小説

  • 横顔と虹彩 イエスかノーか半分か 番外篇

横顔と虹彩 イエスかノーか半分か 番外篇

yokogao to kousai

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作横顔と虹彩 イエスかノーか半分か 番外篇

皆川竜起・スポーツ担当アナウンサー・27才
名和田深・竜起と同番組担当AD・27才

その他の収録作品

  • 翌朝と憂鬱 あとがきに代えて

あらすじ

ADの深(しん)は敏腕で気難しいPの相馬に憧れていた。
新しく担当することになった報道番組の現場でむやみに明るいアナウンサーの竜起(たつき)と知り合い?

作品情報

作品名
横顔と虹彩 イエスかノーか半分か 番外篇
著者
一穂ミチ 
イラスト
竹美家らら 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
イエスかノーか半分か
発売日
ISBN
9784403524165
4.4

(298)

(180)

萌々

(86)

(18)

中立

(9)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
31
得点
1307
評価数
298
平均
4.4 / 5
神率
60.4%

レビュー投稿数31

お互いに影響しあって成長する2人

番外編ということで、本編の国江田計の後輩、皆川竜起のお話でした。

テレビ業界のことは疎いので分からないのですが、テレビ局に勤めている人ではなく外注という形でテレビ制作って行われるようで、竜起の御相手はそんなテレビ制作に携わる外注のスタッフ、名和田深くん。

深はある過去から人の目を見て話すことを避けるようになってしまっていた。そして、学生時代からの憧れのテレビ制作に携わっているが、将来どんな仕事をしたいというビジョンは持っていなかった。

そこを出会って間もない竜起に指摘され、反発しながらも深は自分の仕事と向き合っていく。


竜起は本編の時から太陽のような明るいオーラを放つ人でしたが、主役になっても健在で、むしろパワーアップしてるようでした。深は竜起に出会って自分の仕事に向き合い直し、目標を持つようになれたけど、竜起も深と出会って変わるんですよね。お互いに影響を与えあってお互い成長していくところがとても良かったです。

竜起は本編で計に振られているから(という訳でもないのかもしれないけど)かなり積極的に深にグイグイ迫るけど、引くところは引いて、その塩梅もとても良くて天性のコミュ力を感じました。

3

いや、これ本当にすごいですね

毎度思うことなんですけども…
作者さんの、業界見聞というか取材力の賜物というか、緻密な情報量に驚かされるばかりで…ちょっと言葉になりません。

アナウンサー・AD、プロデューサー、芸人…今回ざっとこれだけの肩書きを持つ登場人物がいたのにも関わらず、一つ一つの仕事の内容や組織的なありよう、話す原稿の内容から、お笑いのネタまでも、全部に見入って聞き入ってしまいました。一穂先生の頭の中はどうなっているのでしょう、すごいのひと言です。


皆川は登場し始めたときから、好きなキャラクターだったので、このターンは嬉しかったです。想い人である名和田はADで、皆川と性格は違うけど、キャラも仕事も違うからこそお互いの仕事に対するスタンスに影響を受け合って、それがやがて恋愛的な意識へと向かう過程が、ゆっくりとこじつけも無理矢理もなく、読んでいてとても自然だと感じました。

テレビ局の仕事も専門職の1つ。彼らの仕事描写は BL小説だということを忘れて、「情熱大陸」さながらのドキュメンタリー番組の気持ちで見てしまいました。 BLの要素はほんのりと…エッセンス的な濃度なんですよね、最初は。それが仕事を通して、関わっていく人たちを通して、トラブルや問題を通し、今までやってきた努力や研鑽が実を結ぶ結末を通して、グングン右肩上がりに調味料のレベルまで BL濃度が濃くなっていきます。

もーーーほんとに圧巻ですよね、ストーリー構成が。
独特のセリフ回しもそう。
おしゃべり陽キャの皆川と、関西弁の名和田だったから会話の掛け合いが非常にリズミカル。テンポの良い、クスッと笑えるネタを入れるところもさすがでした。

陽キャの塊の皆川の陰の部分も見えたことで、彼という人物像に深みが出ていました。私は皆川がお気に入りなので、彼の凹んだところも、それを挽回すべく努力しているところ、涙し感動してしまいました。
名和田とのガッツリ「恋愛」は、本当に最後の方になるんですけど、わたし個人的にはそれくらいの量で良かったと思います。ページ的にあまりなくとも、2人は幸せに満ちていました♪


次は番外編2を読むのが楽しみです^ ^

5

本編も良かったけど!

「イエスかノーか半分か」の番外編、本編で気になっていたアナウンサー後輩竜起くんと新キャラAD深くんの新しい恋の話。

明るくて天真爛漫な竜起くんと、関西出身の深くんのツッコミ。会話のテンポが良くて読んでいて楽しかったです。
本編のメインカップルの2人も魅力的でしたが、この番外編の2人もすごく魅力的ですね。

本編に続きテレビ番組の進行やアナウンサーの仕事についての描写がリアルで、読みやすい文章なのですが、キャラクターが魅力的で共感しやすくて、ストーリーもすごく面白い作品でした。

1

no title

小説もコミックも“幼い・カワイイ”が非常に苦手な者です。
大人のお仕事BLとして読みたいのですが、(こちらのカプついては特に)カワイイ挿絵にイメージが引っ張られてしまってどうにも読み進められません。。
きっとお話は面白いだろうから読みたいのに何度目かの途中挫折です。
作者さまの文章は好きで、シリーズの他のカプのものはなんとか大丈夫という感じです。
内容についてではありませんし良いレビューばかりなので心苦しいのですが、こういう読者もいるということでー。

0

明るい

主役カプをかき乱すような当て馬はスピンでは
ぐちゃぐちゃの受けにされるのが鉄板でしょ!(とんだ偏見すみません)
と読み始めたら、竜起カッコ良かった…カッコよい攻めでした…

イエスかノーかでは、空気読めない明るいだけのやつと印象は良くなかったけど、
底抜けに明るい努力家でした!!!すごい!!
これだけ明るくポジティブなのも才能!
ただの能天気ではなく、なっちゃんをきちんと叱ったり誉めたりできるとこも良い!
それぞれの仕事への取り組み方が良く楽しく読めました。

1

太陽のような恋をして

TV局を舞台にしたイエスノーシリーズのスピンオフである虹彩シリーズの第1作。

本作は、本編では当て馬ポジションだった後輩アナウンサー皆川と、新たな登場人物AD深が主役です。

要領良く明るく楽しく順風満帆で生きてきた皆川は、本作で(おそらく)初めて挫折し、その悔しさをバネにアナウンサーとして一歩進みます。
またAD深は、心底惚れ込んで担当し、コマネズミのように一生懸命働いて尽くしてきたバラエティ番組が打ち切りになってしまい、憧れなのか恋なのか分からないほどに心酔して雛のようにくっついていた、その番組のプロデューサー相馬との別離も経験することになります。
それぞれにそういうビターな経験を積む中で、互いが互いにしか見せない素顔に恋して結ばれるまでがこのスピンオフ一作目の粗筋です。


この作品、何はともあれ皆川というキャラが素晴らしい!

元々本編シリーズでも、明るくて頭が回って面白くて要領が良くて、と絶妙な狂言回しとして大活躍していた、絵に描いたような「コミュ充のリア充」なキャラなのですが、こういうキャラって、一歩間違えるといかにも書き割りの嘘くさくて鼻持ちならない感じになりがち。
でも、本作品ではテンポの良い会話や行動の描写に支えられ、属性が空々しくならず、とても生き生きしていて魅力的なのです。
眩しいくらいキラキラしていて陽性なのだけど、だからといって、優等生な王子様でもなく、普通に働いて普通に文句も言って、ラーメン屋さんにいって、面倒くさい取引先に絡まれて…と言った地に足がついた二十代男性でもあって、この辺の書き方の塩梅が絶妙。
話の内容は、仕事の失敗だったり、番組の打ち切りだったりと、結構シビアな展開を含むのですが、彼が主役の一翼を担う事で、読後感がとてもポジティブになっている気がします。
過去の苦い経験から、人と目を合わせられず、いつもビクビクと怯えるように、追い立てられるようにして働き、相馬の子分的存在から踏み出さずにいた深が、彼の前向きさに感化され、一人前の自立したスタッフとしての働き方に目覚める過程も納得です。
こういうキャラをこんなに魅力的に描けるのってすごいなあとときめきながら読んでました。


主な舞台は本編と同じく皆川がスポーツキャスターをしているニュース番組。
本作ではそれにプラスして深が惚れ込んで仕事しているバラエティ番組も重要な舞台となっています。
本編シリーズはカップルの片割れがTV局外部の人だったのに対して、この虹彩シリーズのカップルは、両方がTV番組制作の現場の人ということもあって、綺麗事だけでは成り立たない番組制作のあれやこれやがリアリティを持って描かれており、TV局の内幕もの、TV局で働く若手の成長を追う、お仕事小説としても興味深く読みました。

ちなみに皆川の挫折というか、悔しい経験には、本編の主人公・計が大きく関わってくるのですが、出番が少ない割に、とても鮮やかで格好良い仕事ぶりを決めていて、計ファンとしても読んでて楽しかったです。


この作品、主役のカップルも良いのですが、主役と同じくらい印象的なキャラが登場します。
才能が突出するが故に、そして番組制作において周りの人間に対して一切の妥協を許さないが故に孤立して倒れてしまった、深の憧れの人、相馬です。
彼とニュース番組の統括プロデューサーとして前からちょこちょこ顔を出していた読めない男設楽とは、何やら因縁がありそうで、この二人の行方が気になる…と思っていたところ、これまたスピンオフで「ふさいで」「つないで」が出ていて、これがまた良いのです。
そういう意味で、本作ではこのふさいでシリーズのプロローグ的にも面白いです。

4

本編とはまた違った良さ

軽くて、何事も卒なくこなす竜起と、お笑い番組ADの深の話。
本編では、チャラく見えた竜起だが、この物語で嫉妬も落胆も緊張も経験し、よりいい男に成長してました。
深目線で、竜起の良い点ばかり言うからなのか、竜起の生き方っていいなぁと思いました。『死ぬわけじゃないし』って、ホントその通りです。
それに感化され、栄の腰巾着だった深が、誰かの為でなくて自分のために動き出せるようになっていく姿。温かく見守れます。ホント可愛い!
深と竜起との仲は、色々とキュンとする場面があり良かった。いきなりくっつくのではなく、居心地のいい相手としか認識してない状態で、時には軽い嫉妬心があり、徐々に自分の気持ちに気づいていく。あま〜いお話でした。
国江田さんの仕事っぷりがカッコ良かったぁ。

2

No Title

『字が汚ねんだよ愚民!もっと読みやすく書きやがれ』

前作でメインだった国江田さんですが今作では完全にギャグ要因です、「スポーツのアナウンス」を完璧にこなして竜起を凹ましメイン二人の進展をアシストする役?もサラッとこなします。

客観的に見て美しいと思える人って何故か大きさに関わらず目に入る光の量が多い、なんでキラキラして反射して見える。
その上仕事出来てコミュ力があるとくれば周囲は放っておきませんが、好きになるのは「鬼太郎」こと名和田。

でも名和田は普通に良い子だし仕事にも真摯で一緒に居る時間も長いので、そういう事もあるかなと読んでるうちに思えてきます。

作品として良く出来てるのは「イエスかノーか半分か」の一作目ですが、今作も面白いです。

1

竜起くんにもお相手が


『イエスかノーか半分か』の、スピンオフ作品。
こちらは、国江田さんにちょっかいをかけた、皆川竜起くんのお話です。

イエスノーでは、竜起の印象はチャラくて要領のいい子という印象。
でも、このお話では竜起の努力や、プライドなんかも見れて印象が変わりました。
お相手のなっちゃんは、大阪弁がキュートです笑

もちろん、イエスノーの2人もちょこっと出てきてくれます!

