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ピアスホールは塞げない(表題作 モイストヒーリング)

pierce hole wa fusagenai

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表題作ピアスホールは塞げない(表題作 モイストヒーリング)

甲斐亮太 ,高校生〜大学生
柊尋人 ,高校教師

同時収録作品春の凪

佐倉晴人,高校3年生
夏凪爽,高校1年生

同時収録作品目を閉じて君に会う

西野慧吾 ,転校生
百枝 ,事故死した高校生

その他の収録作品

  • ピアスホールをあけるとき
  • ファーストピアス

あらすじ

『モイストヒーリング』
告白はした、カラダも重ねた、でも心は―?
大学生の甲斐の耳には安定しないピアスホールがある。高校の卒業式当日、ずっと好きだった柊先生にあけてもらったのだが…。
告白をすると何も言わず受け入れてくれた。会いに行けば拒まない。でも、連絡はない。
先生の気持ちがわからず会いに行けなくなったとき、先生に彼女ができたのではないかと聞かされて…。
ほか、続編の『ピアスホールをあけるとき』
高校生同士の恋愛を描いた『春の凪』『目を閉じて君に会う』の3編を収録。

作品情報

作品名
ピアスホールは塞げない(表題作 モイストヒーリング)
著者
あがた愛 
媒体
漫画(コミック)
出版社
日本文芸社
レーベル
KAREN COMICS
発売日
ISBN
9784537135305
3.9

(123)

(36)

萌々

(55)

(24)

中立

(6)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
16
得点
478
評価数
123
平均
3.9 / 5
神率
29.3%

レビュー投稿数16

低温なのに熱めな恋の集合体

あがた愛先生のマンガ7冊目。
この短編集は、無駄がなくてストーリーの運びが上手。
噛めば噛むほど〜美味しくなる感じ。
静かに、温め合いながら〜お互い熱くなるCP達が尊いわっ。

春の凪と、目を閉じて君に会うが好きかな。

春の凪、ナツナくん最後に笑えて良かったね。先輩とお幸せにwww

目を閉じて君に会う、死ネタだけど。西野くんと百枝くん共に、救済しあったね。
最後に、プリンを1口食べた描写に萌えた。

どのストーリーも、浸透してくるわ。


0

短編集です

こちらは表題のもの1冊ではなく短編集なので
1冊まるまる楽しみたい!という方には注意です。

ですが、実際表題の『モイストヒーリング』と
先生目線で描かれた『ピアスホールを開けるとき』
そして描き下ろしで後日談の『ファーストピアス』
の3話が収録されているので、
あまり物足りない感はなかったです。

そして、もう1作『目を閉じて君に会う』が
私はとても心に残りました。
幽霊の子との切なく甘い恋愛をとても繊細に
描かれている作品なので気になる方は是非!

0

静かな中にゆらゆらする熱

あがた先生初読みです。
が、先生の二次創作は大好きなCPのお顔が美形で好きで読んでいました。
その二次創作で描かれていたどこか仄暗い感じが本作にもありました。

短編3本とも、低体温というか静かで一見何を考えているかわからないようなキャラの中に、静かな熱がゆらゆらしているようなそんな印象を受けました。

ストーリーも特にドラマチックなことが起こるわけではなく(幽霊は出てくるけどw)終始淡々と進むので、途中、正直なところ間延びした感じがしました。

0

全体的に切なめです

1作まるまるかと思いきや短編集でした。
でもなんとなーく全てが同じくらいの温度の作品で最初から最後まであまりテンションが変わらず読めました。
だからと言って、似てるストーリーがあるとかではなく、どれもとても良かったですよ!

ピアスの2人の話は、先生と生徒設定ですがあまり禁断感はなく、ただ不器用なすれ違いがあって、でも卒業後にちゃんとまた会えるのがゆっくりだけど確実に離れられなくなってる感じが良かったです。

私が1番好きだったのは「目を閉じて君に会う」
相手が幽霊… もう幽霊だって分かって読んじゃうから切ない…いつも幽霊系って、本当は生きてるとかないかなって思いながら読むけど…生きてなかったぁ…
一言だけの文字のやりとりとか好き…
死ネタは苦手なのですが、登場人物が1番好きでした。


