銀の不死鳥

gin no fushichou

銀の不死鳥
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神9
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
3
得点
45
評価数
10件
平均
4.6 / 5
神率
90%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
桜雲社
シリーズ
単行本
発売日
価格
¥1,200(税抜)  ¥1,296(税込)
ISBN
9784908290176

あらすじ

滅びゆく世界、襲いくる絶望と恐怖。
それでも、巡りあう“奇跡"を手にするまで諦めない――

ラブ&サバイバルの極限BL
WEB連載で熱烈なファンを生み出した問題作がついに書籍化!!
ドラマティックで濃密で衝撃のラブストーリー!

表題作銀の不死鳥

松宮真士、他複数
廻音(カイネ)

評価・レビューする

レビュー投稿数3

衝撃的、でも引き込まれる

初めて綺月陣先生の作品を読みました。

最初は、「不死」というテーマを軸にした、 廻音と真士甘くせつないお話だと思って読み進めました。
愛する真士に被験者としての運命を告げることなく未来への眠りにつく廻音がせつなくて胸が締め付けられました。

しかし、廻音が眠りについてから35年後の未来は、想像を超える世界でBLではなくSF小説を読んでいるかのような展開でした。
先の展開気になって、気づいたら一気に読み終えていました。

とにかく壮大で重いお話しでしたが、そこには真士を愛し続ける廻音の一途で純粋な思いがあり救われた気がします。
二人の氷が解けた後に春が訪れてくれたことを願います。

2

近未来的な?

これから近い将来に起こっても当たり前のような…。 人間の希望や欲、醜さや愚かさいろいろと考えさせられてしまう。実験の為に眠りにつき、目覚めた時の喜びから絶望。凄く胸が痛いです。すぐに2人の甘い時間がとは思っていませんでしたが、こんな展開が待っているとは…。生きている人間も地球上に6人のみでそれもあとわずかな時間。いったいなんのための実験だったのか。そのわずかな時間に起こる出来事読むと本当に救いのないお話なのかと思ってましたが、最後の数ページで…。真士と廻音が再び眠りにつくシーンのすぐ後なので余計にやられちゃいました。

2

純愛

壮絶な内容の『問題作』といわれた作品が、yoco先生の美しい装丁で装いも新たに満を持しての書籍化。

映画のようなプロローグから始まり、舞台は1999年•ニューヨークの通称『フェニックス』と呼ばれる冷凍保存研究機関。
そこで研究員として働く恋人達のお話からスタートします。

日本から来た松宮真士と、フェニックスで育った美しい廻音。
あらすじを読んで、この二人が引き離される運命にあるとわかっていたので、全身全霊で愛し合う彼らを見て感じて、胸が痛みつつも序盤ですぐ物語に引き込まれました。


『不死』を求めた人間の、人体冷凍保存ー。
その被験者になる為に作り出された試験管ベビーの廻音。
母と妹を母国の堕落した医療により失い、父を狂わされた過去を持ち、夢の医療を叶えるのを目標に生きてきた真士。

両視点で書かれる出会いから甘い蜜月…そして別れ。
終わりが見えている自分の人生に何も期待をせず生きてきた廻音の、最初で最後の恋。
家族を失った真士を、強引にそして優しく暖かく愛し包み込んでくれた廻音への愛情。
それがひしひしと伝わってきたから、この後訪れる別れとその数続き十年後に待つ残酷な世界が本当に辛い。

成功の保証もない実験の被験者として、20歳にコールドスリープすることを真士に告げずに、出会って半年間心で身体で愛した恋人への想いを胸に廻音は眠ります。
真実を知らされず、何よりも大切な恋人に「愛してる」の言葉も言えなかった後悔と自分達を引き裂いた現実の全てに怒り狂う真士。

しかし、真士と出会い初めて生を感じ、真士の全てを求め、限りある時間を懸命に輝かせた美しい最愛の恋人を蘇らせるため、真士はフェニックス計画を成功させることを胸に誓います。

この時点で涙腺崩壊。恋人達の強すぎる想い、互いへの愛情に心臓を握り潰されるような感覚に陥りました。
ラブシーンにもいつもならハァハァするところですが、残り僅かな時間で必死に恋人を求める廻音の感情が伝わってきてもうダメ…

