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表題作ダークホースの罠

胡桃英人,警視庁捜査一課の刑事,35歳
カミル,謎の自殺志願者

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

刑事の胡桃は、父の葬儀のため長く離れていた故郷、長野を訪れる。義姉の沙也香が苦手な胡桃は逃げるように実家を後にするが、その途中、記憶喪失の自殺志願者、しかも超絶美形の外国人の男と遭遇してしまう。捜査中の事件もあり、カミルと名乗る男をどうすることもできないまま東京へ連れ帰った胡桃だったが…。「ベネディクトを捜さなければ」カミルの謎の固い意志に振り回されるうち、胡桃はカミルに庇護欲を覚えるとともに、彼の人知を超えた能力に気づかされる。カミルは現代に蘇った――ヴァンパイア!?

作品情報

作品名
ダークホースの罠
著者
谷崎泉 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
Charade books
シリーズ
ダークホースの罠
発売日
ISBN
9784576160887
3.1

(23)

(7)

萌々

(6)

(0)

中立

(3)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
3
得点
62
評価数
23
平均
3.1 / 5
神率
30.4%

レビュー投稿数3

美味しいとこ取り!最高に楽しい

谷崎先生の100冊目にあたる記念本で四六版の長編です!

帯に「くせ者揃いのスラップスティックBL」とあるように登場人物が皆ひと癖も二癖もありとても魅力的です。

警視庁捜査一課の主任胡桃 身なりに無頓着な無精髭の残念な長身イケメン
無愛想で強面で仕事熱心なキレ者だけど
私生活に構う時間もない35才


物語は殺人事件の捜査
父の死による家族問題
そしてひょんなことから拾った自殺志願のヴァンパイア

この3つを軸に 胡桃が行ったり来たり。刑事の仕事ってこんなに忙しいのかとびっくりするくらい。

胡桃の部下は
仕事は出来るがオタク美少年好きな玉置
女好きのルーズな笹井
体育会系巨体の碓氷

なかなかくせ者の部下3人と、のらりくらりとつかみ所のない上司である南野

谷崎先生なので 捜査に絡む臨場感溢れる描写は見事です!本庁→現場→所轄と目まぐるしく移動しながら 核心に迫っていくくだりは読み応えたっぷり。
2つの殺人事件が繋がっていくところも地道な捜査と分析など部下3人もなかなか優秀で 面白いんですよね。谷崎先生の警察モノは ずっと読んでいたい飽きさせない文章力は流石です。

そこにチョイちょい登場するのが甥の美少年 朝生。父の葬儀で久しぶりに帰った実家で初めて会った義理の姉の息子。胡桃の父が愛人に産ませた義姉とのあいだには かなりの深いわだかまりがあり、甥とも関わるつもりもなく 事件の呼び出しで急遽もどる事に。
しかし何故か朝生に懐かれてしまい こっそり車に同乗し一緒に東京に帰るハメに。
その途中 道路に横たわるカミルをあわや轢きそうになり成り行きで3人で同居することに。

突然押しかけてきた甥の美少年 朝生に振り回され 白皙の美青年ヴァンパイア カミルに襲われとかなりのドタバタです。


ヴァンパイアのカミル 由緒あるヴァンパイア一族の生き残り。執事のベネディクトと眠りについたものの目覚めると一人に。ベネディクト探しを胡桃に依頼。
このカミルが世間知らずのお坊ちゃまで可愛いです!貞操観念はアレなので能力使って胡桃を襲っちゃうんですが 何とも憎めないキャラ。

口が悪くて強面なのに面倒見がいい胡桃に周りは頼ったり慕ったり責任押し付けたりとやりたい放題です。

スラップスティックコメディってチャップリンとかのドタバタ喜劇のことなんですね(見た事はないんですが…)
コントみたいな こうなると困るなと思うことが次々に起こり胡桃はドタバタ走りまわり振り回されっぱなしです。

なんでヴァンパイア!?(笑)と思うんですが まあ胡桃もそれを受け入れてて親身になって絆されちゃうんですよね。紆余曲折あって胡桃の元に戻ってきたカミルが可愛くて仕方がないのが微笑ましいです。

yoco先生の挿絵が斬新で素敵です!6つの章の始めに6人が同じ椅子に1人で座っている構図なんですが表情や座り方等 キャラの特性がとてもよく分かり面白いです。

長編ですが飽きさせない展開で一気読み。読後の感想は楽しかったーの一言です!

最後に胡桃の上司の南野と暴力団組長鷲沢の関係と南野の意外な1面がチラリと。
これが「その愛に終わりはあるのか」に繋がるので こちらも楽しめます!胡桃もかなり登場するので順番に読むのがオススメです!

