• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作そらのだいじな旦那さま

三雲高虎,22歳,隼瀬浦の領主
空良(捨),16才,小国「伊久琵」領主の子

その他の収録作品

  • 冬の晴れ間 雪解けの道
  • あとがき

あらすじ

難産の末に母が亡くなったせいで父に疎まれ、双子の姉の身代わりに人質として新興の小国に嫁がされた捨(すて)。しいたげられた生活の中でも捻くれることなく無垢なままに育った捨は、強く優しい夫の高虎に「空良(そら)」という名前を与えられ初めて生きる意味を見つける。高虎の役に立ちたいとけなげに振る舞う空良だが夫婦の契りに関しては知識がなく……?

作品情報

作品名
そらのだいじな旦那さま
著者
野原滋 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
そらのだいじな旦那さま
発売日
ISBN
9784344839038
4.3

(235)

(130)

萌々

(73)

(19)

中立

(4)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
22
得点
1003
評価数
235
平均
4.3 / 5
神率
55.3%

レビュー投稿数22

ツボに入りまくり

初読みの作家さまでしたが、可愛らしいタイトルと表紙につられ購入。ほっこり可愛いお話かと思いきや、序盤はシリアスムード満載。薄幸・健気受けさんが大好物なので、初っ端からがっつり食いついて読んでしまいました。





主人公は捨(受け)。彼視点で話は展開していきます。
とある国の領主の息子でありながら、出産時にトラブルがあったことで実母は他界。愛する妻を亡くしたことを息子のせいにした父親は彼を実質的に捨ててしまい、孤独で過酷な幼少時代を過ごします。
領主の逆鱗に触れぬよう、住民たちも彼に対して冷たく当たり、名前も付けてもらえずにいます。数人に「捨」と呼ばれるだけ。

そんな捨ですが、小国との取引の材料として嫁として出されることに。男であることがばれたら相手の逆鱗に触れ殺されてしまうことは分かり切っていてなお、「自分(父親)のために嫁として行け」と言われた捨は、失意の中相手国へと出発するのです。

道中、男とばれたら殺される可能性があるためついてきてくれた自分の国の人が逃げていく中、嫁ぎ先の小国の人が迎えに来てくれるのですが…。

というお話。

自分の父親に大切にされることもなく、また父親の代わりになり保護してくれる人もいない中育った捨が、健気ちゃんで切ない。自分の境遇が「哀れ」なのだという事も理解できないんですね。

その捨に、「空良」と名付け、大切に、深い愛情を注いでくれるのが嫁ぎ先の高虎。高虎が空良を愛するようになった過程がややご都合主義的な感じはあるものの、イケメンで強くて、そして一国の跡継ぎというスパダリさんで、もうカッコいいのなんのって…!

こういう「身代わりもの」って、男だとばれないようにと腐心するものが多い気がしますが、この作品はしょっぱなから男ってばれちゃってて、ちょっと斬新でした。

見返りのない愛情を注いでもらったことのなかった空良が、高虎からの愛情に包まれ幸せになっていく過程にとっても萌えました。
空良が性的にまっさらさんだったのも高ポイント。そんな彼を徐々に開花させていく高虎がエロかった☆

この二人もとっても良かったのですが、高虎の弟や家臣の魁傑といった脇キャラもいい味出してました。
ぜひともこの二人のスピンオフを出していただきたい。

薄幸・健気受けさんがお好きな方や、溺愛攻めがお好きな方にお勧めの、とっても可愛らしく、温かなお話でした。


22

ティッシュ何枚使ったかな…

久しぶりに、本当に久しぶりにここまで泣いたんじゃないかな…ってくらい泣かされた、とても素敵なお話でした。
最初からウルっとくるとこが何回かあり、「あー…これ、やばいかも」と読み進めていたのですがやっぱり途中から涙が止まらず一端読むのを止めなきゃいけないくらいで…笑。

受けさんの空良があまりにも不憫で…それでも、産まれた時からその境遇・仕打ちが当たり前だったので、決していい子ぶってとかではなく自分を不幸とも思わずただただ自然とだけ友達のように生きていた姿に、涙を誘われつつも好感の持てる健気設定でした。
そんな空良の名付け親にもなる攻めさんの高虎は、最初からどの行動も空良の為を思ってやっていることばかりで、わかり易く口にも態度にも出さないけどその高度の端々から空良を大切にしている事が伝わってくるので、初めて空良は本当に幸せになれるんです。
あとはいちゃいちゃ溺愛して終わりかなー…と思ってたら最後の最後に事件があって、空良の真の心強さと本当の健気さというものを見せられた気がして、この数ページに何枚ティッシュを使ったかわかりません。

また、脇キャラとして主要人物並に出てくる次郎丸と魁傑も本当に好きです。
この2人あってこその1冊だと思います。

心温まること間違いないお話なので、是非1人で静かな環境で読んでほしい1冊です( *´︶`*)

10

高虎の献身と空良の清廉さに感動。

サマミヤアカザさんのイラストと歴史モノという設定に惹かれました。ひたすら甘い溺愛モノかと思いきや、切ない場面もあり、見応えのある一冊となっております。

領主の息子として産まれながらも、父に疎まれ幸せとはいえない子供時代を過ごした捨(のちの空良)。けれど、旦那様である高虎と出会うまでは、そもそも幸せがどういったものであるかすら知らなかった為、自分が不遇だとは思っていなかった。

高虎に愛され、過去の自分がいかに憐れだったかを知った後も、自分の父や故郷を思う空良に心打たれました。
そして生死を彷徨っていた空良を献身的に看病する高虎にも、涙が止まりませんでした。高虎がずっと声をかけ続けていたからこそ空良は戻って来ることができたのだと思います。

他の方々も書かれてますが、私もゾ◯リ(あ、魁傑のことね)と次郎丸のスピンオフはぜひぜひ読みたいです!

8

愛し愛されていっぱい幸せになってほしい2人です

 私の萌要素がたくさんあって、たいへんおいしく読ませて頂きました。

 自分が傍からみればひどく不遇な境遇にいることを知らず、虫や鳥などの動物とのふれあいや、自然の恩恵を大事にして生きてきた受け様の空良。
素直で純真無垢、でも庇護されるだけの子ではなく大事な者を守る為に頑張れる強さと優しさを持ったたいへんいい子でございました。

 包容力があり、強く優しく男前な攻め様の高虎。
こちらも空良を優しく穏やかに包み込んで、言葉でも態度でも溺愛丸出しでたいへん高得点な攻め様。

 空良があまりに無垢なのと、初めに怖がらせてしまったのを後悔した高虎が、手を出すのをためらっていたのを、家臣の魁傑にハッパをかけられ、手ほどきをしていく訳ですが…。
ゆっくりゆっくり、時間を、どころか日数をかけてやさしーく心も体もとろけさせていっていて。
自分が育てて花を咲かせると思えば楽しみだ、と言ってた通り、空良の体はもちろん気持ちも無理をさせないようかわいがっていて、溺愛好きな私にはたまりませんでした。

 高虎が戦に出かけた隙をついて敵が襲ってきて避難してる時、助けに戻ってきた高虎の目の前で切られてしまう空良。
生死の境を彷徨う空良を献身的に介護する高虎の姿にまたしてもたまらない私。
受け様が危ない目にあったりして、それに焦燥したり慟哭したり切羽詰る受け様の姿を見てその心中を妄想するのが多分一番の私の萌ツボなので、ここはもうね、切なくて切なくてよかった。
空良を抱きしめて口移しで薬を飲ませながら、切々と空良にこれからも共に生きていこう、と語りかける高虎。
死んでもいい、と思っていた空良に生への執着を芽生えさせていく高虎のひたむきな愛情にきゅんきゅんでした。

 2人はもちろんよかったのに加え、家臣の魁傑と弟の次郎丸のやり取りも微笑ましくてとても幸せな気持ちにさせてもらえた一冊でした。

7

いっぱい泣きました

表題作とSSの二篇

「そらの大事な旦那さま」

時は戦国時代。空良(受け)は小国の領主の息子、双子の弟として生まれました。
この時代双子というだけでも忌まわしいものなのに、姉が生まれた後も一日以上も出てこず、生まれ落ちたときには母親は体力を使い果たし儚くなってしまいます。忌子として即座に殺されるところを母親が最後までかばってくれたおかげで殺されることなく、とはいえ世話をされることもなく、厩番夫婦のところに預けられ名前も付けてもらえずにこき使われます。
16歳になり、美しく育った姉の政略結婚に反対の父親に、戦の時間稼ぎのため代わりに嫁ぐように言われます。

空良は何も持っておらず、馬小屋で暮らし自然の中で生かされてきたため、自然を読むことに長け自然災害などを予知することができます。が、忌子であることに加え、それが余計に周りに恐れられる結果となり孤独の中で生きていくことになります。ただ、皆が寄ってこなかったため酷いいじめに遭わなかったことだけが僥倖だったと思います。幸せを知らないため自分が不幸であることにすら気が付かない空良が不憫でなりません。
何も望まない空良が初めて欲しがったものが名前だったなんて、名前は親が最初に送る贈り物だと思うと本当に何ももらっていないんだと切なくなります。

高虎(攻め)は隼瀬浦という新興勢力の小国ではあるけれど、勇猛果敢な戦上手な国の領主の息子です。側室腹なので跡継ぎではありませんが、弟で嫡男の次郎丸を可愛がり国のために力を尽くしている強く優しい人でした。

読んでいる間半分くらいは泣いてました。
空良の境遇に泣き、ばれたら即処刑とわかっていて故郷のために姉の身代わりに輿入れする健気さに泣き、未来の話をしていてもそれを見ることはかなわないだろうという切なさに泣き、やっと幸せになったとおもったら、戦に巻き込まれて重体となり、忌子と言われてきた自分が人のために死ねると安心して逝こうとするのを見ては泣きました。ほぼ一気に読み終わった後は泣き過ぎで目が痛くなりました。

でも、平和な時の高虎が空良を幸せにしようと気を遣うところや、高虎を慕っている弟の次郎丸と高虎の従僕の魁傑の二人のじゃれあいはとても楽しく、空良の心を明るくしてくれます。

さんざん泣きましたが、嫌な気持ちになることもなく、読み終わった後は幸せな気持ちになれるお話しでした。
本当の意味で夫婦になったのは本当に最後の最後なので、砂を吐くほど甘々になりそうな高虎との甘やかしをもっともっと読みたかったのが本音です。
でも、二人が夫婦となったときからずっと高虎は空良に甘々なので絡みは少ないですが満足です。

気になったのは、時代劇は苦手だということなので時代劇っぽいファンタジーみないになっているのは仕方ないとしても、領主である高虎の父親の存在感がないのが気になりました。作中に名前しか出てこないというのは不自然に感じました。嫡男ではないにしても息子の嫁(たとえ男だとしても)に一度も会わないってのは変だなと、隼瀬浦を守った功労者として最後家臣にも嫁だと認められたんだし祝言をちゃんとあげてほしかったです。


「冬の晴れ間雪解けの道」
高虎の弟次郎丸視点。雪解けのころに高虎夫婦と次郎丸、魁傑の4人で湯治に行くお話です。高虎は相変わらず甘々です。

「長く甘い冬のはじまり」(電子限定おまけ)
空良のケガが少しずつ良くなって、本当の夫婦になるために高虎が空良の身体を少しずつ解していく話。

電子書籍は挿絵がないので紙書籍にしたのですが、電子のおまけが読みたくて結局電子も買ってしまいました。ルチル文庫の電子書籍はすべて挿絵がないので他の電子書籍と同じように挿絵をつけてほしいです。

7

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP