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表題作欲しいものはひとつだけ

高階征太郎,葵生の祖父の援助で進学した大学生18歳
西園寺葵生,西園寺グループ責任者の孫20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

思いがけない援助で進学できることになった施設育ちの征太郎。礼を伝えるため訪れた西園寺翁の屋敷でその孫の葵生と出会い、美しい彼の澄んだ瞳に見つめられ、あれよという間に素朴な身なりを整えられてしまう。以来、何彼と与えてくれようとする葵生の申し出を身に余ると断り続ける征太郎だが、生まれて初めて「欲しい」気持ちが芽生えて……?

作品情報

作品名
欲しいものはひとつだけ
著者
真崎ひかる 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344838796
3.2

(14)

(1)

萌々

(3)

(8)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
43
評価数
14
平均
3.2 / 5
神率
7.1%

レビュー投稿数4

天然最強説…本当に癒される!

ストレスなくテンポよく最後まで読み終えた本は久々で、主人公2人のキャラを凄く好きになれたのも久々な素敵な作品でした。

プロローグから始まるこの本は、前半は攻めさん(征太郎)視点から始まります。
無償で色々な事を与えられる事に疑問を抱きながらも、断る事で受けさんを悲しませたりしたくないと渋々受け入れる…といった距離感から始まるのですが、章を追うごとに少しづつ征太郎の気持ちが受けさんに傾いていく様を絶妙に表現されていて、純粋な優しいラブストーリー物を読みたかった自分にはぴったりでした。
後半からは受けさん(葵生)視点に変わるのですが、これが凄く意外で。
クールビューティ・ポーカーフェイスと言われていた葵生って、こんな可愛かったの!?と惹かれる要素満載の、それは可愛いらしい受けさんでした。
お金持ちなのに気取ったとこもなく、素直で時には積極的で思いやりがあって…。
久々に大好きな受けさんに出会えました(^^)

周りを固める脇キャラ達もいい人ばかりで、特に大きな展開などはありませんが充分に満足できる、
買ってよかった!読んでよかった!
と思える1冊でした( *´︶`*)

3

何も欲しがらない攻めが欲しがったもの

天然二人のほんわかした話でとても癒されました。

児童福祉施設で育った征太郎(攻め)は諦めていた大学進学をとある実業家が援助してくれることで実現します。その御礼にと挨拶に行くのですが、当の西園寺翁は不在で、その孫の葵生(受け)と出会います。
葵生は節約のためあまり身だしなみを構わない征太郎を美容院に連れていき、服を揃え、食事に連れていきます。元来ものを欲しがることのない征太郎は戸惑うのですが、断ると葵生が悲しそうな顔をするのでありがたく受け入れることにします。葵生は何故か物を与えたがるのですが、征太郎は欲しいものはないし、必要なものは自分で手に入れるものだと思っているため、葵生の厚意を受け入れられません。

葵生は物心がつくまえに両親を飛行機事故で亡くし、祖父に育てられてきました。
周りに遠巻きにされているのも気付いていて、自分は人に好かれない人間だと思っています。実は、皆興味津津だったのに雰囲気に飲まれて声をかけられなかっただけなのですが。
奇しくも同じ大学であることが判明し、二人でいると葵生を遠巻きにしていた人たちが寄ってきます。が、二人とも世俗に疎く、俗っぽい話がほとんどわかりません。天然二人というのは確かに最強ですね。早々に二人の世界ができているので、何言ってるんだろうとお互い言い合い、ふたりとも分からないならまぁいっかという態度は甘々カバカップを側で見ているのと同じくらいな疎外感ではないでしょうか。
彼らは本当に気のいい人たちで、初対面からほんわか天然な二人の噛み合ってないようで噛み合ってる会話を暖かく見守ってくれて、読んでいて面白くて楽しいです。

前半は征太郎視点、後半は葵生視点となっており、征太郎が葵生に惹かれていく過程と葵生が征太郎のことを特別視している様子がよくわかります。というか、二人とも気付いてないだけでお互いほとんど一目惚れの初恋だと思います。二人とも初めて同士で恋が分かっていなかったから、もだもだしたんですね。
葵生が西園寺翁と児童福祉施設を訪ねた際に二人は出会っているのですが、まだ5歳だった征太郎は覚えていません。当時7歳だった葵生が再会した瞬間、征太郎だとわかったのは初対面での印象がよほど心に強く残ったからだと思われます。
与えられるものはなんでも与えるようにと教育されてきた葵生を初めて拒絶した征太郎に、何か与えたい望まれたいと刷り込まれてしまったのでしょうか。