6

まさにダークホース

先にスピンオフの『その愛に終わりはあるか』を拝読しています。なのであの胡桃が!?という驚きでいっぱいです。
警察官として現実真っ只中にいる胡桃が、謎の外国人(カミル)を拾い、苦手な異母姉の息子(朝生)と同居ってそれだけで不思議な感覚だと思う。朝生は何を考えてるか分からないし、何よりカミルが謎すぎて。
仕事に忙殺されながら2人に向き合い、本能に忠実で価値観の違うカミルに翻弄されるのは大変だと思う。でも素直に頼られ甘えられる事は癒しになっていたのかも。
カミルの為に奔走しカミルと朝生が去った時の胡桃の淋しそうな姿は切ない。
朝生と共にカミルが戻って来た時は嬉しかった。まはにダークホースだけど、1番大事だと確信できた気持ちで2人一緒に生きてけると思う。朝生も良い子だから、親に翻弄されず自分の道を進んでほしい。
あとスピンの2人(鷲沢×南野)が出てたのも嬉しかった。こんな風にバレたのか〜とニヤけてしまった。

まさかのファンタジー要素にびっくりだけど、事件を解決する様子はハラハラだし、まさかのカミルとの接近にドキドキ。面白かったです!

1

すみません、辛口です

谷崎泉さんの商業百冊目の作品。
480ページ近くある長編です。

あらすじ:
捜査一課の刑事・胡桃(攻め)は、父の葬儀の帰り、道に倒れていた謎の外国人・カミル(受け)を拾う。
記憶喪失の彼をなりゆきで自宅に住まわせ、彼が唯一覚えている「ベネディクト」という人物を探す手助けをすることに。
そこに、家出してきた甥っ子・朝生も加わり、胡桃の周囲は一気に賑やかに…

帯に「くせ者揃いのスラップスティックBLノベル」とあるように、確かにかなりのドタバタコメディ。
yocoさんの挿絵はとても素敵ですが、話の内容とは大きなギャップがあります。

帯やあらすじでネタバレされていますが、受けのカミルは、70年の眠りから目覚めたヴァンパイア。
70年前に別れた恋人・ベネディクトを探していますが、ヴァンパイアなので貞操観念はゆるめ。普段は天然キャラですが、夜は胡桃に乗っかって半ば強引にHするような好色な一面もあります。

そんなカミルの世話を焼くうち、彼にほだされていく胡桃。
仕事人間だった彼が、カミルや甥っ子と暮らすうち少しずつ変わっていく…そんな展開です。

ただ、ドタバタすぎる上に笑いどころも特になく、結局何がしたかったの?という想いは拭えず。

胡桃が追うシャブ絡みの事件と、カミルの探す「ベネディクト」が何か繋がっているのかと思いきや、特に関係なく終了。
事件が解決しそうなときに仕事を部下に任せ、ベネディクト探しの方を優先する胡桃にはガッカリでした。
胡桃の変化を描きたかったのかもしれませんが、物語冒頭から散々引っ張ってきた事件がこうも雑に処理されてしまっては、ページの無駄としか思えませんでした。

また、物語終盤で胡桃の同僚二人が実はデキていたという事実が判明しますが、だから何?という感じ。
二人とも特に存在感あるキャラというわけではないので、驚きも萌えも興味もさして感じられませんでした。

ラブ展開もかなりグダグダ。
ベネディクトにフラれ、いったんは胡桃の前から姿を消すカミルですが、
実はベネディクトではなく胡桃のことが好きだったと(第三者の言葉で)気づき、
胡桃が何の行動も起こさぬうちにしれっと戻ってきてハッピーエンド。
お互いを好きになった決め手が(H以外)特に見当たらず、かなり強引なまとめ方に思えました。

甥っ子もラストであっさり退場するし、全体として何を書きたかったのかさっぱり分からず、楽しみどころを見つけ辛い作品でした。
百冊記念本にこのような評価をつけるのは心苦しいですが、値段とページ数に見合った内容とは思えず…
yocoさんの挿絵は本当に素敵なだけに、話さえ良ければ…という口惜しさの残る一冊でした。

24

Krovopizza

貴士様、はじめまして。
ご指摘ありがとうございます。
鷲沢は真音の富樫に似ている部分があるとのこと、それを踏まえてまた読み返してみたいと思います。
同人誌情報もありがとうございます。機会があれば読ませていただきますね。

貴士

krovopizza様 はじめまして。
胡桃の同僚二人が実はデキていたではなく、ヤクザの組長(鷲沢)と胡桃の上司(南野係長)が実はデキていただと思います。
同僚二人だと確かにだから何?という感じですが、ヤクザと警察関係者が実はデキていた!だと読んでみたいと思う人がいるのではないかと思い、コメントさせていただきました。

最近、真音を読まれたということですので、鷲沢の南野に対する執着心とか尻に敷かれている所とか富樫と似てますので、読み返していただけたら萌えと興味が感じられるかと思います。

OFFICIAL27という夏コミで販売された同人誌にダークホースの罠の続編が載っていますので、こちらを読むと鷲沢と南野係長の関係性とかより詳しくわかって面白いと思います。

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