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表紙がいつもの月村さんでなかったので、もしかして今回は!?エロス?なんて思ってましたが、いつもの月村さんでした(苦笑
本編は受け一人称で、本自体の厚みが薄いのに三本もお話が入っております。
そしてこちら新装版で新作ではないとのこと。
あとがきに20世紀の遺物とあります(苦笑
なんと、’97の新装版なのです。
そうかだから受け一人称なのかと妙に納得です。
でも本来受け一人称って苦手なのですが、この作品はSSも含め一人称が成功していると感じました。
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受けは新卒で営業部に配属された安西、23歳。
整った顔立ちでそこそこモテながらも、男女問わず人肌が苦手(作中には身の毛もよだつと)で付き合いは長続きしない。
攻めの奥村は実家の喫茶店を継いでマスターをする、安西の中学時代の同級生。
中学時代から目立つ存在でモテモテフェロモン(知人談)を発し、人付き合いも良く押しも強い男らしい青年。
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人付き合いが苦手で、スキンシップには嫌悪さえ持っている安西。
そんな彼が営業部へと配属されストレスで日に日に痩せていくところに再会した奥村は、安西を脅迫めいた言葉で自分の喫茶店へ転職させてしまいます。
そのスキンシップ嫌悪症の原因となった中学時代のトラウマはけっこうドカン!と大きいのですが、ここは月村さん、淡々と語っています。
それがまた良いですし、その頃の安西の奥村への羨望とも恋慕ともいえる思いは誰しも一度は経験したことがあるようなもので、とても共感しやすい。
そしてそのトラウマと共に自分を恥じ、加えて記憶と直結している奥村のことを思考から追い出し蓋をし生活していた気持ちも良くわかる。
サブキャラというには存在の大きい高校の同級生二人(森とはるひ)も、ひじょうに良い味を出してました。
特に女性であるはるひの、セックスしたいとは思わないけど彼は欲しいという辺りもリアル。
対外的にも彼がいるように見られたいけど、色々なことは欲っしないというのはあるんじゃないかな。
彼女が本当に求めているものは別のもので、それが目の前に差し出されていながらも自分の過去の愚かさを罰し、手に取ることも逃げもしない強さは見事でした。
この作品では、安西は過去から逃げ出しはるひはとどまった。
それは正反対ではあるのですが、どちらにもエールを贈りたくなりました。
1本目のSSはそんなはるひを救済するような彼女視点のもので、もしかしたらBLに女は必要ないというご意見の方にはお気に召さないかもしませんね。
でもわたし個人としては月村さんはもちろんBLを書かれているのだけど、エロを重視させず(そこは少しページ欲しいとは思うが)、かなりの部分で人間の中身を書かれる方だと認識しているので、ここではるひと森を書いてくださったのは嬉しかったです。
本編もSSも目に映った通りのことが本質ではないということを根底にしており、この作品はBLなんだから女の話は必要ないと言い切ってしまうのはあまりにもったいないと思います。
新装版を発行するにあたり、かなり旧作から手を入れられていると思います。
スマホ出てきてますからね(苦笑
そして最後の受け視点のSSは書き下ろしです。
これがあるせいで21世紀だよなと思いましたね。
はるひのSSで終わらせ、その後は読者が読み取ったり判断してくださいというスタンスが旧作。
多分旧作時代の作品は、手取り足取り説明するというものではなかったのじゃないかな。
現在の読者にはしっかり全部書かれるBLが望まれているのではないかと常々感じるので、その辺りを補填してくれたように感じました。
月村さんご自身は、あまりに昔の作品で恥ずかしいというようなことを書かれていましたが、わたしはこれが読めて良かったですよ。
多分新装版なんて機会がなければ、まったくこの作品を知ることはなかったと思いますし。
でも、出来ればもう少し厚いのが読みたかったですね(笑
次回は雑誌掲載ではなく、書き下ろし作品が読めますように…
今回は、精神的に追い詰められる主人公が、神がかり的に素敵な攻めに、救われるお話です。
安西は、高校時代に学校の先生から性的悪戯をされ、なんとその場を、想いを寄せていた奥村に見られ助けられました。若かった2人は何も出来ず離れ離れに。
数年後、偶然再会した時の奥村は成長し、またしても会社でいじめられている安西を、さっさと辞めさせ、鮮やかな手際で救っていきます。