ちょいちょい出てくる、相馬さんにはイライラさせられましたが相馬さんにも色々あるみたいですね…

竜起くんにも、一生懸命になれる相手が現れて良かったね!

0

改めてホント好き

なっちゃんがひたすらいじらしい…。
こういう、一生懸命なひとがうらやましいという気持ちもあります。
自分が仕事に対してやりがいを感じられなくなり、
必死になれたのは若い頃だけで誠実とは言えないからだと思いますが。
若さだけでどうにかなる情熱ではなくて、
盲信するほど尊敬できる人物、つまり栄ですが
もしお払い箱にされたらどうするんだろうという未来の不安も込みで
決して安心できる環境にはいないのに充足感がハンパない強さ。
栄を崇拝していた事が…という展開が非常に苦しくもあり
誰にでも訪れる感情では無いだろうから
それも経験のうちだねなんて大人ぶりたくなりつつ
まっすぐさに打ちのめされそうでした。

そんななっちゃんを好きになった竜起、
『イエスかノーか半分か』本編で憎めないヤツとは思っていましたが
こんなに魅力的だなんてずるいな!!!!!
ただ闇雲に明るいだけじゃない面なんて知ってしまったら
当初は苦手だったなっちゃんも
そりゃ好きにならずにいられないでしょうよ…。

設楽さんと計の凄味も相変わらずで
仕事でのそれぞれの思惑や感情がずっしりきますが
人間らしさがとても好ましいです。
特に栄は関わりたくないタイプだなぁと思わせておいて
そう来ますか!!という徹底っぷり!

会話のテンポで笑わせてもらいながら
重くなりすぎずほろりとしてあたたかい気持ちで読み終えさせてくれるのは
もう流石だとしか言いようがありません。

6

読むたびに好きになっていくカップル

イエスノー本編が大好きで、こちらのスピンオフも楽しみに読みました。
発売当時は正直いまいちで、自分は「計を好きな竜起」が好きだったんだなあとピンと来ない感じでした。
が、最近小説Dear+で続編を読み、一穂先生が公開してくださっている掌編などを追っていき、このカプに慣れた状態で読むとじわじわと萌えがやってきました。
竜起のような社交的なタイプと付き合うのはかなり気苦労が多いと思うのですが、なっちゃんなら大丈夫と思わせてくれるのがイイ。この二人ならなにがあってもしっかり乗り越えて、ずっと一緒にいてくれるんだろうなあと幸せな気持ちになれる読後感でした。

このシリーズは私の中で嫌なことがあったときの浄化用になってくれています。

2

キャラクターはどちらも好きなんだけれどね。

なんだろうなぁ……
このシリーズは好きな方なのですけれど、
この二人はなんとなくしっくり来なかった。
二人が惹かれあう必然性を感じなかったというか……

深が竜起に惹かれるのはなんとなく分かるけれど、
ノンケの竜起が深に恋愛感情的に惹かれる過程が弱いというか……

どちらかといえば、深の方が丁寧に描かれていて、
自分の進む先に迷いながらも頑張る深に、
ついついお疲れ様!と背中をぽんぽんしたくなる。
……そこは凄く分かるんだけどなぁ……
竜起の気持ちがそこから恋愛にシフトチェンジするのが分からない。

要するに、深には感情移入できたけれども、
竜起には出来なかったということなのでしょう。

でも、軽い感じでも、それでもやっぱり計に対する対抗心を見せたり、
しっかりとした裏の努力をしている竜起にも好感度アップ。

なので、評価的には「萌×1」で!

5

スピンオフで深まる世界

「イエスかノーか半分か」シリーズのスピンオフ。本編のシリーズは三作ありますが、スピンオフとしては一作目。

「イエスか〜」で計に玉砕した竜起メインの一冊。相手の深が初登場となります。
常に明るく愛されキャラの竜起の深い部分の心理描写とテレビ業界という特異な業種の面白さが、重くなく、とは言え軽すぎずにテンポ良く書かれています。
本編シリーズでもそうなのですが、この二人で仲良くなるのかな?と最初は思うのに、大きい変化があるわけでも無く徐々に近づいていき、最終的にもうこの二人でなければ!となる展開の妙が素晴らしいです。
ノンケ同士という事もあるとは思いますが今作ではイチャイチャ少なめ…でもこのスピンオフの続編もあるとの事でその面は今後に期待です。

2

軽いのに読み応えあり。

番外編というかスピンオフ? 本編シリーズの脇役である竜起くんのお話です。

こういう場合、本編を読んだ人には既知のキャラクターである竜起視点でストーリーが進行しそうなものですが、おおむね新キャラである深の視点で物語が紡がれます。これまでの経緯を知っておくほうがより楽しめるのはもちろんですが、こちらだけ読んでも理解できないということはない構成じゃないかな?

相変わらずお仕事描写がいい感じに「ありそう」な所が良いです。いわゆる憧れの業界のキラキラ感もしっかり散りばめられてはいるのですが、現実から乖離しすぎていない感じ。軽妙な構成で楽しく読みやすいです。

個性的で魅力的な登場人物が多いので、今後も本編含め続くことを期待してしまいます。(ゲイカップルばかりの職場じゃん! って感じになってしまうのは考えものですけどね〜…)

2

新聞社シリーズの向こうをはって、放送局シリーズ?

