恋人までのA to Z

koibito madeno AtoZ

恋人までのA to Z
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神9
  • 萌×25
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

198

レビュー数
4
得点
68
評価数
15件
平均
4.5 / 5
神率
60%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
新書館
シリーズ
モノクローム・ロマンス文庫(小説・新書館)
発売日
価格
¥900(税抜)  ¥972(税込)
ISBN
9784403560293

あらすじ

元カレの置いていった、いつも不機嫌な猫と暮らすザックは、ビデオレンタルショップ「A to Z」の経営に苦戦するかたわら、新しいビルのオーナー・トムとの虚しい恋に悩んでいた。そんなある日、ザックはクビにしたバイトの代わりに映画好きの客、アンジェロを雇い入れる。他人を信用せず、誰も愛したこともないアンジェロだったが、ザックの部屋で映画を観ながら、二人は次第に心を通わせていく。音楽フェスを通じて知りあったマットたちに誘われてコーダへ引っ越しする前日、一人の女性がアンジェロの元を訪れた―。夏が始まるコロラドで、ゆっくりと育まれる小さな優しい恋。人気のコーダシリーズ、第2弾。

表題作恋人までのA to Z

ザック・ミッチェル,レンタルビデオ店経営者,34歳
アンジェロ・グリー,映画好きの客,27歳

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レビュー投稿数4

愛っていう

翻訳ものの作品ですが、ミステリーやサスペンスでもなく、ファンタジーでもなく、コロラドの片田舎を舞台にした、本当に恋愛にのみ重点を置いてかかれた作品です。
この翻訳もののレーベルは自分も全ては読んでいませんが、どれか読みたいけどどうしようかと思っているかたには是非おススメしたいです。

こちらはシリーズものと銘打っていますが、主人公は違うし独立したお話ですのでこれ一冊で問題なく読め、一人称で読みやすく、しかし文章は非常にユーモアがあってほんとに上手い!って思います。

ストーリーは細かく説明すれば長くなりますが、大筋は非常にシンプル。
田舎でレンタルビデオ店を経営するザックと、そこにバイトで入ったアンジェロが恋人になって、その恋を育んで行くストーリー。
この2人の境遇は正反対で、新鮮なカップルでした。
ザックは世間に疎くやや温室育ち気味の鈍感なキャラクターで、アンジェロは施設育ちで周りを信用せず独りで行きて来たキツめの性格です。
お坊ちゃんとノラ猫という感じ。

私は最初ザックの性格がどうにもつかめず・・・遊びまくって恋人に捨てられ、したい仕事も見つけられない…頭の続きちょっと弱い小悪魔的なキャラなのか??と思ったら実は結構な温室育ちのお坊ちゃんです。
小悪魔的なのはアンジェロのほうかも。頭が回って小柄なのにエネルギッシュ
です。大してザックは慈しみに溢れていて優しく・・・読めば読むほどこの2人が本当に面白くて堪らなくなっていきます。
かみ合わない会話も面白いのです。

タイプは全然違うのに、2人はとてもよい友人になり、居なくては寂しい存在になっていきます。最初、この「友人」という期間を経たことがのちのち重要になってくる、そういう描かれ方をしていることがとてもよかった。
お話は両方の目線で進みます。それがどっちの気持ちに偏ることなく読めてよい演出だと思いました。

前半は2人が結ばれるまでなのですが、そこまでで十分ハラハラドキドキしたのに、後半は幸せになれたと思ったら、2人が本当に愛し合うまでにまだひと山もふた山もある…という展開。
本当に他に特別な設定がなく純粋なラブストーリー要素だけでこんなにハラハラと最後まで読ませられるというのはすごいと思います。

2人はビデオ店を追い出され、新しく住む町を探しながら、それでもいつしか今までとは違った「人生とは」という答えにたどり着きます。
2人が漂っている波間というのは生きるためにしなければいけない最低限のことで、仕事をして食べていかないととか、寂しいから恋人がほしいとか、家族のことも仕事のことも2人は「お互い」という基盤を見つけたことで、何もかもが不安になる必要はなく、取るに足らないことなんだと気づいていきます。
日々を生きるだけでいっぱいいっぱいだった2人が最後は未来のことを考えるように
なっていく。この一冊の本の中で2人の生活も考え方も大きく変わっていきます。

