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表題作世界の半分

エルヴァン,24歳,サッファビーア帝国第三皇子
カイ・スーラ,15歳,シルカシア王国第二王子

その他の収録作品

  • 王子達の楽園

あらすじ

皇子・エルヴァン率いる残虐非道な大国に攻め込まれ、カイの故郷は今まさに滅びようとしていた。
生き延びていつか必ず祖国の再興を、と父王に託されたカイは、亡くなった姉姫に扮し城を後にする。
けれどぬかりないエルヴァンの放った追っ手に捕まり、彼の女奴隷にされてしまう。
「世界の半分がある」と謳われる華やかな大国の都へ連れ去られ、
彼のハーレムに閉じ込められたカイは男であることを隠したまま、エルヴァンの閨に侍ることになるが──!?

作品情報

作品名
世界の半分
著者
かわい有美子 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813013020
4

(109)

(41)

萌々

(42)

(23)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
19
得点
443
評価数
109
平均
4 / 5
神率
37.6%

レビュー投稿数19

察する攻め

ハーレムもの好きじゃないのに読み耽ってしまった…。かわい先生の筆力&葛西先生の画力、ハーレムのなかで密やかに静かに愛が育まれます。衣擦れや鈴の音が聞こえてきそうなハーレムの夜の情景が繊細に丁寧に美しく描写されていて、しばし浮世を忘れるひとときでした…。

前半は戦争の描写が重くて悲しいんですよね。んでもってその後も、捉えられた美貌の皇子カイがどうやって生き抜くかのハラハラ…。しかも大国の第三皇子であるエルヴァンが手柄をたてたわりに、ぜんぜんドヤドヤしてない、むしろちょっと哀しそう、むしろなんだか無関心で、ええ?ラブ始まるかしら?って軽く不安になったのでした。つか、それくらい、攻様エルヴァンがストイックで紳士的!ハーレムなのにエロくない!ってちょっと新鮮でしたw というわけで、3分の2くらいまで受皇子と攻皇子の不憫さや人柄の描写がメインだったような印象です。でも、この前半のストイックさがあったからこそ!後半が!!えっろ!!エロ多くないんですけど、その少ないページ数にぎゅっと官能が凝縮されているんです!!もう!ふたりとも、なかなかのスケベなんですよ!!(普段はとてもスンとしてるのに)

もうね〜、なんつーか攻様、受さんがちゃんとその気になるまで”待つ”んですよ。(ハーレムなのに…)ちゃんと”その時”を”察して!”、”その時”まで待って、、ようやくその後に押せ押せで口説きまくって溺愛するってゆー…かわい先生の”察する攻め”最高。。気持ちを通じあわせた二人を待っている将来が明るいのか暗いのか曖昧な印象が残ったのですが、聡明なふたりで結託して運命を切り開いていってくれればいいな〜と、祈る気持ちで読み終えました。

1

美しく静謐なおとぎ話

私なんかがこの作品の世界観を上手く表現できるか定かではありませんが、孤独な生い立ちによって、穏やかでありながら無感動で、しっとりと波立たない水面のようひ生きてきた攻め様のエルヴァンと、攻めいられて国が滅び、孤独になったカイの美しい物語です。

個人的には前半部分がちょっと長いかなぁ〜という印象。
説明的というか、必要な部分ではあるんですけれど、もう少し攻め様と受け様のやりとりが色々見たかったのが正直な気持ちです。

けれど、そう思わせるには理由がありまして、なんと言っても攻め様がマジでスパダリなんだもの。
孤独だからこその優しさとか穏やかさ、静かな水面みたいな雰囲気を纏っていると言いますか。
攻め様の素敵さをもっと堪能したかった。
1冊ではなく2冊に分けてもっとゆっくりとネホリハホリ(笑)2人の生き様が読みたかったです。
最後らへんがページ数の都合でバタバタと回収されて終わってしまった感じだったので、そこが少し残念で萌え2評価になりました。