奥村は、どこまでも安西の気持ちを大切に、自然体で見守ります。
一方、若かりし頃の過ちで妊娠できなくなってしまった喜多村はるひ。ずっと好きだった幼馴染に告白されるも、受けられない。(涙)
どころか、気のないそぶりで断るはるひ。
だがその幼馴染の森は、はるひに恋人が出来るまで諦めず。
若い頃の過失に悩み続ける2人が、決してその不運を人の所為にせず、自分の罪とする自立心の高さに、尊敬の念を禁じ得ません。
また、だからこそ救われた時の幸福感が、尋常じゃない。
ちるちるさんでこの感想は無いかも。30年前の私なら喜多村はるひには、ムカついてました。仕事の先輩をだしに使うなんて最低だと。ババァになると、悩みもがき苦しんでいる様子が生きてるなぁと。こんな感想読ませてしまいスミマセン。m(__)m
松尾マアタ先生のイラストもマッチし、月村Worldにひたりました。月村先生、ありがとうございました。
1997年発刊の再発刊の、昔の作品。
タイトルの通り、トラウマから解放された二人の物語
release :
〔人・動物などを束縛・拘束・苦痛などから〕解放する、自由にする
主人公の安西は、美青年。ジャニ系の貌と細見のスタイル。
四大卒で新入社員の配属は、一番性格に合わない営業。
夜の接待で、美貌の安西はよく触られる。合わない部署のストレスに耐えられず、ついに安西は接待の場で粗相をしてしまう。
久しぶりに高校の同窓会に参加して、同級生と再会する安西。
そこから安西の運命が動きだす。
安西と同じ、高校生時代に性的なトラウマを持つ喜田村。
表紙は、安西をトラウマの籠から解放する奥村。
トラウマから解放された安西が、喜田村に「地球最後の日に誰と居たい?」と話しかける。その会話から、喜田村も、囚われていた籠の外へ踏み出す勇気を得た。
籠から飛び出た二人は、痛みも喜びも分かち合える伴侶を得て幸せになれそう。
良い出会いを無駄にすることが無くて、良い結末でした。
とても素晴らしい作品でした。
何と言っても、テーマが一貫しているなと感じました。
自分を束縛してしまうことについて、丁寧に深く切り込んだ素晴らしい作品だと思います。
表題作と男女CP作品が一つ入っているので、地雷注意でした。
個人的には男女CPの方が特に好きで、思いがけず涙が止まらなくなる作品でした。
妊娠エンドは何だか謎でしたが...
そして、男女CP作品が入っているというのは大事な情報だと思うので、何かしらわかるようにした方がいいかなぁとは思います。
いろいろ思うとこもあり、好き嫌いがはっきり別れる作品だろうな‥と、読み終えた今思います。
元々活字中毒で、BLを知る前からいろいろな著名作家さんの本を読んでいたので私は受け入れられましたが、BLという分野に普通の男女の話が1話分、しかも女性視点で描かれていたのには違和感がありましました。
ですがまあ、受け入れられない方はここ飛ばして本編と描きおろし2作品目だけを読んでも全く差し障りないのでいいのでは‥と思います。
まずは、今からこの本を読む方への私なりの提案でした笑。
月村さんの作品は、コミックスですが「いつか王子様が」をきっかけにたくさん読んできましたが、こちらのお話は昔出されてたものらしいですが初めてでした。
デビュー間もない頃の作品とは思えない情緒溢れるお話で、改めて凄い作家さんだなあ‥と思いました。
トラウマを抱えて生きてきた優等生の安西。
凄く弱い心を持ってる弱々しい人だな‥と正直苦手なキャラクターでしたが、最後の最後に何に罪悪感を持って生きてきたかが安西本人から語られた時、
心が弱いんじゃなくて、綺麗すぎてここまで引きずっていたんだな‥と感じました。
そんな安西を脅す形で会社を辞めさせ自分の経営する喫茶店に雇わせるのが
お相手の奥村。
顔良し社交性良しとかなりモテ設定だったようですが、そんなはっきり迫ってくる相手もおらず、モテるって何?って一瞬思っちゃいました笑。
でも、真っ直ぐな人柄だからこそ安西のトラウマも少しづつ克服されてるんだろうし、安西を大事にしてるようだし、友人にもお客さんにも自然に優しく出来るので、タラシな紳士さんで素敵な攻めさんではないかと思います。
この2人が中学生のあの頃には実は気にし合っていたとか‥!
段々分かってくる過去の2人の話を読んでいて、まるで少女漫画を読んでるようなきゅんきゅんくるものが多々ありました。
是非これから思う存分今までの分もいちゃいちゃと幸せになってほしいです(*´∇`*)
新装版というものを手に取った事自体初めてでしたが、読み応えのある1冊で今とても満足しています。