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早寝電灯さんのデビューコミックス。
表題作を含め4つの物語と、巻末にそれぞれの”その後”が描き下ろしで収録されています。
〇半壊の花(前後編)
入れ替わりをゲームのように楽しむ双子と、それを見破った同級生の物語。
双子の片割れの”死”を起点に、3人が出会った高校時代に遡ることで、現在の痛みや切なさを伴う喪失感が非常に巧く描かれた良作。
特にクライマックスからエンディングにかけてがすごく良かった。
〇扉の向こうの凪いだ海
下宿人大学生と、怖がりの大家さんのお話。
こちらは早寝電灯さんのデビュー作で、眠れない夜に読みたくなるような、絵本のような物語BL。この雰囲気、好きだなあ。
〇嘘つきたちの食卓
料理人と物書きのお話。
男同士のデリカシーのない体の関係。気持ちはあるのに中々踏み込めなくて…
不安な気持ちを表現した物書きのモノローグや泣き顔がとても良い。料理人らしい攻めの最後の台詞もじんわりキュン!『その後』も含め、一番好みのお話でした♪
〇稲穂に帰る道 / 稲穂につづく道(稲穂シリーズ)
『稲穂に帰る道』では高校時代、『稲穂につづく道』では大人になってからが描かれた、切なく瑞々しい田舎の同級生BL。
田舎の噂話への恐れ、両親への罪悪感、そんな中で精いっぱい育んだ淡く幼い恋心。稲穂とススキに覆われてできた、”恋人らしいこと”があまりにも健気で初々しくて涙が出ました。『その後』がめちゃくちゃ可愛かった♡
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先のレビュアー様も書かれていますが、どの作品も引き込まれる物語ばかり。
キャラクターやストーリーが本当によく練られているし、心理描写も非常に丁寧で、それに伴うキャラクターの表情もとっても魅力的。
個人的に最も惹かれたのは、作中のモノローグです。時に抒情的に、また時に恥ずかしい程ド直球。でも、だからこそ胸に響き、熱を灯してくれる。
あと、タイトルセンスがもう、すごく好きです...
奇をてらうストーリー展開や刺激的なベッドシーンはないし、画が少し粗削りに感じる部分もあるけれど、読後じんわり温かな余韻をもたらしてくれる味わい深き珠玉の作品集。おすすめです!
追記:当初”萌×2”と評価しましたが、繰り返し読み作品と向き合った結果、”神”に変更致しました☆
凄く良かったです!!
デビュー作とは思えない完成度の高い作品でした。
とにかく心が揺さぶられました。
絵柄も表紙から受ける印象とは違い、味があって感情豊かに描かれていて好きです。
特に受けがどれも目つきが悪くて男前で真っ直ぐな気性で好き。
表題作は前後編の短いお話なのに、ぐっと世界観に引き込まれてしまい、思わず泣いてしまいました。
短編の田舎の高校生同士のプラトニックな関係性も情景描写が目に浮かぶようでした。
なんて青くて切なくて懐かしいような焦がれるような気持ちになるのでしょうか。
短編でここまで心揺さぶられるのは珍しいです。
その他のキャラクターもそれぞれに生きていて、感情がよく分かるからこそ、一緒に切なくなったり嬉しくなったりできました。
あらすじを書くと陳腐にしか表現できないので、ぜひ手に取っていただきたいです。
短編集ですが、どの作品も読みごたえがあり、まるで良質な短編映画を観ているような気持ちになりました。短編なのに、そう思わせない濃密な時間が詰まっている、という感じで…。
繊細で美しいモノローグやセリフの数々、丁寧なストーリー展開、登場人物たちの人間らしい不器用さ…。派手な作品ではありませんが、読み終わったあと心がじんわりとあたかかくなり、優しい気持ちになれます。
特に私は、最後の「稲穂に帰る道」「稲穂につづく道」のお話が好きでした。
「稲穂に帰る道」では田舎の高校生の健気な恋が描かれています。噂になるのことへの恐れや、親への罪悪感から恋人らしいことはできなかったけれど、秋になると稲穂とススキに隠れてこっそり手をつなげるのが嬉しかった、という幼くもまっすぐで純粋な恋心に胸が締め付けられました。
そのふたりは一度別れてしまうのですが、大人になり再会するまでを描いたお話が「稲穂につづく道」です。
バラバラに東京に出てきていたふたりが、とあることをきっかけにメールでやり取りするようになり…という、一途な恋心が再び実を結ぶ様子は、一度別れを見ている分、よかったね…!と心から思える展開で、最後のシーンでは涙してしまいました。本当にいいラストでした…!
描きおろしのその後も、とてもよかった。
モノローグやセリフの言葉が、胸に響く美しさで、絵はまだ少し粗削りな感じもありますが、雰囲気に合っていると思いました。
一話一話が丁寧に作られていて、何度も読み返したくなる(実際に何度も読み返している)作品です。
2017年度入って初めての神です。文句なしの神。神を10個くらい差し上げたい気分。
自分でも訳のわからない感情に襲われて、瞼が腫れるほど泣いてしまいました。
断っておきますが決して悲しい話ではないんです。バッドエンドでもありません。
これがデビューコミックスとは末恐ろしい作家さんですね。
今後も絶対に追い続けようと思いました。このような作品に出会えた事に心から感謝したいと思います。
全部で4カップルのお話と、書き下ろしでそれぞれのカップルの続きが入っています。
通常短編集だとどれかは流し読みで終わってしまったり、興味をひかないものが一つくらいはあって当然なのですが、こちらの短編集にはそれがありませんでした。
そしてもっと続きがよみたいなぁ・・・、この設定や内容ならもっと長編で描いて欲しかったなぁ・・・といったモヤモヤ感もありませんでした。
短編という制約の中でしっかりと収まるように、過不足なく100%描ききっていらっしゃいました。
心の琴線に触れてしまってボロボロ泣いてしまったのが【稲穂に帰る道】
人の噂が一瞬で広まるような田舎に暮らす高校生カップルのお話です。
切実に惹かれあって求めあっているのに、周囲の目と両親への罪悪感から恋人らしいことが殆どできない二人。
秋になり辺り一面の田んぼが黄金色に輝く季節になった時、それを背景に笑う恋人(受け)の姿を
「その小さめの姿で 振り返って 稲穂の金より明るく笑う」
と書いていらっしゃるのですが、この文章だけで泣けて泣けて・・・
なんなんでしょうね。
なんでこの一文に心が動かされてしまうのか。
一体どういう仕掛けがこの作品には施されているのか。
そして秋になると背よりも高くのびたススキに隠れて、外で手を繋いで歩けることが嬉しかったという彼らのいじらしさ。
そんな彼らが別れてしまって、大人になってからの再会を描いた【稲穂につづく道】
こちらも読み手の希望を余す事なく描ききっていただいたので、ただただ満足です。
短編集でも長編を読んだ後のような心地よい疲労感。
そして泣いたせいで瞼が重い。
しばらくこの余韻に浸っていたいと思います。
短編なのであまり期待していませんでしたが、これは凄くいいです。
かなりオススメします。絵はあまり好みではありませんが内容がよくて全くきになりません。というか、読んでる内に絵もすきになります。
四つのお話が入ってます。短編ものでも満足できるんだ!!と初めて思った作品であり、未だこの本以外で満足した短編集はありません(まだ私が未熟なだけかもしれませんが^_^;)これ短編なのか?と思えるほど内容がよくて、胸にのこります。
一番お気に入りは一番最後の稲穂に帰る道という作品。これ、かなり好きです。田舎の高校生カップルが進路で片方の子が上京し離れ離れになることが怖くて耐えられずお別れするものの、数年後再会する話ですが。描きかたもいいし、切ないけどあったかいんですよ。ハピエンです。短いページ数でよく描けるなぁー凄いなぁと思いました。
いろんなBLよんでますが、泣いた事一度もありませんでしたが初めてウルってきました。悲しくてではなく、なんか、説明しにくいのですが胸にぐっって、きてしまいました。
じわーっとくるいう感覚というか。
改めてページを見ると一つ一つかなり短いのに話をよくまとめられていてこの作者さんは本当に凄いなって感心しました。
短編て大概、なーなーで終わるというか、後は自分で解釈してね、みたいなのとか余韻重視とか綺麗にカッコつけたやつとか物足りないモヤっと感を残すものが多いけど、これはうまくまとめられてます。もちろん続きがみれるなら尚いいとは思いますが
何度も読み返したくなりますし、何度も胸にじわーっときます。
短編集は一冊に一ついいのが、あればいい方と思ってきましたが、これは一冊まるまる全部いいです。
短編のオススメを聞かれたらこれしか思いつかないくらい好きな作品。
デビュー作だなんて信じられない。読んでいて、この方は小説もかけるのではないなかぁと思ってしまう