もうひとつのドア

もうひとつのドア
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神15
  • 萌×25
  • 萌4
  • 中立3
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
9
得点
110
評価数
27件
平均
4.2 / 5
神率
55.6%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
新書館
シリーズ
ディアプラス文庫(小説・新書館)
発売日
価格
¥560(税抜)  ¥605(税込)
ISBN
9784403520501

あらすじ

―きみはこれからきっと幸せになれる。
生きる希望もなく、不幸に慣らされていた広海にそう言ってくれたのは、大きくてあたたかい手を持つ、三夜沢だった…。
理不尽な借金に追われる十七歳の広海は、バイト先に客として現れた少女とその父親・三夜沢と知り合う。
娘に冷たく見えた男にはじめは反発を覚えるものの、いつしか三夜沢の不器用なやさしさに惹かれ…。

表題作もうひとつのドア

三夜沢雅人・建築家・30代
村上広海・フリーター・17歳

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レビュー投稿数9

イイハナシダナー

イイハナシダナー…という感じでしたが…うーむ。三夜沢と広海の関係は恋人ではなく親子のほうが自然なように思えて、BL的な萌えは残念ながら分かりませんでした。

私の読んだ限りですが、月村さんの作品は常に「恋愛」と同じかそれ以上に「家族愛」がテーマになっていると思います。そのこと自体はいいのですが、天涯孤独の17歳の少年と30代前半(7歳の娘あり)とのお話で、下手したら父親よりも娘との会話のほうが多い上に、ベッドシーンも含めて恋愛ならではの描写があまりないのです。いっそのこと「広海が温かい家族の一員になるお話」で終わったなら「萌x2」だったのですが、最後の最後で辻褄合わせのように三夜沢が恋情を告白してきて「???」となりました。

いや、両想いになるだろうなと思って読んではいたのですが、二人ともゲイじゃないのにそんなにあっさり肉体関係になるかね…と冷めた目で見てしまいました。

広海の人生がこれから明るく楽しいものであってほしいと思います。

0

やっぱスゴイと思った、月村先生。

この作品を読んで先生の力量にKOされてしまった。大衆ウケするエンタメ色は皆無ですが、物語をパーソナルなものとして受けとめるタイプの読者には強く響いてくるお話だと思います。

主人公は母親にネグレクトされた十七歳の広海。母親は既に他界しているが、ソリの合わない義父から、これまでかかった養育費と称して金を要求され毎月返済している。高校へは行かずバイトを掛け持ち、まるで借金返済のために働くだけの日々。バイト先のパン屋の客で小学生の女の子、美生(みう)の健気な姿に幼い頃の自分を重ね、広海は彼女のことを心にとめていた。

美生がホント、チャーミングなんですよね。孤独な広海は彼女の子供らしい屈託のなさに癒され、美生との出会いがきっかけで広海の世界が少しずつ開かれていきます。

広海の悲しいモノローグに何度も涙が出そうになっちゃって、移動中に読むのをやめました。多分、彼に共感する部分がたくさんあったからだと思うんですけど、不思議とイヤな気分にはなりませんでした。広海がネガティヴなままではなく、それまでに染み付いていた思い込みや考え方を別の見方で捉えられるようになっていく変化が描かれていて続き、わたしにはそこが一番、読んでいて励まされたところです。

たまたま某質問サイトで、読んだ小説の中で最も感動した作品としてこれを挙げられていた方がいらっしゃったのを見つけ、期待して読み始めましたが、すごくよくわかるような気がしました。

出版年からするに、まだJUNEの香りが微かに残る頃。主人公の自己確立と自己肯定、そして自ら幸せに生きていくための居場所を見出すまでが物語の核にあった頃の、ラブストーリーというよりかは愛情物語だと思います。

2

何度も読み返している本です

 最初に本が来たときは、あまりの薄さに驚きました。うわあ、薄い。こんな本を買うんじゃなかったと後悔しましたが、読んでみると、値段以上の価値があると実感しました。
 恋愛要素は、薄いですが、好きでたまらない人に告白されても素直に『はい』と言えないひねくれた性格の主人公が個人的にはすごく好きです。
 幼少期の虐待、トラウマなどから、ひねくれながら生きてきた主人公が、今まで自分が経験してこなかった明るいこと、楽しいことに触れていく様子で、さまざまな感情が浮かんでくるところが気に入って何回も読んでいます。
 BL小説というよりも、一つの小説としてとても素敵な物語だと思います。

