想いがすれ違う二人の純愛をえがく、川琴ゆい華の初キャラ文庫ついに登場!!

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表題作眠れる森の罪びと

小橋希生,14歳〜26歳 事故で6年間昏睡状態だった幼馴染
市井遥史,14歳〜26歳 藍染師

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

身体は20歳なのに、心は14歳のまま――事故に遭って以来、6年間眠り続けた希生。奇跡的に目覚めた時、側にいたのは幼なじみの遥史だ。希生の怪我は俺のせいだから――贖罪のためにそばから離れず看護する遥史に、希生は深く執着していく。「なんで俺を恋愛対象に見てくれないの!?」退院後も無垢な恋情をぶつけてくる希生に、「それは単なる刷り込みだ」と言い聞かせ、拒絶する遥史だが!?

作品情報

作品名
眠れる森の罪びと
著者
川琴ゆい華 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199008283
3.3

(49)

(9)

萌々

(15)

(13)

中立

(9)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
7
得点
153
評価数
49
平均
3.3 / 5
神率
18.4%

レビュー投稿数7

甘さもドラマ性も◎

あらすじ:
14歳のころ崖から転落し、以後6年間昏睡状態だった希生(攻め)。
幼馴染で、彼の事故に責任を感じる遥史(受け)は、彼が目覚めてからも甲斐甲斐しく見舞いに通う。
ある日、希生に想いを打ち明けられるが…

目覚めた希生(20歳)が、言葉を発するようになるまで約1年。
それから退院まで2年、
定時制高校で学び、就職するまで3年。
20歳から26歳まで、約6年間かけて「大人」になっていく希生と、そんな彼を支える遥史との愛の軌跡が丁寧に描かれた感動作です。

事故に遭うまでは勉強も運動もでき、大人びた少年だった希生。
遥史はそんな希生に憧れ恋心を抱いていました。
しかし目覚めた遥史は、身体は20代でも、心は14歳のまま。
希生の告白に対し「大人になるまで」は何もしないと約束させる遥史ですが、内心は日々成長していく希生にドキドキ。
希生は希生で、遥史に相応しい男になるべく、勉強やバイトに精を出しどんどん良い男に……
と、同級生モノですがある意味年下攻めっぽい萌要素もある物語です。

昏睡状態からの奇跡の生還、というのは実際にドキュメンタリー番組等でもよく見るテーマですが、ただの美談では終わらないところが本書の面白いところ。
事故で6年間を棒に振った希生の苦労や、事故関係者の贖罪の気持ちなど、当事者や周囲の人間が直面するであろうリアルな問題も盛り込まれている点が良かったです。

ただ現実問題として、長らく昏睡状態だった人間が、希生のように完全な健康体を手に入れられるのは大変難しいのではないかと思います。
そのへんはフィクションだなという感じですが、目覚めてしばらくは話すことも書くことも出来なかった希生が、少しずつ言語能力を取り戻していく展開はやはり感動的でした。
特にラストのカードが出てくるシーン、
拙い文字で母親へのメッセージを綴った当時の希生の想いにグッときます。
遥史との関係だけでなく、こうした家族への感謝の気持ちや、中学時代の友人との絆なども丁寧に描かれている点がとても良かったです。

希生を見守る遥史も、希生への接し方や仕事のことで色々悩んでおり、決して完璧な大人ではありません。
そんな二人が6年間のうちにそれぞれ成長し、満を持してラブラブになる終盤の展開の甘さは格別でした。
藍染師という遥史の職業が、ただカッコいいだけでなく、希史への想いや地元愛、仲間との絆 etc…に結びつけて描かれているところも良く、大人の青春ドラマとして読み応えある一冊でした。

唯一気になったのは「ゆってやって」「ゆっとくけど」「ゆってよ」…等の口語表現。
個人的には会話文であっても書き言葉を使ってほしかったです。

13

少しビターな良作

事故により昏睡状態になり6年後に目覚めた、というとそれで問題が解決したように思える。けれど実際にはそこからは別の問題が起こるのだという現実が突き付けられた。
考えれば中学生の時から昏睡していたら知識も精神も成長していないのだから、すぐに年齢相応の社会生活を過ごせるわけがないのだ。本人はそこからリハビリと現在のギャップに苦しむ。
それを傍らで支える受けも自分に何ができるのか悩んだりして苦しむ。その姿は愛以外の何物でもないと思えるのに、本人はそれに気づかない。この辺りはとてもキュンキュンしました。おススメ。

9

幼なじみの12年愛

中学校の時に事故で植物状態になった希生(攻め)。6年後、奇跡的に意識を取り戻した希生は、自分をずっと待ち続けてくれていた幼なじみ・遥史(受け)に強い執着を示す。3年にも及ぶリハビリが終了し、退院した希生は遥史に想いを告げるが、遥史はそれを刷り込みだと拒絶し…。


