収録作品

  • 解説 冬斗亜紀

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レビュー投稿数5

繰り返されるもの

思えば、このシリーズと対峙する折々、
評者は結構気分的に重たいものを抱えて
いたりしたので出来るだけ冷静に読む様に
心掛けてきたものです。
では、この最終巻もそうだったのか?
そこだけは嬉しい誤算がありました。
少なくとも息継ぎ程度の休憩しか要さずに
読み通せたと言うのは、一読者として
幸せな事です。

一読者として残念に思う点は、評者自身に
ハードボイルドとジャズへの素養が
ある程度あったなら更に行間を読みこめたで
あろうと言う僅かな後悔。
こればかりは分野との相性があるから
仕方ないと言えば仕方ない事ですが。
好事家ならばここから遡上して原典を
訪ね歩くと言う贅沢を味わうのも良いかも
知れませんね。

1

ぜひ封入ペーパーのあるうちに

アドリアン・イングリッシュシリーズ最終巻。
最終巻ということもあるのか、ものすごい厚みです(苦笑
変わらず受け一人称で、毎回何かしらの事件に巻き込まれる辺りは変わりません。
アドリアンが前巻で撃たれ、その後心臓の手術を三週間前に終えたところからスタート。

**********************
受けは書店を営みながら自分も文章を書くゲイのアドリアン、35歳。
リウマチ熱の後遺症から心臓が悪く、その手術を受けたばかり。

攻めのジェイクはアドリアンの元彼で、ゲイである己を偽り女性と結婚した過去のある元刑事、43歳。
アドリアンをとるためにゲイであることを周囲へカミングアウトしたことで、身辺が一変しています。
**********************

今回はアドリアンが営む書店の隣の物件を彼がやっと購入し、その改装工事中に白骨死体が発見されるというもの。
その白骨死体発見前にアドリアンの書店へ何者かが押し入ろうとしていたこと、その遺体が行方不明とされていた50年前のミュージシャンであり窃盗犯として当時目をつけられていた人間であったことなどが複雑に絡続きんできます。
そしてそこにジェイク、ガイ、メルのアドリアンの元彼三重奏が(苦笑

まあ三重奏と言ってもガイ(アドリアンがジェイクと別れていた間に付き合った大学教授)はこの巻では八割がた諦めているので、憎まれ口を叩く程度。
個人的には毎度書いている気もしますが、ガイと付き合った方が幸せになれそうではあるんです。
穏やかに暮らすことを求めるならば。
けれどやはり止められないのが恋だし、心臓が悪く、いつ時を刻めなくなるかわからなかったアドリアンには、生きていると実感させられたジェイクとの恋の方が現実なのだろうなあ。
そして第三の男メルはほぼオマケ?でした(苦笑
アドリアンが大学時代から五年間共に過ごした相手でしたが、そのフワフワした過去の中に生きるだけで現実とは向き合えない男性でしたね。
ただリアルといえばリアル。
ジェイクのような強い男なんてそうそう居ないでしょう。開き直ってからのジェイクですが。
前巻ですでに二人のことに関してはかなり盛り上げてありましたので、今巻は後はどう落着させるかというところでした。
シリーズはここで終了なのですが、わたしてっきりゲイフォビアのアロンゾ刑事がもっと二人を追い詰めるようなことをやってくるのかと思ってました。
まあ、そんなことがなくて幸いですが(苦笑
それにジェイクの妻のこともちょっと肩透かしなくらいで、アドリアン・イングリッシュシリーズは確かに毎回事件を絡めてるのが売りなのかもしれませんが、今回はそれなしで人間関係だけをじっくり腰を据えて書いて下さっても良かったのになと思います。

四巻までの厚ーーいページ数、ジェイクの逃げで繰り広げられていたこのシリーズ。
しかし最終巻は、アドリアンの方が怯え逃げていました。
ジェイクの手を取りもしも再びその手が離されることになったらと、今まで心臓の病によっていつ死ぬかわからないことにも諦め淡々としていたアドリアンが!です。
彼は、リハビリを続けていけば普通に暮らすことが出来るという健康を手に入れた代わりに、別のものを失うことの恐ろしさを知ってしまったようで…