4

不幸な過去を持つ者同士

1冊丸ごと表題作です。広海の目線で進んでいきます。

母親に虐待され、自分の誕生日に自殺された過去をもつ広海(受け)。
妻が浮気相手と無理心中したので、娘の美生と暮らす三夜沢(攻め)。
そんな二人が出会い、恋人になるまでの話です。

母親に愛されなかったことから人間不信になっている広海が、三夜沢や美生たちと過ごすうちに、嫌われることに臆病で壁を作っていた自分から脱却する成長物語でもあります。

内容が人の死を扱うものなのでシリアスチックですが、読むのが辛いほどの重さはありません。

三夜沢は広海に優しいですが、笑顔で包容力のあふれる男ではありません。ぶっきらぼうなので広海には分かりにくいのですが、そこが読んでいる方としては萌えるところではありました。

広海の借金を三夜沢が払ってもめる場面があるのですが、広海の気持ちも分かるし、三夜沢がそうしたかった気持ちも分かる。登場人物の心情に共感しやすく読みやすい作品でした。子持ち年上攻め、不憫年下受けがお好きな方にお勧めです。

2

他人から家族へ

愛に恵まれず育った苦労性の主人公に男前な社会人。
こういう歳の差モノは組み合わせとしてはある種のテンプレートにも感じますが、とても大好きな設定です。

家庭に恵まれず、学校にも通えず、狭いアパートで借金返済の為だけにバイトを掛け持ちする主人公・広海。
気が強い一面もありますが、思考はネガティブ。こういう鬱々した感じの作品、上手くやらないと健気さにほだされる反面、卑屈さが鼻についてしまう気もするのですが、このお話はそんなこともなく、只管広海の行く末や結末が気になって一気に読めました。

劇的な展開はないのですが、その分、広海の生い立ち、三夜沢と出会って変わっていく思考や、自分がこの先どうなりたいか、自分がいままでどこが駄目だったか、そんな内面が上手く整理されていて、素直に読んでよかった、面白かったと思えました。

愛情に恵まれなかった分、誰かに期待する事も信じる事も自分から誰かを愛する事もしなかった広海。親切は偽善ばかりと虚栄を張ってきたけれど、三夜沢親子と出会った事で自分を傷つけられないために誰も信じないと決めた虚栄心が誰かを傷つけると学びます。
過酷な環境で育った広続き海が、誰かに教わる事無く自分でそれに気づいた所にお決まりな展開で終わらない満足感を感じました。

本当は神評価を付けたいところですが。。。BLという要素があってもなくてもある意味で成り立ってしまうお話ではないかと所々感じたので星4つで。妻に先立たれ、男手一つで幼い娘を育てる会社員が、不幸な境遇の男の子と出会い、家族の交流を深めていってやがて家族になる…というハートフルストーリーでも成り立ってしまう気もしました。

3

ドアは開くのか開かれるのか

月村さんの書く健気少年はむっちゃツボです。
自分はどうも昔っからいい子な少年にもっそい弱い。
それは子供の頃に読んだケストナーやリンドグレーンの児童書だったり○○名作アニメ劇場シリーズであったりその頃からともかく健気でいい子な少年が好きだったので、三つ子の魂何とやらは本当だなーとしみじみしてみたり。
そしてそういういい子な少年には幸せになってもらいたいし、いい子な少年は相手も幸せにしてくれる存在だと思う。
この作品に出てくる広海は、彼の生きてきた境遇のせいで児童書や名作アニメのいい子な少年より臆病で意地っ張りで繊細だけど、根っこの部分は自分の好きな「いい子の少年」と共通してる気がします。

広海[受]は母親に嫌われ、母の恋人の男に虐待されて育ち母の自殺後は中卒でその男への借金を半ば意地で返しているオンボロアパートに住むフリーター。
三夜沢[攻]は彼のバイト先によく買い物に来ていた女の子美生の父親で、奥さんは美生が2歳の時に自殺しており父子家庭。
仕事が忙しくなかなか娘にかまってやれない三夜沢は美生の世話のバイトを広海に持ちかけ、三夜沢本人に反感はあるものの美生と自分の為続きに面倒をみる事に。
そうして近くで見る様になって広海は三夜沢が決して冷たいだけの父親で無いのを知っていくのですね。
広海の年齢は17歳で年齢よりしっかりしている部分もある反面、三夜沢親子と一緒に食事をしているだけで涙ぐんだり、何気無く買ってもらった靴が生まれて初めてのプレゼントで凄く大事にしたり、旅先でこれも三夜沢が買ってくれたお土産物の兎の箸置き5つを幸せの象徴の様に思ったりとそういう大人から与えられる無条件な愛情には免疫が無くそういった所がまだ子供の部分であるのが彼の生い立ちからくるものだけに切なくて、あと良かったねーって気持ちになります。
愛情への臆病さと三夜沢の周りの人々の事を考えてしまって、恋愛と新しい世界への扉の前で足を止めそこで立ち止まってしまう広海がいいんですよー。
構わず飛び込んじゃえばいいのにって思うんですけど、いい子だから考えちゃう。
その臆病さが、いい子な臆病さがたまらんです。