14歳のときに事故に遭い、それから6年間後に目覚めた攻め。フィクションではありがちな話ですが、目覚めて数ヶ月はまるで反応を示さなかったり、話せるようになるまで1年以上かかったり、退院できるようになるまで3年かかったり、そういう容赦なくかかる時間がリアリティを感じさせました。作中では、数年間植物状態だった人は、その期間と同じ年数のリハビリが必要だと書かれていたので、これでもまだ奇跡的に早い回復、という設定らしいですが。

意識を取り戻した攻めは、某少年探偵の逆で「身体は大人、中身は子供」です。かなり言動が子供っぽいので、その状態で受けに告白し、触ったりしたがる姿がショタ攻めのように見えます。(いや実際は同い年なんですけど)
受けも攻めが好きなのですが、攻めの中身は子供だし、親以外で唯一そばにいる自分への依存心を恋愛感情だと勘違いしていると思っているしで断ります。
このあたりの、依存心とか、なんで振るのかとか、そういう疑問や突っ込みたいところは、受け攻めふたりの幼なじみである勇太くんがすべて突っ込んでくれました。勇太くんがいなくてふたりがぐるぐる回ってる話だったらイライラして仕方なかったと思います。

エロは途中まではひたすら物足りなかったのですが、最後に怒涛のエッチがあったので大満足。26歳童貞同士、しかも幼なじみ。大変たぎりました。
気になったのは、攻めの親に対してのカミングアウト的な話題がまったく出なかったこと。攻めが事故に遭ってから12年間、とても密接に付き合っていた受けと攻め両親なのに、カミングアウトどころか「どうやって伝えよう」とか「伝える勇気がない」とか、そういう悩みすらまったく出てこないのが不自然な気がしました。
あと作品には関係ないのですが、イラストのみずかねりょうさん。華やかで美しい絵で大好きな絵師さんだったのですが、ここしばらくの白黒イラストが妙に地味というか、写実的というか…。目が細く小さくなり、瞳の描きこみも少なくなってほぼトーン処理。カラーは相変わらず美しいのですが…。以前のキラキラしたイラストに戻ってくれるのを願うばかりです。

6

眠れる森の罪びとって結局誰?

シチュエーションとかは私好みです。過去のこだわり、同級生、職人、純愛、初恋、そしてDT同士!!
惜しむらくは、起承転結の“転”の部分の印象が薄いことですかね。もう少し捻って欲しかったです。あまりにもスムーズに事が運び過ぎて、ご都合主義に感じてしまいました。6年経って目覚め、お互いの事が好きだった。までは良いとしても、二人の関係を阻むものが何もないのに違和感を感じました。希生の両親の反対や友人の反対もなく、恋敵も現れず、希生は事故の後遺症も残らず、仕事もプライベートも全部上手くいってしまい過ぎて、少し退屈です。せっかく遥史は藍染職人をやってるのに、仕事をしている描写が少なかったのも残念でした。完成した商品を納品する描写は幾度かあったのですが。

とはいえ、見た目は大人、頭脳は子供の逆コ◯ン君という設定は、可愛らしくて萌えました。イケメンなのに、子供っぽい嫉妬をしたり、スキンシップがやたら多かったり。

4

よい話なのだが、微妙に退屈

川琴さんの作品の登場人物達は可愛い。
どこかおかしかったり変態だったりしても、
キラキラチャーミングというか、うん、可愛い。

そこが最大の魅力なんだと思うのだけれど、
この作品は正直今ひとつ頂けなかった。
登場人物はいつも通り可愛……くはあるのだが。

何が悪いという訳でもなく、良い話なのだと思う。
だけれど決定的に、欠片も萌えない、心も揺すぶられない。


舞台は奥多摩、遥史と希生は幼なじみで、親友。
遙史にとっては、憧れてて大好きだった希生だが、
14歳のある日崖から落ちて怪我をし、
そのまま目覚めないまま6年が過ぎ……

時は過ぎ、二人が20歳になったある日、再び時間は動き出す。
遙史は、亡くなった祖父の工房をついで藍染めの職人となっている。
一方の希生は、体は20歳だが精神年齢は6年前で止まったまま。
互いに相手に執着している二人は、それぞれ苦労しながら前に進み
新しい関係も築かれていく……

事故の真相……というのが、正直引っ張った割には拍子抜け。
脇役を含めて皆いい人でまっすぐで、頑張る様は心地よい話なのだが
個人的にはなんだか、いささか読みながら退屈してしまった。


絵は素敵だが、タイトルはテイストとミスマッチな印象。
藍染めというモチーフ、長い間寝たきりというモチーフの
MY神作品があることも、個人的にマイナスに働いたかな。

12

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