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表題作九天楼の買われた花嫁

レオン、人間に悪魔と呼ばれるクドルクの王
月羽、生贄に選ばれた忌み種の男娼

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

忌み種のため家族に捨てられ、男娼としても売れない月羽は< 夜歩く者( ナイトウォーカー ) >の王レオンに買われ、花嫁役を務めることに…。

歓楽街・九天楼。災いを引き起こす<悪魔>を鎮めるため生贄に選ばれた男娼の月羽は、突然現れた謎の男レオンに身請けされることに。
自らを< 夜歩くもの(ナイトウォーカー ) >と名乗ったレオンは眷属を治める手段として花嫁を娶ることとし、その役目を月羽に求めたのだった。
忌み種として生を受け、人間らしい喜びを知らず生きてきた月羽。吸血を厭い薔薇を慰めに孤独を生きるレオン。
寿命も違う、花嫁役もいつか終わる、それでも月羽はレオンを愛してしまい…。

作品情報

作品名
九天楼の買われた花嫁
著者
葵居ゆゆ 
イラスト
日野ガラス 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576160962
3.1

(20)

(2)

萌々

(8)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
2
得点
56
評価数
20
平均
3.1 / 5
神率
10%

レビュー投稿数2

ファンタジー要素、余すことなく詰め込みました。

まさに求めていた設定を余すことなく詰め込まれたファンタジー要素たっぷりの作品でした。
〝生贄〟として吸血鬼の元に捧げられた受けの真っ白な心に徐々に惹かれていく攻め(紳士系攻めだと尚良い)的な展開のBLは無いものか…と探し続けてようやく辿り着きました。
どうにも〝吸血鬼〟という設定に焦点を向けるとギャグ要素の強い作品になってしまうことが多くて、もっとダークな雰囲気の作品はないのかなぁと思っていた矢先に出会いました。

設定も表紙の絵柄の綺麗さも全く文句無しなのですが、
受けが堕ちるのが早すぎやしないか、とは思いました。
吸血鬼の攻めの方が、ただの人間の生贄と思っていた受けにハマっていく展開かと思いきや、まさかの逆パターン(笑)
突然ビッチ感(?)のある受けに変わってしまったので、若干動揺しつつ読み終えました。

長くなりましたが、吸血鬼展開のBLが読みたい!という方や、生贄という立場の受けに萌えを感じる人にはなかなかオススメできる作品なんじゃないかと思います。

6

受けがとにかく不憫

中華と中欧/東欧が同居したような世界を舞台とした吸血鬼モノ。
スラブの吸血鬼が「クドラク」と呼ばれていることに因んでか、本書での吸血鬼は「クドルク」と呼ばれています。

※結末までネタバレしていますので、未読の方は閲覧にご注意下さい。

あらすじ:
歓楽街・九天楼の娼館で働く男娼・月羽(受け)。
吸血鬼の王・レオン(攻め)に生贄として差し出されるが、レオンは月羽を彼の花嫁とし…
 
主人公の不憫受けが最後の最後でやっと少しだけ幸せになれるようなお話。
ラストはラブラブですが、後味はあまり宜しくありません。

金色の髪のせいで「忌み種」と蔑まれ、家族や娼館の主人から疎まれてきた月羽。
反応が悪いためなかなか客がつかず、暴力的なプレイを好む客ばかりとらされています。

レオンは、月羽に家庭教師をつけ読み書きを教えてくれたり、街に連れ出して外の世界に触れさせたり…と一見優しいですが、月羽との結婚は周囲の眷属を黙らせるための仮措置。彼を本当に自分の妻にする気はありません。

人間だった頃家族を吸血鬼に殺され、それ以来幸せになることを自身に禁じているレオン。
男の月羽を花嫁にしたのは子孫を残したくないからで、彼との性行為も極力控えています(媚薬効果のある吸血鬼の体液は人間には刺激が強すぎるため、という理由もありますが)。

そんなレオンを慕い、彼の役に立ちたいと願う月羽の空回り具合が切ない展開。
自分にできることは夜の相手くらいしかないとレオンを誘うも、すげなく断られる姿は特に不憫。
レオンと交わって以来身体が敏感になり、毎夜自室で自身を慰めていますが、そのことを知りながら無視するレオンはちょっと酷すぎるように思えました。

更に、レオンに片想いする吸血鬼・ジェイドに自慰の現場を見られた挙句、彼に棒を突っ込まれいたぶられる月羽。
ついに自ら身を引き、元いた娼館に戻りますが、なぜ戻ってきたと責められリンチに遭い…
具体的にどんなリンチを受けたのかは描かれていませんが、あまりに不幸続きで気分が落ち込む展開です。

ラストは一応ハッピーエンドですが、あんな状態になるまで月羽を放っておいたレオンに彼への愛情は感じられませんでした。
トラウマや迷いがあったとは言え、月羽を放置した挙句あっさり手放すという選択はドライすぎたように思えます。
月羽の人生って何だったんだろう?という疑問が残り、手放しで喜べないラストシーンでした。
月羽をいびったジェイドがお咎めなし、というのもなかなか酷い話で、最後まで読んでもカタルシスを得られない一冊でした。

13

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