おまえだったら六十のじいさんでも可愛い。

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表題作運命の転機は三十歳でした。

東元遼太郎,大学時代からの友人で研究者,30歳
多岐川透,大手メガバンク勤務,30歳

その他の収録作品

  • 新婚旅行に行ってきました。
  • あとがき

あらすじ

大手メガバンクに勤めるエリートサラリーマンの透は、仲間うちで美人のジャイアンと呼ばれる傍若無人なオレ様。
「三十過ぎて独身だったら一緒に住もう」と約束した悪友たちの中で独身なのは透よりもハイスペックだけど貧乏な学者の東元と二人だけ。
そんなある日、東元が透のマンションに「迎えにきた」と引っ越し業者とともに現れて──!?
ボロい一軒家でぐずぐずのメロメロに甘やかされる彼との同居生活は透をもっとダメにして

作品情報

作品名
運命の転機は三十歳でした。
著者
夕映月子 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773088441
3.2

(95)

(20)

萌々

(30)

(22)

中立

(4)

趣味じゃない

(19)

レビュー数
17
得点
290
評価数
95
平均
3.2 / 5
神率
21.1%

レビュー投稿数17

”好き”が全部詰まってた…12年間の執着愛で甘やかす攻めと美人なジャイアン受け

や〜〜…!!本当に本当に自分の「好き!」がこれでもか!と詰まっている作品でした感涙。

攻め→受けへの、12年間の執着愛。
そして攻めと一緒に暮らすうちに本気の恋に落ちてしまい、「強引に迫る受け」。

好きすぎるんだな、もう…!*(о゚д゚о)*゚+

や、執着攻めが半ば無理やり受けを襲いーってパターンはいくつも見てきたんですが、攻めの執着愛と同等レベルに受けが攻めを好きになってしまい、思い詰めて襲うってパターンは実は初めてでした。最っ高だよ…!おかわりください、と言いたいです。。

18歳の時、飲み会で初めて会った時から30歳になる現在までずっとずっと好きだった相手を甘やかし、自分から離れられないように囲い込む攻め。

そんな攻めなんですが、多岐川に無理に迫ったりしないのがね…いや、自分に甘えて離れられないようになればいい、本音を言えば「鎖で繋いでおきたいくらいだ」なんて独白してるし本気で思ってるし実際囲い込んではいるんですが、少しでも多岐川が嫌がりそうなことは絶対にしないんですよね。。涙ぐましいわ。。

まだ多岐川が攻めをそんな目で見ていなかった同居当初、台所で肩に顔を乗っけられて硬直していた東元(攻)の心臓バクバク度たるやいかほどのものか…なんて想像しちゃいます。

「美人のジャイアン」なんて友人たちから評されている傲岸不遜な多岐川ですが、それは心を開いた人への甘えの裏返しでもあるんですよね( *´艸`)

これからもずっとずっと、「60歳になっても多岐川は可愛い」と言ってくれる東元のそばで甘えて甘やかされていって欲しいものです✨


……夕映先生の作品、もっともっと読んでみたい!と思いXを見ていたところ、数年前に亡くなられていたことを知りました。。ショックです( ; ; )
もっと前に先生の作品を読み、感想をお伝えできていたらな、、

心からご冥福をお祈りいたします。

2

執着というより忍耐

あとがきにもかかれてましたが…
この受けは誘い受けどころか襲い受け、いやいや、、、なんとも初めて読んだタイプ。

同級生の長年越し純愛モノか?と思いきや、全く裏切られるストーリーであっぱれ!

そして攻めも昔から想ってた?!
でも文中でゲイじゃないって言ってたよね?
だとするとDT??まさか!
攻めの長期戦略は尋常じゃないけど、個人的には「ママチャリでのビワイチ」を成し遂げる彼ならやりかねんとw 立志社大学、とか夕映月子さんは関西出身なのですね〜

そして二人共ノンケ出身でこうなるのか?と思ったけど、そこはファンタジーで乗り切りました(笑)

攻めの腹黒さは素晴らしく、病的な執着というか怖さが無いのは「もし多岐川に結婚したいと心から思う人が出来たら幸せを願う」的なことを言ってたからかな。ま、そんなことは無いはず、って思ってそうですけど。

置かれてたリングが男物と気づかなかったのか?とか、そんな都合よく関西の大学のサテライトに就職できるのか?とかツッコミどころはたくさんありつつ、楽しく読めた作品でした。

2

心地よい執着

読んでいくうちに、徐々に表面をおおっている膜がとれていくような、ちょっと不思議な気分になる作品でした。

”美人のジャイアン”と揶揄されている受さんですが、傍若無人に見せていて実はいいヤツという愛されキャラで、概ね可愛いです。”30歳になっても独身だったら一緒に住もう”と誓った仲良しグループが、いつしか、独身は受と攻だけになってしまい、”約束したからね”とばかりに同居生活をはじめる、、という、受の素直さと攻の実行力が化学反応をおこす展開。

攻は出会ってからずっと受を好きで、12年執着した(見守り型)ということなんですけど、そもそも、受にとって攻の存在って特別なんですよね。受以外にはそれがわかるんだけど(読者も)、当の本人だけが「俺が男だから男を好きになるっておかしい」という既成概念にとらわれていて、そこに気づけない。攻が時間をかけて、その概念(膜)から受を解放してあげたように見えました。(最終的にはショック療法w)

攻受のキャラにははまらなかったのですが、恋人同士になった2人(特に受が)が、自分にとっての正解にたどり着いて落ち着いた幸せな雰囲気が感じられて、スッキリ読了するというか、最初のタイトルにもどってそのハマり方が素晴らしいなと感心してしまったのでした。

1

いじらしい

美人なジャイアン!
透、なかなかに強烈なキャラでした。
無理を押し通しているようで、周りを見てるし可愛げがあって憎めない。

そんな俺様な透が長年親友として好き勝手やってきた東元と同居することになって、わちゃわちゃしてるのが微笑ましい。
最初の出会いで、透が提案した呼び方ではなくひとりだけ「透」と呼び出したところから、東元の恋心は感じられ長年の用意周到に執着してメロメロに甘やかして、爽やかに静かに外堀を埋めて、いいぞいいぞ、最後はどう落とすのかな?と思っていたら!!!

透が思ってもなかった行動に出てギャンとなりました。
勇気が出ないのに、でも気持ちは抑えれなくてというのが、いじらしくて、かわいい、かわいい。東元が自分を想ってるなんて思いもしてないとこが可愛い。

想いが通じ合ってから、これまで通りの軽い友情に甘さが加わってさらに透が潔くて、かんわいくて、東元の攻め方も甘くて腹の底も見え隠れしてニマニマでした。

0

スパダリとジャイアン

大学の頃からの親友東元と、流れから30歳にして同居することになった透。
傍若無人な態度の透に従うタイプの東元だったが、一緒に住みだすと、より透を甘やかしてくれる存在に。気づけばずっと一緒にいたいと思うようになる。。。

おかえりと言ってくれる。美味しい料理を作ってくれる。わがままを許してくれる。
こんな環境に放り込まれたら、ずっと1人で良いと思っていた透は絆されるのは当たり前。
そんな折、東元が講師の内定と指輪の発見で、透がとった行動が、突拍子もなくて面白かった!
東元の思惑は、予想以上にブラックで、透が怖いと言うくらいだったが、そんなことも良いと思わせるくらい、東元は用意周到なスパダリだと思います。
変人さはあまり感じられなかったのですが。。。 尽くすタイプの攻好きなので、満足です。
最後に、友だちにもちゃんとカミングアウトしているところが、二人らしくて良かった。

1

ジャイアンは掌の上で溺れる

はぁ~良かった。満足感でいっぱいです。
正直前半1/3くらいはなかなか集中できず間に他の本を読んでは戻っての繰り返しでしたが、途中からは一気に読めました。

端正な男前の攻め(東元)。美人ジャイアン受け(多岐川)のことを知り尽くして何枚も上手で。攻めのふんわりした所やクスッとかフッと笑う描写も良かったです。

ジャイアンこと受けの多岐川。自由を愛して結婚にも恋愛にもまだまだ興味はなくて。

んもう東元が多岐川を甘やかして一人じゃ寂しくていられなくして、策士なんだから。

そう、ものすごい策士なんです。しかも大学一年から12年もの間ずっと多岐川を好きで時期を狙って。
皆で約束してた30歳になっても独身だったら一緒に住もうという約束を目指して出来ることをコツコツと。そしていざという時はビシッとやり遂げる!
もし多岐川が結婚したら本心からおめでとうと言うつもりだったと。男前すぎでしょう!一生の恋だと思ってたんですね。