結果、短編集だけど一作一作濃くて良かったです。

3

優しくて切ないお話

短編3つ入ってました

最初のピアスホールのお話は、後ろに先生視点もあってそっちの方が好きかな
甲斐くんと先生の身長差が素敵
あがた先生の美しい絵も良かったです

春の凪は色っぽいお話
この本の中で少し不思議な雰囲気のある作品でした
何かよくわからないけど惹かれあった2人なのかな

目を閉じて、は切ない
というか死んじゃってるお話
この手の話は苦手なので読まないのですが知らずに読んでしまいました
読後重苦しくはないのですが、やっぱり切ない

全体的に優しいお話なのですが、少し息がしにくいような、そんな感じの一冊でした

0

意外と甘さもあって良かった

なんだか切なそうなタイトルとあらすじでなかなか読めませんでしたがやっと読みました。

ピアスホールは塞げない
甲斐が先生を好きなのに距離が縮まらず先生は何を考えているのかわからなくて。
しかし巻末のあけるときは先生視点で。
まさか先生がそんなふうに思ってたなんて!
惹かれたり焼きもちやいたり距離を置いたり。
んもう素直じゃないんだから。
先生も甲斐にピアスをあけてもらってこれまでと違って名前で呼ばれてもうちゃんと素直に付き合ってるのかな?

春の凪
まさかの!彼限定。びっくりしました。笑顔が見れて良かったね。

目を閉じて君に会う
良かったです。幽霊物ですが攻めには実体が感じられて。机の筆談とか、ずっと見てるとか。
好きな人もいないまま儚くなってしまって。初めて好きな人ができたのね。そして初めての両思い。
そして成仏しちゃったのかな?
攻めが仮面を外せたのも彼のおかげかな?

0

リリカルな短編集

抒情的で、しっとりとした雰囲気漂う作品群。高校生もの。

「モイストヒーリング」「ピアスホールをあけるとき」
高校生(現在は大学生)×先生。「モイスト~」は生徒視点なので、本の最後にある先生視点でのお話を読まないと、先生の心情が理解できない。どちらも読んで、切なさは伝わるが、高校時代の先生が先生という立場を超えて、生徒に恋するきっかけとしては弱いかもと思った。
生徒が先生にピアスを開けてもらうんだけど、好きな人に一生消えない傷をつけてほしい、という発想自体が、なんとなく受けっぽい気がする(傷を残してやりたい、と思うのが攻めかな、と)。なので、カップリングが逆のほうが自分にはしっくりきたかもしれない。

「春の凪」
先輩×後輩。気になっていた後輩くんがビッチという噂を聞きつけ、真相を訊きにいったら跨がられてしまうというお話。後輩の、誰にでもやらせてくれるというところに悶々としたものを覚える先輩は、俺は他のやつらとは違うんだ、とばかりに肉体ではなく心を繋げようと、プラトニックな関係を築こうとする。そのことに苛ついた後輩は…。
可愛らしいオチで、一番好みの話だったけど、後輩が褐色なことは特に説明がなかったような…。ビッチと言えば褐色なの?

「目を閉じて君に会う」
転校生×転校先の幽霊。幽霊なのに机にペンで文字が書けたり、エッチできたり、プリンを食べたりできるのか、という情緒のないツッコミはしちゃいけない。あまりにも受けくんに人間味があるので、実は死んでないってオチかと思ったんだけど、そんなことはない。死ネタが苦手なのもあって、このお話は…ごめんなさい。

2

高校生達の

3CP分の短編が収録されています。

どれも高校生(表題は〜大学生×先生)のお話なのですが、カラッとした青春ではなく、どこか薄暗い雰囲気のあるお話です。絵が綺麗なので薄暗さも雰囲気が出ますね。
今まで読んだあがた先生の作品はエッチ度高いものが多かったのですが、こちらは少なめ。ただ相変わらず局部の描き込みはエグいです。

表題、柊先生(受け 高校教師)目線のお話が収録されていたのがとても嬉しかった!CPの両方の心理描写が分かるとお得感がある。

1

暗めの雰囲気の中に感じるそれぞれの純粋さ

◆ピアスホールは塞げない(表題作)
 冒頭の『モイストヒーリング』は短過ぎてそこまで印象に残らなかったのですが、最後に収録されている『ピアスホールをあけるとき』『ファーストピアス』を読んで、このカップルが一番のお気に入りになりました。堅物で愛想のない教師の柊が、生徒の甲斐と共通の趣味のことで楽しそうに談笑しているのが可愛かったです。生徒の誰も知らないような先生の本来の姿を、これから甲斐だけが知っていく。教師と生徒ものって夢があるなぁと、改めて思いました。