二人が全てをかけて愛し合っていたのがわかる序盤があるから、廻音が目覚めてからが猛烈に辛くて痛いのです。

時は流れ2034年ー
35年の眠りから目覚めて思うように身体を動かせない廻音の視界に入ったのは変わり果てた世界。
そして目の前に現れたのは真士そっくりの男。
愛しい男との再会を夢見た廻音が喜ぶのも束の間、リョウキと名乗るその男は廻音に酷い仕打ちをします。

何が起こっているのかわからず、野蛮な男達に輪姦され、喜びの後に地獄に突き落とされた廻音。
真士と同じ顔をして、廻音をモノのように扱う冷徹で残酷なリョウキ。
唯一廻音に優しく接する、リョウキの恋人だというロズ。
リョウキの仲間、アラン、ヤスヒコ、ディーゴ。

核戦争により朽ち果てた世界に残された研究所で、唯一生き残った人間たちの愛と絶望に満ちた悪夢が始まる…。

中盤からは壮絶な展開に。
リョウキは真士なのか?
信じたくない廻音。
けどリョウキの身体には真士しか持ち得ない証があり…。
愛する男の声で蔑まれ罵倒される廻音。
毎晩愛してくれた手と唇で他の男に触れ、激しく抱くのを目の当たりにする悔しさと悲しみ。
凌辱されるたび、恋人と同じ肌の温もりに反応してしまう身体。
命懸けで真士を愛し、再会出来る事だけを願った廻音にとって、これほど残酷な事はありますまい。
極寒の地で食料も残り僅か。次々と起こる惨劇、深まる謎。
綺月先生のストレートで読みやすい文章、細かい心理描写が、廻音を待ち受ける残酷な現実と悲しい真実をリアルに感じさせてくれ、臨場感溢れる世界観に浸らせてくれます。


世界が終わり、いつ死を選んでもおかしくない状況の廻音が生き続けたのは全て真士への愛からで。
真士とリョウキの真実を知るまでは…真士にもう一度会いたいという細い糸に縋るような強い想いだけが、廻音を突き動かしたのです。
生にしがみつく己を愚かで浅ましいと廻音は表現します。
しかし、人工的に作り出され、誰にも心を開かず終わりに向かって過ごしてきた廻音が、
誰かを愛し、その愛の為に生きたいと思う、愛する人との未来を見つめる。
普通の人間の幸せを廻音が夢見るのは奇跡のようでいて、でもそれは廻音が生きているという事で。
それに縋るのは浅ましくも、たいへん美しい姿なんだと思います。
実験のマウスだった廻音が、自分は一人じゃなかったということに気付き、苦境でも生きる勇気と強さを最後まで失わなかったのが本当に救いでした。

クライマックスは非常に哀しくもあり、ただ現状の二人にとってはこれ以上ない幸せな結末ではなかろうかと思います。

「氷が溶けたら、春になる」
真士が口にした、廻音が真士に恋をした言葉。二人を繋げた言葉が、最後まで二人の希望になり続けているのにまた感動。

作中、輪姦、陵辱、暴力、流血、殺人、カニバ、と残酷表現が多数あります。
人間の醜さや愚かさ、恐ろしさ、現実にいつか起こり得そうと錯覚する世界に考えさせられるものがあります。
ですがこの作品の中心にあるのはまさしく『純愛』だと思います。
廻音と真士の愛はもちろん、廻音を苦しめる悲しい真実も、全ては愛から来るものだなと。

そして奇跡を信じたくなるエピローグ。たった2ページですが、冷たい世界に春の陽が差し込んだ、ほんの少しですがそんな明るい未来を予感させる終幕に暖かい気持ちになれました。

間違いなく好き嫌いの個人差があるこの作品。
死と絶望が取り巻く世界の残酷な内容は強烈ですが、私はそれよりも、言葉だけでは表し尽くせない愛情と各々の生への想いが深く印象に残ります。

そしてyoco先生の扉絵の幸せそうな愛おしそうな恋人達の美しい絵で甘さを補完。

もう最初から最後まで物語にひきこまれっぱなし、悲惨な内容に読むのが辛いと手を止めることは全く無く、あっという間に読み終わります。
読めてよかったと思える一冊。
『背徳のマリア』や『獣』より読みやすく好きです。

12

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