アンジェロというキャラクターがとても複雑で、このお話の後半部分をこんがらがらせています。
愛を返すということがとても難しいアンジェロと、何かをしてもらいたいわけでないというザックの会話、思念はこんがらがっていて同じフィールドで話ができていない感じです。
それを、ゆっくりゆっくりと紐といていき、最後には読んでいるこちらも納得して非常に感動できるような一本の道に繋がっています。
こうしないといけないとか、あの恋人たちみたいに、とか、そんなことはない、愛っていうのは同じものを返さなくてもよいのだと、何だか難しく考えてしまいそうですがとてもシンプルなお話で、でもとても感動します。
読んでよかった~と思いました。

最後に・・・リバーシブルがありますので苦手な方は注意を。しかし私はどっちが上になるのかかわからず読んでいたのでそこまで気にはなりませんでした。
というよりこの2人はもともと自分がこうだと固定した役割を持っていないようなので、そのあたりは普段読む日本のBLと概念が違っていて不思議な感じかも。

最後まで読んでも、2人はやっとこれから・・・という感じですね。
どこかでまた(シリーズの続きとかで)この2人のそれからが見られたらなぁと思います。

1

ローションはルーベって言うのね

「人気のコーダシリーズ第2弾」とされていますが、全く新たな場所で、新たな主人公達のお話がはじまります。

ザックとアンジェロ、それぞれの語りで交互に進む物語構成は、それぞれの心情がとてもわかりやすいです。
最初の方は、自分で自分のことがわかっていなかったザックのことをアンジェロがやきもきしながら見ていることで、後半は、自分でも自分の感情を制御できずにいるアンジェロのことをザックが根気強く待つことで。

ザックがトムの本性と自分の本当の気持ちを知るきっかけとなったフォーク・フェス。
ここで前作の主人公達と今回の主人公達が偶然知り合う事で、ようやく前作とつながります。
お互いに愛し合い信頼し合っているマットとジャレドの同性カップルを目の当たりにすることで、ザックとアンジェロの関係も大きく転換します。

前作もそうでしたが、当然のようにリバあります。
トムに対しては受けだったザックが、アンジェロに対しては攻めになるからじゃなくて、ザックとアンジェロがお互いの愛を確かめ合うリバです。
これって、すごく自然なことだと思うの。

1

赦しを問う物語

マリー・セクストンによるM&M小説の翻訳2作目
シリーズ名とは裏腹に、実にページの半分近くの舞台はコーダではなくアーバダだったりする
この作者に限らずモノクローム・ロマンス文庫で翻訳される作品全般に言えることだが、
主人公たち自身がセクシュアルマイノリティのクローゼット化やゲイ・フォビアによるバッシング等の問題を抱えており、主人公たちを取り巻く好意的でない環境とそれに対する彼らの思い無しが描かれている。
一部好意的な州や同性婚の全州合憲化等アメリカは同性愛に寛容というステレオタイプなイメージを持ちやすいが、前作作中でしきりにマットとジャレドが気にしていたように、地域にも大きく左右されるし田舎では偏見も根強い。
アンジェロも一見自身の性的嗜好に肯定的なようだが、その実クィアであることを気にし、パートナーと同居して人並みの幸せを得ることに強く不安を抱いている。
そんなアンジェロと人間はいいけどにぶいと言うよりフォローのしようがないザックの恋の鞘当てを縦軸に、アンジェロが自身と彼の家族だった人を赦し始めるところまで、彼が本当に自分を肯定できるようになるまでが丁寧に描かれている。
続き
彼の心情がそこに至ったのは、人間はいいけど以下略なザックのずれてるけどだからこそ論理的な答えより先行する包み込むような優しさと、コーダの友人たちやその家族の肯定的で好意的な環境によるもの。
この、「自分を肯定できない人たちが内面の傷を癒し、自分や相手ひいてはそれをとりまく世界を肯定できるようになる場所」がコーダであり、今後もコーダシリーズはこの路線で行くのだろうという優しいお話しだった。
それにしても、トップとボトムはお話のニュアンスで意味は分かるものと思うが、「クィア」なんて言葉は一般的な腐ってる層には馴染みがない言葉かと思うし、その辺は訳者さんが注釈するなりニュアンスが通りやすい言葉に意訳出来なかったものかと思う。辞書で引くくらいではとても軽くなってしまう言葉だし、日本のBL作品と違って別に明確に読者が女性を想定されているというわけでもないM&Mを翻訳する意義に関わることかと思うのだけど・・・。
あとちるちるのシステム上仕方ないことではあるけど、他のモノクローム・ロマンス作品を読んだことある方はご存知の通り、基本的にどちらが明確に受けでも攻めでもないのがリアルなゲイを題材とするM&Mの性質であるし、作中であるようなトップを譲る譲らない問題にあるように本人たちも受けは受け~攻めは攻め~みたいな意識もないのでBLとして読む方はリバ前提だしそれが当たり前の世界とでも思った方がいいかも