読んでるうちに、あれ?東元は多岐川を好きなのでは?とわかるんですがそれでもハラハラしました。

多岐川が東元を好きだと自覚して、東元は関西の名門大学に内定し離ればなれになる、しかも指輪を部屋に置いていて。多岐川の片想いの切なさにこちらもヒリヒリしました。
そして想いが溢れて決行の時。もうこっちまで多岐川の気持ちに涙が出ました。ごめん、今なら引き返せる、でももう今しかないとか。
東元に手錠をはめて媚薬を飲ませて自分で準備した体で乗っかって。

これもすべて東元の計算だったんですけど、まんまと罠にはまって。
いや、襲うのは想定外でしたが。ここまで追い詰めて囲いこむよう多岐川の様子を見ながら練ってましたね。

でも良かったね。いっぱい書きたいことがあるのにまとまりません。
東元の執着にありがとうですね。
独占欲も大好物です!

甘々ハネムーンもご馳走さまでした。

3

12年越しのフラグ回収へ

BLといっても、ノンケ、ゲイ、バイ、受、攻、進行視点の様々な組み合わせで作品の雰囲気はずいぶん変わってくるものですよね。(細かく分ければ数十通りになるはず。)
その中でも個人的にノンケ受視点はかなり好きな部類。
培ってきた自分の常識ラインを外れて男同士の恋愛に踏み込んでいく過程・心理描写がたまりません。

今回の主人公はノンケ受に加えてこれまた好物の強気美人受。あらすじの「美人ジャイアン」の文字を見た瞬間に購入してしまいました。

ストーリーは、長年の親友だった攻と受がひょんなことから同居を開始。
ナチュラルに甘やかされていく生活の中で攻のことを意識しちゃうようになって…というもの。
これだけだと少女漫画みたいですが、これはBLです!
男同士だから同居中パンイチでうろうろしていても変じゃないんです。
一緒に温泉に入っても変じゃないんです。
でもキスは?変じゃない?
…と最初は傍若無人に見えた受がどんどん攻を意識して暴走しちゃう姿が
コミカルに描かれております。

もう、読者からすれば最初から二人がくっつくのはわかっているわけで、さて今回はこの美人ノンケ受がどのタイミングでどんな風に落ちていくのかなと期待感が高まるわけです。そして来るぞ…来るぞ…からの、なるほどそうきたか!と。
まさかのノンケバージン襲い受でした。萌えました。
最初で最後の気持ちで挑んだのがラブショップの興奮剤とおもちゃの手錠プレイって、
かわいいいいいい。
細かく言えば、攻も受も、え?どこでそんな恋に落ちたの???ちょっと無理やりじゃない?という感じもしないではないですが、作品全体のテンションからはデフォルメを効かせたこれくらいがベストバランスだったと思います。

話の流れも、
「こっそりフラグを立てる攻」

「次々と回収しイベント発生させちゃう受」

「お約束なオチ」
という巡回型なので読んでいて疲れません。そしてわかっているんだけど楽しい。お似合いすぎて。もうずっと二人のこの共同作業を見ていたいと思いました。

美人ジャイアンと称される受の多岐川くんは、強気で俺様だけど、仕事は一生懸命やるし、細かいところにも意外と気付けるし、なんだかんだでいい奴なんですよね。うじうじしないさっぱりとした性格も好感度高いです。
彼の我儘は性格が悪いんじゃなくて相手への信頼と甘えなんですよ。
そんな受が無自覚新婚さんさながら居心地良さそうにしているところが今回の見所です。

一方、攻の東元くんも包容力とはまた違う感じのひょうひょうとした姿で微笑んでいるキャラなんですが、これがまた得体が知れなくて良いんですよ。
うわー…この人の壮大な計画の邪魔をしたらただでは済まなそう…的な雰囲気がにじみ出ております。
全面的に押し出される執着よりも、今回みたいなちらちら透けて見える執着の方がドキッとして面白いなと実感。しかも初めからハイスペックだったわけじゃなくて、計画的にスキルアップを図っていた所もポイント高いです。
もちろん受のピンチに現れるのもベタベタだけど、いいですね。

一見、我儘言いながら受が攻を尻に敷いている風ですが、実はコントロールしているのは攻だったりする姿も後半からはちらちら。ラブラブなのにマウントいったり来たりとゆらゆらな関係性にも萌えました。

サクッとお手軽に読めて萌えられる楽しい作品でした。
強気美人受好きな方は是非に!

