• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作遠回りする恋心

平岡喬介、錬が思いを寄せる温和で社交的な同級生
小山田錬、性癖を隠してキャラを作る経済学部二年

その他の収録作品

  • 空回りする恋心
  • メガネ(真生るいすコミック)
  • あとがき

あらすじ

錬は大学で出来た親友の喬介に、ひそかに片思いをしている。
一緒にいる天国と地獄を味わううち、なんだかバランスが取れなくなって……?

作品情報

作品名
遠回りする恋心
著者
月村奎 
イラスト
真生るいす 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524073
3.7

(120)

(30)

萌々

(47)

(28)

中立

(7)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
20
得点
429
評価数
120
平均
3.7 / 5
神率
25%

レビュー投稿数20

脇役が主役を食っちゃってる気がします☆

作家買いです。月村さんはたま~に当たりはずれがあるので(いや、失礼!)ちょっとドキドキしながら手に取りました。内容は、というと。すみません、ネタバレしてます。




大学生の錬は中学生の時にゲイである自分の性癖を自覚して以来、自身に引け目を感じています。ゲイであることがばれないように必要以上に豪胆な態度をとることで自分を守っています。
そんな彼は、大学生になり出会った喬介にひそかな恋心を抱いていますが、それを喬介に告げることはせず、友達としての立場を貫いています。が、喬介への想いが募るにつれ『友達』として彼のそばにいることがつらくなり。
そんなある日、勇気を出して赴いたゲイバーで一人の男性と出会い…。

というお話。

月村さんというと、健気でネガティブな受けさんというイメージですが、この作品の錬もいい感じのネガティブさんでした(←とてもツボ)。
喬介のことが好きで好きで、でも友達という立場を失うくらいならこのままでいい。
グルグル空回りする錬がめっちゃ可愛いかったです。

喬介もいい男なんです。
ビジュアルもですが、思いやりにあふれた優しいナイスガイでした。

ただ、錬が喬介への想いを持て余し、精神的に助けを求める錬の通う大学の事務職員の矢崎。彼の存在が大きすぎました。
錬がゲイバーで出会った矢崎。
彼となら、ゲイである葛藤を共有できる。
男を好きになってしまう苦しさも理解してもらえる。
恋心を持っていない分、ドキドキすることも切なくなることもない。
錬の、矢崎に感じる安らぎも共感できるのでそこでモダモダする錬の葛藤が非常によかった。

飄々とした矢崎の、切なすぎる過去や、実は思慮深く優しい彼の内面とか。正直、主役の喬介を食っちゃってるなあと思ってしまった。矢崎に割かれているページ数も、喬介に比べてだいぶ多いです。
あとがきで読者から「矢崎を救済してください」という声が大きかったと月村さんも書いていらっしゃいますが、まったく同じことを思いました。ぜひともスピンオフで彼を幸せにしてあげてほしいなと思います。

終盤に挿絵を描いていらっしゃる真生さんの描かれた漫画が「メガネ」というタイトルで見開き1P分掲載されていましたが、こういう趣向はとても楽しいなと思いました。

月村さんの描かれるネガティブ受けがお好きな腐姐さまにはお勧めしたい、月村ワールド満載の作品でした。

14

これを求めていました!!!

月村先生の作品は作者買いしています。
とはいえ、このところちょっと個人的に求めている萌えツボとちょっとずれてしまっていて、楽しく読みはするものの、神萌え・・・とはならず正直物足りなかったんです。
でも、久しぶりに求めているものが来ました!!!!!
受け様・攻め様が親友同士、(受け様的に)不毛片想いと思ってぐるぐるしてしまう、受け様が意地っ張りで強がりでコンプレックスの塊、攻め様の人間性と包容力の高さがもう神レベル(まさに王子様)、攻め様の受け様への嫉妬心に執着心に欲情っぷりが素敵、恋と自分自身に悩みドツボにはまる受け様に手を差し伸べてくれる人の登場・・・と、私が勝手に個人的に月村先生作品に求めていたシチュエーションにキャラ設定を久しぶりに見る事ができて、とてもドキドキわくわく、そして更にはぐるぐる悩む受け様の気持ちがリンクして久しぶりにホロリ涙も・・・
でも、決して重かったり暗かったり悲しかったりはしなくて、とにかく心癒される素敵なお話でした。読後感もすっきりです!!!途中も嫌だな・・・と思うようなことが一つもなかったです。

ただひたすら、攻め様と当て馬の矢崎が本当に人としても素敵で・・・
私自身は完全に受け様のような性格なだけに、彼らのようにできた人間て本当にただただ憧れときめきます。
読み終わってしまうのが勿体ないような素敵なお話でした。

10

萌要素の宝庫です( ´艸`)

勝手ながら月村奎先生の作品と言うと暗く地味なイメージがあり(すみません>_<)、ながらく未読でした。
ただ評価がすごく高いので気になり読んでみたところ、がっつりハマりました。
何でもっと早く読まなかったのか後悔しつつ、既刊を片っ端から読んでます!