アドリアンは役割的には受けなのですが、なんというか、自立(ここが大きい!)した年相応の男性として書かれてました。
それは一巻からですし、これはアドリアンだけでなく他の翻訳M/Mにも大抵言えることです。
この点が日本のBLとの一番大きな違いかと思うので、可愛い受けが好き(わたしも本当はそっちが好き)でリアルはいらないという方には合わないとは思うのですが、そういう設定とは違う物が読んでみたいと思われたり、海外のサスペンスドラマや映画がお好きな方には激しくお勧めしたいです。
ただシリーズに手を出すのは勇気がいるという方は、電子化されているジョシュ・ラニヨンさんの短編を読まれてみて様子を伺っても良いと思います。
個人的には『雪の天使 Icecapade』が、アドリアンとジェイクを彷彿とさせ雰囲気が掴めると感じます。

4

2人の未来

シリーズ5冊目で最終巻。1巻目では本当にこの2人は恋人という関係になるのか?というくらい相性が悪そうで、恋人になっても言い争いばっかりで、でもたまに見せる小さな気遣いが何とか2人を繋いでいて、けど結局は別れ方としてはこれ以上ないんじゃないかというくらいドロドロの終焉を向かえます。
けど、それでも行き着いたこの結末。
本当に読んでよかったと思っています。出版してくれたことにも、翻訳してくれたことにも感謝しています。

前回が色々な波を乗り越えてやっと幸せを掴んだような終わり方だったので、今回はやっと幸せな二人が読めると思ったのに、またふりだし(もしくはもっと悪い)のような関係になっていてかなり複雑でした。
もう話し合いも充分したと思っていたから、あとは一体何が足りないのかと。
友達にも恋人にも戻れないで、ジェイクはロスを離れるというし、何よりアドリアンの方が二人の関係を終わらせたがっています。終わらせたいというか、疲れた…という感じですね。臆病ですごく及び腰になっています。

2巻のあたりが恋人らしくて好きでしたが、あのころはまだジェイクは女性とも、他の男性とも関係を持っ続きていたと告白され、結婚していたときも他の男性と会っていて、今はそのことをわかった上で他の人との関係はもうないと信じている分2人の関係はかなり変わったと思います。
おそらく、もう秘密は何もないし嘘もないという関係です。

それでもこの関係を続けていけないとアドリアンは考えています。愛しているけど、というアドリアンの思考は年月と本気さがわかるからその分の苦しみも理解できます。
出会ったばかりの激しさとか、不安はあるけど行くところまで行こうとしていた時期はとっくに過ぎています。
この先ジェイクは絶対自分から心変わりしないといえるのか?とか、それでも頑張れる気力や体力が自分にあるのか?とか…
ジェイクが前回出してくれた結論は色んなことを流して余りある真摯さだと私は思えましたが、今までの不誠実さが不誠実なだけに、アドリアンとしてはすんなりはいきませんよね。

今回も事件は容赦なく起こり、恋愛ものとしてでなく、ミステリーとしても全く手を抜かない本格差にはホントに舌を巻きます。2人がドロドロの言い争いをしていたって、甘々な雰囲気に飲まれていたって、事件の真相を追うストーリーは同時進行で、しかもホントに最後の最後までどんでん返しがあったりするスタンスも最初から、この最終回まで健在です。2人がいつも命の危険に晒されるのでこっちはヒヤヒヤなのですが…。

けれど、この事件の参考人に話を聞くことが、アドリアンに一歩を踏み出す決意をさせているところもとてもよく出来ている。ページ数がかなりあるのに、本当に無駄なところがないと思う。
この巻ではアドリアンの今までの恋人が全員登場し、おまけにアドリアンがまだ彼らを憎からず想っているので複雑なんですが、その分アドリアンのこの無鉄砲な性格にきっちり振り回されてくれるのはジェイクしかいないというのも再確認できて面白かったです。
周りから相性が最悪だと言われても、幸せな未来なんて見えない相手だと思っていても、ジェイクがやはり一緒にいて楽しく刺激的だと思えていることが伝わってきます。