けれど基本的には素晴らしく雰囲気のある作品で、かわい先生ならではの硬さを残しつつ静かに紡がれる文体が作品の内容にマッチしていてとても良かったです。

これネタバレになってしまうんですが、
カイがエルヴァンとのキスで、触れてもいないのにイッてしまうシーン。
ま〜〜〜〜〜どエロい。

こういうのが読みたかった!!と震えました。


また、葛西先生の挿絵!
葛西先生の挿絵の小説は積極的に読ませて頂いているんですけれども、本当に毎回毎回、感嘆の溜息が止まりません。

透明感のある絵柄が作品の世界観にぴっっっっったりでとっっっっっても素晴らしかったです。

2

しっとりと密やかな二人のお話

しっとりとして静かでひそひそと語られるようなお話でした。

こんなにされたらお互い好きになってしまうよ…。

冒頭はエルヴァン視点その後はずっとカイ視点で現在から過去を回想し行き来しながら語られ。

不遇の皇子エルヴァン。よくこんなに優しく真っ当に育ちました。母を殺され父や兄達に疎まれ、いつ殺されるかわからない日々を鳥籠の中で生きてきて。

悲劇の王子カイ。国を襲われ家族も民も殺され姉の振りをしてなんとか生き延び。
いつか祖国の再興を、叶わなければ語り継ぐことを父王に命じられ…。

エルヴァンがカイ達に対して誠実に向き合って接してくれて。カイを兄から下げ渡されてもカイの不遇を憐れみ、出来るだけ心を尽くしあたたかく迎えてくれて。

二人ともいつ死ぬかわからない身でありながら、またカイは男だとバレないようにしながらも寄り添いあって、慰め支え合い。

カイが男だったと知らしめるタイミングがあのときだからこそ上手くいったということなの?えらいあっさり許されむしろ自由度が上がって。

最後も完全なハッピーエンドではなく、命の猶予期間を幸せに一緒にそばで過ごしながら…。

カイが悲劇の王子でありながら、エルヴァンのおかげで幸運に幸運が重なって生き延び、二人で愛し合うようになって良かったです。
いつか故郷の地を踏めるといいですね。

1

戦勝国の王子と亡国の王子の千夜一夜物語

シチュエーションからいって男であることがバレ、民や臣下の身の安全を質にとられ黙ってて欲しかったらいうことを聞けと性奴隷のような酷い扱いをされる健気な王子様…かと思いきや始めっから甘い空気を醸し出し亡国の美姫を保護してくれた心優しい王子様、男とわかっても愛しい想いは変わらないという初恋が実る優しい話でした。

恋バナの方はそんな感じに丸く収まりました。
ただ大国が平和な小国を蹂躙していく悲惨な描写はありますし、カイの両親や皇太子である兄の最後には涙を誘われました。
大国の傲慢さや驕りがいつか身を滅ぼすことになって行くのではないのかと現実の世界情勢を見るようでした。

エルヴァンの生い立ちや王族の継承に関わる習わしなど哀しい過去があり
カイに惹かれ共に傷を抱えた者同士が互いを癒される相手として愛するようになって行くという気持ちの変化が感じられ敵国の王子を好きになって行く過程に無理がなく入り込めました。

1

月◯砂漠とかアラビアンナイト的な

他の方のレビューを読んで気になったので購入しました。葛西さんのイラストが大好きで、かわいさんの作品もわりと好きで何冊か持っているのに、この作品は存じませんでした。

まず、表紙と口絵に見惚れますね。なんとも色っぽい憂いを帯びた表情のカイと、静かにカイを愛おしむエルヴァン。

千夜一夜物語を思わせるお伽話テイストではありますが、若干血なまぐさい描写もあり、ラストも“それから二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ”といった終わり方ではないので、甘さは控えめかもしれません。
カイは間違いなくエルヴァンを愛しているのでしょうけど、エルヴァンの方の感情がわかりにくかったので、もっと彼の情熱的な部分や、執着心が見れたらなぁ、と思いました。(まぁ、閨の中では情熱的でしたけど)
好奇心旺盛なカイと違い、エルヴァンは優しい性格なだけに、どちらかといえば受け身な印象でした。

どうか二人が無事にカフカスへたどり着けますように。

5

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