◆目を閉じて君に会う
 そこまで重たくはない幽霊もの。実は死んでいなかったとか、生き返るとかいう展開は訪れず、最後まで百枝が見えたり見えなかったりする霊のまま、終わっていったところが良かったですね。最早同じ生き物にはなれない2人は、ちゃんとこの恋の終わりを分かっている。その分、この短い期間に2人は真剣に恋をしていたんだということが、強く伝わってきました。

1

青春の官能?

青春をテーマにした文芸の短編集を読んだみたいな後味の残る一冊でした。
誰にでもお勧めはできないかなぁとは思ったのですが、1編1編すごく丁寧に振り返る大切な思い出のような作品集で、心の奥底に訴えかけるものがありました。あがた先生の作品って結構大胆にエロいのに、仄暗い官能という印象をうけます。(明るくないから…?)
バッドエンドではないのですが、その先に明るさが見えないという部分で隠れバッドエンドなのかもしれないです。余白が多いというところは個人的にとても好きなのですが。
表題になっている「モイストヒーリング」、「ピアスホールをあけるとき」「ファーストピアス」低温な先生(美人)にグイグイいく生徒(イケメン)のピアスホールをめぐる駆け引き…、ピアスをあけるってこんなにエロい行為だったっけ?とドキドキしながら読みました。
「春の凪」優等生・攻が気になって仕方ないビッチな美人の下級生(!)の秘密は…、、きゅんきゅんです。
「目を閉じて君に会う」、ちょっと想像してなかったのですが、異界通信BLでした。じわじわ悲しさがつのるので、実は~!みたいな展開も期待したのですが、変化球なく直球でした。…切なさが半端ないので要注意です。

2

いいお話ばかりでした

死ネタはほぼ九割読まない事にしているので表題作だけに惹かれて購入しましたがまさか、死んでいる人ネタが載っているとは思いませんでした…。

本当に、悲しくて切なくてどうしようもなくなってしまうので読みたくはないんですが、この本の中で一番好きなお話でした…。あぁ、こうしてレビューを書くために思い出すだけでも悲しくなります…。

最後はプリンが減っているじゃないですか、なのでまた来てくれるようになったのかな?とか、自縛的な存在で元の場所から離れられないんじゃないかな?とか、攻めくんが卒業したらどうなっちゃうのかな…とか、実は成仏しちゃった?などと考えると深みにはまってしまいます。

あぁ、切ない…。

あがた先生の本はこれが初めてだったのですが、作画も非常に安定していて場景に色が見えるようでした。これから他の既刊も読んでみたいと思います。




4

どうかこの傷が切なく甘いものでありますように

「この恋が自分にとって一生の傷になる」というテーマで描かれた高校の教え子と元担任の先生のお話。
卒業の日にずっと好きだった先生に開けてもらったピアス。
このピアスの穴 にまつわるお話が三つ入ってます。
【モイストヒーリング】は開けてもらった側の視点(学生・受け)
【ピアスホールをあけるとき】は開けてあげた側の視点(先生・攻め)
【ファーストピアス】は描き下ろしで付き合ってる二人のお話。今度は先生の耳にピアスを開けようとして……

ピアスの穴というものに何の価値も見出していなかった私なので、ピアスの穴を開ける=相手の体に一生の痕跡を残せる行為という考え方に目から鱗。
そっかー、だから他作家さんの話(ブルースカイコンプレックス)で 受けのピアスの穴をいつ開けたかいう話になり、攻めが何となく不機嫌になってしまうという箇所があって、そこまで怒る事かなぁ??って余り理解出来なかったんですよね。…… 疎い私。

全部読んでみれば両片思いである事がわかるんだけど、先生は元生徒に対して有望な子だからこそ自分のせいで輝かしい将来の妨げになってはいけないという思慮があって、生徒からの告白を全面的に受け入れる事ができない。そんな状況で生徒の耳にまさに開けようとする時に先生が心の内で呟く「この傷は俺が恋をした証」というくだりはグッときました。

