電子限定かきおろし付
宮廷王朝は全くの無知です。
今までドラマや小説など見るコトもなく今回初めて「宦官」という言葉を知りググり衝撃を受けました。元気なtnkぶった切る去勢って・・・中国の歴史怖い・・・。(宦官は中国だけのものではないですが)
と。宦官すら知りませんでしたが、とっても面白かったです。
「男根を切られた男は男なのか…」と作者さんのあとがきにありましたが、個人的には立派なBLだと思います。挿れたいのにモノがない悲壮感にもがく姿や、イキたいのにイケないもどかしさなど、違った角度のストーリーを見ることが出来ました。
「殺せ」「首を出せ」的な物騒な言葉は出ますが残虐に感じるシーンはありません。(※tnk切られるシーンはあり) メインカップルの受け(表紙のチミッ子)のホワワーンとした明るい性格や脇に登場する愉快な仲間たちのおかげで、ハラハラすることなく楽しめました(﹡´◡`﹡ )
◆皇帝(泰藍)×海燕
表紙のチミっ子・海燕(受け)のおバカな明るさは画面全体を明るくしてくれます。
厳つい皇帝様に至っては、受けと一緒だとただの可愛いオッさんにしか見えないw
海燕の笑顔にすっかりほだされた皇帝の溺愛っぷりが萌えた〜ヾ(*´∀`*)ノ
海燕のためなら軍を動かしちゃうとは。。。さすが規模が違いますw
んで。海燕が暗殺された疑惑や浮気疑惑での取り乱しっぷり!
皇帝が末端にいるイチ宦官の身一つで怒り狂う様にキュンとしました。
3話にギュッと詰め込まれているので、出会いからラストまでが性急に感じたのは残念。皇帝が宦官嫌いの部分は触れていないし、海燕や皇帝が恋に落ちる部分がイマイチ分かり難かった…。心の移り変わりをゆっくり楽しみたかったな。
でも書き下ろしの後日談はとっても良かったです。
海燕も皇帝も立場は違えど同じ不安を抱え、それでも相手を想う「好き」の気持ちを一緒に大切にして。。物語の余韻をシットリ楽しむことが出来ました。
◆文昌×麗琳
麗琳は不器用さが切ない。
賢いから無茶なことをすればどんなことになるか分かってるだろうに…。よりによって皇帝から愛人を奪って囲おうとするなんて(´•̥ ω •̥` )計算がうまく出来なくなるほど焦ってて、それほどまでに海燕が好きだったのかな…。
と、とんでもない事を仕出かした麗琳でしたが、その命を助けてくれたのは、皇帝の息子である文昌でした。奴隷以下の「犬」として生かすことで麗琳の命を守り、海燕の一件で怒りの収まらない皇帝を宥めすかして何とか収めようとしています。
文昌は文昌なりに守っていたのに麗琳は気付かぬまま。体を重ねるごとに心はほだされるけど一生犬扱い宣言で心がすれ違って…。ショックを受けてる麗琳の姿が切なキュンでした。
1つだけ残念だったのが、麗琳が文昌にほだされるのはよく分かったのですが、文昌が麗琳に入れ込むのが何故だったのかは何度読み返してもわからなかったのがモヤモヤしました。(読み取る力不足)
こちらの後日談のお二人もとっても良かったです。
愉快な犬仲間たちと共に文昌と笑って時を過ごし、永遠の愛があるかどうかはわからないけど、新芽を出し育む花に愛をなぞらえて幸せに過ごす2人の姿に心がほんわかしました(﹡´◡`﹡ )
作者さまもあとがきにBLとしてカテゴライズされるのか?という疑問を呈される疑惑さがあります。
もし、BLのBの定義を生殖器の存在にするならこれはBLではない。ただ、精神や染色体に置くなら紛れなくBLという・・・
ま、宦官が失った部分はBLコミックでは修正されて闇に消える部分でもあるんで気にしたら負けですね。
定義でもたつきましたが、内容としては中世?(いつ頃を狙ったはわからん。なんせ宦官の歴史は千年以上あるんで・・・)中国では普通に宦官がいて、そうでなくても同性愛自体は普通にある、という認識なんで案外背徳感とかはなし。むしろ宮廷の日常に同性とのエロが溶けてます、特に麗琳編の方。
電子版にはなかった宦官についての基礎知識、背景も文面説明があり敷居は低くなったと思われます。
とにかくあっけらかんと可愛い海燕に振り回されてときめく皇帝の泰藍、とにかく性格が歪んでいて美人な麗琳に振り回されてるようでそれ以上に手練れな太子、文昌の挙動が素敵であります。
コメディ主体な半分、駆け引きシリアス主体な半分でできたオンリーワンです。作者様は別バージョンの宦官もの連載中ですが、題材が難しいのに素晴らしい。
やっと紙になりましたね!布教しやすくなりました。
皇帝×アホで素直な宦官と、絶倫太子×美人でプライドが高い宦官の二編が読めます。
宦官の説明ページもあってお勉強にもなるのでおすすめです。
絵柄が可愛らしい作家さんですが、おじさんも描けるところがポイントが高いです。
えっちなところはとてもえっちで、笑えるところ
あり、涙ぐむところもありで、満足感が高いです。
なにより宦官がかわいい!!
もっと宦官について知りたいです
先に『帝國の宦官』を読みましたが、
そちらより全然好きでした!
とても良かったです!!
去勢された宦官の海燕が、
一人のおじさん?として出会った泰藍が、
実は皇帝だった……という展開なのですが、
もう一人の宦官・麗琳が絡んできて一悶着あります。
海燕と泰藍が相思相愛に、
そして、麗琳は皇太子の文昌と良い仲になります。
私は後者のカップルにとても魅力を感じました。
掴み所のない文昌と性格の悪い(笑)麗琳の、
一言で言い表せない関係性にワクワクしました。
海燕が好きだった麗琳が自分に性器がなく、
海燕と一つになれないことを悔しく思う姿も良かった。
年老いてもそのままの関係でいてほしい……
そう思える2組のカップルでした。
「宦官」という珍しい切り口を開いた作品でした。
宦官の知識がないまま読み進めましたが、補足説明があったのでより理解を深めながら読むことができました。
海燕のアホさにはずっと笑っていました。
皇帝は海燕にかなり入れ込んでいて、悪い噂から疑惑を抱いても直接本人に会うとそれを真に受けるのがアホくさくなるような破壊力を海燕はもっています。
海燕の日常の話を聞くとわりとひくのに、やっぱり海燕に惹かれる皇帝とのカップルでもありコンビのような最高の組み合わせでした。
麗琳は賢くて仕事はできるのに不器用なところが可愛いです。
自分の想いが暴走して今まで築き上げてきた人生から転落しますが、そこで出会った人達に良い意味で振り回されているのも面白かったです。
特に3バカに絡まれて麗琳が残念なポジションになったところが微笑ましかったです。
太子は少し変わった性癖があるというより面白いもの好きの、根が優しい人間性です。
それゆえ地に落ちても這い上がろうと頑張る麗琳がほっとけなかったのかなと思いました。
宦官という立場からの葛藤や思いがありますが、その中にも信頼感というものがよく伝わってくる作品でした。
海燕のもっている真っ直ぐさと、みんなを幸せにする力が読んでいる方にも笑いと幸せを感じさせてくれました。
続編が楽しみです。