今までが、ジェイクの葛藤を描いた構成になっているなら、この巻はアドリアンが自分と向き合うお話だという風に翻訳者様もかかれています。ジェイクは自分勝手でかなり酷いと思うこともたくさんあってアドリアンもかなり傷ついて、でもここまで読んだらどんなにいい男なのかよくわかる。
そのことに、というわけではないんだけど、アドリアンと出会って変わったジェイクの人生を本当に理解したときに、アドリアンが流す涙に釣られました。そしてアドリアンがジェイクを思って流す涙に釣られるジェイクの涙にも。
全然違うゲイスタイルを貫いてきた二人が出会って、恋をして、でもそのスタイルの違いから何年も大きくすれ違って争って憎んで別れて傷ついて、おそらくここまで互いの心の中までさらけだして、そして愛してると伝えあったらもう恐れるものはないと思います。
こんなにも長い葛藤をぶつけ合うカップルは読んだことがなくて、ずっと2人にくぎづけでした。
どう感想を書いてもうまく伝えきれない気がします。手を出すと長丁場になりますが、多くの人に読んでほしいと思う作品です。

9

元カレ総出演

人前で挨拶のキスをするジェイクに感動するアドリアンと、犬っころをプレゼントし、愛を告白する?ジェイクが本当によかった。
本当にジェイクがどれほどアドリアンを思っているかが苦しいほどに伝わってくる巻なのだ。個人的にはそれを隠してるクールだったジェイクの方がすきだけど(読んでるぶんには)
アドリアンは彼が何も言葉にしないことがずっと不安だっただろうから、本当に本当によかった。と思う。
ただ、ジェイクの仕事面はどうなっていくんだろう。40を越えてこんな経済的に不安定な状況を作られてしまう攻め(しかもジェイクのような誇り高い性格で)ってなかなかいない…
作者さまからのキツいお仕置きなのでしょうか。今後どうなるんだろう。そこだけ本当に気になったわ。
日本だと探偵って、なんかあやしげだけど、向こうだともっと違うのかな?
あとアロンゾ刑事はなんであんなにムキになっていたのかが、やっぱりよく分からなかった。

5

アドリアンシリーズ、堂々の完結

あらすじ:
前巻で撃たれた左肩と心臓の手術を終え、古書店に戻ってきたアドリアン。
元恋人のジェイクは前巻で妻と離婚。カミングアウトしLA市警もやめたが、アドリアンはまだ彼と向き合うことを恐れていた。
そんな折、古書店の入っている建物から白骨死体が発見される。
死体は50年前に失踪した男性ジャズミュージシャンのもので…

シリーズ最終巻では、ゲイである自分自身を受け入れ別人のように穏やかになったジェイクと、そんなジェイクを信じ再び彼を受け入れようとするアドリアンの関係の修復が丁寧に描かれます。

アドリアンは、かつてジェイクに捨てられたトラウマと、心臓病の手術により胸に残った傷とで、以前にも増して内に篭もりがちに。
ブラックなユーモアセンスは健在ですが、体力が落ちたこともあり、自身を醜く惨めな存在と捉えています。
そんなアドリアンの手術痕を見ても、お前の身体に醜い部分などないと言い切るジェイクがとても男前でした。
別の元彼(メル)の反応とは対照的で、彼が誰よりアドリアンを愛し理解していることが伝わってきます。

市警を辞め探偵となったジェイクは、以前の激しい気性続きは鳴りを潜め、別人のように温厚に。
長い葛藤の末、カミングアウトと離婚という道を選んだ彼の覚悟が伝わってきます。
アドリアンに呼ばれれば夜中でも駆けつけ、アドリアンに友達でいようと言われればそれも受け入れ……
離婚やカミングアウトにより失ったものも多いのに、それに対する後悔も見せない。
人性に一つの大きな決断を下した男の成長が感じられ、あのジェイクが…!と大変感慨深い気持ちになりました。

こんな二人が、事件を追う傍ら昔の思い出話をしたり、軽く口論したりして少しずつ距離を縮めていく展開。
もどかしいけど、言動の端々に溢れているお互いへの想いの強さが堪りません。

二人の追う事件にも、ヘテロ社会で同性と愛し合うことの困難さを感じさせる、哀しい物語があります。
一歩間違えば、ジェイクとアドリアンもこんな結末を迎えていたかもしれない。
そのことに気付き涙するアドリアンと、彼を支えるジェイクの姿に余韻が残る、大変感動的なラストシーンでした。

復縁した二人の甘い甘いラブシーンもあり、大満足の最終巻でした。
初版特典ペーパーには、作者ブログ掲載のSSも二篇収録されているので、気になる方はお早めに入手されることをオススメします☆

11

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