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表題作ACID TOWN 5

堂本正継(青道会堂本会長の息子)
中本零児(青道会のシマを荒らす"蛇"の頭)

あらすじ

親の仇・青道会会長堂本のもと暮らす零児と姉・緋紗子。二人を優しく包む堂本の息子・正継。やがて悲劇が訪れ……!?

作品情報

作品名
ACID TOWN 5
著者
九號 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
シリーズ
ACID TOWN
発売日
ISBN
9784344836389
4.5

(27)

(20)

萌々

(5)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
123
評価数
27
平均
4.5 / 5
神率
74.1%

レビュー投稿数5

それぞれの思い

こちらも続きを待っている作品『ACID TOWN』、1巻から読み返しました。あぁ、この絵がとても好き。さて表紙は4巻に続き零児&正継です。正継の上半身、零児の下半身にそれぞれ刺青があり、重なると繋がっているようにもどこか戦っているようにも見えるような…龍と蛇ですね。そして今回初めてカバーに花が描かれていますが、こちらは彼岸花。作者が前袖に書かれていたとおり、その花言葉が彼らにあまりにぴったりで驚きました。※以下、1~5巻までのネタバレ含みます。

舞台は荒れ果てた町 in 日本。親を失くし病気の弟を持つ少年が、入院費を手に入れるため親友と共にヤクザ(青道会)事務所に忍び込む。結果失敗してしまうが、そこで出会った若頭から「自分が入院費を出す代わりに週一で事務所に来い」と不可思議な条件を出され、ヤクザ事務所に通うようになる。実はそれには少年の過去が関係していて……というのが1巻の始まりです。この少年「ユキ」メインの話が3巻まで続き、4巻からは今作表紙「零児」メインの展開に。零児は青道会のシマ荒らしをする"蛇"の頭、今は20代半ばでしょうか。「ユキ」と「零児」のW主人公作品と作者のtwitterにありましたが、このふたりにも実は"つながり"があるので彼らがどう再会するのかとすでに気になっております。

1巻からここまで、殺伐とした中にも必ず誰かの笑顔があり、その一瞬で癒された気持ちになるけれど、同時にそれによって寂しさや怖さが増してもいて、今のところ甘さはほとんどありません。どこにも守り守られる関係が生まれる、しかし誰もただ受け身でいないのは血のせいだろうか。感情の部分も、どれが表なのかわからない曖昧さがとてもそれらしく描かれており、それによって気にかかる部分が次から次へと出てくるのが面白いです。それにしても、1巻から読み返すとサングラスにオールバックの"中本"と、"零児"になったときとのギャップが見事でうっとりしてしまう。今作では10年前の零児がメインですが、まだ脱皮途中とはいえおそらく数倍強く、大きくセクシーになって現れたと思われる10年後の彼にもクギづけでした。

さて4巻では正継と零児の再会キスシーンから彼らの過去編に突入しましたが、5巻は主に零児とその姉・緋沙子の過去を掘り下げています。そして、まだ小さかった零児と緋沙子を可愛がってくれていた「龍」の子供時代や、緋沙子と零児が今の状態になるには一体何があったのか…などが明らかに。零児の気迫・緋沙子の思惑、そんな一冊だと思います。自分が頭のなかで勝手に広げていた相関図が、かなりはっきりと見えてきました。彼らが真実を知れば知るほど、その先の行動は「憎しみ」とか「復讐」などと一言では言い表せないものになっていくようです。

今作、ある登場人物のセリフに「幸せになることで 復讐してほしい」というのがありますが、本当、いつかはちゃんとシアワセになってほしいよ。とにかくもう、みんな。そういえば今作では登場がなかったけれど、私は脇役・亮二のこともとても気になるのです。もちろんテツのことも忘れてないですよ。勝手な思いですが、誰とだれがくっついてもいいような気もするし…まだまだ気になることばかりです。評価はここまでの通しで付けました。

次巻ではいよいよ、兵藤がどういう男なのかが見えてくるでしょうか。
そしてその頃自分はいくつかな、とつい考えてしまうのでした(笑)。

12

彼岸花の花言葉。

読む前から「間違いなく好みど真ん中」と確信する作品が存在するのですが、『ACID TOWN』もそんな予感が濃厚に漂う作品でした。
そんな嬉しい予感がありながら長らく購入に至らなかったのはひとえにスローな刊行ペース・・・。
仕方のないことだけれど、好きな作品であればあるほどもう少し早めに!と願うのも読者心情かと。
でも。
4巻からの大人組(正継と零児)の抗えない吸引力に負けて1~5巻を相当遅ればせながらまとめ買い。
結果、購入して良かった!!


