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表題作兄と弟~荊の愛執~

柳田赫,27歳,長く音信不通だった清巳の実弟
柳田清巳,31歳,女装趣味があるエリート官僚

その他の収録作品

  • 赫い棘の鎖
  • 愛といつくしみのあるところ
  • あとがき

あらすじ

妻の浮気を黙認し仮面夫婦を続けているエリート官僚の清巳――彼の秘密の趣味は、女装だった。
僅かな時間、自分を変えることで満たされる清巳の心。そんなある日、弟の赫が突然清巳のもとを訪れた。
海外放浪後はフリーライターをしているという自由奔放な赫。幼い頃は仲が良かったが、いつしか避け合うようになった兄と弟。
そんな赫に清巳は秘密を知られてしまった。理性を失った弟に抱かれ、清巳は禁忌の悦楽へと堕ちていき…。

作品情報

作品名
兄と弟~荊の愛執~
著者
淡路水 
イラスト
大西叢雲 
媒体
小説
出版社
三交社
レーベル
ラルーナ文庫
発売日
ISBN
9784879199812
2.9

(14)

(1)

萌々

(4)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
1
得点
37
評価数
14
平均
2.9 / 5
神率
7.1%

レビュー投稿数1

同人作品発なので濃いけど早い

今年二月、本作のスピンオフ(2013年同人にて初出)がkindleで配信されたのをきっかけに誘導されてこちらにやってきました。元ネタのメインカプに興味津々だったし、設定も好物だったのでサラッと楽しめたけれど、いかんせんわたしには展開が早く感じられて、萌え炸裂〜ッ!とまでは至らなかったです…。

表紙の雰囲気とはちょっと違って、中のイラストが大変好みでした。大西叢雲さん、今どこで何をされているのでしょうか、あなたのイラスト好きです!!

さて、本編となる前半では、子供の頃のある一時期から不仲になって疎遠状態だった兄弟の不条理な接触から始まります。結婚後まもなく妻とギクシャクしていた兄・清巳の住まいに弟の赫(かく)が突然訪れ、嫌がらせのように体の関係を強要する。赫が反発するエリート官僚の清巳には女装癖が…。

後半は赫視点で、兄から疎まれている弟側の心情を追いながらその真意が明かされます。兄弟の捩れた絆には母親の存在が大きく影響していたことも。二人の思いは純粋な恋情とは多少ズレているかもしれないし、名状し難い曖昧なものなのかもしれないけれど、互いを引きつけ合う動機づけとして母親の介入がしっかりと提示されているところがポイントでした。性癖萌えを表面的になぞっているだけの作品じゃなくて歓喜いたしました。

本編は受け視点、後半は攻め視点、さらに最後にSS収録という構成は、同人作品をまとめて同時収録した体裁に近いので、各々の展開の早さについては仕方がないところがあります。

ですが、ガチもんのどこに萌えるかっていったら、個人的にはなんたって両片思いの部分だったりするので…三人称でリバイズされた、外側から見た二人のもどかしい関係性をじっくり読んでみたかったです。母親とのくだりについても、シーンとして読んで一目撃者になりたかったような気がします。その方が臨場感があって、お話にどっぷり浸れそうな気がして。

語りの視点とかお話の構成って、読み手の直感的な好悪を左右する結構重要な要素なのかもしれないですね…。そこら辺がちょっともどかしかったかもしれません。

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