【目を閉じて君に会う 】
こちらは幽霊くんと相思相愛になってしまう高校生のお話。相手が相手だけに恋が成就したと言って良いものなのか……。
しかし恋は確かに存在しているのに二人に未来がないところが何とも切なかった。もっと二人が早く出会っていれば……と思わざるを得ません。

4

耳たぶさわる癖がなんかエロい

3つのお話が収録されています。どれも高校が舞台ですがキラキラした華やかさと言うより、しっとりと切ない感じのお話ばかりです。

表題作の半年前まで高校生だった真面目な男の子と先生のお話は本編では攻めの男の子目線でお話が進んでいますが、番外編で受けの先生目線からのお話が書かれているので、合わせて読むとお互いの気持ちがわかります。ピアスホールを好きな人に開けてもらうと言う儀式、ドラマ化とかしたら絶対流行りそうですね。

1

高校生中心の1冊

表題作は元教え子×高校教師のカプ。
優等生だった攻めは、堅物の担任教師と好きなアーティストが同じだったことで仲良くなり、高校を卒業するときに「思い出が欲しい」と告白。そのときピアスホールを開けてもらい、身体の関係もできて…というお話です。

いいお話ではあったのですが、主に攻め視点で進むので受けの気持ちが分かりづらく、年下の攻めが振り回されている感がありました。それはそれで美味しいんですが、実際の受けのキャラはまったくそんな風ではないので、せっかくの可愛げがあまり感じられずもったいなかった。どちらかといえば受けの視点の話だった方が良かったな、と個人的には思ったりしました。
まあこのあたりは好みの問題かと思います。


別の収録作が二本。うちひとつは上級生×下級生の話で、下級生に「頼めばやらせてくれる」という噂があるので確かめに行ったら自分も乗っかられちゃった、というお話。
生徒会役員で優等生の攻めが、ビッチ受けにハマる話だと思って読んでいたのですが、意外な展開でした。短編で、キャラクターに思い入れができる前に終わっちゃった感じなので、中長編なら良かったな、という印象です。


もうひとつ、転校してきた高校生が座った席に、自分と入れ替わりのように事故で死んでしまった生徒が憑いていた(?)、というちょっと切なめな作品が入っていました。
この本の中ではこれがいちばん好きでした。攻めは、霊を見ても動じない飄々としたキャラで、受けは生前は友達もいなかったコミュ障だったけどすごく穏やかな可愛らしい子。その2人が机に一言ずつ伝言を書いて文通を続け、プリンが好きだったという受けにプリンを買ってきてあげたり、気持ちを通わせていくのが微笑ましくて切ない。
予想外にエロありで、それは嬉しかったですが、切ないお話でした。受けが亡くなる前に攻めが転校してきたら良かったのに、と思わずにいられません。

3

痛みだけが傷じゃない

前作が良かったので、こちらの作品も購入しました。3つのお話が収録されています。切なくてしっとりとしたお話たちでした。
以下、作品ごとに感想です。あらすじは既に書かれている方がいらっしゃるので割愛します。

「モイストヒーリング」
元教え子(大学生)×高校教師。
先の方も感想でおっしゃっていますが、ピアスホールが安定しない所とふたりの関係性が対になっていてグッときました。「きっと一生消えない傷になる」という裏表紙のモノローグがこういう言葉たちで構成されていたのかと思うと、すごくいいなと思いました。

「春の凪」
生徒会の先輩×密かな噂がある後輩
作者さんの絵では初めて見るタイプの受けでした。童顔の褐色男子です。意中の先輩に、言葉少ない彼はどうにか関係を築きたかったのかな、と思うとこういった健気な受けもかわいいと思いました。

「目を閉じて君に会う」
転校してきた人気者×地味でおとなしいクラスメイト(幽霊)
設定が設定なだけにどういうオチになるのか気になったのですが、等身大な彼らの終わり方というか、無理矢理ハッピーエンドにならずかといってバッドエンドでもなく、すとんとくる終わり方でした。もし受けの子が幽霊じゃなければと思いつつも、作中の台詞であるようにこんな関係でなければ話すこともなかった彼らはやはり、今の関係性だからこそ繋がりが持てたのかな、と切なくなりました。
西野君の心に切なくも愛しい傷ができた瞬間だったのだと思います。