文句なく愛読書である「イエスかノーか半分か」のスピンオフというところで購入。竜起が幸せになってよかった!です。ただ、私的にはなっちゃんがかわい系すぎるかな。内容はしっかりしているし、リズム感良く楽しく読めます。この作家さんは「神」か「しゅみじゃない」二局なのですが、珍しく中立。放送局の仕事の面でしっかりと書かれているし、国江田さんに竜起がフォローされて落ち込む姿とか、ありそうで面白いです。
続きが出たら?もちろん読んでしまいます。

2

一緒に成長していくふたり

そこぬけに明るくて、まわりに愛されて上手に生きてきた、どこか飄々としていた皆川くん。
わかりやすいようで捉えどころのなかった皆川くんの人間らしいところが垣間見られました。

打ちのめされて落ち込んで、吐き出してちょっと浮上したり。
「緊張」という斬新な感覚を生まれて初めて味わってみたり。「お前のほうがよっぽど斬新だよ」とはまさに。

お相手のなっちゃんこと名和田くんと、お互い相手に刺激されて意識して、すこしずつ成長していくふたりがよかったです。
出会うまでは持つことのなかった感覚や感情にそれぞれ戸惑って、向き合って、消化して。
名和田くんにはこの先ぜひ皆川くんをたくさん振り回していただいて、またお互い初めての感覚をたくさん味わってくれたらいいなと思います。

そして相馬さん。
どんな極悪人だよ、と最初は思いましたが、ただただ仕事に、仕事だけにまっすぐな人でした。
やり方は独裁国家に違いないし、善い人とは言えないけれど、名和田くんの言葉を大事に大事にしてきたんだと思うと心にくるものがありました。


以下個人的な蛇足のようなもの。

評価に関しては、気持ちとしては萌と中立の間くらい。
1作目で初めて一穂作品に触れて、読みやすくはあるけれど主役カプに馴染めない、うーーーーんと思いながら前作までを読みました。
今作はスピンオフということでそこは大丈夫かなと思ったのですが、そして今作のカプは文句なしの萌なのですが、やっぱりうーん。
キャラに馴染めないというより、たぶんこの方の台詞回しや言葉選びが苦手なんだと思います。
「ちな」「とりま」ってネットスラングじゃなかったのか…。若者言葉をリアルに書いている、といえばそれまでな気もするのですが、話すことを仕事にしている人間が、公の場でないとはいえそんな言葉遣い…?
個人的な感覚なうえ作品そのものに関してのことでもないので、シリーズ通して絶賛の嵐の中ここに書くのも申し訳ない気がしますが、だからこそ、の気持ちも込めて。

4

勉強になる

構成がしっかりしていて、話も面白かったです。
ただ、あまりキャラ萌えはしませんでした。
関西弁はすごく好きなんですが、深の関西弁は何故かあまり可愛いと思えず・・・個人的な趣味の問題ですが、可愛いと思う部分があまり見つからなかったのでちょっと残念です。
一生懸命さは好感が持てました。
竜起のへこんでる姿にはキュンときました。
業界内の裏話やどういう風に製作されているのかなど、事細かに書かれていてすごく勉強になりました。リアルでバラエティーを見る目線が変わりそうというか、変わりました。
そういう意味ではすごく良かったです!

2

若手アナウンサーと製作会社AD

このシリーズの最新作が出ると聞いた時、
また潮&計の笑える掛け合いが読めるのかと思ったら、タイトルが『〜か』でおわらないものだったのでもしやスピンオフ?だったら竜起がいいなと思いました。

総愛され人生を歩んできた竜起の初めての挫折(?)
そして、仕事上で初めての悔しさと緊張を知った竜起でした。

テレビ局や製作会社の苦労やどろどろとしたところや充実感の中で生き生きと働く人たちの姿がほどよく描写され楽しめました。

今後もこのシリーズの続きを楽しみにしています。

2

深の方が印象強い

第1作で計にちょっかい出してきた後輩アナウンサー、皆川竜起のターン。
と言っても本作は、序盤はADの名和田深の視点中心のお仕事物語。その後竜起の視点が入って交互に描かれています。
何と言っても、深の造形がいい。
誰からも人格を嫌われている横暴プロデューサーの相馬栄に心酔して、言う事を何でも聞き、言われる前に動き、ただそばにいたい、その一心で頑張っている。
制作会社所属の外注スタッフとして報道番組「ザ・ニュース」の担当にもつく事になり、そこでスポーツコーナーアナの皆川と出会うわけですが、皆川は例によって他人との距離感が近い。そして明るくポジティブで、失敗を失敗とも思わず自由で率直で。
深は相馬の何もかもに憧れて神様みたいに接してたけど、自分と悉く違う皆川と接するようになってから『あいつやったら』こんな時どうする?どう言う?と考えるようになっていく…
この深の変わっていく様が非常に上手い。
皆川竜起は、私は1作目を読んでから嫌いなキャラです。
計に潮と別れなくていいから半分で付き合って、なんて言い寄って潮に怒られて。
本作では初めて深に対して「独り占めしたい」という心を知ったようですが、なっちゃんならどうする?なっちゃんならどう考える?なっちゃんなら、なっちゃんなら…これがない限り皆川はまた間違えると思う。
皆川は器用だし能力もあるから、自分で努力できる。でもそこには深がいるから頑張れる感、というものがない。
今ラブラブが始まったばかりの2人は微笑ましい。でも真面目で頑張り屋で、何より人の弱さを知ってる深がそのうち皆川の持って生まれただけの魅力を抜き去る、気がする。
皆川はラブなうちになっちゃんの物の見方・感じ方を心に取り入れるべきと思います。ためらいは時間の無駄でしょ、なんて言ってる場合じゃないよ。後で深とお別れになるよ。
(皆川のファンの方々、暴言すみません)