1

いまひとつ乗り切れなかった……。

「三十路に突入した男の微妙な心理と恋愛模様」と「強引にエッチを迫る受け」という二つの題材を書きたかったとのことですが、どちらか一つに絞ったほうが良かったのでは?と思いました。

「三十路に突入した男の微妙な心理と恋愛模様」は、30にもなって幼稚さが残る受けの「結婚しない男の言い訳」みたいなものがずらずら書かれていて、なら別に結婚しなくてもいいんでは?とも思うんだけど、一人で老後ずっといるのは嫌だ…みたいなことも言っていて。

そこら辺の心理をうまーく絡め取って、「ありのままのお前でいい」と囁きつつ、居心地の良い環境を提供し、じわじわ囲い込んでいった攻めの粘り勝ちともいえる展開でした。

だけど、私は前半の「ノンケ友人に長〜い片思いをしている攻め」というのに同情と萌えを感じ、攻めの人柄に素直に好ましさを感じていただけに、「実は策士でした」という種明かしに裏切られた感が。

こういう紳士の皮被った腹黒策士もけっして嫌いじゃないんです。
でもそういうのが楽しめるのってラブコメとか、あるいはもっとダークなやつかなぁと思います。

そして、ノンケなのに途中から攻めの事を好きになり、ジョークグッズとはいえ薬と手錠を用意して襲い受けになってしまう展開に困惑しまくりです。
「強引にエッチを迫る受け」を書きたかったというあとがき読んでなるほど……とは思ったけど、ごめんなさい、ちょっと荒技すぎるように思います……。
前半で、女やら結婚についてあーだこーだ悩むノンケっぷりを見せつけられていただけに……。

さらに襲ったはいいものの受けが誤解して切羽詰まって、挙句の果てに涙こぼしてるというのに、なかなか攻めから「俺も好きだよ♡」と言ってあげないんです。
まるでその状態を楽しんでるかのような、してやったり感を満喫してるかのような攻めの姿にモヤりまくり。
この展開で両方のキャラに対する評価が下がってしまいました。

でも。

受けがやってみたいと思いつつも、一人ではちょっと踏み出しづらく感じていた旅という具体案が絶妙でいいなぁって思いました。
例えば四国八十八箇所遍路の旅とか、オホーツク海にオーロラを見に行くとか。

更にチリの果てのペンギンの群れとか、砂漠でキャンプテントなど、面白そうだけど女子にはハードル高めなやつ。
おまけに攻めは野宿上等!だし。
私、全然そういうの平気です!と言う女子がいたとしても、やはり男女カプで行った場合、なにかと男性が女性に気を遣うシーンがあるわけで、やっぱり男同士で行った方が気楽だよな!となる。

そのあたりが「男同士」という良さが素直に感じられてとてもいいなと思いました。

その旅行先のセレクトも、攻め自身も純粋に行きたい!と思う場所だとは思うんだけど、いくつか候補がある中でもとりわけ受けの心をくすぐる絶妙なセレクトをしていたのかなぁ?
(例えば映画を見て、〜に行ってみたいよなぁと呟いたことを聞き逃さないなどの、丹念な収集力のなせる技なのか)
それとも、そんな受けの心をくすぐろうと思わなくても、攻めが選んだところ=受けのツボだったのかなぁ?

例え前者でも後者でも、旅行に行って気兼ねなく楽しめる相手というのは、尊い関係だと思うんです。
だから万が一受けに彼女ができたとしても、受けが望む旅行先に通常女子は連れていけなさそうだし、そうなるとやはり攻めの方がいいなぁ……と思わせるように、それも策士のなせる技の一つなのか?とかあれこれ考えちゃいます。


1

綺麗なジャイアンに笑いました

変人?文学攻め×綺麗なジャイアン受け(笑)です。
学生時代からの友人で、4,5人のグループでキャッキャしていたのが30歳前に独身は二人だけで…
ふざけて「売れ残ったらみんなで暮らそう」なんて話していたけど現実的にありえない~ からの…なお話です。