「ピアスホールをあけるとき」
高校生×高校教師
「モイストヒーリング」の過去にあたります。前回は攻めの教え子視点で描かれていますが、今回は先生視点です。表題作が「モイストヒーリング」と聞いていたので最後にこの話がきてなるほど、と思いました。所々「モイストヒーリング」と同じ場面があり、このシーンの先生はこんな風に思っていたのか、と心情を知ることが出来て良かったです。

「ファーストピアス」
表題作ふたりの描き下ろしです。
「モイストヒールング」の最後でふたりが交わしていた会話を知っているため、攻めが先生を名前呼びをしている姿にすごく萌えました。ふたりが順調に進んでいる様子が伺えてよかったです。

どのお話にもエッチシーンはありますが、濡れ場メインではありません。
今作のコンセプトが後書きに描かれており、作品を読み終えた後にもう一度読み返したくなりました。

12

切ない恋心に萌え

初読みの作家さまでしたが、あらすじに惹かれて購入してみました。

3つのCPのお話が収録されている短編集。すべて学生さんが主人公のお話。はじめ同じ高校が舞台かと思って読んでいましたが、よくよく見ると制服がちょびっと違うので、別の高校なんですね。

ネタバレを含んでいます。苦手な方はご注意を。





『モイストヒーリング』
大学生の甲斐くんが主人公。彼視点で話は進みます。
高校の卒業の時に、ずっと好きだった担任の柊先生に告白した甲斐くん。
卒業したら「先生」ではない。
好きになってくれなくても良い。せめて思い出が欲しい。
玉砕覚悟でそう告げた甲斐くんをあっさり受け入れてくれた柊先生ですが。

会いに行けば会ってくれる。身体の関係もある。けれど先生から連絡が来ることはない。先生は自分に対して恋愛感情を持ってくれているのか。
好きになった人に傷をつけてほしい、という意味合いもあり、先生にピアスホールをあけてもらう甲斐くんですが…。

というお話。

なかなか定着せず出血し続けるピアスホールが、二人の不安定な関係とリンクしていて、そして好きな人につけられた傷は消えてほしくない、という恋心ともつながっていてなかなか良かったです。

『春の凪』
在籍する高校で生徒会役員をしている佐倉くん。ある日、夏凪くんという後輩の噂を聞きます。頼めば誰でもヤらせてもらえる、という噂。確認の意味もあって夏凪くんに声をかけるのですがあっさり肯定されて。その流れで関係を持つ二人ですが…。

夏凪くんは無表情で言葉も少ない子なので何を考えているのかわからなかったのですが、徐々に見えてくる彼の佐倉くんへの恋心が健気で可愛かった。言葉よりも身体が先行する彼らですが、高校生らしい、青く若い恋が描かれています。

『目を閉じて君に会う』
高校2年生の時に転校してきた西野くん。
そつなく人間関係をこなせる彼ですが、ある日教室の自分の机に男子生徒が座っているのを見かけます。その後机にちょっとした雑談が書き込まれるように。そのことに気付いた西野くんが机に返信を書き込むことで、相手が誰ともわからずやり取りをするようになるのですが、実はその相手は…。

というお話。

相手が相手だけに、西野くんの恋が成就することはない。けれど、確かにそこにあった彼らの恋が、切なく、儚く、思わず落涙。
表面的にそつなく何でもこなす西野くんが、彼との恋を通して素の自分を出すようになる姿が切なかった。

最後に『モイストヒーリング』の番外編にあたる『ピアスホールをあけるとき』『ピアスホールは塞げない』が収録されています。『ピアスホールをあけるとき』は柊先生視点。なので『モイストヒーリング』で分かりづらかった柊先生の気持ちが描かれています。

柊先生が甲斐くんに恋心を抱くようになった過程。そして甲斐くんに告白されたときの彼の気持ち。

『モイストヒーリング』ではなんとなく掴みどころのないキャラでしたが、『ピアスホールを~』では年下の、しかも生徒に恋する先生の葛藤が描かれていて萌え度がアップしました。

高校が舞台にはなっていますが、登場人物たちに接点があるわけではないのでなんとなくブツギレな感じ。『モイスト~』を軸に、じっくりストーリー展開したほうがよかったんじゃないかなと思ったりもしましたが、それでも、すべてのお話に共通しているのは「相手への切ない恋心」なので、読んでてキュンとしました。

12

この作品が収納されている本棚

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