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「何って…そんなん……あんたに会いに来てんじゃん」
いや〜これ、面白かった〜!
この作品は 私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#ans_72025
で教えていただいたのですが、これ教えていただけて本当に良かったです。
自力ではこの作品は見つけられませんでした。教えてくださりありがとうございます。
一人で映画を観るのが好きな倉持。ある日、近くの席ですすり泣く男がいた。
失恋して家に帰りたくないからふらっとここに入ったとボロボロ泣く彼にハンカチを貸す倉持。
それ以来、ちょくちょく現れては、必ず隣の席に座るように・・・。
隣に座るようになったのは金髪大学生の時尾。よく喋るチャラい男で寡黙でややコミュ障ぎみの倉持とは真逆の性格。時尾はじっと黙って鑑賞せず、何かと話しかけてきたりと五月蠅くて仕方ない。
ある日、倉持は転勤が決まり、引っ越しする事に。引っ越しの梱包の際、映画のパンフレットを見つけてめくってみると、思い出されるのは映画の内容ではなく隣に座っていた時尾のことばかり・・・。
映画なんて好きでもないのに倉持に会うためだけに、映画館に来ている時尾。
引っ越した先に大きな映画館があるにもかかわらず、片道二時間、往復で5000円もかけて元の街の映画館へやってくる倉持。
だけど連絡先どころか名前すらまだ知らない二人。
二人の行動力の源は「会いたい」から。
無口な倉持が「会いに来てんだよ!!わざわざ片道二時間もかけてっ お前にっ!!」って言ったシーン。
うわー!と最高にキュンキュンしたんだけど、これ、告白シーンでもないんですよ、彼らにとっては。
こんなのほぼ告白でしかないでしょぉ・・・!って思うんだけどね。
その後もすれ違いで会えなくなった時尾が倉持を探しにやってきたり(毎週末・一ヶ月近くも、都度5000円かけて)お互い、相手のことを悶々と考えてみたり・・・
二人が相手のことを考えたり追い求めたりする姿が読んでて堪らなくてニマニマしちゃいます。
でも二人は何がそうさせるのか気づいておらず(倉持のほうがすこーしだけ気づいてるかもしれないけど認めたくない)二人の間で恋はまだ始まってないんだけど、次第に周りの方があいつらって・・・と気づいちゃう。
水と油みたいなこの二人がちゃんと恋を意識して付き合い出したら、どうなるのかなぁと読後の妄想も楽しい一冊でした。
店頭で一目惚れして購入してしまうほど魅力的な表紙です。
「漫画を読む」というより、気づけば「映画を見ている」ような感覚になる不思議な作品で、見せ方が非常に上手いといいますか、読もうとせずとも勝手に脳内に全部が入ってくる感じといいますか。
お話としては、見知らぬ二人がだんだん友達になっていく様子が描かれているんですが、友達かどうかすら怪しい二人の、縮まったりすれ違ったりする距離と心情に、BL心が湧き立ちます。二人は恋未満なのかと思いきや、それぞれが相手のことを考えているシーン(たくさんある)では、キュンとせずにはいられない、萌えるんです、とっても!
そして、駆け出す体、シクリと痛む心、会えた時の心臓が止まるような衝撃といった重要なシーンにおける、二人と自分がシンクロしたような感覚に圧倒されました。なので、控えめのストーリーであるのに、最後まで失速することなく物語に夢中になったまま読み終えていました。
また、味のある面白い脇役がたくさん出てきます。ポンポン飛び交う会話も、人柄や個性も本当に楽しくていい人たちばかりです。にも関わらず、わき道に逸れることなく、最初から最後までブレずに、主人公二人にスポットライトが当たり続けているところが素晴らしい!と思いました。まるで名俳優、名脇役、名監督によって作られた映画のようだなと。
それぞれが相手のことばかり考えるようになって、正体不明の感情に戸惑いながらも、ようやくお互い向かい合い始めたイイ~所で、物語は終わっています。
ラストコンテンツでの、通りを眺めるメガネくんの横顔がもうっ・・・もう~っ。
これから先はこういう顔を拝めるのか?と思うと、続編を望まずにいられません!
本当は「新年一本めのレビューは、この作品でいこう」と意気込んでいたのですが、一年越しになってしまいました。
読後に、旅立ち…とか 門出…とかがすごく浮かんできて、背中を押されたような気分になるんです。
【レビュー】と表された 16頁のプロローグ的なお話で、ストーリーは幕を開けます。
もうこの部分だけで、この本を買った意味があった…と思いました。あっ。表紙買いしてしまう程、装丁も素敵なんですけど。
絵も好きだなぁ。時尾君の服が、いつも目がチカチカするような模様で 見ていて楽しい。
知らないうちに親友ができて 楽しければ万事オーケーな時尾君が、二人でいる時の沈黙の気まずさを初めて知ったり…
休みの日は外へも行かず自宅で映画ばかりを観ている倉持君が、嫉妬や やきもちや羞恥心を露にしたり…相手の言動に深い意味や意図を見出だそうとしたり。
年も趣味も性格も全然違う二人の時間が少しずつ重なっていく展開にソワソワします。
何より「君に会いたい」、そのストレートな想いがとても心地いい。
それに、二人の不器用な関係を際立たせるような 登場人物の構成が細やかで素晴らしいんです。
特別に しびれる展開があるわけではないし、あらすじを説明すれば数行で書ける内容なのに、何でこんなに心に残るんだろう。
理由を上手く言い表せないまま、レビューを書き終えてしまいました。
評判をうかがってから買うつもりだったのに、店頭で見かけ、買って帰らずにはいられなかった漫画です。
読んでみて、絵といい、話といい、表紙から受けた印象そのままの、とても良い作品だと分かりました。
エロ大好きな私が、エロが皆無なことを少しも惜しいと思わないなんて凄い、と感心しています。
続編が刊行されたら、もちろん絶対に買いますが、この物語はここで終わるのがベストなのではないか、という思いもあり、続編の要望を出すのがためらわれます。
それくらい、満足のゆく作品でした。
かなり久しぶりに琴線に触れた作品。
楽しいわけではないのに、会いたい、一緒にいたい。
そんな2人が少しづつ、本当に少しづつですが、恋に近づいて行ってる様が凄く伝わってきて、たまらなく愛しい気持ちになった作品です。
このもどかしさが良い様な、けど2人の想いの行き着く先を見届けたいような・・・。
あほの子っぽい攻め君が、受け君との恋に溺れていくのを、やはり見てみたいと言う欲求が捨てられません。
是非続編を執筆していただきたいです。