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表題作よろしゅうおあがり

近藤友成,住込みの従業員
大木誉,おおぎや餅店の三代目

その他の収録作品

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あらすじ

大木誉は〈おおぎや餅店〉の跡継ぎ。店を京都一の餅屋にするため修行中だ。ある日、頬にキスマークを付けた奇妙な男がふらりと店にやって来る。その男・近藤友成は、初対面にもかかわらずやたら誉に馴れ馴れしく…?

作品情報

作品名
よろしゅうおあがり
著者
妹尾あつし(妹尾アツシ) 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA
レーベル
あすかコミックスCL-DX
発売日
ISBN
9784041039205
3.5

(14)

(4)

萌々

(2)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
46
評価数
14
平均
3.5 / 5
神率
28.6%

レビュー投稿数4

雰囲気のあるほっこりした作品

現代のお話かな、と思って読み始めましたが、ちょっとレトロな時代のお話。絵柄がほっこりしていて、とても作品にあっていました。1冊を通して、彼らの生きざまを感じられました。京都弁萌え。

家業を継ぐことになんの迷いもなく、一途に頑張る誉の真面目さとそれゆえに友成に振り回されてもだもだしていて、普段はツンツンしてますが、デレた時がとても可愛いです。大福のエピソードはほっこりしてますが、ホロリとさせられました。

飄々としていて女たらしの友成は友成でちょっとある事情を抱えています。大福のエピソードと友成の事情、二人が助け合い、お互いに支えあうことで乗り越えていくのが、これからもそうやって生きていくんだろうと想像をかきたてられつつの、ラストの描き下ろしでした。描き下ろしもほっこりして幸せな雰囲気なのですが、個人的にちょっぴり切なさも感じましたが、1冊で生きざまを感じられて良かったです。

5

和菓子を食べながらどうぞ

和菓子屋さんを舞台にした、2人の成長物語という感じのストーリーでした。

受け攻めともに、心の中に壁のようなモノを持っていて、お互いの存在によって乗り越えていく…というのがホロリときます。最初はライバル(受けだけが思ってたんだけど)のような2人が、どんどん距離を縮めていく様子もキュンとなります。

特にお気に入りなのは、医者になることを強要する友成(攻め)の父親に、誉が「友成くんを僕にください」とプロポーズ(?)するシーンです。あんなに友成のことを毛嫌いしていたのに、ここまで愛情が育ったんだねとジ~ンとなります。

2人がおじさんやおじいさんになった様子もチラッと垣間見れて、2人の絆の強さが伝わってくるのと同時に、ホノボノとした気持ちも味わえました。

美味しそうな和菓子が食べたくなるのが難点だけど(笑)、読後感がとても良かった1冊でした。

0

前半は我慢、後半に戸惑い、描き下ろしでほっとため息

死ぬ前に食べたいものは大福と決めてます。
それだけにこの作品に寄せる期待が高かった。
舞台は京都の餅屋というだけで神評価をつけたかった。
表紙よりも本編の絵の雰囲気が気に入って、さらにテンションが上がりました。

なのに主要キャラに超絶苦手なタイプを発見して、一気に盛り下がる。
生粋の女たらしが出てきます。自分がニコっとしただけで街中の女性がよろめくことを知っている。無自覚を装いながら、実は自分の武器が何たるかを十分自覚しているタイプ。それが京都の餅屋「おおぎや」に見習いに入った友成なのです。
一方、おおぎやの3代目・誉は実直。真面目すぎて不器用で、友成の対極にいるタイプ。
この時点でどちらに感情移入しやすいかは一目瞭然です。

餅をつけば女性が集まり、接客すればお客はみんな腰砕け、さらに結婚を控えた令嬢にも見初められ、政略結婚前の思い出づくりに一役買う。
女性にモテるだけならまだしも仕事もそつなくこなす。なんて嫌味なキャラでしょう。
餅屋は餅を売るのであって、色を売る場所じゃないぞ!と言いたくなってしまう。これはまさしく有能かつ美貌にも恵まれた者に対する持たざる者の劣等感です。
読んでいるだけでイライラするほど疎ましい友成に、当然、作中の持たざる者・誉も劣等感でいっぱいになります。

分からないのが劣等感からくる苛立ちを「友成への恋心」に変換してしまうところです。
女性たちからちやほやされる友成にイライラする誉が「友成を好きだから女たちに焼き餅を焼いている」という流れになっています。え。なぜ。
モテる人間に焼く焼き餅って、「俺だってモテたいのにずるい」ですよね。
この作品ではここを無理矢理「誉は友成が好き」に捻じ曲げているので、BLのベースになる恋心に全く説得力がなくなってしまった気がします。

後半の友成の実家エピソードも紋切り型だなあという印象でした。
家業を継いでほしい父親との対立。実家では心から笑えない後継。見えない檻から救ってくれたのは…、という流れ。

読み終わって、この作品は餅をほのぼのおいしく楽しむための作品ではなくて、「お互いのトラウマからの救済」がテーマだったのかと気付きました。
表紙の雰囲気や餅で目が眩んだ自分には予想外の重さで、読者が期待したものと作者の意図したもののズレに戸惑って、正当な評価に繋がらないかも。
でもそれなら前半でひたすら女たらしエピソードを綴るより、もっと自然にお互いが心の支えになるような流れにしてほしかったです。

本編自体は「中立」でしたが「萌」になったのは描き下ろしのおかげさまです。
説得力のない始まりに反して、ふたりがきちんと支え合って生きてきたこと。世間に大きな声で発表する必要もない大事な思いがひしひし伝わってきました。

0

一見ほのぼの、よくよく考えるとヘビー

京都の和菓子屋、おおぎや餅店で働く跡継ぎの誉(受け)。そこで住み込みで働くことになったのは、キザで女たらしの色男・友成(攻め)だ。最初はいけ好かないやつだと毛嫌いしていたけれど、思ったよりも真面目に和菓子のこと、店のことを考えている友成に誉はだんだん心を許していく。そんな折、実家に呼び出された友成が帰省してしまい、なかなか戻ってこないのに痺れを切らし、東京まで迎えに行くことにしたが…。


昭和の初め頃が舞台のお話です。
時代を感じるのはお客の顔ぶれくらいで、作品自体は現代京都みたいな雰囲気です。
基本的に可愛い話ではあったのですが、説明不足なところはありました。

最初なんで攻めがこの店で働くことになったのかの理由が判然としませんでした。それまでは置き屋で働いていたけど、誰かの紹介で転職したみたいな感じ? 何かのきっかけで和菓子に憧れ、和菓子で働きたいと思った、みたいな感じの方が良かったけどそうではないのかな?
その最初が定かでないので、もしかしたら何か裏があるのかな? とか要らない心配をしながら読んでしまいました。

雰囲気はおっとりしていたのですが、ちょいちょいそのおっとりムードにそぐわないエピソードが混ざってくるのも気になりました。受けの祖父の死因とか、よくよく考えたらヘビーすぎるだろう…と思いました。私が受けの立場だったら立ち直れない…。
あと描き下ろしも、個人的にはちょっとダメでした…。年老いた攻めが受けの妹の孫たちに昔のことを語っている、みたいな話なのですが、その時点で受けが亡くなってるのは激しく微妙…。攻めが子供たちに受けの話をしていて、「ちょっと、何の話をしてるんだい」とかって陰からやはり老人になった受けが出てくる、とかのほうがほのぼので良かったな。しかも死因が…。あの死因が笑い話みたいになってるのが理解できませんでした。

4

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