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表題作花蝶風月

逢坂嘉三郎
藤若

その他の収録作品

  • 花の章 妖童
  • 蝶の章 密会
  • 風の章 山禍
  • 月の章 捜神記

あらすじ

その日、逢坂嘉三郎の屋敷に現われた少年は、透けるほどの白い肌と、細面の人形のように麗しく美しい容貌をもった美童であった。以来、蜘蛛の巣にかかった蝶のごとく、嘉三郎の心は妖しくとらわれていく・・・。山藍紫姫子と名香智子が織りなす、幻夢妖美譚。

『人間ではないもの』あるいは、『とても人間とは思われないもの』をテーマとした四本の中短編小説を収めたオムニバス作品。

作品情報

作品名
花蝶風月
著者
山藍紫姫子 
イラスト
名香智子 
媒体
小説
出版社
ワニブックス
レーベル
Kirara novels
発売日
ISBN
9784847031298
3.5

(4)

(2)

萌々

(0)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
1
得点
13
評価数
4
平均
3.5 / 5
神率
50%

レビュー投稿数1

「花夜叉」や「長恨歌」への布石が見て取れる

耽美時代の山藍先生の特徴あふれる短編集。
初期の短編集「金蝕環」と同様、読後感にチリッとしたものを感じる。
それが、皮肉であったり、恐怖であったり。

山藍先生、実はけっこうな短編の名手でもあります。
本作では和テイストを前面に出したゴシックホラーといった趣が強い。
山藍ファンにとっては必読の書かと。

「妖童」
江戸時代を舞台としている。「色闇」や「長恨歌」のあやしい空気をまといつつ、
キャラクターの名前を見ると「藤若」。「花夜叉」の主人公と同じです。
幽玄な美少年があちこちのお屋敷に出入りしている謎から、
一瞬、悲恋かと思いきや、最後の一行で突き落とされる。

「密会」
ひと昔前、話題になった映画「カストラート」からインスパイアされた物語なのだろうか?
カストラートは、少年時代の高く澄み切った声を維持するために
睾丸を去勢された歌手で、
1920年代に死去したアレッサンドロ・ムスタファが最後のカストラートだと言われています。
今日ではさすがに睾丸切除はしませんが「カウンターテナー」と呼ばれているものです。
芸術の世界で「悪魔に魂を売って才能を得た」と呼ばれる人はいますが、
これもそれに通じる話。


「山禍」
これはどちらかというと、日本の怪談・奇譚のように感じられる。
美少年に化けた銀狐と、二人の男。
獣が動物系なのは、最近のBLのトレンドだが、
狐が受けっていうのはちょっと珍しい。

「捜神記」
日本神話のような話。
神話っていうのは世の東西を問わず、不条理なものですが…。

「金蝕環」よりも、個人的にはこちらの短編集のほうがおすすめですが、
山藍カラーという意味ではやや薄いかもしれません。
とくに、エロス描写があっさりとしています。

3

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