受けさんはジャイアンと呼ばれるだけあって発言は結構オレ様(;´・ω・)
普段オレ様な受けは嫌いじゃないのですが、
攻めはそれを黙々と受け入れてしまうようなタイプなので
「本当に攻めさんそれでいいの!?受けの思うがままやぞ…!」と
心配してしまったほどです(;^ω^)

しかし!!!
攻めへの恋心に気づいたあとの受けちゃんの変わりようがいじらしくて可愛い~~!!!
攻めの行動にいちいち戸惑ってみたり、自分らしくない発想に自分でキモいぞ。。。と引いてみたり。
ありえないと思っていた相手に恋心を自覚した時の戸惑い、
思考回路はショート寸前な乙女になってしまってからのギャップは
オレ様受けの醍醐味ですね~(∩´∀`)∩
好きですこういう展開!!

エチはとてもあまーい感じで好きでした!
受けがどう思おうが読者側には攻めの気持ちはだいぶ前から伝わってきていますので
結ばれる頃には「攻めさんいいよ!!好き放題やっちゃってー!!!」な気持ちに(笑)
一見朴訥な攻めですが、このころには受けに対するちょっと黒い部分も見え隠れしていて、
病むまでいかないけど、これも恋愛のスパイス。。。とニヤニヤしました。

電子版で購入しましたら、
本編、後日談、SSと3編入っていましてお得!!
(SSは特定書店での特典をいれたものかもという情報をいただきました)
このおまけSSでもエチしてくれていて最後まですごーく楽しめた1冊でした★
夕映先生、初めて読ませていただきましたがまた読みたい作家さんです!

4

攻の作戦勝ち

仲良しグループの、30歳を過ぎて結婚してなければ一緒に住もう、を実行してしまったお話。攻の計算済みでの行動が凄かった。

執着・甘やかし攻 × 素直じゃない寂しがり屋・毒舌マイペース女王さま受
受は美人なジャイアンと呼ばれていて、ジャイアンはちょっとなーと思いながら読み始めましたが、ジャイアンというほどでもなく可愛らしい我が儘女王さまでした。受が大好きで、強行突破で同居に持ち込み、でろでろに甘やかしてしまう攻。なんだかんだうだうだ言いながらも、その生活が心地良くなってしまう時点で、受の負け。笑

途中、好きだと気付いた受の行動が思いがけず、楽しいです。初めて読む作家さんですが、甘やかされる受もちゃんと大人の男で、買って正解だったと思えるお話でした。

1

スルッと読めます

電子書籍で読了。挿絵はあるけれど小さい!(昔の文庫版のものの様に見えないほどではないです。でもサマミヤアカザさんがお好きな方であれば、紙の本をお薦めしたい)

懐の深い執着(『腹黒』と言うよりは『息が長い』と言う方が当たっているような気がする)×悪気がないわがまま王女様(文中では『ジャイアン』と言われていましたけれど、それよりずーっとかわいげがあります)とでも言うような組み合わせ。このお二人のキャラと『○○歳過ぎて○○だったら~』というシチュエーションが好みかどうかで萌え度が決まるお話だと思いました。好きな人には堪らないでしょう。

連続して夕映月子さんのお話を読んだのですが、私は夕映さんの書く『嫌みのないオタク(マニアと言うのか?)』が好きなようです。このお話でも 東元は文学オタク(大学講師)という設定ですが、オタクぶりがみっちり描かれていなかったので、ちょっと残念。お話が悪いというわけではないのですが、違うものを期待していたので、スルッと読み終えて「あれ?あれ?」と……どうも私は『空振り』しちゃった様です。

0

執着ってイイなぁ♪

あらすじと、サマミヤアカザ先生の挿絵に惹かれ購入しました。
仲間内の男前ランキング No.1とNo.2が唯一の独身仲間となって『三十過ぎて独身だったら一緒に住もう』という魔法のコトバを実践してくれる、(他人から見れば)不毛だけどこの上なく美味しいシチュエーションのお話。

仕事以外では、毎日毎日 呼吸をするように自然に悪口雑言を吐き出している「美人なジャイアン」の透(受け)視点で物語が進んでいきます。
前半部分は、立場によって色々な捉え方ができる 三十歳という自分の位置づけに対する心理描写が、細かく丁寧に透の毒舌を交えながら語られます。
私事ですが直前に読んでいた本の(受け)の人柄が、傍若無人な俺様とは正反対だったので、透の性格に馴染むまで物語の半分くらいを費やしました。