3

ずっと続いて欲しい

ほんと最高です。
ほとんどがテレビ局の内部で進んでいくのですが、とにかくみんな仕事に命かけてる。
それが一人一人クセは違えど登場人物みんなの、人間としての魅力を感じさせてくれる。
仲良しこよしなんて出てこないけど、それぞれが尊敬し合って尊重し合ってるのがわかる。

今回大好きなシーン。
竜起が喉を潰してしまって国江田にフォローされたあと物に当たるんですよね。自分の場所に自分より上手く面白く即座に座れる人がいる。悔しい。って。
この部分読んだ時に竜起のことがもっと大好きになりました。
まぁ悔しかったのはなっちゃんの反応もあったみたいですが。

今までよりいい意味ですごく人間くさくなったというか、がむしゃらさが出てきた竜起がまた読みたいなー。

あと、初回封入特典ぺーパー。
今まで散々人を振り回してきた(であろう)竜起をなっちゃんが振り回してくれてうれしい。
なっちゃんどんどん振り回していこう!笑

3

影響し合う2人

番外編ということで、計の後輩である皆川くんと、ADの名和田深の物語です。
計と潮が好きすぎてどうかなーと思いながら読みましたが、この2人はまた別の形ですごく好きだなーと思いました。ので、計と潮じゃないんなら…と迷っている方はぜひ、読んでみてください。

皆川くんもなっちゃんもタイプが違う2人なのですが、互いに影響し合って、成長していく姿がすごく素敵でした。お互いが、自分の仕事に誇りを持っています。なっちゃんは、憧れの人にかなり尽くすタイプ。尽くしすぎる現状に満足して、そこから少し飛んでみようと努力する。皆川くんも、自分のテリトリーを侵される不安、始めての緊張感と戦います。その2人の姿が、すごくすごく、良いです。

あ、あとなっちゃんの関西弁がめちゃくちゃ可愛い。なっちゃん可愛い。

計と潮もちょろっと出てきますが、外から見るとやっぱり計はすごい人なんだなーとよくわかります。すごい先輩アナに挟まれた皆川くん頑張れ。また、2人のその後が読みたいです。

1

これが緊張

不遇?の当て馬・竜起くんの番外編。
主人公は下請け制作会社のAD名和田深。
竜起のいる報道番組の仕事をすることになった深だったが、生放送のスタジオとその番組を取り仕切るアナウンサー達は、深がこれまでやっていたバラエティ番組とはまた違った世界で…。
相馬にあこがれて横顔をこっそり後ろから見続けていた深に、正面から踏み込んできた竜起のキラキラした虹彩。
深と竜起が出会って互いに意識し合うようになったことで、それぞれが引きずっていた恋とは呼べない執着から離れて、一緒に前へ踏みだす。
都築&圭組が夜や冬のイメージだったのと対照的に、こちらは夏で青空のイメージ。
爽やかな読後感でした。


3

雀影

セルフツッコミ
なんだかこの二人って、いずれ別れて友達に戻りそう。
確かにお互いに好きだし一緒にいたいって思っているんだけど、何回かセックスしているうちに、自分たちの関係に果たしてセックスは必要なんだろうかって感じるようになって、やがて普通に親友になっちゃうような、、、
BLとしてはナシな結末だけど、そうなるといいなぁっていう私の願望。

「なっちゃん」って響がいいね!

主人公は名和田 深
彼と出会った皆川 竜起は「なっちゃん」って呼ぶのです。

なっちゃんは「ゴーゴーダッシュ」というバラエティ番組のADをやっているのですが
修行でニュースに行って来いっていわれて
ニュースのフロアADもやっています。

なっちゃんがバラエティ番組にたどり着いたのは
高校生の時に同性しか愛せないと自覚して
そのとき好きだった同級生と友達としていられたらと思ったのですが
「おまえの熱い視線がうっとおしい」みたいなこといわれて
隠していたのに…涙…だったのですが
その時にみた「ゴーゴーダッシュ」がひたすら面白くて
優しくて、見ている時だけ救われたので
そんな番組を作りたいと願って運よく就職。
その後はひたすら栄プロデューサーの奴隷。

なんかこのお話よかったです。
二人が成長していって

ぜひとも多くの人に読んでいただきたい作品でした(^-^)

2

余韻がすごい

読んだ後の余韻が半端じゃないです…
イエスかノーか半分か1巻で、竜起の真っ直ぐさというかズカズカ心の中に入ってくる感じが非常にツボだったのですが、今回は計の時より微妙に奥手な竜起が新鮮でこれまたツボでした!
お相手のなっちゃんもキャラがいいですね。
憧れの人にはどこまでも忠実で一途な感じがかわいかったです…。

個人的な意見ですがちょーーーーっとだけうっすらと栄さんとなっちゃんの可能性も期待してました!結局ふわっと香った程度でそんなことはなかったのですが……。
でも最後は非常にすっきりした収まり方だったのでその分余韻が酷いです………。
お互いの欠けたところを埋め合える関係ってほんとに素敵だと改めて感じる1冊でした!!

