さいはての庭

saihate no niwa

さいはての庭
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神7
  • 萌×26
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

128

レビュー数
3
得点
68
評価数
17件
平均
4.1 / 5
神率
41.2%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
心交社
シリーズ
ショコラ文庫(小説・心交社)
発売日
価格
¥660(税抜)  ¥713(税込)
ISBN
9784778119881

あらすじ

片親育ちで人の顔色を伺ってきた荘介はある事件により夢だった仕事を辞め、離婚した。死ぬために訪れた鎌倉で作家の溜池フジ夫と出会い、「自殺志願者とは面白い。死ぬ前にうちで働け」と家政夫をすることに。着いたのは今は亡き敬愛する作家の家でフジ夫はその孫だった。7歳年下で遠慮ない彼に"飯が不味い""もっと笑え"と振り回され、思い詰めていた気持ちが薄れる荘介。あけすけなフジ夫だが彼には荘介を連れてきた目的があり――。

表題作さいはての庭

溜池フジ夫,作家,受の敬愛する作家の孫,26歳
檜森荘介,自殺志願者,攻の家政夫,33歳

その他の収録作品

  • あとがき

評価・レビューする

レビュー投稿数3

年下引きこもりDT攻め×自殺志願受け

自殺志願で鎌倉を訪れた荘介(受け)は、入った小料理屋で和服の男と出会う。その男・フジ夫(攻め)は、荘介が憧れていた亡き作家の孫だった。本人も作家であるというフジ夫の家に、なぜか家政夫として滞在することになるが、相当な変人であるフジ夫との暮らしは予想外に穏やかで…。


自殺志願受けの癒されBLは何冊か読んでいますが、なぜか攻めが変人なことが多い気がします。ちょっとやそっとのキャラでは自殺を思いとどませるのは難しいということでしょうか。

そんなわけで、和服の作家×自殺志願の家政夫の、運命的な出会いのお話です。
受けは、水商売の母親に、父親を知らずに育てられました。母には可愛がってもらったけれど苦労して育ち、その分勉強を頑張り、そんな時ある作家の本を読んで心酔し…ですが可哀想な事件に巻き込まれ、それがトラウマとなります。
やがて母は亡くなりますが、頑張ったおかげで化粧品会社に就職し、結婚します。なのにトラウマの元になった人物が再び現れたせいで仕事を失い、やがて離婚。人生に倦んで死のうと思い、心酔していた作家宅のある鎌倉へやってきます。

そこで出会ったのが、その作家の孫続きで、今は亡き作家の屋敷に1人で住んでいる攻めでした。昔、受けが一度だけ作家の家を訪れた時に、偶然顔を合わせた相手ですが、攻めは最初はそれが受けであることを知りません。

最初は「自殺志願者に興味がある」とか「死んでもいいぞ」とか言ってた攻めが、だんだん受けに惹かれ、受けを無くしてはならない存在だと思い始めるのが良かったです。攻めは小さい頃から引きこもりで、今も人嫌いで外が嫌い、恋愛経験もなく童貞。なのに恋愛小説を書いています。人を好きになったことはあるそうで、その人は人魚のように鱗をもっていた、と言います。

攻めのキラキラな思い出と受けのひどい思い出が重なっていたり、自殺旅行が運命的な出会いにつながったり、亡き作家の書いた未完の恋愛小説に受けの存在が関係していたり、色々な出来事が絡まり合って現在に繋がっているのが面白かったです。パズルのピースがピタリピタリとはまるような快感を覚えました。
エッチがこれまた良かったです。引きこもり童貞年下攻めが、顔では平然としながら心臓ばくばく言わせてるのが可愛い。受けのトラウマが溶けるのが微笑ましい。童貞と処女の慣れない行為に非常に萌えました。

マイナス点は、受けのトラウマの元凶の解決がちょっとあっさりすぎたかな、という点と、偶然要素がやや多すぎたかな、という点。それ以外はとても素敵な作品でした。

3

心の再生

勤めていた会社を辞め、妻とも離婚した荘介(受け・33歳)。
死ぬため訪れた鎌倉で出会ったのは、敬愛する作家の孫で小説家のフジ夫(攻め・26歳)。
彼に家政夫として雇われ一緒に暮らすうち、自殺願望が薄れていき…

鎌倉を舞台とした静かで和風情緒漂う作品。
自殺願望を抱える荘介の生い立ちと心の傷とが、ほのぼの進行する物語の中で少しずつ語られていきます。

母子家庭に育ち、苦労の多い人生を歩んできた荘介。
生に執着のない彼は、7歳年下の主人に振り回されようが常に淡々としていますが、心の奥には非常に脆く繊細な一面も。
強引ながら聡明で優しいフジ夫にその弱い部分を受け入れてもらえたことで、初めて彼の前で涙するシーンが印象的。

フジ夫は、ひきこもりの童貞で、子供の頃一度だけ見た、脚に鱗のある人間を初恋の人として想い続けている一途な人物。
7歳年上の荘介を初対面から呼び捨てにする等、一見傍若無人ですが、根は非常に優しく包容力ある男前。
ひきこもりで学校にもあまり行っていないためか、どこか浮世離れした雰囲気があり、若いのに仙人のような落ち着きを感じさせるところも面白いキャラ続きでした。

フジ夫が幼い頃見た「人魚」の正体と、荘介の学生時代の苦い体験とが繋がる後半の展開が秀逸。
荘介にとってのトラウマの象徴が、フジ夫にとってはかけがえのない初恋の記憶で、そのことに荘介が救われる展開に何とも言えない優しさと感動がありました。

何もかも捨てたはずの荘介が、化粧品メーカーに勤めていた頃のメイク技術を活かし、フジ夫の編集者の女性を手助けするエピソードも印象的。
彼女に化粧を施す中で、化粧に興味を持った自身のルーツを思い出す荘介。
自身が今までやってきたことは決して無益ではなかったことを理解すると共に、辛い恋に折り合いをつけた女性編集者に触発され、自分も過去にケリをつける決意をする。
このように、荘介の心の再生と日常のエピソードとが上手く絡められている点が非常に良いと思いました。

終盤、両想いになった二人のラブラブぶりも見どころの一つです。
荘介が後ろは初めてなのに挿れられてすぐイってしまう等、ちょっとファンタジーすぎるところはありましたが、そのノリも含めて楽しむことができました。

都会を物語の舞台とすることの多い千地さんですが、鎌倉が舞台となった本作でも、優しく繊細な作風は健在。
既刊にも勝らずとも劣らずな素敵な作品でした。

10

情緒のある作品

あらすじと表紙イラストに惹かれて購入。結果大正解。
とても心に沁みる完成度の高い作品。文章がとても丁寧で読み易い。少し謎めいた仕立てになっていて、主人公のトラウマが明かされるシーンは衝撃的だった。年下攻めだが主人公の受の方に甘えてくる感じではなく、お互いが欠けた物を補い合う対等な関係なのも良かった。また日常着が和服で主人公が下着を着けさせて貰えないのもドキドキした。
セックスシーンも情を交わすと言いたくなるような感じで素敵。是非ともおススメしたい1冊。

4

この作品が収納されている本棚

PAGE TOP
  • 電子書籍
  • レビューを見る
  • 評価レビューする
  • 関連作品
  • 攻受データ