もう一人の主要人物である、二人が出会ってから十二年 一度たりとも透に逆らったことのない男・東元(攻め)は、年相応の落ち着きに ミステリアスな雰囲気が加わって悔しいくらい男前。ですが、博士号を取得したものの就職せず大学に残って近代文学の研究を続けている文学オタクです。

「おれは おれの自由を愛して生きる」と豪語し自分より優先したいほど好きになれる相手にめぐり逢わないから、と結婚を遠ざけていた透が、相手が東元という報われる可能性のない(と本人は思い込んでいる)恋に落ちてからの話が俄然面白い!
東元と同居した一ヶ月で、彼に甘やかされ すっかりダメになった透が今までの言動を思い起こし「東元を見下していた自分が彼に好かれるはずがない」と絶望し、彼の就職の話も絡んできて やがて自暴自棄になり・・・

東元を好きで、苦しくて苦しくてたまらなくなった透が取った行動が、想像のななめ上でした。
一方、どの程度酒を飲ませたら透が寝るか 記憶を失うかとかも把握している、と東元が白状したのを見て「あなた達 すごくお似合いですよ」と拍手を送りたくなりました。
手品の種明かしのように、東元が十二年分の想いと策略(!?)を透に話すシーン、大好きです。

個人的にツボだったのは「透の気持ちは自分にある」と確信してからの、行為の時の東元の口調が若干横柄な感じになるところ。
口では彼に、好きなように 好きなことをして生きていい。と言われている透ですが、精神的にがっつり鎖で繋がれていることに気付いているのか、いないのか?(笑)

限りなく 萌×2寄りです。

1

執着攻めの囲い込み計画

あらすじはほかの方が詳しく書かれているので感想だけ。

一見どんな要求でも聞いてくれる甘やかし系の包容力のあるタイプの攻めかと思ったら、12年もかけて自分のところに堕ちてくるまで着々と網をはって待ち、絡めとる蜘蛛もびっくりの執着攻めでした。

透(受け)が30歳になり、中堅と呼ばれ中間管理職として仕事でいろいろなストレスを感じながらも、周りは続々と結婚していき、年齢的に老後のことなんかも考えたりしてちょっと寂しいかもと思うタイミングまで待つ東元(攻め)のこの気の長さ、驚嘆です。
「30歳になっても独身だったら一緒に暮らす」という社会人になる前の不安な気持ちの保険のような約束を実行に移すべく、どのくらいの酒量で寝てしまうとか記憶を飛ばすとかも計算にいれ、酔わせた上で言質をとり、ほぼ実力行使で同居の持ち込むまでは少し強引でしたが、誤解されるような言動をとり、同居してあげなければという雰囲気にさせ、それ以降は透がこの生活を手放したくない、二人でいないと寂しいと思わせるように居心地よく生活させ、馴染んできたころに転勤や恋人の存在を匂わせ、透を焦らせるという策士っぷり。
これだけ周到に策に嵌めたんだから、東元には透を襲い受けになっちゃうまで悩ませないでさっさと告白なりなんなりしてあげて欲しかったな。ちょっとかわいそうになりました。

二人とも社会人として仕事をしていて、部屋に籠っているわけではないので暗さは全くありませんが、一歩間違えれば闇堕ちになりそうな攻めです。
ともあれ、透の面倒な性格に合う人はきっと東元しかいないと思うのでお幸せにって感じですね。
でも、30歳までに本当に結婚してしまったら、どんな邪魔するつもりだったんでしょうね。ちょっと気になります。「おめでとう」とちゃんと言うとかちょっとはあがくとは言ってたけど、わからないように盛大に邪魔したと思うんですよね。そっちも見てみたかったかも。

執着攻めは大好きなので、楽しく読めました。ちょっとした言動からも執着してると感じましたが、東元視点で話を読んでみたかったです。ドン引きしながらも楽しく読めたんじゃないかと思います。特に、指輪を見つけて焦った透が襲い受けになってしまったシーンなんてきっと驚きながらも高笑いしていたことでしょう。