3

面白かった…

『イエスかノーか半分か』のスピンオフ。計に恋していた(振られちゃったけど)竜起くんのお話。都築×計がナイスコンビ過ぎたので、スピンオフの話に入り込めるか心配でしたが、うん、さすがというかすんごい面白かった。

竜起が主人公のお話なんですが、視点は番組AD・深くん(愛称・なっちゃん)なんですね。それがまた斬新でいい。読み始め、「んん?誰のお話?」と一瞬思うのですが、それがまた面白い。

自分に自信があり、緊張とは無縁で生きてきた男、竜起。
ゲイであるという引け目から他人の目を見て話をすることのできないなっちゃん。
全く真逆の性格のように見えて、仕事に対しては真摯であるとか、他人に気を配るのが上手とか、シンクロする部分も多い二人。

とにかくなっちゃんという青年が魅力的でした。
彼の秘めた切ない過去の恋。
そんな時、自分を救ってくれたバラエティ番組。
そして、その番組と、番組をつくるプロデューサーの栄への献身的な行為。
とにかく一生懸命な男の子で、でも健気なだけでなく自分の仕事にプライドを持って働くなっちゃんが素敵でした。
で、彼が関西弁を話すっていうのも良かったです。関西弁を話すという事で、前向きで、逞しくパワフルな竜起のパワーに負けないキャラに仕上がっていたような気が。

『イエスか~』のスピンオフなので、もちろん竜起が主人公。
なんですが、なっちゃんが敬愛する栄という男が魅力的で、正直、なっちゃんには竜起ではなく栄とくっついてほしいと思ったくらい。
自分の仕事にプライドを持ち、ずっと孤高の戦士であり続けた彼がとってもカッコよかった。
個人的には竜起は栄に完全に喰われちゃってましたねえ。

タイトルも秀逸だったと思います。
『横顔と虹彩』。
正面から顔を見ることができず、こっそり栄の横顔だけを見つめてきたなっちゃん。
まっすぐ自分の目を見て話せ、といった竜起に応えて、久しぶりに人の目を見ることができるようになったなっちゃん。

っていう意味かな、って思いました。

次は栄さんに幸せになってほしいな。
スピンオフを!所望しております☆

一穂さんて、働く男を描くことが多い気がしますが、その仕事の描写が凄く丁寧なんですね。すごくしっかり下調べしてるんじゃないかと思うのですが、そのおかげで話に入り込みやすい。テレビの裏側に興味がわいて仕方なかった。

個人的に一穂作品には竹美家さんの絵柄が一番しっくりくるんですが、今回も良かった。
ほんわかしているけれど、でも一本筋の通った話、を端的にイメージされた挿絵だったと思います。

都築×計、のCPももちろん大好きなのですが、個人的にはこちらの話のほうが好きかも。
文句なく、神作品です。

10

竜起の恋

旭テレビの看板番組『ザ・ニュース』でスポーツコーナーを担当する
皆川竜起さん(27歳)の恋が実りました。
お相手は、関西出身、番組でフロアDを勤める同い年の名和田深さん。
2年前に先輩アナウンサーである国江田さんにふられて以来、
恋の噂のなかった皆川さんですが、ようやく春が訪れました。

というお話です。

                 ∞


国江田さんのようにスーパー優秀では勿論ないんですが(プチ優秀ですらないw)、
それでも、計の気持ちにはシンクロするところがあって感情移入して読んでいたんだけれど、
一方シリーズ過去3作、ずっとチラチラよりももっとしっかり派手に登場していた竜起には
あまり思い入れられないというか、嫌いじゃないけれどまぁね……
という感じだったので、新作は割に軽い気持ちで手に取ったところ……

結果は、やはり一穂さんの世界。
カップルの恋もだけれど、業界の人間模様、その心の機微が描かれ
とても読みでのある一作、面白く一気読みだった。


お相手の深が、とてもいい。
キラキラした業界キャラの中で、自分の大切なものだけを抱きしめて
脇目もふらずにまっすぐに頑張る健気さ。
対極に見える二人が、互いのないものを補いながら成長してくのが見所。

相変わらず小物や小ネタの使い方の巧さには舌を巻くし。
脇のくせ者達も、本当に味がある。
なんとも大人な魅力の実は喰えないお馴染み設楽P、
深が心酔する天才ヒールの相馬P、
(佐伯さん系と言われるだろうなぁと思いながら、今のところ個人的には別枠!)
こうした大人達のふと見せる鋭さや弱さ懐の深さにぐっと来る。
こういう主人公だけではないすべての登場人物に人生を感じるのが、
一穂ワールドに引き込まれる要因だろう。

関西出身の一穂さんの、流石に自然な(と思われる)関西弁の使いかたも素敵。


一方でエロということでは、少々微妙。
二人が可愛くて、うんうん、微笑ましいね、という気分で読んでしまうのは
私がおばさんだからだろうか?
どうも、Hシーンは蛇足感があり、むしろその前後の二人の様子に萌えたりする。

勿論、不動の人気のスピン元のお二人も出てくるのだが、
深から見たThe 表の国江田さんと、二人の「おうち」での超ウラの計の
いつも以上に鮮やかな濃淡のコントラストが楽しい。


間違いなく面白かったのだけれど、二人の恋に今ひとつ強く惹きつけられなかったのに加え、
一穂作品の評価基準が高騰しているという二つの個人的事情により
評価は「萌×2」で。



<補足情報>
・初回封入ペーパー 『嫉妬と夕立』
 本編の後、スタッフからビアガーデンに誘われて出掛けた深は……

・書店限定ペーパー 『涙腺と虹彩』
 季節は秋に移り、「ゴーゴーダッシュ」の最終回を二人で見る話。

・作者noteに、封入ペーパーの続きの話『虹彩と光線』が載っています。
 そして必見!!
 竹美家さんが書いた楽しい漫画も。まだご覧になっていない方は、是非見て下さい!

16

便所の100ワット

 昔、「便所の100ワット」と呼ばれた人が身近にいました。そのココロは「無駄に明るい」—
1巻で初めて竜起をみたとき、まさにアレだ!と思いました。
そこぬけに明るく、屈託がない。へこまないし落ち込まない。何事もプラスにしか考えない。
空気を読まない。遠慮とも謙遜とも縁がない。人が言えないこと、言いたくてたまらないけど吞み込んでしまっちゃうようなことを平気でズバッと言っちゃう。
ルックス含めた自分のアドバンテージに無自覚なわけでもなく、いかにもイマドキのリア充オトコらしく、それなりに抜け目なく、オイシイとこは余さずさらってくのに、不思議と誰からも憎まれない。

 1巻では、潮の不在に乗じて計に揺さぶりをかける油断も隙もない当て馬ポジションでしたが、2、3巻では社内で唯一計の秘密を知る人物として、随所でいい仕事をしてメインカプのアシストに回ってました。その身もふたもないけど直球で的確なアドバイスで、恋敵だった潮の信頼すら勝ち取って。今ではふたりの秘密のラブネストに突撃晩ごはんしても、追い返されるどころか潮の手作りギョーザを振る舞われるまでに。

 自他ともに認める順風満帆人生の竜起。だから計に失恋した後、2年もプライベートがブランクだったってのがかなり意外だった。もとより相手に不自由するでなし、来るもの拒まず、日々適当に楽しくやってそうだったのに。でもこの2年は、彼は彼なりに「自分に足りないもの」について漠然とだけど考え始めた時期だったらしい。それが番組に新しくやってきたADの深との出会いで一気に具体的な形をとって現われる。震えるほどに怖いこと、誰かを神様のように見上げずにはいられないこと、そして、人を好きになるということ。「俺は何も知らない」—

 深は人気お笑い番組のプロデューサー栄を神と仰いで、一ファンから「子分」にまでなり、「仕事はできるが人として終わってる」と評判の彼ののこまごまとした身の回りの世話を焼くのを至上の喜びとしていた。いつなんどきも電話一本で栄のもとにすっ飛んでゆく深を、何とも言えない心地で見送る竜起。「なんで相手のいる男ばっか気にしちゃうかな」計の時は、潮と半分こでもいいと思った。でも深は…栄だけ見つめてる深の視線を引きはがしたい。自分のほうだけ見ててほしい。でもそのやり方が皆目分からない…

 竜起の前に立ちふさがる強大な恋敵、栄の造型がまたよかった。一歩間違えばゲスとかクズとかのカテゴリーに仕分けられてもおかしくない外道ぶりなのに、根っこのところで人の心を捕まえて離さない。人でなしにして、人たらし。社内政治の力学まるで無視のやりたい放題は、「明光新聞社シリーズ」の佐伯に通じるものがある。まるで人に「いい人」と思われるのをこよなく恐れているような。こういうキャラを描かせるとホント一穂さんうまいですね。そしてこんな向かうところ敵なし、のような人にもちゃんと弱味をさらしたくなる瞬間はあって、見せたい相手も決まっている。最後の最後で深に吐いた弱音は、間違いなく彼の本音であり、告白のようでもあった。

 竜起と栄。北風と太陽にも例えられた二人のキャラが立ちすぎてて、二人から特別な感情を向けられる肝心の深の印象がやや希薄だったのが個人的には惜しまれます。ひたむきな、いい子なんですけどね。お笑い好きの関西弁キャラって、本来は大好物のはずなんですが、控えめな当人の性格もあってか、全般に薄味であくがなさすぎで、食べた気がしなかった。やっぱり計のように、どんなに爽やかで上品に見えても「主に油で揚げたものを食って暮らす」という悪食なタイプに惹かれてしまいます。一番悪趣味なのは私自身かも。
 

 

6

皆川竜起の人としての成長を見守りました

「イエスかノーか半分か」で若手アナウンサーとして出てきた皆川竜起が主役のスピンオフ作品です。

イエスかノーか半分かでは計くんと潮の恋が結ばれるその大事な役目、もといキーパーソンで、その後続編でも計くんと潮の間に入ったり、場を盛り上げたり、時には頑張ってくれるとても素敵な人でした。
そんな彼がまさか主役を!ととてもドキドキしてましたし、一穂ミチ先生ならきっと素敵な作品を書いてくださるのだろうと期待していましたがいやまあ期待以上でした。

今まで人生イージーモードで言い方を悪くすると「何でもできちゃう」「何でも持ってる」「甘やかされてる」そんな彼がADの深に出会い、恋に落ちる物語です(と言ったら違いますが(笑))
イエスかノーか半分かの2人も3作品の中で大きく成長するの感じましたが、今回はこのメイン2人の成長物語でした。
お互いに「現状に満足している」からこその苦悩や苦労などが描かれており、自分が有耶無耶してきたことをズバリと突かれるシーンでは見ているこっちもドキッとしてしまいます。
一穂ミチ先生の「成長」の為の困難や人間はとてもクセがあり、読んでいるこっちもとてもハラハラします。頑張って欲しい、負けないでほしいと思う一方、私なら心が折れる、という所を頑張って乗り越える姿には涙が出ます。
出てくるキャラ全員が悪い人じゃないのに、腹が立ったり、嫌になったりするけどそのキャラクターにさえ愛しさを抱かせてしまうのは一穂ミチマジックです。(笑)


計くんと潮が好きでスピンオフどうなのかな…?と思ってる方にこそ読んでもらいたいです。皆川竜起、とっても大きくなりましたよ!(笑)

10

一抹の寂しさをふっとばす面白さでした

シリーズ初のスピンオフ、イエスノーシリーズも竜起のキャラクターも好きなのでもちろん楽しみ、でも計と潮の物語は前作で一段落なのかなと思うと寂しさもあって。やや複雑な心境でしたが、読み始めたら面白くて一気に読み終えてしまいました。
竜起と深が仕事を通して成長していく様子が良いです。竜起と深目線で物語を読んでいるので、二人がキツイこと言われてると「何なのこの人!?」と思ってしまいますが、キツイことを言う人がただ嫌な奴で終わらないのが面白いところ。キツイ発言にはちゃんと理由があって、それが分かった時にそういう意味だったのかと納得させられてしまう。竜起と深が凹んでから前に進んでいこうとするところが読んでいて清々しかったです。陽気な竜起が国江田さんに凹まされたのは、巻を重ねた今だからこそのエピソードだなと思います。1巻目の国江田さんも竜起の代打を上手くやるだろうけど、竜起を悔しがらせて成長を促すような仕事ぶりには何となくならなそう。
竜起と深が少しずつ距離を縮めていく様子ももちろん良かったし、相馬さんだったり、1巻目からちょこちょこ出てる設楽さんだったり、サブキャラも魅力的。計と潮でも、竜起と深でも、全く新しいカップリングでも良いので何かしらの形でまたシリーズの新しいお話がまた読めたら嬉しいな。

6

半分で良かった男が、全て一人占めしたいと思った恋

「イエスかノーか半分か」のスピンオフ、明るく飄々とした男・竜起の物語です。そして相手は不器用(性格が)で頑固なAD・深。

「国江田さんが、いっぱい出て来るといいな~」などとリラックスモードだったのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて、あっと言う間に読了です。
感想としては、もう「さすが…!」という言葉しか出て来ないのですが…。
クスッと笑えたり、しんみりしたり、感動で目頭が熱くなったりと、一気に読ませてくれます。

内容としては主役二人の成長もの。局アナの竜起(攻め)とADの深(受け)が、仕事を通じて関わり合ううちに…と言った感じです。
こう書いちゃうと簡単ですが、実際にはすごく深いです。局アナとAD、立場は違えど、仕事に対しての意地や見栄だったり、挫折や熱い情熱が、等身大でしっかり書かれています。実際に目の前に彼らが存在するようなリアル感で。

更に周りの登場人物が魅力的なんですね。それぞれ、かなり個性的でクセが強いのですが。
特に受けが心酔するプロデューサー・栄に至っては、もう影の主役と言っちゃっていいのではないでしょうか。この方に関しては泣けました…。生き様が凄まじ過ぎて。

この作品、竜起×深ではあるのですが、+栄の変則的な三角関係でもあります。深の中では、栄がかなりの割合を占めているのですね。深の栄に対しての感情は複雑過ぎて、何だか全然説明出来ないのですが…。
とりあえず言えるのは、絶対的な存在だという事。

萌え所は、受けの関西弁。「好きだ」が「好きや」になるだけで、何故か萌え度アップ。更に絡みでの「あかん…」には悶絶です(//∇//) これは個人的な好みが大きいと思いますが…。
後は、受けのツンデレぶり。普段は関西弁で、竜起とポンポン小気味よい会話をかわすのですが、終盤に見せるデレが破壊力抜群なのです。「怒らんとって…」なんて言われたら、竜起じゃなくても「反則」と言いたくなるでしょう!!
そして、竜起の嫉妬ぶり。栄に嫉妬しまくり、もうグイグイ二人の間に割り込んで来るのですね。個人的に、攻めが受けの周りの男に嫉妬するというのが大好きなんです。受けに対しての愛が深く感じて。

更に嬉しかったのが、国江田さんがちょこちょこ登場した事。相変わらずの毒舌ぶりや、竜起の代打としては格好良すぎる姿を見せてくれるのです…!
残念ながら潮の登場は1回だけですが、彼が作った晩御飯に計への愛情がしっかり感じられました!

絡みは最後に1回。やっぱり関西弁で喘ぐ受けに萌えます。あと、絡みでも自分らしさ全開の竜起に笑えます。イキそうになると萎える映像を思い浮かべて…というのがありますよね。「マジで感謝だぜ、父ちゃん…」の台詞にはプッと。

正直な所、番外編なら潮&計カップルの方を読みたかった…という気持ちが大きかったのですが、読了後はそんな気持ちは吹き飛んでいました。すごく面白かったです。
こちらのカップルも、皆さんお気に入りになるのではないでしょうか。


19

愛おしくて胸がぎゅーっと

国江田さんの後輩の皆川くんのお話です。
スピンオフってやつですね。

自分、「イエスかノーか〜」が好きすぎるので読む前はちょっとだけ心配でした。期待が高まり過ぎちゃって、外れたらどうしようかと。
国江田さんメインの時はそんなに皆川くん好きじゃなかったし。
一穂先生の作品はものすごーくハマるものと、イマイチしっくりこないものがあったので。

読み終わった結果、すごく胸がぎゅーっとなって。
皆川くんのことも、そのお相手のなっちゃんの事も大好きになりました。
(個人の感想なので、違った人はごめんなさいなのですが…)
国江田さんも潮もちょこっと登場しますし、相変わらずお仕事頑張ってるし、仲良しで良かったな〜と思いましたが、あくまでサブキャラで。
このお話はちゃんと皆川くんのお話でした。
イエスかノーか半分か番外編っていうサブタイトルなくせばいいのにってくらい。
皆川くんとなっちゃんが、それぞれのお仕事を通して自分の人生に真剣に向き合ってて。迷って。闘って。
すごく愛おしかったです。

お話はなっちゃん視点と、皆川くん視点の両方で進みます。お互いの気持ちがちょっとずつちょっとずつ近づいてくっつく感じ。
軽い印象だった皆川くんも、皆川くんなりの信念や思想があって、悩みもあって。
もがきながら人を好きになる。
あー、本当に愛おしい。

ニュースだけでなく、バラエティやスポーツ中継の現場も出てくる今作。
登場人物がみんなひたむきに命懸けで番組と向き合っていて、当て馬的ポジションの相馬さん(なっちゃんの上司)ですら愛おしく感じました。

Hはちょっと少なめかと思います。
なっちゃんが関西弁なのが可愛いです。
皆川くんは太陽属性のイケメンですが、なっちゃんは多分無自覚なかわい子ちゃんかと。

始まったばかりのカップルなので、続きが読みたいです。

10

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP