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表題作不思議世界の白ウサギ

セーファス,創造主
コウタ,ウサギ族のアルビノ,18歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

ウサギ族のコウタにはコンプレックスがある。
ピンと立った耳が特徴の仲間の中、自分だけ垂れ耳で、毛色が白く目が赤いのも他者とは違うからだ。
その代わり、特別な能力を授かったコウタは、村人から神子と呼ばれ大切にされている。
だけど、異端ゆえの孤独を常に感じずにはいられない。
しかしある日、コウタの前に創造主が現れたことで孤独な日々は一変して──。

作品情報

作品名
不思議世界の白ウサギ
著者
若月京子 
イラスト
こうじま奈月 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
ISBN
9784775526316
2.2

(4)

(0)

萌々

(0)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
7
評価数
4
平均
2.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

創造主様とウサギの恋

あらすじ:
ウサギ族のコウタ(受け)は、全身真っ白、赤目という容姿のアルビノ。
ある日、この世の創造主であるセーファス(攻め)に出会い…

物語開始1ページ目から創造主様が登場し、当然のようにコウタと会話するというぶっ飛んだ構成。
大きな事件もなく、終始ゆるゆるで甘い雰囲気のファンタジー作品です。

アルビノの見た目と治癒能力を理由に村で「神子」と敬われ、遠巻きにされているコウタですが、本人は天真爛漫で可愛らしい性格。
背が低いことがコンプレックスで、セーファスの力で背が伸びて無邪気に喜んでいる姿が微笑ましいです。

創造主のわりにサラッと登場したセーファスは、すごい肩書きを全く鼻にかけない男前攻め。
コウタの背が伸びないのを、細胞が省エネモードなせいだと見抜き、細胞を活性化させることで背を伸ばしてくれますが、
創造主なのにやっていることのスケールが小さく、設定とのギャップが何だかシュールで面白いです。

そんなセーファスがコウタを愛でる様をひたすら楽しむほのぼの甘々はお話。
セーファスを下敷きにして寝てしまったり、もっと背を伸ばしたいとはりきったりと、天然ワンコなコウタが可愛いです。

あまりにあっさり話が進みすぎてストーリー展開としては面白みに欠けますが、若月さんらしいライトでまったり楽しめるファンタジー作品に仕上がっていると思います。

5

発情期がないのが残念

創造主によって獣から人型の姿を与えられた世界。
真っ白な毛色に真っ赤な目、ウザギ族の青年・コウタ(受け)は茶色や黒が一般的なウサギ族にとって異端な容姿をしていました。その容姿と治癒能力いより神子と呼ばれているコウタは村のはずれにある創造主のための四阿で昼寝をしていると、突然創造主・セーファス(攻め)が現れます。変異種であるコウタにセーファスは興味を持ちいろいろな話をするうち親しくなります。

読み始めて気が付いたのですが、「迷子の黒ネコと南の楽園」のネコ族タカラの元居た世界の話でした。作者様のあとがきにはなにもかかれていませんでしたが創造主や世界の設定が同じなのでおそらく同じだと思われます。

コウタはウサギ族の青年で成人していますが、生まれつき身体が弱く成長も遅い代わりか治癒の力を持っています。異様な容姿に幼い頃は心無い言葉を投げかける人もいたのですが、治癒の力に目覚めてからは神子として村人に大切にされています。大切にされすぎて、病弱だったこともあり仕事を任せてもらえません。
治癒の力が不要な時は、暇なのでいつも創造主の四阿でのんびりする日々です。自分の容姿が他と違うことがコンプレックスになっています。
創造主に出会ってもそれほど委縮することなく拗ねたりお願いしたりととても無邪気な青年です。

ただ、ちょっと身長のことにこだわりすぎなのがちょっとうざいと思ってしまいました。少しづつ身長を伸ばしてもらっている最中で打ち止めになってしまって残念なのはわかるし、ウサギ族の平均身長に少しでも近づきたい気持ちはわからないではなけど、それは命より大事なことかと思ってしまうくらい最後まで身長についてうだうだ言っていたのはちょっと興ざめしました。


セーファスは創造主と呼ばれ神さま扱いされていますが、本当は異世界の住人です。自分の世界が崩壊してしまったため避難してきたのでした。とても長命で様々な能力を持っている種族で動物ともコミュニケーションがとれます。人間がいないことを寂しく思っていた時、人間になりたいという動物たちの要望を聞き入れて人型にしました。それ以降、数百年という時を自分の世界が崩壊した影響で
できた時空の亀裂を修復したり、そこから侵入した異世界の悪影響を及ぼすものを退治してきました。突然変異したコウタの特異な体質に興味をもち、屈託なく接してくるコウタと行動を共にするようになります。
普段は、神さま扱いされ周りが大騒ぎするので人の目につかないように行動しています。
各村や町にある四阿はセーファスのためのもので、セーファスの気が残っているため普通の人間は落ち着かないため人が来ません。そこにリラックスしてのんびり昼寝しているコウタに出会い、自分を畏れないコウタから情報収集するのです。

セーファスははじめからコウタに甘々でした。その辺りの理由は明らかにされていませんが、自分の干渉(コウタの要望で身長を伸ばそうと細胞を活性化させる行為)に抵抗するコウタの身体や屈託ない態度、四阿でのんびりできるコウタの体質など寂しかったセーファスにはうれしかったからかなと思います。

はじめ、コウタは無邪気に慕っていたのですが、セーファスと共に村に帰った際、宴席でセーファスにしなだれかかる美女を見てから独占欲が生まれ、村に襲い掛かる災厄で感じた命の危機に自分の恋心に気が付くのです。
自分たちはいつ命を落とすかわからないと悟ったコウタの行動力にはびっくりです。ストレートに自分のものになってほしいと望み、告白が受け入れられなかったとしても、今現在セーファスは自分を特別扱いしてくれているのでずっと一緒にいれば絆されてくれるかもと計算したりポジティブでした。
ただ、セーファスはそんなつもりなかったみたいなのに、結構あっさり受け入れたのはちょっと拍子抜けな気もしました。

二人が両想いになりいちゃいちゃで最後終わるのかと思ったら、もう一波乱。
最終的に世界の亀裂を修復し終えたためこれからの旅はずっとのんびりしたものになるでしょう。そして、亀裂を修繕してしまったので、異世界に飛ばされた黒ネコちゃんはもう二度とこの世界に戻って来られないようなので、元の世界に戻ってしまうかもと心配していた「迷子の黒ネコ」の二人にもこのことが伝わるといいなと思いました。

故郷が消滅したことでずっと孤独だったセーファスと異端であったため孤独だったコウタ。孤独を理解しあえる二人が出会えたことでこれからの人生ともに過ごせる相手ができてよかったと思える話でした。

絡みは2回。とはいえ、ウサギなのに発情期がなかったことがとても残念でした。発情期エッチも読みたかったです。

いつも思うのですが、この方の作品は食事シーンが多いですね。今作も食べたり飲んだりおいしそうに食べてました。

くっつく前から甘々なお話で、それほど話が深くないので疲れている時にどうぞ。

電子書籍で読了。イラストなしです。
表紙がとても素敵だったのでイラスト見たかった。

1

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