そして、サークル仲間の既婚者3人がどう思っていたのか気になります。東元の執着を知っていたような感じもしました。
一緒に住んでると知ったときにすぐに「カミングアウト」や「良かった」という言葉が出てきたり、付き合ってないと聞いた時にはセフレという言葉がでてきたり、知らなければそんな出てこない台詞だったし。でも、その割には最初の方は透に対して「結婚はいいぞ」なんて絡んでいたし、反対はしないけど賛成もしない二人で決めてというスタンスだったのかな。とはいえ、最後はからかいながらも祝福してくれるいい友人たちで良かったです。学生時代の仲間って社会人になってから知り合った人とは違った甘かったころの自分をさらけ出せる数少ない友人として心のオアシス的な関係ですよね。これからも仲良くしてもらいたいものです。

3

攻めのギャップに注目

ジャイアンのように傍若無人な性格のエリートサラリーマン(受)と終始穏やかでおっとりとした性格の貧乏学者(攻)のお話です。「三十過ぎて独身だったら一緒に暮らす」という約束をした大学時代の友人の中で本当に未婚のまま三十路を迎えてしまったのは攻めと受けのイケメンコンビだけだった訳ですが、現実でも案外フツメンの方があっさり結婚してしまったりしますよね。ともあれ、約束の通り受けは攻めが借りているボロい一軒家に引っ越して二人暮らしを始めますが、攻めが受けのために晩御飯を作ってあげたり受けが晩御飯に間に合うように仕事を切り上げて帰ってきたりとまるで新婚夫婦のようなエピソードが展開されます。もうこの時点から、受けの胃袋をつかもうとする攻めの用意周到さが伺い知れますね!最後まで読むとわかりますが、攻めの受けに対する執念の深さは思わず背筋が寒くなるほどです。のほほんとしていていつも受けに振り回されているようだったのが実は全て計算づくで、いいように操られていたのはむしろ受けの方だったという…さて、エロシーンですが量的には少ないながらも甘々です。攻めのことで色々と思いつめてしまって、チープなエログッズに頼ろうとする受けがとっても可愛いです。サマミヤさんの美麗な挿絵も素晴らしいです。全体としては「萌」評価で。

0

攻め様がすごい!!!!

夕映先生の作品は、以前一冊だけ読んだ本がどうにも好みに合わず、以降なんとなく読む機会をもたないまま今に至ってしまいました。でも、今回は、あらすじに興味を持ち、購入を決めました。
今回の作品は物凄くツボだったので、今後は先生の作品をちゃんとチェックしていこうと思います。

執着攻め、長年片想い、同級生(今回は大学の)として出会い、、、と、私の萌えツボが満たされる作品だったのですが、しかしこの攻め様がもう凄かった!!!!
今迄、長年片思いの執着攻め様が登場する作品はいくつか読んできましたが、私が今まで読んだ作品ではあまりお目にかかったことのないタイプの攻め様で、すごく新鮮でしたし、ここまでくるともうあっぱれでした。(見る角度によっては戦慄タイプかも・・・私はこの攻め様大好きですが・・・)
30になったら受け様と恋人になれるはずだ・・・と信じ、焦る訳でもなく、でも、しっかり計画的にじっとその時を待ち(12年間も!!!)、いざその時がきたら、飄々としながらも、しっかり受け様を追い込み囲い込んでいくという・・・そして、受け様はまんまとその策にはまってしまうという展開。
攻め様、穏やかで優しそうな中にまさかの腹黒さが・・・。そのギャップがたまりませんし、基本絶対に受け様を思いっきり甘やかしまくってくれる攻め様なので、もう受け様が羨ましくてしょうがありません。

・・・と、こう書くとなんだかやっぱりちょっとサイコものっぽいですね。
でも、実際にはとても楽しいお話です。読んでいる側は割と早い段階で攻め様が受け様の事を好きなんだと分かるようになっているので、受け様があれこれぐるぐるしていても、安心して見守ることができます。
受け様がなんだかんだ潔い性格で、男前な性格で、友人の前では裏表がないというのも読んでいて清々しかったです。

6

30歳男子の等身大描写が絶妙

あらすじ:
大手メガバンクに勤める透(受け・30歳)は、仲間内で「美人なジャイアン」と呼ばれる、自他共に認める俺様。
大学からの友人で貧乏学者の東元(攻め・30歳)と、独身男同士、同居生活を
始めることに…