正継と零児からすると親世代から因縁が始まり、その絡まり合った糸が解けることなく連綿と続いている。
この因縁の糸を切るには血が流れるのは当然であり、そうするしか術がない。
ただ、人物相関を思い描くと誰かが誰かを想ってる。もちろんその方法や表現が阿成のように間違った方向へ歪んでしまったケースもあるけれど。
登場人物各々の立場が違い、言い分も違うけれど、誰かを大切に想い守ろうとしているのでどの人物に感情移入するかによってかなりお話の印象が変わってくるのではないでしょうか。

正継は零児(と緋沙子)以外のすべての人をひっそりと裏切り、あの事件後10年生きている。
ただただ零児のために。
一方、零児の心は何処に在るのだろうか。
もちろん復讐心は消えることなく胸にある。その怒りや哀しみを糧に生きてきたのだから。
でも昔から一番欲しかったのは正継を独占して、歓心を、愛を得ることだけだったような気がする。
緋沙子の事件がなければ今の状況にはなっていないし「幸せ」な場所からは遠い地平にいるけれど、今や正継と零児は互いを縛って唯一の相手となり気づけば零児の望んだ状態なのが悲しい。
お互いだけを見て、想い、守り守られ共闘する相互関係。
健全な状態であれば素晴らしい関係性なのに、歪さを孕む切ない結びつきに。
二人のセックスシーンがありますが、私には甘さはなくヒリヒリとした瀬戸際の高揚が主に伝わってきました。
いつの日か、憂いなくひたすら愛情だけの日々が訪れて欲しいと願うのみ。



5巻の最終ページはユキオの目覚めのシーンだったので、6巻はユキオのターンでしょうか。

この作品がBLらしからぬ様相を呈している理由の一つは群像劇であるからだろうな、と。主要な人物が多く、尚且つその一人一人に説得力のある背景がありキャラクターがある。
それがとても魅力的な作品であると思います。
この物語が何処に着地するのかわかりませんが、その場所を見れる日を楽しみに気長に読み続けたいと思います。

5

終わりの始まり

物語が大きく動き出す序章のような5巻。
W主人公という事で1~3巻はユキ、4巻からは零治を中心に進みます。

全く接点の無いと思っていたユキと零治にも実は過去に関わりがあったり、その零治も蛇の頭でありなから敵対している青道会跡目候補の正継と繋がりがあったりと、それぞれの人間関係が明らかになってきます。

派閥争いの中、誰が敵で誰が味方か何処と組み何を裏切るか···様々な思惑が交錯します。
本心を隠しニセモノを演じる先に何があるのか─

今回は零治の過去編がメインでしたが零治という男の生い立ちや生き様、決意などを知り今までとは見方が変わりとても好きになりました。
何よりセクシー!(セックス中正継の頬にひたと手を当てて「よそ見」と一言いうシーンは萌えました)

皆それぞれ守りたいものがあり、無力さを知って踠きながら生きている。

『守りたいものを守るよ─』
その言葉に全てが集約されている気がします。

今にも戦争が始まりそうな中、いよいよ最終決戦に向けて種は撒かれたといった今回。物語的にも大きく動き出しそうで続きが待ち遠しい!

BL要素は少ないので萌えやエロは殆どありませんが、人間ドラマの様な掘り下げや世界観、ストーリー展開などとても面白いです。
もはや誰と誰がくっつくとかどうでもいいです(笑)

あと気になったのが最後の零治と正継の会話···死亡フラグ?!
まさかね。。。

2

堂本家

ヤクザの堂本家を舞台に、零の姉と堂本父との関係や、美しい兄弟の正継への想いが語られます。

なぜ正継と零が愛し合い、まともな少年だった零がナカモトという血も涙もないような夜叉となったのか、なぜ零の姉は植物状態になったのか、現在に至るまでの経緯が、正継の回想として描かれました。

おれの全てをおまえにやる、と言った正継。彼は零を愛していたのでしょうか。よく分かりません。ただ、兄のような存在としてかわいがっていたようにも思えます。あるいは姉への想いなのか。。

1

翻弄された子供達の選んだ道

 零児と緋沙子の姉弟を取り巻く運命が印象的な巻でした。青道会に翻弄され続けた2人。組同士の抗争に選択権のない子供が巻き込まれるのは本当に切ないですが、どんな子供も生まれる家は選べないし、大なり小なり運命を背負っているもの。この家に生まれたことを割り切って、自分なりに納得のいく生き方を勝ち取って欲しいと願わずにはいられません。緋沙子の考え方にも十分共感できるところがあり、BLでありながら1人の女性に強く感情移入もしました。正継は最後まで零児の運命共同体となれるのか。ユキはどこへ行き着くのか。見届けたいと思います。

1

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