最後は広海は自らドアを開けたけど、三夜沢のドアを開いたのは広海なんじゃないかな。

黒江ノリコさん挿絵は口絵の次のモノクロのタイトル画(何と表現すればいいのか分からない~扉絵でいいのかな?)で広海が床にくの字に寝て男のシルエットがあるイラストが印象的。
それ以外は普通かなあ。
あと自分的に、おっと思ったのは2001年発行で手持ちのは2006年5刷でした。
ディアプラス文庫さんの再刷や既出在庫状況は分からないのであれですが、単作で5年絶版にならず出続けているのは結構長目な気がします。地味に読み続けられてるんだなあという印象を持ちました。

4

バツイチ無愛想男との純愛...

月村さんの作品の中でも、ひたすら悪い方向ばかりに考えてしまう
主人公じゃないでしょうか?
この家庭環境じゃ前向きな考えになる方が無理なのかもしれないけど...
でも、バツイチ子持ち、無口で無愛想な三夜沢(ミヨサワ)とどう話が
進んでいくのかドキドキしながら読みました。

三夜沢と広海の初めての会話は言い合いで始まったものの、
子はかすがいとばかり、美生を通じて徐々に2人の距離が近付いていく
流れがとても好きです。
美生ちゃん無くしては2人は出会うこともなく、
結ばれることもなかったんだろうなぁ...
でも、途中何度も三夜沢の愛情に気付けず、反抗的な態度ばかりとる
広海にイライラしました。
もう少し子供らしく三夜沢に甘えたらいいのに、小さい頃からガマン
することばかりしてきた広海は甘え方を知らず、無条件に与えられる
優しさに逆に不安を感じて引いてしまう。
三夜沢家に通うことで家族の温かみを知り、甘えたくて仕方ないのに...

広海と接していくうちに三夜沢は口数も多くなり、広海に対する愛情が
見え隠れし出して、いよいよかと思った矢先に借金肩代わり問題発続き生で
また振り出しに逆戻り...
それに、みのりからは悪意を感じるような思いやりのないセリフの
オンパレード...
目の前にその環境の子がいるのにこのセリフはありえないよねぇ~
女のカンで2人の間にただならぬ雰囲気が漂ってるのを感じたからこその
セリフだと疑ってしまうほど...

三夜沢の告白にはキュンときました。
このまま胸に飛び込めよ~!って思ったのに、また同情だと思い込み
逃げる広海ですが、ラストでは広海から抱きついて告白。
三夜沢のセリフに顔がニヤけ、またキュンキュン★
年の差バツイチだからこそのスローテンポなジワジワした話の展開に
切ないやらじれったいやら...
ことの後に、熱いタオルで広海の体を拭いてるとこは絵で見たかった~
あと、無口なわりに、意外と真顔でクサいセリフを最後に言ってくれた
三夜沢さんには萌えました~www

1

何度読んでも泣ける

月村さんお得意のグルグル後ろ向き思考の受けが主人公なんですが、あまりにも悲惨な生い立ち、境遇のために、ここまで後ろ向きでもしょうがないか、と思ってしまえるぐらいで、途中、何度も落涙しながら読みました。

月村さんの中では一番好きかな。
もうちょっとBLらしい方向に進んでもいいあたりで、それでもエロい方向にはいかないあたりが、月村さんらしくもあります。

ラストも、ハッピーエンドはハッピーエンドなんですが、まだ問題は山積みという気がしないでもないあたりが、やっぱり月村さんらしいかも(苦笑)

3

子はかすがいモノ

主人公は17歳のフリーター(受け)。母親は自殺、義理の父親は定期的に金をせびりにくるという、悲惨な境遇のなかで生きている。
ある日、バイト先で出会った少女と仲良くなり、その少女の父親(攻め)とも親しくなります。
父娘にベビーシッターとして雇われ、同じ時間を共有しているうちに、主人公はどんどんその父親のことが好きになっていってしまう──。

子はかすがいモノです。
前半は面白かったんですが、後半がいまいちでした。
月村さんの小説にはよくあるんですが、攻めに告白されたあとの主人公の極端なマイナス思考についていけなくなってしまった。そのせいで切なくなれず。

2

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