俺様で自己中なのに可愛さもある透が良いキャラ。
仲間内では言いたいことをズバズバ言う俺様キャラですが、
仕事で好青年を演じる程度の良識はあり、
人に気を遣うのが嫌なので結婚願望も特になし…と、
自分の性格に難があることを理解している点に謙虚な可愛さがあります。
一生独り身でいる覚悟でコツコツ貯金しているものの、そんな人生にふと寂しさを覚えることも。
そんな、アラサー男女問わず抱きそうな悩みや不安感が等身大に描かれています。

東元は、透とは大学の旅行サークルで出会って以来の付き合い。
今は近代文学を専門とする研究者ですが、最近ようやく博士号をとったばかりで、まだ就職口はなし。
透と比べ、穏やかで落ち着いた男性然としている東口ですが、こちらも年齢を考えるとなかなか余裕ではいられない境遇です。

こんな30歳男子の同居生活をほのぼの描くお話。
東元への想いを自覚した透が、思い余って東元に手錠をかけて襲う(!)という展開もあり、
東元→透かと思いきやそれだけではないのが面白いところです。

成人男性のリアルな日常生活の合間にちょっとしたロマンスが挟まれているところに作家さんのセンスの良さを感じる一冊でした。
後日談のオマーン旅行のエピソードなど、最後まで絶妙に意外性があり、楽しませてくれる作品です。

12

共感しすぎる!!

30歳という、大人の男同士の同居ものです。執着攻めに、ワガママな受けがひたすら甘やかされて…という感じ。

内容としては、大学時代に仲良くなったグループで、「30まで独身だったら一緒に暮らそう」と約束をしていて、実際に30になった受けの所に攻めが迎えに来た…というもの。一緒に暮らし始めると、至れり尽くせりの生活で、受けはグズグズに甘やかされて…という展開です。受け視点で進みます。

受けは仲間内でジャイアンと呼ばれる、横暴でワガママな性格。攻めは穏やかで皆から信頼されています。しかし、かなりの執着系。美人受けですが、体格的には攻めとそれほど差は無く…といった感じです。

30歳というと、色々転機になる年なんですよね。それこそ10代の頃は、30の自分なんてちゃんと大人だと思っていたのに、実際に30になると…といった感じで。身体的にはちょっとした衰えを感じ始めるのですが、精神的には全然昔のまま変わって無かったり。しかし、周りからは容赦なく大人の扱いをされ、更に環境も若い頃とは変わってくるので、将来に不安や焦りを感じたりと、不安定になる時期だと思うのです。このへんの葛藤なんかが、ものすごく丁寧に書かれていて、かなり共感しました。
共感出来たのですが、なんだろう…。
共感しすぎて男性というより、「30歳女性」にしか思えない…。あくまで私の印象なんですが、思考が女性じゃん!…と。ワガママで横暴な女性にしか思えて来ない…。
よく「これもう女じゃん」といった感想を読んだりしますが、今まで思った事は無かったのです。大前提として「男だろ」と。しかし、今回初めて「女じゃん」という感覚が分かりました…。横暴でワガママなのに、性根の部分で結構グズグズと女々しい部分があるのにも、ちょっとイラッとしてしまって。こういう、横暴キャラなら、もっとこう竹を割ったような潔い感じの性格に統一して欲しかったです。

そんな感じで中盤まで、この受けの葛藤なんかがひたすら丁寧に綴られています。面白くない訳では無いけど、こう、女性の書いたエッセイを読んでるみたいな気分になります。

後半以降は一気に話が動きます。ヤケになった受けが、攻めを拘束して強引にエッチを迫り…と、ここから一気に萌える!! 更に、攻めの結構な腹黒ぶりや、かなりの執着具合が明らかになり、これを待ってました…!!と。
絡みでは、最初は受けからエッチを迫ったのに、途中からは形勢が逆転して、受けが散々なかされてしまう…という非常に好みの展開。
執着攻めに、いつのまにか絡めてられてしまう受け…というのが個人的にとても好きなのです( ´艸`)

受けが個人的に微妙だったりするし、中盤までがちょっとクドい気もしますが、設定としてはとても好みで、面白い展開だったので、総合的な評価として「萌」です。
受けのキャラクターの感じ方は、あくまで私の印象です。人によって感じ方は違うと思うので、参考程度にしておいてもらえると嬉しいです。

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