さて、ネガティブな受けと包容力攻めという黄金カップリングです。
最近は女装物がやたらと多い気がしますが、嫌いではないけれど萌えもしないという微妙なジャンルでした。
しかし、この作品ではものすごく萌えました(//∇//)
女装が随所で上手く使われているせいだと思います。
特に攻めが受けは女装好きだと思い女性用の服をプレゼントするくだりですね。
受けは、もともとノンケの攻めなので女装していない素の自分は好かれないと思い、少しでもひかれないようにと涙ぐましい努力をします。
お約束の誤解や思い込みによるすれ違いですが、ものすごく切なくてキュンキュンします。
こんな感じでちょこちょこ女装が入ってくるので不自然さがなく、話の中で上手いスパイスになってます。

そして、なんといってもHが萌えます!!
初体験の受けがいっぱいいっぱいになるのもカワイイし、色々されるうちに訳が分からなくなり無意識に攻めを煽る事を言ってしまうのに非常に萌えます!
攻めも上手く受けを言いくるめていいようにしちゃうんですが、途中から煽られて余裕が無くなるのがいいです( ´艸`)

ご本人が金太郎飴作家とおっしゃる通り毎度この健気受けと包容力攻めのお約束のパターンなのですが、逆に言うとバツグンの安定感なのです!!
読む作品がほぼほぼツボにハマり、自分の萌要素はこのパターンだったんだと初めて気付きました(^_^)ゞ
やっぱり食わず嫌いは損しちゃいますね。
私と同じようになんとなくのイメージで月村作品を避けていた方にも、ぜひチャレンジしてもらいたいです!!

5

遠回りは恋以外にも必要不可欠かもしれない

真生るいすさんのイラストと月村さんの作品って
あまりピンと来ないイメージがあったのですが
(すみません)
読ませていただいたら予想以上に良かったです!!

性嗜好が普通じゃない事を誰にも知られたくない錬は
大学に入って初めて出来た親友の喬介を好きになってしまいます。
人当たりが良く誰にでも優しくて
テニスサークル内でも喬介を悪く言う人がいない程。
絶対気持ちを知られるわけにはいかないと
錬はつい真逆の言葉をぶつけてしまいますが…。

先日、腐友さんと「月村さんの作品って
わりとネガティブ受けが多いかも??」と話したんですが
錬はネガティブというよりはリアルにいそうな大学生でした。
本音を知られたくないが故に虚勢を張り
逆の言葉を好きな相手にぶつけて自分を守ろうとする姿に
つい心苦しくなりました。
それでも、バーで偶然出会った事務職員の矢崎に
誰にも話せなかった自分の事、喬介の事も話せて
だいぶラクになって心から良かったねって思えました。
矢崎の、自らの経験から繰り出される言葉は
錬にしてみれば“余裕ぶって腹立つ”という気持ちもあったでしょうけど
私は矢崎に肩入れしすぎて
喬介じゃなくて矢崎とうまくいって欲しいとさえ思ってしまいました!!
当て馬にしては良い奴過ぎて…!!
矢崎も、どちらかというとネコらしいので
いっそ百合ップルでもアリじゃないのか!?と…。
喬介から離れようとする錬に実はいくらでもつけこめたのに
そうしなかったのはちゃんと好きだと思ってくれていたから。
ああ…矢崎に幸せになって欲しい…スピンオフおなしゃす……。

でも不思議な事に、やっぱり喬介と両想いになれて
その後の思い違いもありつつハピエンおめでとう!って
喬介もいいヤツだから思えましたし
結構なむっつり具合も好感が持てました☆

イ○ローが、挫折を味わわない成功は
深みが出ないというような事を言っていたようですが
まさにそれだと思うのです。
遠回りでも決して無駄じゃない、
本当の幸せへの過程であるんじゃないかと思います。

…にしても矢崎……!!!!!いい男でした!!!

12

しっぽ逆立てたぐるぐるかわいい子猫ちゃん。

 雑誌掲載時から好きだなー、と思っていて、単行本になるのを楽しみにしていました。

受け様の錬君は、ゲイで一番近い友人である喬介が好きだとばれたくなくて、がちがちに鎧をかぶってます。
ちょいちょいキレて、その度にけっこうな罵詈雑言だったり、必要以上な否定をかましていて、私からしたらいやいやそこまで言わんでも、と思うシーンもあったのですが、喬介から見れば、追い詰められてしっぽ逆立ててる子猫ちゃんくらいに見えてたんでしょうね。愛だわー。

 私は攻め様が受け様にふりまわされてる姿が大好きなので、当て馬(と言ったら失礼なくらいいい人でしたが)の矢崎さんと錬くんが急接近してて、やきもきしていたであろう喬介の心中を察するとにまにましてしまいした。
更に矢崎さんに買ってもらった女装での身一つで帰ってきた錬君を見た時の喬介の心中やいかに、と妄想したら、もっとやきもち焼いて、がっつりいっちゃえー、とにやにやが止まりません。
案の定、喬介、がっつりいっちゃってました。ふほほほ。

 書き下ろし、喬介視点を期待していたのですが、そのまま錬君視点でした。
女装が好きなんだと勘違いしたままの喬介にかわいい女性用の服をプレゼントされて、こんなかわいい服が似合う子が好きなんだ、とやはり勘違いした錬君がぐるぐる悩んでてかわいかったです。

7

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP