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表題作僕はあなたに飼われたい

狛方和泉,ハウスキーパー(開発研究職の獣医師),28歳
妹尾遼一,スランプ中の伝奇ミステリー作家,32歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

美形だが口の悪い人気作家・妹尾遼一の元に編集が寄越した掃除アルバイトは、シャープな印象なのに瞳が妙に人懐こいイケメンの男だった。
手際よく室内を片付け、おまけに料理の腕までふるうその男に遼一は感心するが、編集からの電話でバイトが中止になっていたことを知る。
驚き詰め寄ると、狛方和泉と今更名乗った男は、自分は獣医師で、遼一が幼い頃拾った子犬の魂に頼まれ、代わりに恩返しにやってきたと言い出して…!?

作品情報

作品名
僕はあなたに飼われたい
著者
鳩村衣杏 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778121266
2.9

(11)

(0)

萌々

(1)

(8)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
30
評価数
11
平均
2.9 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

下僕ぶってるけど結構…な攻め

鳩村衣杏さんの「童話・昔話」シリーズ。今回のテーマは「鶴の恩返し」。
でもストーリーは「鶴の恩返し」とは特にリンクしてません。

人気作家、だけどちょっとスランプ気味な「鴇田セノヲ」こと妹尾遼一の元に、子供の時に拾った捨て犬の恩返しをさせて欲しい、と男が現れて……
という、スピリチュアルというかファンタジー的な導入部です。
実際は犬の霊とかの部分はそれほど語られないので、荒唐無稽な感じはありません。が、そうなると同時に和泉の存在価値も薄まってしまう部分もありますね…。
和泉は犬のコーラの恩返しとして家事や料理やマッサージをしてくれて、遼一はどんどんほだされていくわけですが、もし犬のエピソードがなければ和泉は不気味なストーカーと同じ?かも。
ともかく、遼一は弟に纏わる過去のトラウマを告白して、和泉の想いを受け入れる展開となります。
結果オーライですが、途中遼一の心情の揺れと設定との整合性にツッコミどころが色々とあると感じました。でも作者様の筆力でグイグイ読んでしまいますね!
良いと思ったのは、セックスでおかしくなりそうな自分を、2人だけの事だから心配することはないと、お互いのありのままをさらけ出すことを肯定しているところ、かな。

2

ファンタジーかと思いきや…

あらすじからファンタジーものかなあ?と読み進め、終盤で実は…な事実が発覚したことでなぁんだ!と改めて理解し直して読み進め、最後の最後にえ?え?という展開で終わるという。
物語に惹き込まれ楽しませてもらったといういい意味で振り回された感が拭えません笑。

若くして人気小説家となった受けさんの遼一の元に、ハウスキーパーとして現れる攻めさんの和泉。
実は遼一の勝手な早とちりと思い込みでハウスキーパーとしてではなく、昔拾った犬のおはぎの恩返しをしに来たという話をされ。
何だかんだと信じて受け入れハウスキーパーの仕事を恩返しとして雇う形になるのですが…。
それからなんやかやを経て恋人になる2人のいちゃいちゃ期があり、と、ここまではありがちな展開だなあ…と正直思いながら読んでいたのですが、ここからが予想できない展開でした。
弟の憲二が実は深く絡んでいたなんて、それまでうっすらと記憶していた程度だったのでビックリでした笑。
あとは最後の結婚式の準備でのあのシーン。
おはぎ(コーラ)は結局…と、読者にうっすらと気をもたせる感じで終わるので、まるで映画とかドラマの様な幸せな終わり方だったように思います。

それぞれのキャラ設定も私は嫌いじゃないです。
遼一のキャラは好き嫌いはっきり分かれそうですが、私としては今作品で1番のギャップ萌えを持った魅力溢れる受けさんじゃないかなと思います。
和泉は特にこれと言って大きな特徴があるわけではないけれど、計算高そうなとこが垣間見えたりするので、今後この2人は精神的な主従関係が逆転してそうでニマニマします。

お話も綺麗にまとまって気になる点が残ったまま…という不快感もなく読めるかと思うのでスッキリとした読後感に浸れるかと思います( *´︶`*)

3

年下ワンコに癒される話

作家の妹尾遼一(受け)は、たまたま訪ねてきた狛方和泉(攻め)を編集部から派遣された片付けアルバイトと勘違いしてこき使います。人違いだとわかり、今度はストーカーか何かかと警戒する遼一に、和泉は昔遼一が拾った犬の霊に頼まれて恩返しに来たとスピチュアルなことを言いだします。当然信用しないのですが、他人が知らないようなことを知っていることに驚き、和泉は家事全般に明るいことや執筆活動へのインスピレーションにもつながることなどを利点もあり身元も明らかにされていることから作家仲間(これが「ヘンゼルと魔王の家の」興津)に相談した結果、霊云々はさておきハウスキーパーとして利用することにします。

この突拍子もない設定が通じたというか疑いながらもまぁいっかとなった作家二人の考え方にびっくりです。興津なんていらないなら頂戴っていってるし。

遼一は子供のころに両親が離婚しており、弟と共に母親に引き取られたのですが憔悴していく父親を見ていられなくなり、父親と暮らすことを選択します。ずっと一緒にいると約束した弟から「嘘つき」と責められたことをずっと後悔しており、トラウマになってしまって他人と距離を縮めることができなくなっています。
和泉が遼一のガードの隙間をつくのが上手いため、どんどん中に入ってこられ、胃袋を掴まれ、マッサージや片付けなど自分に心地よいものをくれる和泉に心を開いていきます。

和泉は獣医師ですが、臨床に行くのではなく研究職として、会社員をしています。(この会社が「白雪姫の目覚め」の姫野のいる会社)生活能力のあまりない遼一と違い仕事のみならず家事全般が得意で、その能力を最大限使って遼一の堅いガードを超えていきます。そうこうするうち遼一本人に惹かれていきます。

傲岸不遜な性格の遼一ですが、これも相手を自分の中に入り込めないようにする処世術で、弟に責められたことを何度も夢に見てうなされる遼一は気の毒でした。

和泉はかなり強引に遼一のハウスキーパーとして入り込みますが、この目的が比較的最後の方まで明かされません。ある程度予想通りだったのですが、遼一が心を開いた時に目的を明かしておかなかったためすれ違いが起こります。
嘘はつかないと宣言していたにもかかわらず、「嘘つき」というのが最大のトラウマの遼一に対して、悪手としか思えない手段だったので当然です。私的には最大のトラウマを犯した和泉に対して、遼一が話を聞く気になったのはちょっと早すぎじゃないかと思いました。もっと強いアクションで話を聞く気になるのであれば納得できたのですが。今まで強気できてたのに急に弱気になったのもなんで?って感じでした。自分のことも後回しでいいって感じで、許せないなら仕方ないっていう消極的な態度はちょっと残念でした。どうしても手に入れたいなら遼一に判断を委ねてしまうのはどうかと。

とはいえ誤解も解けて、うまくまとまってよかったってところでした。
既出の2冊は読んでなくても全然大丈夫です。読んでたら二人への親近感が湧くかなくらいです。2カップルとも相方とは仕事かぶってないんで無理だったんだと思いますが、それぞれのその後がちょっとでも出てきてたら良かったな。

最後のシーンだけちょっとスピチュアル。霊云々はどこまで本当だったのかな

1

年下ワンコの恩返し

鳩村さんの童話モチーフシリーズ第5弾。
今回は「鶴の恩返し」にちなんだ物語で、恩返ししたいワンコ×年上美人作家という組み合わせ。

単独で読める内容ですが、既刊『ヘンゼルと魔王の家』の魔王こと興津や、『白雪姫の目覚め』の姫こと姫野も登場しています。

あらすじ:
スランプ中の伝記ミステリ作家・遼一(受け・32歳)をいきなり訪ねてきた、狛方和泉(攻め・28歳)と名乗るイケメンの男。
彼を掃除アルバイトと勘違いし部屋に入れてしまう遼一だが、話を聞いてみると、彼の職業は獣医師。
子供の頃遼一が助けた犬の霊に頼まれ、恩返しに来たと告げられ…

いきなり「犬の霊」なんてぶっ飛んだことを言い出す和泉、電波か??と思いきや、普段の彼は爽やかで礼儀正しい好青年。
料理も掃除もマッサージもできる和泉を気に入った遼一は、彼を「下僕」として雇い、何だかんだ彼と仲良くなっていきます。

美人毒舌作家で通っている遼一ですが、素の彼は意外にも天然でお人好し。
幼い頃、両親の別居で弟と離れ離れになった遼一は、弟に自分を見捨てたと恨まれ、それが原因で今も疎遠なまま。
弟に「嘘つき」と泣かれたことに今も罪悪感を抱いている情の細やかな人物です。
こんな遼一のキャラなので、得体のしれない和泉をハウスキーパーとして雇い入れる展開もまぁアリかなと思えてきました。

遼一をじわじわ口説いていく和泉は、ただの無邪気なワンコキャラではなく、意外と押しの強さもある人物。
敬語でほんわかした口調なのに、少しずつ遼一をその気にさせていく策士っぷりが大人の男という感じでカッコよかったです。

クライマックスで明かされる和泉の正体については、もう少し伏線が欲しかったかなという感じ。
また、遼一が天然だから良かったものの、普通だったら勝算は限りなく低い作戦に思えました。

個性的なキャラたちのやり取りや日常描写など読みどころは多く楽しい作品でしたが、上記の点でちょっとモヤモヤが残ってしまったかなという感じです。

4

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