ほんわかとした二人の緩やかな時が流れるのですが、葵生のはとこの俊貴の挑発に乗ってしまったため、征太郎に「何かを与えたいそしてそばに居てほしい」と純粋に思っていることが誤解されてしまいます。しかし、このことが転機となります。

この俊貴というはとこは二人にしょっちゅう絡んできます。葵生がどんなにつれなくしても飄々と笑って絡んできて、さぞかしうっとおしいだろうなと思われる人物ですが、二人の邪魔をするようでキューピット的な役割をしてくれることになります。長年想ってきた
(視線を自分に向けようとしてきた)葵生を一瞬で横からかっさらわれるのですから、ちょっとくらい意地悪なことを征太郎にしてもバチは当たらないかなとは思いました。
が、なぜ葵生のいる前でこういうことを言ったのかがちょっと疑問でした。
征太郎を試す意図があり付け入る隙ができるかもなんて言ってましたが、隙ができたところで葵生は今まで以上に俊貴を疎ましく思うだけじゃないかと思うのです。
27歳にもなって小学生の好きな子いじめのようなことをしているのも、正攻法で良かったんだと後で征太郎に言ってましたが、世渡りのうまそうな俊貴にしては効果のない行為を10年以上もしてきていることが少し不自然だと思いました。ともかく、彼のお陰で二人は素直になれたので良しとしましょう。

最後、なかなか会えなかった西園寺翁ともやっと挨拶でき、愛犬と葵生に早々に気に入られている征太郎を見て自分の選択が正しかったと確信しているように見えました。
長く一族を率いて人の見る目のある西園寺翁のことですから、昔のことも覚えているようだし、葵生の側近として相応しいと思っての支援だったのかなと思いました。

こんな天然な二人なので絡みもあっさりほんのちょっとだけです。
でも、この二人には身体よりも精神的なつながりのほうが強い感じがして少なくても満足です。幸せな気持ちになれました。

1

ほのぼのマイ・フェア・レディBL

あらすじ:
施設育ちの征太郎(攻め・18歳)は、大企業グループの責任者・西園寺氏の援助で、大学に進学させてもらえることに。
礼を言うため訪ねた西園寺家で、 西園寺氏の孫・葵生(受け・20歳)と知り合い…

天然同士のほのぼのしたやり取りが微笑ましいお話。
傍から見たら明らかに両想いなのに、本人たちは全くそれに気づいていないというのが面白いです。

幼い頃、祖父と訪れた施設で、征太郎に会ったことがある葵生。
持つ者は持たざる者に親切にして当然と教育されてきた葵生にとって、何も欲しがろうとしない征太郎は放っておけない存在でした。

そんな過去があるため、再会後も何かと征太郎に親切にする葵生。
何をあげれば征太郎が喜ぶのか、常に試行錯誤している姿が可愛く、美貌とのギャップも面白いキャラです。

征太郎は、成績優秀なイケメン好青年。
何事にも欲の薄い性格でしたが、自分に何かと親切にしてくれる葵生のことは気になり、彼の美貌や内面の可愛らしさに惹かれていきます。

葵生にサロンやレストランや買い物に連れ回され、どんどん洗練されていく征太郎。
男版マイ・フェア・レディのような展開で、葵生の嫌味のない坊っちゃんキャラがストーリーにほのぼの感を添えています。

ラストは心が通じ合い、両想いに。
脇キャラも良い人ばかりで、ちょっと展開として面白みに欠ける感はありましたが、可愛いお話でした。

4

何でこんなにもどかしいんだ?

2016年刊。
いつもなら、攻めが裕福で受けが身寄りがないといったパターンをよく読んでいるのだが、今回は攻め・征太郎が施設育ちの苦学生、受け・葵生が年上のお坊ちゃまといった関係だ。

正反対の境遇だが、二人とも擦れたところのない穏やかな性格だと思う。
葵生の愛犬・リッターも可愛くて二人の仲を取り持っている。
葵生の身内である、征太郎の大学費を援助している祖父・西園寺氏もはとこの俊貴もいい人だ。
また、話のほうも前半・征太郎視点、後半・葵生視点と変わるものの読み易く、特に苛つきも感じずに済んだ。

それなのに、何でこんなにもどかしいんだ?

周囲に愛想を振り撒くタイプではない葵生が何故か征太郎には何かと構いたがるし、征太郎のほうは葵生に好意以上の気持ちを持っている。
更に二人にはお互い両親が居ないといった共通点もあって、ひとつだけ欲しいものとなると察しが付くのだが…
両想いなのは分かるのに、深い関係まで結び付きたいと感じられる感情の沸き上がりが足りない気がした。

1

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