イラスト入り
学園祭で、男ばっかのバレエ――!?
「(タイツなんてはいて)チャラチャラ躍って」「男のくせにバレエなんて」
そんな馬鹿げた偏見を軽やかにとびこえていく彼らを、爽快に思ったのが旧ノベルズ版でのこと。LOVEよりも『青春』小説という印象が強く残っていました。
今作はというと、付き合って10年後の彼らが登場する書き下ろし付きで、萌えが増量。大幅加筆もあって、青春とLOVEのバランスのとれた作品となっています。
王子様のような容姿とは裏腹に、勝ち気で口の悪い櫛形。
(弱さや不安をひた隠し、プライドを持ってがんばる姿は私のドストライク!)
一方、我慢強く男気タイプの原。
(硬派そうでいて、頭のなかで櫛形のことを何回、可愛いと言っているのか!?)
無骨な攻めがひっぱっていくとか、可愛い受けが甘やかされるという図式ではなく、前に進んでいく要所要所で手をとったりとられたり、攻受の対等性が強く伝わってきます。
それは改稿されたHシーンにもちらりとあらわれていて、人生に1回しかない初体験のきらめきがハンパないです…
(しいていうなら、幸せMAXすぎて、私はエロい気持ちになれなかったという欠点がありますが、この先も彼らはお互いのカラダしか知らないのかも、と思うと激萌えますし、書き下ろしでエロは補充)
そして、彼らの会話に安易な慰めや気休めの言葉はありません。
久しぶりに踊る櫛形に原は「大丈夫だ」と声をかけます。
それは「きっとできる、大丈夫」ということではなく、「失敗してもいいんだ。みんなうけとめてくれる、大丈夫」の意味だと思うのです。
「高校生って、キラキラまぶしい!」という高揚感に身をまかせたあとに、一歩ひいて彼らに目を向けてみると、冷静かつシビアに現実と向き合っていることに驚きます。
軽快でコミカルな印象が表立ってはいますが、どちらかというと奇抜な設定のない、地に足のついた作品ではないかと思っています。
どのシーンが変わっているかを読むことで、榎田先生の意識したポイントやバレエ愛も伝わってきて、ファンとしては非常に面白いです。新旧を比べたことで感じた完成度の高さから、神評価にしました。
カバーも忘れずに外してね。
結構なボリュームのお値段それなりの単行本ですが、楽しくってぐんぐん読めた。
榎田ユウリ名義で刊行中の高校カブキ部に通じる、芸道蘊蓄と青春物の楽しさに、
とにかく「恋に落ちてしまった」、それだけで10年以上、それ以上の恋愛関係を貫く、これぞBLな恋の物語、プラス、ちゃんとドキドキのお初エッチも、久々のがっつきエッチももりもりで、
そして、最終章。
ちゃんと話し合って誤解を解いて、大あわてで仲直りエチ。
みんなが幸せな最後のオチ!
カバー下のオマケも、今現在の高校生だからこそのオマケ。
イラストも二重丸。
どう考えても神でした………( ; ; )素敵な時間をありがとう………( ; ; )
榎田さんのリブレ大版、エロティカ、スリーサムに続いて3冊目です。普段は電車などでディアプラスとか片手に収まる大きさの本をよく読むので、重くて少し不便でした。270ページほどで、1Pの行数も文庫版より多いですが、あっという間に読み終えてしまいました。
メインは、無口で大柄な原×王子のようなルックスなのに口が悪い櫛形。さらに、クラスで委員長を務める孝明と、仲良しでヒップホップダンスが得意な金髪双子・ロクッパチを加えた5人が中心人物です。はじめの3章は櫛形が転校してきてから文化祭を経てバレエを再開し、母親の病の関係で転校を余儀なくされた原との遠距離恋愛、高校を卒業するまでが原・櫛形視点と切り替わりながら描かれます。
BLでないものも含めて青春小説がとっても好きなのですが、本当に、男子高生のキラキラしたパワーと一体感は女子のコミュニティでは絶対に味わえないし、だからこそ魅力的に見えると感じます。文化祭のシーンは、本当に、みんなが高校生として鈴鳴高校で生きて、青春しているのだと思わずにはいられません………。大人になって失われたものの存在を思い出します(笑)
もっとすごいのは何と言っても後半40ページ。2人が付き合い始めて10年後の話です。直前までのラブラブシーンからすっ飛んで突然櫛形との別れ話、しかも原は結婚式の前日って話になってるのでどうしたことかと思いますが(笑)、読み進めていくうちに少しずつそこに至る経緯と今の状況が種明かしされていきます。この辺は本当に文が上手い人にしか出来ないギミックで、流石榎田尤利という感じ。ゆっくり謎が解かれていって、最後の結婚式シーンで入場する時、読者がずっと気になっていた部分の種明かしがなされます。ネタバレありにしてるんですが、これは実際に読んでほしいので伏せます!感嘆したので是非ご自身で読んでください!(笑)(といっても他の人のレビューには答えあるんですが………笑 事前知識なく読むと、本当に見事な伏線回収でどきっとしました。)
榎田さんの作品、どれも心理描写が丁寧で展開もスムーズなので安心して読めます。厚くて重い割にはあっという間に読み終えてしまって、もったいない気持ちにすらなりました(笑)1400円と少しお高めですが、青春モノ好きなら損はないかと!エグさもないので、BL読まない人や初心者さんでも入りやすいのではないでしょうか。とても完成度の高い一冊でした。
櫛形(通称王子)はバレエダンサーを目指し海外留学までしたのに、大きなコンクールの予選を通過した時に怪我を負い、夢と希望を失い帰国して入学した高校で出会ったのが個性豊かなクラスメイトでした。
何もかも失くしてヤケになっていた王子が恋を見つけて夢に向かって再び歩いていこうと思えるまでの1学期の間の出来事です。
幼い頃からダンス漬けの日々を送りプロになることだけを考えていた少年が失意の中で恋と友情を得て立ち上がってくる日々が眩しかったです。
外見は王子様だけど口も態度も悪い櫛形に一目惚れしてしまったガタイのいい見た目はハードボイルド系の原が、心の中で櫛形を可愛いと思ったり抱きしめたいと思ったりキスしたくなって必死に抑えている想いが可笑しくて可愛かったです。
ほかのメンバーも個性豊かです。
ヒップホップ系ダンスに夢中でマザコンの双子の兄弟。喧嘩っ早そうだけど案外素直で単純な子達。
優等生な委員長は、子供を言いなりにさせようとする関白な父親に時に殴られても負けない。
学校生活になんの期待もしていなかった櫛形が、学園祭にバレエ公演を上演することを決めてから巻き込まれるように5人が中心になって練習していくうちに芽生えていく友情や、ダンスへの情熱を再確認していく姿に応援したくなりました。
今回、新たに加筆修正された新装版でスマホやLINEでの連絡が追加されたようですが、内容に時代感はなく高校生同士の恋の芽生えや遠恋の焦ったさにくすぐったような気持ちで読みました。
今回書き下ろされた最終章で10年後の彼らの姿をみせてもらえました。
旧版がきっともう一度ダンサーとしてチャレンジしていくんだろうなと思わせるような終わり方だったので、やっぱりと思いながら、そしたら遠恋でどうなっちゃうんだろうと思ったその先が読めてすごくよかったです。
旧版で感動した方にも、未読の方にも是非この新装版を読むことをお勧めします。
寿さんのかわいいイラストも好きですが、黒田さんのイラストも合っていてとてもよかったです。
目次で5人のメンバーが揃って顔を見せてくれたのもよかった。読んでいて場面のイメージが頭に浮かぶようでした。
怪我でバレエを諦めていた櫛形が転校先の高校で自分の殻をやぶり再び踊る道を選ぶ青春もの。
見た目は王子なのに口が悪い櫛形をはじめ
登場するクラスメイトもキャラがすごくいいです。
どでかい身体をしているのに真面目で直球な原の不器用さも大好きでした。
学際での男子バレエ披露に向けて取り組む姿や衣装を決める掛け合いには笑ってしまいました。
そして、櫛形と原の高校生らしいじれじれした関係もよかったです。(青春ですね)
原が転校することを告げる屋上のシーン
原お母さんの入院する病院の屋上のシーン
切なさと優しさがあってうるっと来ました。
そして委員長の結婚式直前に復縁した二人の切羽詰まったラブは最高でした(^^)