3

コーダシリーズ第2弾

『ロング・ゲイン~君へと続く道~』に続くシリーズ二作目。
主人公カップルは変わりますが、前作のマットとジャレドも登場。今回のカップルの良い友人&相談役として良い味出してます。

あらすじ:
レンタルビデオ店を営むザック(34歳)は、常連客のアンジェロ(27歳)をバイトとして雇うことに。
ビルのオーナー・トムとの虚しい恋に疲れ気味のザックは、アンジェロと映画について語り合う時間に安らぎを見出していき…

※前半はトム×ザック、中盤からはザック×アンジェロで、最後の方に一度だけアンジェロ×ザックあり。


ザックは大卒の坊っちゃんで、目的なくフラフラ生きてきたゲイ。
映画好きでもないのになりゆきでレンタルビデオ店の店長になり、
彼氏には逃げられ、新しく知り合ったトムとはセフレのような関係で…と、冴えない日々を送っています。

そんなときアンジェロと親しくなり、彼の映画への造詣の深さや利発な言動に惹かれていきます。
トムをフッたことで店を追われるザックですが、坊っちゃんタイプの彼が初めて一緒に未来を生きたいと思える相手と出会い、自分の意志で様々なことを決めていく続き姿にはじんわり感動。
小さな変化ですが、30過ぎて自分の内面が変わる程の相手と出会えるというのは得難い幸せだと思います。


アンジェロは母親に捨てられた過去から、人と深い関係を築くことに恐怖を抱いている青年。
一見物怖じしない性格ですが、後半明らかになる彼の心の壁はなかなか厄介。

そんな彼が、恋人のザックのおかげで少しずつ変わっていく姿も感動的。
愛され慣れていないアンジェロにとって「愛してる」と言われ「知ってる」と返す行為は大変大きな意味を持つものと思います。

アンジェロの母親が彼を捨てた理由について最後まで明らかにされないところもポイント。
理由はどうあれ彼女が息子を捨てたことは事実で、アンジェロがトラウマの元凶たる彼女を少しだけ許せるほど幸せになれたということが重要なのだろうと思います。


全体として、何気ない日常の中で最愛の相手に出会えた喜び、その相手と時を重ねていける幸せがひしひしと伝わってきて、そこに何とも言えないリアルと感動がある一冊。
相手を愛する自然な行為としてリバが描かれているのもとても素敵でした。

ザックとアンジェロの視点が交互に入れ替わる構成も、相手への想いが少しずつ変化していく過程を丁寧に描く手法として、非常に良かったと思います。


前作のマットとジャレドがその後非常に良い関係を築いており、それが第三者のアンジェロ視点で描かれるというのも萌ポイント。
ストレートのマットとゲイのジャレド、それぞれの相手に対する接し方の違い(byアンジェロによる考察)も想像して萌えました。

今後も既刊カップルが次回作カップルの相談役として登場するのであれば、巻が進むごとに世界観の深みが増していきそうで楽しみです。
次回作の邦訳も近いうちに読めることを祈りますv

2

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